「ねえアネさん、この状況って何だろね。私達は・・・・その【本命持ち】ってヤツなのに」
「知らない、けどさ。この建物にいる人達はイメージ程にマイナス思考じゃない、自分達みたいなのは口出し出来ないな」
マチュが言いたい事もわかる。ガーベイ・エンタープライズの支援を受けるだけで充分なのに接待を申し込まれた。男子数名もそうだが、休暇と【探り】を兼ねてアネッサとマチュも同行したが、この場は所謂。
【娼館】
イスラムの風致があるカーベイ会長は複数の妻を娶って子供を何人も産ませていると聞いたが、その関連だろう。色白だが東洋系なアネッサとマチュは白人には分類されないギリギリな線だから人選は間違いではないしもてなし自体は有難い。毒が入ってる風に感じないしアルコール類無しなので未成年パイロットと候補には栄養補給としては有りがたかった。
「コロニーのとは素材からして違うわね。羊主体なレパートリーは大抵の宗教でも大丈夫だから歴史を感じる味」
二人は料理で、他は精々がキャバクラみたいなノリで飲んでる休暇としたが気になる事があるので子供な使用人達に質問した。
「ねえ、ご馳走になっといて何だけど。貴女達はちゃんと食べてる?」
「私達は年季が入ってますよ、少なくともカーベイ会長は私達には成長期に合わせた食事を提供してくれてます」
「寧ろ、お二人の方がちゃんと食べてるのかどうか」
「悪かったわね。私はどうせコロニーっ子よ」
ジト目で見るマチュは自分の身長と平均的な身長でも細身なアネッサの事を指摘しているとしたが敢えてズレた返しをした。話を続ける打ちにお姉さまに世話してもらえてると誇らしげに言って来たが、その内にとんでもない提案をされたので夜になって庭で休憩しているお姉さまに二人は会いに行ったが、目にしたのはマチュよりギリギリ高いが年齢的にはな相手であった。明るいオレンジ色な髪をボブにした青い瞳をした美少女が庭のブランコに座っている図にマチュは自分やアネッサ以上に場違い極まるとした。
「君達がお客様か・・・・」
「え、ちょ・・・・犯罪だろ!」
「犯罪か、私は見ての通りな外見だが何故か本来より幸せだと毎日夢に見るのさ、君にはわかるだろ【カミーユ】」
「この世界のお・・・・自分はアネッサだよ。けど本当にそうだってわかってしまうのが残酷だよな、知ってる事を教えてくれよ【マリーダ】」
今にも周りに当たり散らしそうな程の怒気と自分まで泣かされそうになる悲哀を浮かべるアネッサに言われるままに【トゥエルブ】と名乗る少女は語れる範囲で身の上を語った。こうなったのは事故や不確定要素の連続だが、肝心な事は自分の生い立ち。元ジオン関係者な点だった。
「く、クローンを作ってて、貴女はそれの【12番目】だっての?」
「とにかく、逃げちゃえば良いだろ。機を見て館の連中が逃げ出す算段立ててるから、それに便乗して俺達のとこに来なよ」
「駄目だ。私は待つんだ・・・・【お父さん】を待ってなきゃな。君達は【薔薇】を探してくれ」
お父さんを待つのも気になるが薔薇とはアネッサが以前に不意にシュウジの探し物として口にした単語だった。マチュも以前に寝言でシュウジが口にしたと気を逸らした次の瞬間。
「え、キラキラ・・・・だけど、キラキラだけじゃない。虹?」
二人が見たのは虹に繋がる場であって始まりだったのかもしれない。
「な、何よコレ・・・・」
「赤い、機体・・・・アレはっ」
アネッサには見た光景に既視感がある。アレはクワトロがシャアに戻った時の動きで百式を操っていた時のような強さの赤い機体と白い正統派な顔なガンダムだ。シミュレーションを観戦しているし実際に対戦したマチュからしてもアネッサ以上の動きをする白と赤のMSの死闘が何通りもある。
ゼータに破壊された赤いMSは、パイロットが脱出して発展型に乗って再度挑んで来る場合がある。
白いMSも発展型があって、先程のと戦う場合もある。
ゼータ以外にも見知らぬガンダムタイプやマチュが知るキュベレイが敵にも味方にもなって赤い機体とガンダム達の激戦に参加している。
黄土色のダルマのようなMSが乱戦に混ざるか、更に肥大化したような機体でガンダムや赤い機体にキュベレイを始末しようとしているパターンもある。
ガンダムではない機体が混じり、巨大化した赤い機体に立ち向かう時もある。
キラキラか虹、又は両方による奇跡を起こす前に最悪の事態を招いた世界すらもある。
