「ガンダム・・・・燃えてる」
シュウジは、一人でガンダムに寝そべりながらガンダムが燃えてるような光を出し始めているのを感じた。熱さは感じないがまだ足りないとガンダムが言ってると理解した。
(もっと、燃えあがらないと・・・・ガンダム、そう、燃え上がれ・・・・燃え上がれ)
その光は知らずに遠くへ飛んだ。炎のように焼き付けないといけない存在に伝えるように。
マチュは家に帰って、母であるタマキから塾に行っていない事を問い詰められた夜。逆立ちして気を剃らした後にベッドに寝て天井をジト目で見上げていた。
『地球なんか行ってどうするの。無事に済むワケがないでしょう!?』
環境が悪くなってるとは学校の皆も知っている。先日エゥーゴのジャブローによる核使用で何が起きるかわかったものではないのもわかる。
『それと、貴女。ちゃんと食べてるの?』
『何よ、栄養が背丈に向かないだけよ!』
ならばどこに行っているのとは流石に言えない、タマキとて女だ。それにマチュは学校の勉強をサボってはいるが頭の回転力は早まっているとしている。この時点でお互い幸いか否かなのは、タマキがマチュが地球に行きたがっているという程度は理解した事であろう。
少なくとも、ニャアンに奢ったラーメンは力強さで有名な類いなので健康食を食べてるとは思ってもらえないので種類は選らばなければとした。
――――――。
「【雪】・・・・?」
マチュは、何故か雪を見ていた。コロニーにそんなもの・・・・とした時、寒気の類いがおかしいのでこれは体験した事が無い雪ではないとわかった。そして、何故か人々が倒れて行く。
「やっぱり本当の雪じゃない、これは・・・・」
そう思った瞬間にマチュの意識は街を見下ろす位置に飛んだ。これは逆立ちしてみて変えてみた視界の方がマシな光景だ。
(・・・・だっ、だって・・・・アレは)
マチュは声がした方を向けなかった。それを見てはいけない・・・・だが、声が聞こえてしまうのだ。宇宙に響くべきな切実な声が。
(は・・・・アタシは、知らなかったんだよ!)
―――――――。
夢から覚めたマチュは全身を嫌な汗で濡らしていた。タマキが用意してくれていた朝食より先に喉がカラカラなので夢中でスポーツドリンクを飲み干して、気を紛らわたくてテレビを着けた時、違う悪夢に映る事実が報道されていた。
(お母さんがいたら・・・・行ってどうなるのとか言われるだろうけど、行かなきゃ!走るんだ!)
身体能力の限界を超えて走るマチュはニャアンのいるスラム街に着いたが【遅かった】と理解した。難民狩りをしているのが明らかな現状。中立で何故かとする声が出ていたが、左遷されたティターンズが来るようではそんな理屈は通用するワケは無い。ニャアンを探している内に路地裏の一つに気配があって向かったが、迷い猫のように隅で震えていた。金魚鉢の金魚が跳ねただけで後ろに跳ねる猫のような弱々しさだが無理は無いかとして手を引いて逃げ出したが、更に理解できない事態が起きた。
【ザク】
マチュが知る限りで初期型に近く博物館行きなハズの機体が来てスラムの街中に入り、巨体の肩が当たってしまったフリをしたり気ままに建物を壊し始めたのだ。
「ま、マチュ・・・・やっぱりティターンズが来たから・・・・」
「知らないよ。それよりシュウジ、は・・・・」
二人には恐ろしい予感が起きた。この辺りに強引な手段で難民狩りなんかやる必要があるだろうか、そのような原因になるものに心当たりがあるとした時に更なる破壊行動が広がる。
「あ、ああ・・・・私のアパートも・・・・」
ニャアンが泣きそうになっていた。自分が住めてそれなりに過ごしていた場だ。裕福とは程遠いがマチュとシュウジと一緒にいれる日々だけで充分だったのだ。
「ニャアン!シュウジに事態を伝えて!私、アイツら許さない!」
「え、でも『いいから行け!』・・・・わ、わかった」
走り出したニャアンがシュウジのいる場に向かえるか不安だったが、何とかいけそうとマチュは震えながら見ていた。
「そうよ、走れニャアン・・・・走れ、ニャアン。そ、そうよニャアン・・・・い、良いよ!」
それを見届けた一方で、マチュは目当てのものの場に走った。
