機動戦士Zガンダム 静寂なる宇宙へ   作:くまたいよう

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 突然場は移る。


ダカールの内外

 宇宙において、ティターンズはグリプスから逃げ出して暫く経ったが、漸く暗礁宙域に仮拠点を構えて落ち着けていた。

 

「誤解は解けたようだな」

 

 鷲鼻で初老の男はジャミトフ・ハイマン。ティターンズを創立した男にゴーグルをした巨漢バスク・オムは見据えられていた。ルナ2を乗っ取って改造中のグリプスにぶつけるとは大胆極まる作戦、しかもルナ2内の艦隊を脱出させる代償にコード変更でエゥーゴやジオンと誤解させるのはジャミトフからしても短気なバスク相手には有効だ。デラーズ紛争時のように腹癒せをしなかっただけ上等だが、ライラ・ミラ・ライラのような腕利きがいる連邦宇宙軍との折り合いが懸念だった。

 

「しかし、整え始めていた拠点が無くなって宇宙の迷子とやらだな。地球ではエゥーゴが何を企んでるかで厄介だが、今後について何か案はあるのか?」

 

「はっ、ここはゼダンの門にでも移動すべきですが。エゥーゴに強襲される恐れを考えつつコンペイトウに遠回しに行くべきかと」

 

 噂の小アナベル・ガトーが来ると密かに緊張がある場なら話も通じるとしているが、此処は疑って掛かるべきとするジャミトフの意図はバスクに知る術は無い。グリプスの部隊からしたらルナ2を占拠した部隊もエゥーゴの旗艦とされている船がジオン残党に奪取されて運用されているような編成だったのだ。

 

 

 

 

【尤も、それもハマーンの策謀の内である】

 

 

 

 

 そして、月でもハマーンに乗せられている側が存在した。

 

「な、何故です!ここがチャンスではないですか」

 

 ウォン・リーが左遷され、次の責任者となったマーサはティターンズについては一挙に攻める事を却下した。メッチャー・ムチャのように出資者達や息の掛かる内のメンバーのタカ派とすべき派は物申したが。

 

 グリプス近辺に宇宙機雷や小要塞みたいなものが設置されていて、それにやられたら目も当てられない。

 

 何処かに拠点を移すなら特定したり行軍の疲労が出るところを討つ方が良いとされて黙らされた。

 

「第一、そんなに直接の殲滅戦をやりたいならジャブローを占拠して上層部に解散を迫るなんて発想をしていた辺りで支離滅裂ですわね」

 

 メッチャーはグゥの音が出ない。判明した情報によるとガルダ級を何度も飛ばす引っ越しを見抜けない愚かさを晒したジャブロー攻め賛成派は、マーサ派やジャブロー攻め反対派=実働部隊には白い目で見られ続けていたが、それならまだマシだ。

 

 戦商なアナハイムが敢えて戦争の長期化を狙ってわざと空き家を攻めさせた。

 

 デラーズ紛争時のような内通者の方がまだマシな利敵行為。

 

 他にもキリが無い事を連邦上層部視点では言われかねないが、引っ越し中で空き家手前な場を攻めた愚行を引き合いにされては反論は難しいのでたまったものではないともされた。

 

 タイガーバアムに向かったウォン・リーの口惜しさもこの点にある。自分なりに全力で組織立ち上げに尽力した功績は知れば誰もが認めるだろうが、それが災いしたのかで実働部隊の在り方や行動に口を出し続けた結果が運営者や作戦参謀のつもりからな落ち度だけではなくスパイの方がまだマシな利敵行為。任せた側からしたらお情けの左遷だったのだ。

 

【アッチはコーヒーくらいしか口に付ける気がないと愚痴ってるようだが、自分が滅ぼすまいとした地球に与えた迷惑を棚に上げているぜ】

 

 彼を煙たがる一般兵の談だが、確かに地球に出させた被害を考えれば地球にいる同志や身内ですら同情は出来ない。男を嫌悪するマーサの流した誹謗中傷とする事も出来ない域だ。

