「やはり、核とは違いますね」
「あれだけの爆発だ。あの兵装には余程特殊なジェネレーターとかが内臓されてたのは間違い無いだろうがなあ?」
「で、皮肉な事に。欲を言えばルナ2に要塞破壊用な何かの一発くらいかます損害与えてしまえたら後が楽とか、作戦前に冗談混じりに言ってたもんだが・・・・思わぬ形で実現しちまったってワケかぁ。坊主、お前さんと言うか白いMk-Ⅱはティターンズからしたらとんでもねえ死神認定されてるかもなあ?」
「やめて下さい・・・・」
「そうそう、不可抗力だぜ」
「だが、成果は受け入れなければなるまいな、ルナ2内部にも相当な被害が出たのは間違い無いだろうからな」
「えぇ、例えるなら噂に聞くガンダム試作2号機が戦略じゃなくて戦術級な核を持って要塞から出てきたとしたら要塞近くで搭載していた核までも誘爆させる形で撃破してしまいましたに近いですからね」
ルナ2強襲作戦終了後、思わぬ成果に繋がる事態の解析がアーガマに帰還したパイロット達とブライトにアストナージにフィリップと内部に潜入したメンバーが集まって始められていた。当初は引き際が迫って来た辺りで先日のグリプス同様にモンブランが、今回は足留めではなく目眩ましを兼ねた攻撃を掛けた隙に撤退する算段であった。内部工作と外の戦闘で敵に与えられた損害だけでも充分と言えるのだが、解析しているような事態に繋がり、成果が当初の計算とは次元が違うレベルで出たのだ。
「だが、フィリップ元少尉の言うようになって後がどうなるかだな。成果が上がり過ぎと言うのも怖いぞ?」
「まあ、この兵装と扱っていた新型については調査するしかないだろう・・・・先ずは作戦は成功した。此方の被害はゼロでな・・・・パイロット達と潜入したメンバーは次に備えて休んでおけ、では解散だ」
休憩室でシオンはルナ2での戦いから帰還する迄を思い返していたが、テーブルの前にソフトドリンクが置かれたのに気付いて顔をあげた。フィリップが向かいの席に座ってシオンに声をかけたのだ。
「おう、奢りだ。飲みな」
「ありがとうございます・・・・」
「何か、帰還した時から妙なもん感じたような顔してたなあ」
「・・・・」
シオンは、あの兵装を貫く前からパイロットの声を聞いたし爆発の時にルナ2内部から聞くに耐えない声が無数に響いて、僅かに出してしまった吐瀉物でバイザーを汚したりした。あれは・・・・とドリンクを飲み干して考えたとき。
「可愛い娘ちゃんの声だったか?」
「それ、は・・・・っ・・・・!?」
「やっぱりなあ、おう睨むない・・・・多分違う形なんだろうけど、戦場で誰かの声を聞いたり他に理解出来ないのを感じたりしちまような経験した奴が同僚にいるんだよ、エゥーゴはそれなりに事情がややこしいから名前とかを迂闊に言えねえ・・・・少なくとも今も現役だけどティターンズじゃねえぞ?俺も全部把握してるワケじゃねえんだけど、お前さんにはそいつと会って欲しくなって来たぜ」
「どんな人です?」
「あのアムロ・レイに勝った男だ・・・・と言っても?世間でも知られてる流れで言うと確かホワイトベース隊がジャブローに着いた辺りなデータを元にしたシミュレーションだが」
「クワトロ大尉も驚きそうな話ですね」
「っ?何で、そう思うんだ?」
「シャア・アズナブルの話をしたから?」
そう、最初アーガマに来た時。元になった人の記憶か、うろ覚えな知識かではない。自分の今後を相談した時に聞かれた。
『シャア・アズナブルと言う人の事を知っているかね?』
アングラで知った事を言ったら、正確な評論だなと言った時、自分が何となく感じた事は言わないでいた。
「そっか?・・・・良くわからんが、シャアと来たら・・・・そうだ!お前さんはアムロ・レイには会いたいと思わねえか?」
