『アネさん、ペッシェさんは・・・・』
「ブースター付きの撃墜が確認出来ないようだから任せる事にしました」
【嘘だ】
ペッシェは独断専行でブライトならば帰って来たら修正とする事をしていたが、そもそもオーガスタにいたと聞いているからスミレも何となく察している。アネッサからしたら決定打となる待ったを掛けられてるからだ。
【任務を全うなさい】
良く知っているけど違う人の声が聞こえてもいるのだ。どの道、自分が撃破した機体のパイロットが脱出してて連絡されたりしたら面倒なので周囲の警戒に当たった。
当のペッシェはブースターをパージした後に墜落したギャプランを見付けたがコックピットハッチが開いたままなので周囲を警戒しつつ接近した。
【来るぞ】
「え、わかっ・・・・っ!ロザ・・・・ミィ」
コックピットのハッチが開いてしまった。どうやら隠れていたようで外からワイヤーガンか何かを使って取り付かれてコックピットのハッチを開けられてしまったが、知っている顔が銃を自分に向けていた。咄嗟に名を口にしてなければ射殺されていただろう。
「ロザミィ?・・・・何だそれは、私はロザミア・バダムだ」
「私、ペッシェよ」
「何で・・・・お前がペッシェなのだ」
記憶が操作されて、その弊害で自分が知るより危うい状態とわかったのでペッシェは最後のチャンスと理解したので続けて語りかけた。
「ロザミィ、私は貴女のお姉ちゃんなの。迎えに来たのよ、お姉ちゃんと一緒に来て!」
「お姉ちゃん・・・・私にはそんなのいない、お前が私のお姉ちゃんなら、何で私の邪魔をした。何より、何で来てくれなかった!?」
言い分を理解した。ペッシェはロザミィは生い立ちは聞いているので来てくれなかったかとはオーガスタで再調整を受けた際に苦しかったから、コロニー落としの時に母が助けに来てくれなかった事を連想して無意識に口にしているのだろう。
以前に狂乱したロザミィを自分が姉として守るとか言って、悪く言えば言いくるめていたのに肝心な時に助けに来てくれなかった自分は恐らくロザミィの憎悪対象としたペッシェに【諦めないで】と声が聞こえた。
「わ、私は貴女を助ける可能性があったから、それに賭けていて、間に合わなかったの!」
「助けるだと、出鱈目を言って命乞いは無駄だよ!私にはわかる!お前は人を助けられる女じゃない!自分を信じられてすらいない、宇宙を落とさせない為に戦う私にはわかる。そんなお前が、私のお姉ちゃんのワケは無い!」
否定と拒絶の言葉が突き刺さり、ペッシェは両目から涙を流していた。だけど諦めてはいけないとして全力で叫んだ。
「え、えぇ・・・・そうよ!私はそう言われるくらいに駄目なお姉ちゃんよ!自信は無いし、弱いし・・・・けどね。それでも私は貴女を助けたい。それだけは絶対に諦めたくないのよ、だって私は・・・・貴女のお姉ちゃんなのよ!」
「・・・・っ」
【殺される】
狭いコックピット内でそう感じるくらいに近付かれたが、予想外な言葉が掛けられた。
「泣かないで・・・・大丈夫よ。私は【妹】なんだから・・・・いくら駄目なお姉ちゃんでも貴女の味方するよ、だから帰ろう・・・・【ごめん】・・・・っく、あ?」
【麻酔銃】
パイロットスーツを貫通させるレベルに調整されたものを撃ち込んで気絶させたロザミィを泣きながら抱き締めた。少なくとも帰るワケにはいかない判断でペッシェは戦士としては正しいが姉として最低の事をしたと泣き叫んで帰路に着いた。
ーーーーーーー。
「泣かないでよ、ペッシェさんは立派だよ。自分が卑怯ってわかってるの含めてね、私やアネさんだったらこうやれなかった!」
ペッシェは妹を咄嗟の騙し討ちで気絶させてしまって自己嫌悪の極みだった。マチュやアネッサで無理なのは性格の問題だしMS戦で勝てたのはゼータの性能と他のアドバイスを含めてロザミィの事を知っていたからだ。事情を正直に話したペッシェにはケジメとしてスミレの平手打ちが修正として飛んだ。便宜を図ったアネッサは警戒に当たっているが帰還したらやると決めたのは口を挟めないが、ロザミィを医務室に運んで貰えて助かる可能性がゼロではない事に安堵して再度泣き崩れた。