どれも報われない戦いだった。戦争なんて金ばっかり掛かるだけと揶揄したマチュにすら下らなくてキラキラが無意味にされてばかりだとわかる。
「私なりに見た。白いMSと赤いMSの戦いを止められないどころか、赤い方が望んでいるし世界に望まれた流れで。数えきれない世界と時間の軸で戦いばかりが起きたんだ。お前の能力と可能性期待しているようで自分の為に利用して、中にはお前を殺して自分を納得させたがる結論まであった」
「え、そんな事」
「あるんだ。アネッサの立ち位置にいた男に何もしてやれなかった・・・・寧ろ、自分の間違いを押し付けていて取り返しが付かないタイミングで気付いたからこうなった。果ては地球に人が住めなくなり始めた時代、奇跡を起こしたのは阻止された側と伝わる悲しい世界になった。生き延びた男は恐ろしい誤解の産物で産まれた装置の一角にされていたとまでな・・・・だが?」
「え、私・・・・」
「お前だけじゃない、アネッサには生きていてくれた人がいる。だから支えてやれ、見返りは程々にしながらな」
トゥエルブはマチュに後を託した。理由は話さないが、自分の出る幕は無いとしていたとは理解したので退散した。
「ねえ、伝えなくて良かったの?」
「悔しいけどさ、逃げたら上手くいく保証は無いんだよ。トゥエルブに姉妹と殺し合いさせたくないし」
マチュには見えない域を見ているアネッサの言う通りだろうとは理解した。そもそもマチュとてゼータに乗る事になる事件の前は地球に行く手段を上手く考えられなかった。下手に騒ぎを起こして便乗するだけな流れではいけない。
数日後、館からは火災が起きたが死傷者は無かった。逃げ延びた者達は引き取られた戦災孤児として難民キャンプの設立に当たっていると美談にされたがアネッサとマチュには茶番なのは明らかだった。
ーーーーーー。
「月が凄いな・・・・」
「キレイ、キレイ!」
娼館の事件から二日後、アフリカの夜は寒暖差が激しいが月が綺麗で見とれてしまうとしながらマチュは場違いなデザインのパイロットスーツとニット帽姿でハロにナビゲーターをしてもらいながらゼータでアフリカの空を飛んでいた。ロザミィに付きっきりなペッシェや不安要素が多いフォウに代わって哨戒任務を勤めていたのだ。アネッサのは操縦系からして違うのでやはり専用機扱いだった。スミレ達はマチュを戦闘パイロットに誘いたいが躊躇っているのは見て取れるがマチュはシュウジを探すためならとした時。
【月の光が照らす【繭】を見た】
何故か繭にしては大きいが違和感がある。それにマチュかアネッサくらいしか気付かないと知る術はなく降下して近付いたら繭が消えたが繭のあった場には違うものがあった。
【薔薇】
砂漠には自然現象で化合物が薔薇のように固まるとは聞いた事があるが、これはとして薔薇をゼータで回収して持ち帰り、スミレに解析を頼んだ。
「砂漠の薔薇と呼ばれる現象の産物にしては大きすぎるみたいねえ」
中心になってるのが出て来たが、戦闘機ではなく【コアファイター】の類いではないかと声があがったが、ファーストガンダムのとは全然違う。丸みを帯びて後部から伸びる尾翼が特徴だった。
「金魚みたいね。知り合いが驚いてたからピンと来たわ、アネさん。中に何かある?」
「機能が落ちてるし、座席にはこんなのがあったが?」
「あ、金魚!ブリキ製おもちゃね。何でコックピット内にそんなのあるんだろ?」
「メリーさんとか歌ってる声が聴こえる」
「へ、それって昔からある歌よね【うん、聴こえるよ】・・・・マチュにも?」
「うん、羊よね。ガーベイの館で食べたとかのじゃなくてメリーさんの・・・・メリー、じゃなくてメーリ?」
「メーリさ、んの・・・・ひ・つ・じ?やっぱり歌だよ」
「学校で私も歌ったっけね、金魚がメリーさんはお国柄の何かね。メーリさんの♪」
「ひ・つ・じ♪だ。メーリさんの・・・・」
真顔のアネッサと笑顔のマチュが子供のようにメリーさんの羊を歌う異様な光景に周りは立ち入れなかった。フォウですら踏み入れないこれが境界線と理解したが、これが分かれ目だった。踏み入っている側と近付けるかもしれない側、そして現時点では到底無理な側の。
私作版の薔薇は海底のアレではなく砂漠の自然現象で薔薇の中心になったコアファイター。
途中で出たのは原作より幸せです。ララァポジションで薔薇絡みに出てもらった。