「バナージ君は逃げちゃいましたで済ますしかないわね」
近くの路地裏に退散してコモリが要点をまとめたが、バナージはカーディアの何なのかはさておいてニュータイプ的な素質を持つとされた人間と仮定する。そのバナージに自分達を接触させて何かを誘発させようとしたとすべきだ。コモリにエグザベからしてもアネッサに関わって見えて来てしまったものは多いからわかるが誤算がある。
【怖いに決まっている】
初等部の子が覚悟無しにいきなり戦場に出たり見たくもないものを見たらそうなる。何より?
【アネッサを近付けてはならなかった】
自分達はさておき、アネッサに反応してああなったのだ。自分達は一人一人が一番都合良くとすべき形にアネッサに出逢った者な集まりなのでバナージのような事態は全く想定外だった。
そして、バナージには悪いが自分達からしたら放っとくしかない。ビスト財団の党首にして現エゥーゴのスポンサー代表なマーサの兄である者が目を掛けるバナージに深入りすると政治的なデメリットが果てしないからだ。それより一つ確認しなければならない。
【何故名前がわかったのか】
アネッサにエグザベが聞いた。幾らニュータイプでも有り得るのかとしたが。
「アムロ・レイもサイド6でシャアと生身で会った時にシャアだってわかってましたが?」
「へえ、アムロとシャアにそん、な・・・・っ!!ストップ、アネさん。それ何で知ってるの?アングラで見たのかクワトロ大尉に聞いたりしたのか、どこでアムロ・レイとクワ、いやシャアがサイド6で会ってると知ったか答えなさい!」
「え、二人がサイド6で会ったって言った?」
「っ、そ・・・・そうよ・・・・」
「あ・・・・ら、その場に。いたから・・・・ね」
口調が多少変わっとした瞬間、全員が周囲が宇宙空間に変わって浮遊してるような感覚に目を丸くした。無限に広がる宇宙の中にある輝く星々もあるが、マチュは見たかったキラキラのようで何かが違うとしていたが、アネッサとダブるように見えた人物にい気付き、以前フォウに見せられた光景も思い出したし、ニャアンも見た。
【アネッサに重なる。額にビンディと呼ばれる装飾があるインド系の女性を】
「え、私より褐色肌な人?」
「・・・・っ!だっ、駄目だよ。身体借りたいなら許可取りなよ許可!サイド6でアネさんに家を守ってもらったんだし、それくらいしてよ。アネさんはまだそっちに行っちゃ駄目なんだ!!連れてかないで、連れてかないでよ・・・・【ララァ】!」
名前を呼んで予め知ってた側ばかりなのに事態が飲み込めなかった。だが、それを意に介さず優雅に語りかけた。
「ふふ、大丈夫。アネッサが【門を開けられてただけ】なのよ。貴女・・・・マチュも、もうすぐ・・・・よ」
いつの間にか元いた場に戻り、全力でアネッサの両肩を揺さぶりながら必死に訴えるマチュを宥めながらフォウもアネッサの口を借りた存在を感知し、全容に近付いて膝から崩れた。自分ではマチュという本物に頼っても無理だった。否、自分がマチュに協力を頼んだから早まったのかもしれないとしてフォウは涙が止まらなくなった。
「そ、ソドンへ帰りましょう。リーガンさんセイラさんや。とにかくアネッサを落ち着かせられる人が多い場へ!」
ペッシェの案で退散したが、夢遊病者のようになったアネッサをフォウは車の中に連れ込んで決して離すまいとしていた。ペッシェに言われた事はこの場にいるメンバーだけではアネッサを繋ぎ止められないとすべき現実だった。
ーーーーーーー。
「恐ろしいものだな・・・・」
カーディアスとの対談は無難に終わり、ビスト財団とのパイプすら得たが、リーガンが言うのははカーディアスの策。アネッサとフォウ以外のソドンのニュータイプや事情を知る者達が集まった中で解析によると、今回カーディアスが企んだのはソドンへの便宜を図りつつ戦時中の立場確保だが、二兎を追う狙いを成功させた。それに暴論とすべき仮説が現実味を帯びてきた。特にフォウとマチュは訳ありなゼータで良くわかるし大半が少しずつ認識している。極端に言えば?