ペッシェを休憩に入らせてスミレはマチュとフォウに即席会議室に来てもらっていた。アネッサがいない時だからこそ話しておかなければならない事もある。
「とにかく、改めて言うけど。此処に集まった人間は色々見て来てるのよ・・・・エゥーゴの上層部にはティターンズとかの非道の証拠になるからロザミィって娘以前にフォウさんにペッシェさん関連で甘い事を通してもらえるけどね、それは決して人道を重んじているワケではない」
「わかってます。アネッサが戦意を薄れさせては困る・・・・これがクワトロ大尉の本音ですね」
「場合によってはニタ研送りにされてたからな身の上で乱れかねないからね。一般兵士だって強化人間の実態知ったら気分が悪いだろうし」
スミレはマチュとフォウに現状を説明していた。マチュにはまだクワトロ=シャアとは明かしていないがマチュからは鋭い返しが開始された。
「ねえ、そのクワトロ大尉ってアネさんを相当に気に入ってるのわかるけど【何させる気】なのよ」
「え、それは例えばティターンズにアムロ・レイみたいなニュータイプが出て来たら困るから最終決戦って場面迄に・・・・迄に」
「最終決戦迄にねえ・・・・私に言わせれば、アネさんはアングラに載ってたようなニュータイプそのものな感じあるから後は地道にやる方が良いんじゃないの。聞いた限りじゃ、どちらかと言えばアネさんにアムロ・レイみたいなのじゃない何かに当たらせたい感じがするけど」
「え・・・・」
不味かったと思った。アネッサ達に接触したマチュはスミレには踏み入れない域で大半を見透していた。スミレからしてもマチュの考えは当たりと思っていたのだ。
言われてみればアネッサに本心で何を期待しているのか?
自分の言ったり聞いたりな事は当たりだが、次はどうするかが肝だ。
しかし、シャアはアムロと戦いたいなら自分でやる。アムロでないなら誰にアネッサをぶつけたいのかとしたら候補に上がるのはスミレが知るハマーン・カーン、だがシャアがハマーンを殺すのを人任せにするかとした場合は微妙なライン、ならばハマーン以上に危険な存在。
【ハマーン以上にシャアが危険視する存在】
まさかとする推論が組み上がって来たが、それを実現したら自分やアネッサ達は・・・・とした時に良いタイミングでアネッサからの通信が来た。
『スミレさん、自分が聞いてない人達が近付いて来ます!』
【ガーベイ・エンタープライズ企業】
コードはそれのものだ。太陽光発電を基幹産業とする巨大会長を勤める企業の使者が近付いてきたのだ。会長を勤めるの冷たいが力強い眼光と口髭が特徴の精悍な男でドバイの末裔な40後半な男と資料にある。
「スミレさん、彼処はいけません!」
集まったスタッフは反対意見を出していた。表はこの辺りで有数な企業だが、裏では反地球連邦政府の志を掲げてジオンのアフリカでの活動を援助しているのでエゥーゴに接触も有り得るが、旧時代からの白人と白人社会も憎悪する思想もあり、自分達の信ずる神を殺した現連邦政府に復讐心を抱く男とされている。
つまり、白人社会の象徴たる連邦政府の打倒が目的であるので将来的には劇薬である。シャアに任されたから敢えて接触等も選択肢としても都合悪い見返りでも求めて来たら厄介だ。
「この宇宙世紀な世の中に前時代的な・・・・選り好みできる立場じゃないしね・・・・この辺りの情報撹乱を申し出てくれてて、見返りは・・・・あの新型の【残骸】か、残骸って事は・・・・アネさんにペッシェ、対戦した機体。ゼータみたいな感じはした?」
「いえ、アレは単に強いだけな機体です」
「わ、私の方もエンゲージ・ゼロやゼータみたいな感じはしませんでした」