 

「それより、貴方には頼みたい事があります」

 

 メッチャーは聞いた内容に顔色変える。要は汚名返上がしたいのだ。例えば、このままの流れで戦争が終わればジャブローに賛同した側は宇宙世紀の歴史に悪い意味で名を刻むだろう。月都市やコロニーの市長のような立場なくクワトロやブライトのようではないメッチャー達には最悪のケースとなる。マーサの案はそれからの起死回生となる内容として嬉々として飛び付いた。

 

 メッチャーが退室した後、ある発想が無いのにはマーサは呆れた。自分の私情が関係無い事でエゥーゴという組織は。

 

【ティターンズを早期に潰しては困るのだ】

 

 

 

 

 そして、それに気付くか否かな者達を皮肉るような流れが起きた。

 

 

 

 

 

 地球で戦力を整えたアウドムラはある作戦を開始する為に一旦はクワトロ、次にスミレ達と合流した。改修した白いアーマーを纏ったようになった方とマチュが持ち込んだ方の二機のゼータは出迎えた側の目を引いた。出自不明な方は先ずはクワトロが事情を聞く事となったが?

 

「よ、よう。災難だったな」

 

 アネッサ達をアポリーにロベルトにエマが出迎えたが、災難と言うのはアネッサの格好だろう。出身地を隠したりしながらな生活でやや長く伸ばした髪を目立たないように纏めていた。これならほどいたりなんだりで簡単な変装になる。実を言うと両親が元々赤ん坊の頃から綺麗な顔立ちだったアネッサを自分達なりに気に入ってたからな趣味も兼ねている。補充要員達が率直に声をあげた。

 

「悔しいくらい綺麗」

 

「美人よ美人で美少女!妹分に欲しい!新入りちゃんも小柄なのに凄いの持ってる」

 

「もう、そばかすがチャーミングな私も嫉妬しちゃうわ」

 

 長髪美人でキャリア・ウーマンな雰囲気のシャノン・ギネス。

 

 金髪セミロングで姉御肌なルネ・ビュラン。

 

 二人よりは短めな黒髪でそばかすのある柔和な顔立ちなティアナ・アーベライン。

 

 事情は聞いてるにしてもアネッサには同情と好奇心混じりな目を率直に向けてしまった。

 

「シャノンさん、何か言いたそうですね」

 

「実は私の元の前の名前は【カミーラ】って言うの」

 

 一文字違いだが、カミーユだったアネッサにとっては皮肉だ。そもそもカミーユは日本で生まれたのが、その日本には【アキラ】【ヒカル】【マコト】【カオル】等々と、実は男女両方に使う名が多い。要は顔さえ中性的から女顔でなければ女みたいと気にする迄も無いのだ。シャノンの隠し事は無駄とした正直さがかえって痛い。

 

「肉付きが悪くて精々中性的だとしても精々がアレやコレなんだから気を使われなくても」

 

「アネさんアネさん、何気無くしてるけど心が泣いてるよ。それより、お姉ちゃんをさっさと責任者に会いに行かせなさい!待ちくたびれてんだから」

 

 マチュに引っ張られながらクワトロとハヤトのいる指令室に向かった。完全にペースを握られているのを周りは暖かい目で見るしかなかった。

 

「ほう、つまり何故かサイド6にあったゼータを持ち込んだ娘がお姉ちゃん分とやらになってくれたのか、どうしたね?」

 

「「別に」」

 

 これから、場合によってはマチュに参加してもらう作戦を説明して二つ返事で了解を得た。バランス的にはペッシェに任せるべきだが、スミレからの報告では今のペッシェはロザミィを無理矢理にでも救う為でも騙し討ちした事を気に病んでいてサイコマシーンに分類すべき機体に乗せては危険だとされていた。

 

【シャアからしたら、ナナイと連絡が取れるツテになってくれれば良いとした】

 

 気になる事が多いが、マチュには行方不明になった少年と探す為に協力して欲しいアネッサしか頭に無いのは経緯からして有難いとして作戦迄に準備を済ますようを命じた。

 