【ロケットランチャー】
恐らく、騒動の中で誰かが落としたもののようだが、どうでも良かった。ザクのパイロットはコックピットから出て難民達に何かを呼び掛けているのもどうでも良かった。こんな感じになる流れと予想したのは、マチュが度々一年戦争時の伝記を読んで驕り高ぶったパイロットの心理を想像していたからだ。大事な時間が始まっていた場所を滅茶苦茶にされた怒りのままにランチャーを手に取り。何となくわかる構造だったので燃えるような闘志任せに狙いを着けて。
【躊躇なく発射した】
凄まじい衝撃が掛かるが、着弾迄の瞬間しか興味がなかった。胸部に命中して慌てて下に飛び下りて逃げたパイロットに群がるスラム街の者達にも興味は無い。ニャアンを追おうとしたが、新たなザクが四体も来た。これではスラムもシュウジのいるところも全て破壊されてしまうとした時、何処からか小さなビームが次々と飛んでザクを破壊して行った。
(キラキラとは、違う・・・・)
何かが走って、小さなビームを出す物体に伝わっている。マチュの目には巨大なニンニクか何かに見える物体が飛び交っていたがチャンスとしてシュウジの元に向かった。
――――――。
ニャアンは、シュウジのいる場に着いたが風邪でもひいたのかぐったりしているように見えた。とにかく言うべき事を述べた。
「シュウちゃん!ここは危険だよ、早く逃げよう!」
「何処へ・・・・」
確かに何処へ逃げようとも、だがニャアンは思わず私心を混ぜた切り出しをしてしまう。
「ふ、二人で。マチュ・・・・マチュは・・・・その。私達と違って家族が・・・・えっ!?」
音が聞こえた。【ラ、ラ、ア~】と聞こえる音がガンダムから放たれた。まるで息を吹き返すように、本来あるべき力が甦ったように何度も繰り返されてシュウジは光の中に向かって消えた。シュウジが壁を塗り続けて不思議な空間と化した下水道の一部がゴッソリと消えて崩れ始めた事でニャアンの悲鳴が響くが、違う方向から手を引かれた。
「ニャアン!シュウジは、シュウジには会えたの!?」
「マチュ・・・・私、私は・・・・」
「良いからシュウジを探しに行くよ!表も凄い事になっちゃってるか・・・・ら」
『ほう・・・・【知っている】ような気配がしたから来たが、若いな。ガンダムを見たのか?』
振り向いた先にいたのはピンクの髪を質量を感じるボブヘアーにまとめては黒いワンピースにマントのようなものを羽織った鋭く冷徹な空気を纏う美しい女性であった。まだ青き二人では到底及ばない。
「ふむ、気配でわかった。一足違いとやらか」
「し、知っているの。あのガンダム!シュウジとどう関係があるの!?」
「・・・・ほう、シュウジという者が近くにいたようだな、まあ良い。あのガンダムは何処かへ翔んだよ。追い掛けたいか?」
「何処かって・・・・その何処かは知・・・・らないようね」
「マ、マチュ・・・・駄目だよ、この人は・・・・」
「ふふ、背の高い方は可愛げがあるようだ。そうだな。銀河の彼方とやらかもしれん、だとしたらどう追い掛ける。地球で戦っていたガンダムでもないと無理かもしれんが、どうだ二人共、ガンダムとなる機会を掴む気はあるか?」
「な、何よそれ!ガンダムになるって、ガンダムのパーツにでもなれっ・・・・て・・・・っ」
「良くわからないが何かわかったとすべきか、私も最近知ったが、世間で誇張されるガンダムとは決して誇張ではないよ。それになって銀河に向かって飛べるのがガンダムと言ったところだ。来るか?」
要領の得ないが、女帝そのものな言い分だが、マチュとニャアンはシュウジの居場所を知るのが第一でありチャンスとして誘いに乗った。
(銀河に向かって・・・・翔ぶ!)
(自由になるんだ・・・・ガンダムで!まだよくわからないけど、この人の言うような事でそうなれるなら)
(私はまるで道化だな・・・・だが、これで良い。お前達は銀河に向かって翔べよ、ガンダムという概念になってな)
利害は一致した。この日、ハマーンは取るべき道を行く為の剣を二つも手に入れた。
今回も最新話と噛み合わせ良すぎた故にだが、悪ノリなハマーンに二人が乗っちゃったな回。