「雑念を捨て、心を研ぎ澄ましなさい・・・・」
俺こと、元カミーユ?なシオンは・・・・何をやっているかと言うと重力ブロック内の室内で・・・・『座禅』・・・・日本では確か寺であるんだよな。これだと大リーグボールとか発案した野球選手じゃなくて?唐突すぎてギャグ?ならば、ノリノリでやってるフィリップさんが例のバカ殿みたいな・・・・。
バシッ
いかん、棒で叩かれた。妙なもんに惑わされるなってのも課題なんだ。
「雑念を捨て、心を研ぎ澄ましなさい・・・・」
そう、雑念を捨てる・・・・何か妙な感覚ばかりだと相談した結果なんだから。
そう、雑念を捨てる・・・・。
・・・・・・・・。
「趣味か?」
私、クワトロは?シオンとフィリップが座禅を組んでの精神修行とやらをしていると聞いて見に来たが・・・・日本の古来のやり方とは興味深いと見るべきか否か・・・・。
「まあ、これがシオンのシミュレーションデータです。大尉やブライト艦長が見込むだけあって凄まじいものですが?」
アストナージが出した画像を見るに、確かに刮目すべきだが、やや直情的で敏感過ぎるところがあるのが気になるか・・・・仮想の重力に対する適応力からシールド使った打撃や蹴りの操作迄こなす技術は申し分無いから、後は実戦で鍛えつつ冷静さをと思っていたらアレとはな、フィリップはサイド6で何があったのだろう?
「しかし、フィリップの発想はユニークと言うか何と言うか・・・・私も将来はジャパニーズ・オトッツァンと呼ばれそうとか言われてましたがね」
うむ、ブライト艦長には良く似合いそうだ。父役が軍人には必要と言われてはいるが、私には荷が勝ちすぎる・・・・。
「それはそうと、再点検でチューンアップしたリック・ディアスは私の機体のように赤に統一される事になった。アーガマもそうだが・・・・白いガンダムと揃って目立つ色ばかりだから気を付けねばな」
何故か、二人から妙な目線を感じたな。私は何か言ったかな?
・・・・・・・・。
「大尉は天然なんですかね?」
「まあ、浮世離れしてるのは確かだ」
『百式』
急遽仕上げた機体が回されるのだ。カタログスペックから見た機体性能は第2世代の中で屈指の性能なのだが?
「何で金色なんだ?それ無しにしても外見がスタイリッシュ過ぎるぞ」
「いや、塗ったんじゃなくて特殊な対ビーム処置らしいんですよ・・・・掠められた際のダメージを軽減するくらいですが?『例の新型』のビームライフルは威力ではなくて弾数と速射性重視らしいですからね」
「成る程、それなら相性は良いか・・・・一応気は使ってもらってるか?しかし、企業内の派閥の『代理戦争』?にもなって来たか」
一枚岩なんてのは理想論なのだと割り切るべきか、全く・・・・私は政治家には向いてないで済まされない日が近いのかもな・・・・仮にも?
