機動戦士Zガンダム 静寂なる宇宙へ   作:くまたいよう

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 原作ジークアクスのキャラの使い方は思い切りが凄いなと絶句してます。


夜空の向こう

「もしも・・・・」

 

 アフリカの夜空を飛ぶ輸送機から距離を取って追従する形でゼータに乗るシオンは、あの改札前でブライトに会えたりするかもと思って来た場で物思いに耽りながら立ち止まらなければと考えていた。

 

 冷静に考えたら微妙な場だからそれっぽい場に向かって歩いてれば、少なくともジェリドと言う名のお調子者と関わらずにいれたかもしれない、その後に判明した事で可能性は低いにしても最近、からかわれたりお姉さんぶられたりしながら好きな事を言われてるのが不思議と気にならない女。フォウ・ムラサメの事でモヤモヤしている。

 

(君の顔も知らず・・・・幸せに生きていけたのかな)

 

 墜落事故のどさくさ紛れに裏門を超えて外へ駆け出してから、ブライトを助ける為でもガンダムに乗って少しした後に宇宙に出てコックピットから仰ぎ見た星の静かな輝きとやらも無意味な靴の泥が増えただけになる結果だったのかと思えない現実を噛み締めた。

 

 

 

 一方、輸送機内のフォウは夢を見ていた。

 

 

 

 何の扉か知らない、改メ口のような場所を潜って抜け出して。好きにしていた場でロマンス染みた事をした時に遠くで見た爆発からの火の粉が粒子のようになって肌を突き刺しているように感じた。路地裏みたいな場でも見える流れ星も逃げ惑う鼠と変わらない人々も関係無く走った途中。

 

 もしもあの人混みで彼の手を離さなければ。

 

【記憶が欲しい】

 

 もしも、不意に出たあの声をキツく飲み込んでにいれば。

 

 その前に、例えるなら駅の改札前近くにあるタクシー乗り場みたいに都合良くある車を見つけてから立ち止まらずに自分で歩いてでも良いから、実は検討違いだった場にいけば。

 

【君は、僕達の中のどこにもいなくて僕もここにいなかった】

 

「・・・・っ、嫌だああっ!」

 

 飛び起きた近くにいたのはフォウを心配そうに見下ろすペッシェだった。簡要な場に儲けられた寝床で寝てしまっていたようだとしたが、ペッシェの方が表情は暗い。生い立ちの違いが大きいにしても。

 

 片や新型を持って来た亡命者。

 

 片や無様に敗北して収容された捕虜。

 

 クワトロに自分がフラナガン機関と関わっていたと明かして思うところがあったようだがフォウと同列に扱われている理由はわからない。だがクワトロからしたら成り行きでMSに乗ってから即座に実戦に投入して成果を出し続けてくるて新型のガンダムタイプ迄を回すようなNTの少年がいるからには自分達等は取るに足りない、寧ろ入れ込み過ぎないようにするか戦ってもらう材料かなのだろうとペッシェは想定している。

 

【シャアを外野視点で知っている者の考えだ】

 

 少しずつやり取りをしてフォウが記憶に対して拘りが無くなってる理由は聞き出せないが、自分が言えた義理ではない。

 

【ビショップ計画】

 

 それをクワトロがどう考えているにしてもとしてペッシェはフォウに密かに気になってた事について質問をした。

 

「貴女に聞きたい事がある。貴女はシミュレーションとかで良いからアムロ・レイやシャア・アズナブルと戦った事ある?」

 

「いや、私はそんなのやった事ないよ。けど言われてみたらおかしいよね。私達って、そのレベルの敵と戦わされるような立場なハズ。噂じゃ1年戦争途中のデータ参考にしたシミュレーションやってた部隊あったらしいけど、そんな程度で良いのかな?」

 

 シオンに完敗したペッシェからしたら、耳に痛い言葉だ。真相はわからないが、現場に立たせられようとしている側からしたら相手を過小評価して突っ込んだ末の無駄死にに繋がる事は意識せざるを得ない。現にシオンに言わせればクワトロが宇宙で百式に乗った際の訓練で一時的に本来のシャアとしての姿を取り戻した際の動きを目の当たりにしたのが何とか戦えているとしている一因である。

 

 二人はどうにも腑に落ちない。自分達は何の為にこんな風になっているのかと。余程の相手と戦う為にして、有名な相手を想定していないのは何故かと考え始めたのだが、二人の疑念を一時的にかき消す警報とスミレからのアナウンスが響いた。

 

『未確認機体接近、近くでシオン君が迎撃するけど。万一の時は此方だけ離脱するわよ!』

 

 

 

 

 ――――――。

 

 

 

 シオンも近付いてくる気配が妄執染みたものだと感じていたが、確認された機体は見覚えがある機体が複数でザクに近い色にしたものだった。

 

「ドダイに乗って来たマラサイだと、ティターンズか?」

 

 呼び掛けに対して変声器は一応使いながら応えようとしたが、相手の怒りの気配が強くなっているのを感じた。

 

「噂の新型ガンダム・・・・貴様か、シャア大佐を誑かしたのは!」

 

