「少年、貴様は確かに優れた素質を持っているらしいが、無礼を許すワケにはいかない!」
「無礼じゃない、貴女を倒さないとララァが死ぬ以上の世界になる・・・・ガンダムがそう言っている!」
キュベレイに斬り掛かるシュウジだが、上昇して回避される。ハマーンは資料で見たファーストガンダムよりは出力があるしパイロットのプレッシャーも並では無いと見立てたが、ファンネルを射出してオールレンジ攻撃を開始しても曲芸染みた動きの回避をされる事で実証された。
だが、やはり限界はある。
キュベレイからの攻撃を空中で仰向けになる姿勢で回避した時、そのまま思い切りバーニアを吹かせて離脱した。ファンネルを一斉に向けさせるがシュウジのガンダムとファンネルの間に何かが回転しながら割り込んだ次の瞬間にライフルのビームが回転しているものの先端に命中してビームが乱反射する。それによりファンネルは全て破壊されてしまった。
【ビームコンフューズ】
スミレやマチュの話からファンネルを推測したアネッサが考えていた秘策にハマーンは戦慄したが、アネッサ機はサーベルを回収する為に近付いただけで再びララァの家の前に降りてしまった。
次の瞬間にはシュウジは機体出力最大で斬り掛かるがサーベル二本で受け止めたキュベレイは次の瞬間に全力で機体を離脱させた。
「シュウジ、あの女。君のガンダムを避けているな・・・・」
『そうだね。けど、これで邪魔者がいなくなったから君を相手にす・・・・る』
二人は、いつの間にか光る空間にいて言葉を失った。MSのコックピットにいたハズなのにお互い浮遊しているようだ。
アネッサはフォウに母親。
シュウはララァにガンダム・・・・ニャアンとマチュを見ていた。そして、何故か聞こえた声に正直に答えた。
「何だ。人はわかり合えるって・・・・いや待て」
『そうだね。わかり合えるさ、わかり合えるから・・・・【戦いにもなる】!ニュータイプの力はソレを促してしまうんだ・・・・っ、だから僕は君を・・・・君を殺『シュウジィィイイっ!』?』
ドガァァアアッ!
ラグビーの全力タックルのようにマチュのゼータがシュウジ機に真っ直ぐ体当たりした。そしてスラスターを吹かした方向に真っ逆さまとやらで揉み合いながら山地に激突してしまう。食い止められなかったニャアンのキュベレイがあたふたした声で呼び掛けているのにアネッサは唖然となる。接触して事情を聞きたいが、何故か動けない。押し倒すようにシュウジのガンダムを組み伏せ、抗う相手に向けてマチュは叫んだ。
「シュウジ、やめなさい!アネさんを殺したら終わりよ!」
『違う・・・・今がチャンスなんだ・・・・今なら、ギリギリなんだ・・・・アネッサは、僕が・・・・僕が倒さないと・・・・』
「なら、少し痛い目に遭ってもらうよ!」
『それも駄目だ。邪魔するなら君を・・・・っ』
『マチュ、シュウちゃんも止めて・・・・止めて、よ・・・・っ!・・・・止めろって・・・・止めろって言ってるんだあああっ!』
『あがっ!』
ニャアンのキュベレイはマチュのゼータを蹴り飛ばし、それでもアネッサに目を向けてるとわかるシュウジのガンダムの頭を掴んで投げ飛ばした。
「な、何をすんのよ・・・・な、殴るな!」
立ち上がったゼータの頭部を何度も殴り付けるキュベレイの拳を受け止めた。もう片方も同じ形にしてそのままお互い蹴りを繰り出すのを狙うがキュベレイはハンドビームとファンネルがあるのでマチュに不利、後方に倒れ込んで巴投げの形に投げ飛ばす。向き合い直った二機の間にアネッサ機が撃ったバルカンが着弾するが静まる気配が無い。
『マチュ!私だってシュウちゃんを探しに行きたかったんだ!』
「うるさい!シュウジは私のだ!どう探しに行くかなんて私の自由だ!」
サーベルで斬り合いに入る。パワーがお互いに上がっている図に危機感を抱いたアネッサはライフルを撃ったが光に弾かれてしまった。生半可が通じないので【新型武装】を使おうとしたがシュウジが尚もガンダムにサーベルを構えさせてネッサに向き合って来た。
「シュウジ・・・・このまま二人を戦わせたらどうなるか、わかってるんだろ」
『アレは手を出せない・・・・それに、君を行かせたら・・・・【ゼクノヴァ以上の事】が起きる!』
アネッサは戦意を喪失した。確かにアレを再び起こしたらいけないと考えてはいたが、原因は不明だった・・・・しかも、アレ以上のとはと。
『ならば、私と来てもらおうかシュウジ』
ハマーンのキュベレイが戻って来た。何を言っていると思ったが、アネッサには何となくわかった。【受け入れた】シュウジはハマーンのキュベレイに合流してしまう光景にマチュとニャアンは頭を冷やしてしまう。
『アネッサだったな、このまま私達を見逃すならコロニー内で戦闘を始めたのは所属不明な赤いガンダムで、貴様等は正当防衛だとする事実で通してやる!国際法に触れたくはなかろう』
確かにだった。マチュも母に迷惑をこれ以上は掛けたくないとするが、どうも話が上手するし、この後にどうする気だと聞きたい二人にはとてつもない一手を打たれた。
『元々、私の目的はシュウジ君の赤いガンダムだ。信じられないなら代価として、そのキュベレイをパイロットもろとも貴様等に渡そう。これでどうかな?』
『え、私・・・・私を売るんですか・・・・な、何でです?』
ニャアンは目を見開いて涙すら流していた。難民故な生い立ちをコンプレックスに持つニャアンにとって最悪の仕打ちだが、ハマーンは冷酷に告げた。
『ふん、マチュとの戦い・・・・いや、痴話喧嘩を見ていてわかった。貴様は三人で楽しくやっていたかったのが本心だろう、このままだとギリギリのところで私よりマチュを選んで、私を後ろからでも撃つ。そんな危険人物は近くにいて欲しくないな。そのキュベレイは結果的に目的を果たさせてくれたから褒美代わりだ』
そう言って退却してしまった。自失するニャアンのキュベレイの両脇をアネッサとマチュ機が抱えてな退散を決めた。このままにするワケにはいかないからだ。
「此方にも話が来たよ。ハマーン・カーンの意図は知れんが、アネッサとマチュはコロニー内で戦いを始めてしまったケジメは着けてもらうぞ。その娘も頭を冷やさねばな」
ラシットから三人には独房入りを申し渡された。まんまと漁夫の利を得られたが、当初の目標は思わぬ形に達成された。出港前に普通に訪ねてきたのだ。
「君がマリオンか・・・・」
「えぇ、私の方から来ないと駄目だから・・・・」
水色の髪を跳ね上げた形にした少女はラシットやアルフ等は意に介さずアネッサ達のいる方向ばかりを見詰めていた。
一応目的は達した?