『ヤシマ家の婿殿』
ホワイトベースの艦長だった私は・・・・いや、よそうか。ミライは私にそんなものを求めてはいない・・・・それに、彼女こそがNTだとするのなら、いつかクワトロ大尉やシオンにミライと会わせてみるのを考えた場合は私が余計な考えを捨てねばならんか。
・・・・・・・・。
エゥーゴのジャブロー攻略作戦迄の準備は進んではいるが、問題は数の少なさである。精兵揃いには違いないが数を埋められる程では無いとしていた。地球付近には防衛用の衛星施設があるのでゲリラ活動的に破壊すべきとした。
(民間シャトルを装って、ガンダムをか)
シオンはコロニー補修材を運ぶ目的で使うシャトル内に積めたガンダムMk-IIのコックピット内にいた。
『偽装工作の一貫』でルナツー付近で核攻撃に近い被害を与えて名を広めてしまった白いガンダムMk-IIはアーガマと別行動させるだけで撹乱にはなる。地球付近の防衛施設はクワトロ達が担当しているが、このまますんなりとはと思っていたら、やはりティターンズに発見されて中身を点検させろと言う流れになったのでハッチを開けつつライフルで先制攻撃を掛けて飛び出した。
敵のライフルを破壊したが、確認されたのは見た事が無い機体だった。
「新型?」
「噂のガンダムMk-II?やってくれるなぁ!」
パイロットはティターンズで新型MSマラサイのテストをしていた『ヤザン・ゲーブル』だった。バルカンを斉射しつつライフルを回避して接近戦を仕掛けて来たが、その動きにシオンは危機感を抱いていた。
(不味い!小回りの良さじゃ、改良したガンダムMk-II以上だし、それ以上にパイロットが凄い!ならっ)
ヤザンはサーベルでの斬り合いに持ち込んで何合か斬り合ったがどうも誘われている?と感じていたのだが、その内に違和感の正体に気付いた。
「やろう!頭を使いやがった!」
マラサイのバルカンは弾切れ、サーベルしかないのでは斬り合うしかないが単純なパワーや推力では向こうが上だし、バルカンもライフルも残っている!これでは接近戦しか出来ない此方が不利な状況に誘われた!
「だが、パイロットが良い勘をしてるが経験不足なようだ!敢えて受けてやるぜ!」
「引かない!?相当な手練れだな!」
もう真っ向からやるしかない!シオンにしても半端に距離を取って安全とは限らないし、近くのシャトルを狙われても不味いから有利な内に力押しで撃退しようとしたが、途中で遠くからの目を感じていた。
・・・・・・・・。
「もらった!お互い集中してるぜ!」
「あのマラサイのパイロットはヤザンだな、離れろってのを聞こえなかった事にしてやる!」
ランチャーのエネルギーチューブを動力炉に繋ぐ方と構える方に分けたハイザックに乗るのはジェリドとカクリコンだった。先日の失敗以来漸く機体を与えられたが、二機で使う試作型強化ランチャーのテストをやらされていたが、こんなに早く雪辱の機会が来るとは思わずに加えて交戦しているのはそりが合わないヤザンな為に悪辣な思考でガンダムを狙っていた。どん底に落ち行く足掻きにしては見苦しいものだった。
「発射まで十秒!ターゲットはガンダムだ!」
・・・・・・・・。
(・・・・・・・・っ、何だ?離れ・・・・いや、不味い、こっちは駄目だ!レコアさんにフィリップさん達のシャトルがっ!)
この後を予感したシオンは咄嗟に『言い付け』を破ってしまった。
「よせ!狙われてる!」
「?」
近い距離の為に唐突に聞こえたのは少女のような声だった。戸惑うヤザンは斬り合いながらバルカンでマラサイの右肩を撃たれたが、次の瞬間にはガンダムが唐突に明後日の方向に推力全開に飛んだが、違和感を感じて追撃を止めたのが幸いだと理解した。
ガンダムと自機の中間の位置を凄まじい威力のビームが通過した。それで事態を悟ったヤザンは全力で怒鳴った。
「何だと!?味方毎撃とうとしたのか!?ジャマイカンか!?」
ガンダムはシャトルと合流すべく離脱した。半分ワケがわからないが追跡は止めた。消耗しているのもあるが自分なりの美学や矜持を優先させたい気分が勝った。
「全く!追撃しない事で貸し借りはお互い無しにしてやるよ・・・・妙な敵だが、少しは骨はあるな?また会おうぜガンダム!」
・・・・・・・・。
バゴッ
シャトルに合流したシオンはフィリップに素直に自分の声を聞かせてしまったと報告して、鉄拳を受けて後方の壁に叩き付けられた・・・・所謂修正である。
「坊主、ケジメってやつだ!だが、そうまでして俺達とシャトルを守ってくれたのは感謝するぞ!」
シオンを立たせて真っ向から向き合って言うべき事を言った。事態を察していたフィリップは良心が痛むが、やらなければならないのだとして修正した。現にこの後にシオンを襲う悲劇の種が蒔かれてしまったのだから。
ヤザンとフィリップが矜持と立場を重んじた回。