「大尉、シオン改めアネッサは女装しながらパイロットやってくれは思うとこ過多だったろうからともかく、あのマチュって娘に会った事あるのですか?」

 

「シャアだからではないのかね?」

 

「ですかね。失礼ですが、例のハマーンという女性から何かを吹き込まれてアネッサにも伝わったとかでは?」

 

 失礼で無神経だが、ハヤトからしてもただ事ではないので聞かざるを得ない。博物館の館長にされて少し経った時期に妻や養子達から向けられたくない目を想像した事があるが、それを遥かにスケールアップしたような色があった。

 

【実際、方向性は間違いではないのだ】

 

 アネッサが【ハマーンのように】自分の過去を見てしまっているとも考えたが、結局は好都合とした。少なくともお姉ちゃん分が出来たのは歓迎すべきだろうとしたが。

 

「で、あの娘はどれくらいのレベルなの?」

 

「軽く私以上だ。お前は作戦が終わったらアネッサやマチュ君と今後を話すのが良いが、見え過ぎるようになるかもな」

 

 いつの間にか部屋に入って来たセイラに返すようにシャアがマチュから感じたものはそれすら生温い。二人に関わるなら覚悟が必要とする意味はセイラとハヤトにはまだ知らない域だ。

 

 

 

 そして、マチュにはこれからの為にクワトロがシャアである事が伝えられた。

 

 

 

「何かな・・・・キラキラが見えなくなってる人かどうかギリギリね」

 

 マチュの妙な発言には周りは困惑したが、アネッサは然り気無く閉口を促した。意味はわかるからだ。クワトロはシャアだった頃に見えてたものが見えなくなって来ているのだとマチュは判断したが、それは本当にいけない事なのかとしていた。

 

 そして、ペッシェが顔馴染み故に保護したが意識が戻らない強化人間の元に行った際も周りは理解できない。

 

「二人でメリーさんの羊たちを歌ってるわね。ペッシェにも歌うよう言ってる」

 

「ああするとロザミィって娘が落ち着くんだってね。アルファ波の波浪警報が出てそうだぜ」

 

 エマとアポリーが感想を漏らしてるがロベルトは神妙にしていた。アレを【ヤヨイに聞かせてあげたかった】と考えた時に理解した。人口であれ何であれ精神が普通とは逸脱していたのだとして作戦開始時間が迫って来た。

 

 シャノン達はネモ。エマ達は以前と同じだが全てチェーンアップ済みな機体。マチュとアネッサも自分担当なゼータに乗って出撃を開始した。

 

【目的はダカール】

 

 正体不明機の接近に防衛隊が出向くが、その隙にクワトロが議事堂に出向いてエゥーゴの立ち位置からジャブローでの真実を公開する作戦である。本来なら指導者であるブレックスが行うべきである流れ。代役をやらせたにしてもエゥーゴ内にとっては実は【爆竹】と言うべき要素がある。

 

【だからこそやるべきとしたハヤト達の案にクワトロは乗った】

 

 

 

 ーーーーーー。

 

 

 

「マチュ、此処迄で良い!」

 

 マチュのウェイブライダーに乗ったフルアーマーゼータをジャンプさせたアネッサは鹵獲品のバズーカを地上のジムタイプに発射しながら降下をした。ダカール防衛隊はティターンズの集まりか否かだが、目を引く必要はある。無駄な死人は出すまいとしながら戦い出すアネッサに任せたが。他は空戦でアッシマーを隊長機にしたハイザック部隊に当たるがエゥーゴの部隊が撹乱や陽動を兼ねていると迄は読めない。

 

「来た。これで・・・・!」

 

 マチュは逃げ回ると見せ掛けてアッシマーにウェイブライダーのビームガンを背面撃ちを使って武器に命中させた。アポリーにロベルトも水平移動に偏りがちとする地球出身者には有効だからとリック・ディアスのビームピストルを背部にマウントしたままやっている。下部にマウントしていたライフルを破壊されたアッシマーが街に落ちて行って味方が救助しようとしてるが上手くいかないようなのでMS形態になって手を貸した。