「わかった。受けるわ!既存のなら大した違いは無い、要はゼータみたいなガンダムタイプやサイコマシーンが欲しいからチャンスとして飛び付いて来たのよ、後はスルー!」
釈然としない部分があるが、スミレが【知っている事】から最低限で済ませた。ハッキリ言って助けて下さいシャア大佐と言いたかった気分だが、そのシャアがいたら最悪だったかもしれないとして指揮官代理の立場でアネッサも黙らせた。因みに帰還したアネッサにもしっかり平手打ちをしたのは言うまでも無い。スミレにはシャアには余計な事に意識を向けないままやってもらわねばならない事があるのだ。把握している唯一の懸念はどうなるか未定であるが。
その懸念対象は目的地に到着していた。
「ここが、ニューヤーク。嘗て、あのザビ家の末っ子が頑張ってた都市だね」
「はあ、どこぞの仮面男に何をやったのやらな場でありますな」
アムロはカツラを被ったりしながらニューヤーク近辺に到着していた。ボッシュに言うようにシャアがガルマに牙を剥いた流れが始まった場らしい都市であるが複雑だった。あの時の自分はガンダム撃破を優先されたら負けていただろうとしている。シャアがザビ家を内部から倒した事を複数の視点で真実と知っているが、命拾いに繋がったからだ。
「知っていますか、宇宙開発が進む前の世界にこの場で世界を震えさせる程なテロがありました。ガルマ・ザビに恭順したりした派閥が排除されたのは、それの名残か否か」
「そんな場だからこそ【ナンセンスな噂】があるってのかい?」
【生存したアナベル・ガトーが潜伏している】
「デラーズ紛争後に偽物が現れたらしいですが少なくとも揺さぶりにはなりますな。今の情勢では新手な偽物が出てきて暴れられてはエゥーゴには面倒です。あの一件でティターンズが設立されたようなものですから。まあ、噂の小が付くガトーだけで既にですが」
本音がどうとか聞かずにアムロはニューヨークにゆっくりと入った。それが他からしたら逃げかもしれないが隣にいる男は短期間の逃避行で自分を理解してくれたのが光明だったが、アムロは思う。
(皆、何で戦っているんだ・・・・)
それに関しては近年で一番縁がある存在が理由の一つに近付いていた。
「エゥーゴとティターンズは同じ目的で戦っていると言うのですか?」
クリスは脱け殻手前なコーウェンから漸くそれを聞けた。要は地球から人がいなくなる為だが手段が違うのだとする内容。
正確にはジャミトフで、エゥーゴのブレックスはジオン・ダイクンの思想に共感しているとするとジャミトフはギレン・ザビだ。エゥーゴは連邦軍同士の戦いに変質させてしまう気のようだが、ダイクン家とザビ家の戦いになっても来ている。
「私には皮肉だが、奴はミスを犯したよ【人選を誤った】・・・・愚かな事だよ、宇宙移民全てがジオン残党と見なすような事をしたがるバスクを最高指揮官に置くとはな」
「そうですね、では二つ聞きたい事が。ガンダム試作2号機は本当に一機だけですか?」
クリスの今はエゥーゴ寄り、そのエゥーゴが月で建造されたコンペ負けの機体を心理戦での不意討ちに使った事を考えれば天に唾するとやらだが、敢えて聞く女性をコーウェンはジッと見据えた。
「私の知る限り一機だけだ。しかし、ノウハウがあれば造れるし、忘れてはいけないのは元々初期型のザクも戦術級な核を発射出来るバズーカくらいは装備できていた。一年戦争で開戦からルウム迄にどれだけ撃ったと思っている」
アナログな再生機でテレビに映したのはザクが連邦の戦艦や航宇機の攻撃を掻い潜って言ったような武装を戦艦やコロニーの重要機関に撃ち込んでいる光景、当時の映像なようでアレックスやアフリカで確認されたらしい新型とは比べようがないが核はいけないと考えた時。コーウェンからの無言の教えがあった。旧世のビデオテープかそんなレベルな再生機で映したかな真意がわかった。これで次は決まったとして一言掛ける。
「では、失礼しました」
騙し討ちに関しては力量不足を自覚した故な手だが、マチュが言うように立派かもな非常手段。