フィリップは話題を変えた。強引だが自分はクワトロとは付き合いがアーガマの主要メンバーの中では一番浅いとしての話の切り替えだが、効果はあった。『何故かわかってしまう』のがNTなのではないかという程度は抑えているので、追及してもあまり成果は無いとした。
フィリップはまだ知らないが、シャアやクルスト博士とは違い、最低最悪の形に利用されながらも抗うNTに救われた戦友にとって理解者と言えるフィリップはNTを知る大人達の中ではマシな部類なのは間違い無いのだ。
「比較されてますけど、何か変な意味で同じ事を要求される気がするんです。例えばギレン・ザビみたいなのが演説してたらモニター叩き割るとかじゃなくて、うじうじしてるとこを殴られて変な返しをしろとか?」
「有り得るなあ・・・・猛獣使いの栄誉が欲しいのとかはそれ望んでるかもな」
戦後にアムロ・レイの再来を望む声は密かにはあったが実像と創作もの両方を的外れに望む声が多いとは聞いた人間はかなりいる。例えばシオンのように成り行きではあるが、自分から軍艦に乗り込んだにも関わらずにイジけたヒーローとしてのアムロの素行を求める・・・・ギャグ漫画みたいのならわかるが、その前に最低限の説明程度くらいしろと言いたい者もだ。現にブライトはそういうものには辟易していたどころではない、自分なりにやってはいたつもりでリュウの死と言う最悪の事態を招いたのだから。
フィリップとしては、わざわざ物好きな事をやるかやらせるかを看過するような事より、自分が知る限りで?あの『青い化け物』に乗ってた奴のように似たような経験をした者に有益な出会いをさせる方が余程良いと思っていた
(ただなあ?あいつって・・・・無口が過ぎる奴だから、会わせられても上手く会話してくれるかどうかだぜ・・・・まあ、開店したての頃の俺のパンが不味いって顔に出てたから何か伝えてはくれるハズだがなあ?)
『出会い』
それについて、シオンが関わったばかりの者が思わぬ形を実現させていたとは知る術は無かったが、次元からして別の話になっている。
そして、1ヶ月近くが経った。
ヘンケン・ベッケナーは新造艦であるラーディッシュを任された。アーガマはブライト大佐に任せた事だし、クルーも必要な数は揃って来たという時期にルナ2で危惧した事が実現してしまう。
ラーディッシュの訓練中にブレックスが面会を求めて来たが、内容が問題だった。
「何ですって!!ジャブローを攻める!?」
「そうだ。出資者達が先日のルナ2で気分を良くしてしまってな、一気にケリを付ける路線に傾いたようだ」
「電撃作戦としては、それも有り得ますか。しかし、ルナ2は大混乱ですから・・・・この機にグリプスを叩いて宇宙からティターンズを一掃と行くのが良いとは思いますが?」
「そこは【企業の私兵】の限界とやらだな、ギレン・ザビが敵なら、好き勝手にそう言われているだろう」
自虐的だがストレートと言える。スポンサーに頼らざるを得ない組織の限界・・・・とんでもない金星に近い成果を出してしまった代償とするにも・・・・ヘンケンは、特にシオンには見せたくはないとした。クワトロから聞いたが、彼はNTとしても最初から強力過ぎる類いで変なものを見せたくないし、小賢しい事をやれば見抜かれると忠告されたのだ。
何やら賢すぎる息子相手にと考えたが、自分はまだ良い相手も見つけてないのにとヘンケンは明後日の方向を向いた。
――――――――――。
シミュレーション終了のブザーが鳴った。流石に宇宙程にスコアが良くないとしながら一旦はコックピットから出たシオンにフィリップが栄養ドリンク渡したら堪えてたようで一気に飲み干した。
「1Gの状況下では勝手が違いますね」
「しかし、大したもんだ。シミュレーションだけどキチンとやれてんなあ?」