【アネッサと接触するとニュータイプになれる可能性がある】
「これは私の仮説だが、一年戦争時のアムロ・レイは今回の件を含めたデータによるとシャアにララァと生身でサイド6で会った。その後に起きた戦いのデータを手に入れたが、観てみろ」
画面に映るそれはアネッサを知る者達からも驚愕すべきな戦いだった。一つ、二つと次々とリック・ドムを撃破して行くファーストガンダムの戦い。セイラも改めて観たら寒気がしたし、ジャブローの辺りでのアムロとシミュレーションしたフィリップやブルーに関わったアルフにマリオンも冷や汗を流した。
「カーディアスの策謀以上に恐ろしいものだ。この時のガンダムとドムは実は性能差は殆ど無い、ならばこれは腕だな。パイロットの腕の差だ」
他が霞むし、単騎でやったと錯覚する程に圧倒的だ。サーベルを機関部に刺して戦艦を撃破したガンダムの図で戦闘が終了したが、これと地球から上がったばかりから推測されたデータと比べても明らかに異常な域だ。アネッサはフォウに任せておくのが得策だが、それはアルフが却下してリーガンとエグザベに頼んで引き離させた。これには二人を付き添わせ続けていたマチュも気まずくなるしかない、フォウには最大の障害があるからだ。まだアネッサが実は男と知らない側とフォウを警戒待機に戻して、アルフは残酷な現実を敢えて言う事にした。
「ストレートに言うとな、アネッサを慰めたり出来るのはフォウだけなのは全員わかってるだろ。男女ならではな類で思い切りやるのも良い・・・・例えば普通のパイロットや可愛い子ちゃんな同僚ならとっくにそうしてる。だが?」
「・・・・【将来】を連想させる行為はお互い不幸になるわね」
セイラが述べたのは。別に二人がそういう行為をしても構わない。だが、何をどうしてもフォウの身体が戻る保証はまだ無い。間違いを起こしては今の二人には致命的な現実がある。
【 】
言葉にしなくても、フォウの薬物漬けにされた身体で起きる結果は知れている。十年掛けてな計画程度は二人は覚悟している。それこそが、あの二人が一線を越えない理由。だが共依存に近い二人は片方が乱れてはいけない。
「ならば、後で近いうちに一悶着あるアクシズの中にあるデータやシャアが目を掛ける研究者を頂けるだけ頂いて治療に使ってしまえば良いとフォウに伝えるかな。青臭い事を言うより怒りや悲しみが突破口になる事があるが、これは悪い事ではない」
「同感です。そっちの方が寧ろ楽しそう」
アルフに同意するコモリが余程現実的だ。ニャアンはソドンに来て良かったと改めて思った。
そして、少年少女達とは違うベクトルの思慮を働かせる者達もいた。
「ティターンズが今後どうするかだ」
ハマーンを軟禁するグワダンでハマーンをさておき、ソドンが対処した毒ガス作戦は陽動撹乱程度はわかる。グリプス2とコンペイトウにゼダンの門を失った今、ティターンズはアクシズやルナ2を破壊か奪取するのが巻き返しの一手であるとしても決定打が欠ける。これを何とかしたいのならば?
「ゼダンの門でアネッサが撃破したサイコガンダムタイプが切り札なら、またも計算が狂ったと仮定するティターンズが求めるのは・・・・核だな」
クワトロが率直に述べたが、ならばルナ2が狙いかとしたがモニターに出した地球の世界地図に赤く点滅する部分がある。
「ト、トリントン基地。一年戦争以前から核を貯蔵している場ですな」
「そうだ。地球に逃げ帰ると見せ掛けて、ここから核を調達するくらいはしかねん。他に糾弾されに行くような事を敢えてやる・・・・だが、亡霊は甘くは無いさ」
クワトロが意味深に言うことは既にトリントン基地で実現していた。
「な、何だってんだ?」
トリントン基地では貯蔵する核を取り出したくてもプロテクトが二重三重という次元ではない程に掛かっていた。しかも、パスワードが裏を突かれたもので理解出来ないし下手をすれば自爆をしかない。これではジャミトフの命令は達成できないとして大パニックが起きていた。
そして、外にいる元アルビオンのパイロット達には手書きのメッセージが渡されていた。
『諸君、名を明かせないが私は嘗て君達を道化の立ち位置に貶めてしまった。せめて、その償いとしよう」
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「アムロ大尉、報告は以上です」
「そうか、ビデオテープの中に暗号を仕込んでなメッセージか【コーウェン元准将】も、漸く無念を晴らせたのかな」
クリスが漸くアムロの乗るアウドムラに合流したが、万が一の危険が思わぬ形で遠ざかっていたと安堵していた。クリスが出会ったコーウェンからは遠回しに暗号が伝えられた。旧世紀のビデオ画像に散りばめられたヒントを解くのに一苦労だったとクリスは隈の出来た目を綻ばせた。
そもそもクリスにやるからこそ意味があった。
士官学校時代、既に形骸化したものの映像を見せられて【アリス・ミラー】の潜伏する場を知らされ、一見は今持ち出しても何の約にも立たない資料を渡され、解読した結果。コーウェンが実は黒幕の一人とは思いもよらなかった。
「まさか、コーウェン准将がクワトロ大尉がシャアだと地球に広めた一人とは、事前に知れただけで全然違いますね。噂のムラサメ研からの亡命した少女、確かフォウ・ムラサメのような例が出て何よりです」
「それに、ハッキング対策から何から何までパスワードが【カーネル・シナプス】に、つまりデラーズ紛争で泥を被らされて処刑された人の名に変えるようコーウェン准将やデラーズ紛争を知る者が変えていたとは夢にも思わなかったか。これではどんな世界のハッカーでも完全に勝ち目が無い。超能力染みた力でやっても感情論や不可解な要素で裏を掛かれるですか、人生の分岐点になるテストでノーばかりが答えのテストをいきなり出されるようなものだなボッシュ?」
「ですな、トリントン基地は、もう数年は近代基地としては使えないか。だがソレで良いのかもしれませんな。キシリア・ザビみたいな者への備えには・・・・」
複雑そうにするボッシュをアムロはそっとしてあげる事にした。踏ん切りがどうとかもあるが、いよいよ正念場なのだから。
途中の【 】の中に入るのはご察しな内容。