 

『な、何の真似だ?』

 

「セントーイシナシ!セントーイシナシ!スコシシタラワカル!」

 

 ナビゲーターシステム代わりにしたハロの声に戸惑うパイロットに構わずマチュは自分の担当区域に戻った。後は向こうに任せるべきだとした以前に何か嫌な予感がするのだ。

 

 

 

 ーーーーー。

 

 

 

 クワトロを議事堂に到着させたカラバのスタッフは何か違和感があった。到着からクワトロがルートを指示していたが、右か左程度が何やら死活問題だったような緊張感だった。クワトロ=シャアと知っているのでニュータイプ的な勘が働いたのだとしているがそうではない。声が聞こえていた。左、次は真っ直ぐと何故か安全なルートをわかってしまえた。

 

「ようこそ、段取りは整えてありますわ」

 

 ブレックスの顔見知りとして打ち合わせをしていた女性議員は顔色が悪かった。恐らく、途中で襲撃から暗殺をされ兼ねないと知ったのだろう。仮にそうなったら全て終わっていたからだと理解したが、今は【聞こえた声】に感謝して行くべき場にスーツ姿で向かった。

 

 襲撃に慌てる議会に陳情からの特例として許可されたのだとして現れた男に議員達は目を奪われた。額に傷がある金髪の男は歩き方からして美しいとする存在感があったのだ。

 

「・・・・議会の方々と、中継を見ている連邦国国民の方々には突然の無礼を許して頂きたい。私はエゥーゴのクワトロ・バジーナ大尉であります。話の前に、もう一つ知っておいてもらいたい事があります・・・・私はかつて、シャア・アズナブルと呼ばれた事のある男だ!」

 

 

 

 

 ―――――――。

 

 

 

 

 議員達のざわめく声がアネッサに聞こえていた。中には意表を突かれた声があると感じたが正解とした。クワトロがシャアだとはブレックスにすら想定外な域に広がっていたが、それに対する先手としながらダカール近辺に近付く陸戦から砂漠戦用機体を次々と撃破していた。フルアーマーで陸戦型なゼータはホバー移動にも適した調整をしていたので性能が比べようも無いとしたが嫌なものが来る予感がした時に後方からマチュのゼータ。ペッシェのエンゲージにフォウのガーベラは別方向からドダイに乗って接近して来た。

 

『あ、アネッサ。ロザミィが目を覚ましたけど凄く怖がってるのよ!嫌なものが来るって!私はお姉ちゃんだから・・・・』

 

「わかってるよ、他の二人も似たような理由で来たんだろ?」

 

『う、うん。私とペッシェの機体も試験兼ねて改修したのを使わせて貰ったのは・・・・き、来たよ!』

 

『な、何よ以前見たけど、あんなのを議会やってる場に攻め込ませようっての?』

 

「いや、そうリアクションするからこそだろうな」

 

 アネッサの言う通りだろうとはした。四機から確認出来たのは以前アネッサが破壊したサイコガンダムの系統だが、何故か感じるプレッシャーが痛みすら混じるものだった。

 

 

 

 ――――――。

 

 

 

「エゥーゴの新型か・・・・エゥーゴ、エゥーゴ。見つけたぞぉ、戦争を利用して地球圏を手に入れようとするザビ家以上の悪魔共がああっ!」

 

 サイコガンダムを改造した機体に乗っているのはティターンズからしたら行方不明になっていたジェリド・メサだったが、その顔色は狂喜の笑みを浮かべていた。脳に埋め込まれたコンピューター・チップを始めとしてフォウですら恐怖する域な強化措置を施されて帰って来たのだ。




 原作没案やヒーロー戦記からSFC版ゼータでのダカールとかのを足したり掛けたりしたジェリド襲来。

 ダカールの内ではシャア、外では四名がジェリドを迎え撃つ展開。
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