「ガンダムのバランスが良いからですよ、けど無理難題ですね」
「まあ、そう言うな。これもお前さんの為だ。宇宙ならともかく、いきなり月や地球で戦う羽目になって戸惑ったりすると、それが命取りになるぜ?」
すっかり面倒を見る役となったとしてデータをまとめながらMK―IIのもう一機は解体して予備や研究用にパーツにする方向になった事を伝えたフィリップは【自分は予備の内臓】が無かったからパン屋やってた経緯を話した。距離を縮めたいではなく、極端に言えば【ブルー】のような機体にいきなり乗せられる事態は無いとは言えないのでつい気にしてしまうのだ。
――――――――。
「伝達は以上だ。ところで噂のNTは?」
「彼なら大気圏突入から地球の重力下で戦う為にデッキ暮らしでシミュレーション漬けですよ【メッチャー】さん、あの機体はガンダムと言えどマイナー・チェンジで一年戦争とはまるで違う条件ですから、私が知るアムロ・レイのように最初の頃に性能に助けられるのを期待していると死なせてしまいます」
「ほう、それは結構。活躍が楽しみだな艦長」
ブライトは【リード中尉】を思い出した。あの中尉よりヒドい気配があり、何故かシオンは勿論、クワトロ大尉にもあまり見せたくはないのは気のせいかどうかと考え、退室して行ってくれて一安心した。
「お偉いさんとは呑気なものだ」
「同感だ。フィリップ元少尉に付いてもらっているが、流石に実現したらジャブローはキツい戦いになるだろうな・・・・初めての地球は甘くはない」
「うむ、ところでそろそろ聞かせてもらえないか・・・・【エゥーゴの裏】を」
「恥ずかしい事ですが・・・・」
クワトロが語った事は、ブライトも辟易するものだ。要するに内ゲバ・・・・エゥーゴのスポンサーとなっている団体に関してもだが、一番のお得意様の開発者関連のが原因の一つだ。
原因であるリック・ディアスはブライトから見てもMK―II以上の性能だ。新世代機として開発されたガンダムタイプがムーバブル・フレームを初めとした幾つかの利点以外は実戦力で他に劣るのは時代かもしれないだけなら良いが、裏では唐突に新素材を採用した機体が採用レースで圧勝した為にそれまでにクワトロにダメ出しされてたりした側がリック・ディアスのデータを盗用した新型をティターンズに流したと言う関連だけで性急に成果を求めざるを得ない。
実は内ゲバに関してはクワトロ大尉は勿論、それのせいでエゥーゴに来たブライトも他人事ではないから受け入れてるのだ。
「まあ、ティターンズに新型が渡るにしても敵もそれくらいの性能の方が撃墜しがいがある」
ブライトはシャアの豪胆さは流石とした。背に腹は変えられんと言うのもあるが、場馴れしているのはジオン公国軍内で素性を隠して成り上がった男に経験値で及ぶ者は今の段階では存在しないかもしれない。
「それから、話した事を理由にアストナージに頼まれた依頼も慎重にやらねばな・・・・」
「シオンが気晴らしにやっていたものか?」
「うむ、ガンダムはお得意様達からティターンズにしても可変型どころか新世代機になるのも失敗した機体だが、それが実現するかもしれんな」
【ゼータ・ガンダム】
シオンの描いた基本設計が好評なので、機体名もそのままでいくらしいと説明されるブライトには怪訝に思う事があった。支障なくどころか突入中に邪魔する敵機を撃破しながら大気圏突入しつつ地上で引き続き戦闘を考慮とはスペースノイドが開発する機体において、標準サイズの中では宇宙からの地球侵攻用のMSそのものではないかと言いたいコンセプトだが、クワトロの信用するスタッフは各地形用の装備から考慮してる辺りの対立も馬鹿にならないのもだが、フラッグシップ機が必要なのはわかるが、少々時期が遅いような気がするのだ。
ゲストの扱いに関しては、多分禁忌に触れてます。