 下衆な言い方に感じるのは何故かとしたが、もしかして自分が女とでも伝わっているのかとして最近は情報が妙に漏れがちなので冷静に対処をしようとした時にビームが次々飛んで来て前衛三機体の突撃を回避した。後衛にライフルを向けたが、何かがおかしいとして索敵をしながら回避に専念した。幸いゼータの性能があるからこそだが、後方にあるものが確認出来て頭に血が上った。

 

【してやられた】

 

 後方には廃墟に近い砂漠の街がある。もしも後衛にビームを撃ってしまったら流れ弾になりかねない。しかし、自分が躊躇していると見抜かれたり角度を考えていたりと見抜かれては危険だ。逃げるのか敢えて速攻で片付けるかとした時。

 

『な、何だっ!』

 

 側面から凄まじい威力の砲撃がマラサイに飛ん来た。MSが持てる長距離砲撃に適したキャノンのようで、シオンは敵側が動揺したのでライフルを撃ち始めた。側面からを気にしている上に宇宙やオーストリアで遭遇したマラサイに及ばない上にゼータの性能が高いので七面鳥撃ちに近い形で七機をシオン、二機を側面からの砲撃で撃破されて残った二機が全力で離脱をした。

 

『そこの新型、私達はクワトロ大尉【派】に事情を聞いた部隊だ。信じてくれるなら街中で対談といかないか?』

 

 引っ掛かる言い方だが、気さくな女の声に害意は無いと感じたのでシオンはスミレに連絡して街に向かった。そこで見たのはガンダムタイプの陸戦型MSが五機に支援トレーナーらしき機体だった。お互い降りて話すことにしたが、シオンが対面したのは女性達ばかりであった。

 

 ポニーテールの活発そうな女性【リウ・メイリン】。

 

 バンダナを巻いて髪を逆立てている男勝りそうな【グエン・サム・ナムジン】。

 

 帽子を逆に被り、少しおっとりした眼鏡の女性【ジュンコ・モリワキ】。

 

 褐色の肌をした短髪の寡黙そうな女性【サアラ・アルナ・アチャウ】。

 

 比較的お姉さん染みたウェーブの掛かった金髪をした【イリナ・プラワロウ】。

 

「【ナオミ】!あんたも来なさい」

 

 紹介が終わったと思ったが、まだいるのかと思って五機目の陸戦型、一年戦争時代に存在した先行量産型を改良し続けた機体の一つから降りて来たのは名前と裏腹に如何にもな多少右上に跳ねた髪で若い外見な男の軍人であった。

 

「き、君が・・・・あの新型の」

 

「あ、貴方は・・・・」

 

「ナオミ・クドウだ。君が噂の【シオン・アネガザキ】君・・・・」

 

 自然と力強く二人は握手を交わした。二人には女みたいな名前の共通点があるのだと全員が察した。

 

 隊長であるリウが言うには、自分達は一年戦争で女性のみで構成された小隊として戦っていたが、ナオミが名前だけで新人として来るのを了承してしまった落ち度からの笑い話で益々シオンとナオミはわかりあった。先程の戦いは違う場で建造物を盾にされる戦いを経験したから対処が早かったのだと説明に納得した時にシオンが空を見上げたので怪訝に見られた時だった。

 

「・・・・来る」

 

 流星か何かが此方に落ちてくるような図に他が慌てているが、シオンは何事も無く落ちてくる物体を見据えていた。何やらフライングアーマーらしきものが一瞬でシオンの乗っていたものと酷似した姿となってゆっくり降りてきた。

 

「な、何よ!ゼータガンダムって。もう一機造られてたの・・・・やっぱ・・・・ぬむっ!」

 

 リウが何やら口を塞がれていたがシオンは気にせずに着陸した機体が片膝を付いてコックピットを開き左手を差し出すのを見続けた。乗れと言っていると理解したのでシオンは乗ってみたらコックピット近くに上げられ、中にいる少女が気絶していたので引っ張り出した。その異様な光景にナオミ達は唖然とするしかなかった。

 

 廃墟同然な街であるが、空き家はあったのでベッドに寝せて女性達が介抱していた。小柄な学生服姿の赤い髪の女性は程無く目覚めたのでシオンとナオミも部屋に通されたが、やはり意識がハッキリはしていない。名前を問われて漸く【マチュ】と名乗ってくれた少女がシオンの方を直視してゆっくり起き上がった。

 

「どうしたの?」

 

「静かだけど、キラキラ・・・・貴方の目、キラキラだ。いや、キラキラが・・・・中にある!」

 

 雰囲気が軟化したシオンの目に引き寄せられるように近付くマチュはいつの間にか満面の笑顔で【キラキラ】と連呼する。端から見れば異様なやり取り、だがシオンだけは状況を理解している事をナオミ達は理解する術は無かった。




 改札前云々の歌詞って、ゲームでフォウ救出に成功したカミーユにも当て嵌まるかなって気分な前半。

 リウ達はかなり前の高山版漫画で知られる先生のかなり昔の短編からゲストとしてお出で頂いた。
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