【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!!   作:そとみち

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105 ドラゴンボール並のインフレを感じる

 

 

「はーい、お会計ですねー……」

「お姉さん下がって!!」

 

 CRAAAASH!!

 

 ビルのガラスにそのまま突っ込んできたクソ脳無。

 過去に俺が見たことのある脳無に比べてかなりデカい。

 俺はタイミング悪く部屋に入ってきてしまった女将さんの前に立ち、ガラス片などで怪我しない様に透過率を調整して無視。

 俺の体にいくつかガラス片が突き刺さるが、ノーダメージで体に潜り込ませたうえでガラス片の勢いを殺して、ぽとりと足元に落とした。

 高い所から飛び降りて()()するときの応用だ。こないだの緑谷の50%パンチよりは随分衝撃も弱いから楽だ。

 

「どレが一番……強イ?」

 

 この脳無喋りやがるのか。特別製か?

 でもそのせいで前のときより怖くなくなったな。化物は喋りだしたら終わりだぜ。

 

「ホークス、イグジスト!! 避難誘導を!!」

「了解っす!!」

「エンデヴァーさんは!?」

「焼く! 結局噂ではなかったということになるが……まぁいい、どの道そのつもりで来た!! ジェットバーン!!」

 

 エンデヴァーの指示に俺たちは頷き、支援に回る。

 脳無が相手だと普段俺がやってる攻撃……ダイブワイヤーでの電撃や首絞めなどは効かなくなる。

 であればまずは市民の避難誘導。それもヒーローの大切な仕事だ。

 エンデヴァーがすぐに脳無を倒してくれることを願いつつ、ダイブセンサーを起動させる。

 

 かつて脳無と相対したUSJでも林間合宿襲撃でも、あの場に俺以外のアタッカーがいないから脳無の前に立つこともあったが……今は違う。

 最強の男(ナンバーワン)がいてくれるのだ。

 今、炎の拳……赫灼熱拳ジェットバーンで脳無をビルから引きはがして空中戦を挑んだエンデヴァーを見送って、俺は俺の出来ることをすることにした。

 任せるしかないだろう。俺は即座にこのビル内のスキャンを行い、ホークスにデータを連携する。

 

「ビル内の市民の位置提供しました! 別タブで周囲の人の位置も!」

「助かる、まずこのビルから避難させる! イグジストくん声飛ばして!!」

「了解!」

 

 距離を無視した声を、このビルの中及び周囲500mにいる人全員に届かせる。

 市街の中心地なだけあって5000人を超える人数がいるが……問題ない。むしろ対象を指定しないで声を飛ばす方が俺にとっては負担が少ない。

 

『大型ヴィランが出現しました。現在ナンバーワンヒーローエンデヴァーが空中で戦闘中。焦らず、落ち着いて、速やかに避難お願いします! 繰り返します、速やかに避難をお願いします! ヴィランから距離を取り、助け合って命を守る行動をお願いします』

 

 何も知らずに急に……よりは、今この場に危機が迫っていることを知った上で避難をしてもらった方が当然良い。

 この放送でパニックにならない様に俺は努めて落ち着いた声でゆっくりと喋りつつも……ウォールハックで見た人数の多さに辟易する。

 ビルの中だけでも数百人。他の建物なども見ればマジで人が多い。町の中心地だ。

 神野の事件と、仮免試験が思い起こされる。俺一人だけが頑張ってもどうにもならない人の多さだ。

 出来る限り速やかにエンデヴァーが脳無をブチ殺してくれるのを祈りつつも、その場その場で対処していくしかない……と考えていたところで、凄まじい爆音が辺りに響いた。

 

「ぬぅッ……!!」

「エンデヴァー!?」

 

 ビルの解体工事のような破壊音と共に、エンデヴァーが空飛ぶ脳無に捕まり……このビルの外壁、窓ガラスとコンクリに叩き込まれながら、まるでリンゴの皮むきでもするかのようにぐるりと回られていた。

 やっべぇ。ウォールハックで見る限りギリギリ巻き込まれた一般人はいないし、エンデヴァーもそこまで深刻なダメージを受けていないようだが……あの脳無、炎で燃やしても炭化させた傍から再生しやがるのか。

 クソ、USJ脳無と同じで再生能力持ちかアイツ。

 

「ホークス!! このままだと……!」

「オイオイ頼みますよナンバーワン……! 被害部分にいる人全員を確保する! 『剛翼』ッ!!」

 

 俺はカッターで切られたような形になってしまったビルの上部分、俺達がいるところが崩れてずり落ちそうになる中で……ホークスが『剛翼』をふんだんに使い、被害が考えられるところにいる人たちをすさまじい速さで助けていくのをウォールハックで見た。

 すげぇ。とんでもねぇスピード……この広範囲の一瞬での救出はホークス以外の誰にもできないだろう。この場にこの人がいなかったらマジで数十名単位で死者が出てた。

 俺は……俺は、これほどの破壊の被害が起きても何もできないのか?

 俺の力は無視するだけ。一度に複数人を助けられるような個性じゃない。

 守りに向かないのだ。結局のところ。

 俺の真価は調査や……奇襲などの攻撃で輝く。無敵であることが俺の勝ち筋。

 

 であるならば。

 

「被害部分の76名全員避難完了! イグジストくん、君は避難活動よりも出来ることがあるだろう!」

「っ、すみません! 了解っス!! 俺に気にせずやっちゃってくださいね二人とも!!」

 

 攻めに回る。

 敵の脳無はエンデヴァーすら振り回されるほどの強大な力。だが俺の経験上、脳無は頭が悪い。

 無敵の俺が攻めに回ることで隙を作る。それが今俺が出来るベストだと信じて。

 

「エンデヴァーさん!」

「わかってる!! 赫灼熱拳ヘルスパイダー……全開!!」

「俺が時間稼ぎます!!」

 

 落下していくビルの上5階部分を、エンデヴァーがその両手から放つ無数の炎の帯で一瞬にして縛りつくして、脳無もろとも焼き切ろうとする。

 ビルは完全にその炎の帯に包まれてサイコロ状にみじん切りにされていった。すげぇや。

 ホークスはその周囲で剛翼で援護。脳無は体をブチ切られても再生している。

 こんな怪獣大決戦レベルになると俺の奥の手の個性解除なんてクソの役にも立たないレベルだ。

 

 だからこそ、俺は俺のやれることを。

 

「久しぶりだな黒光り野郎がよ……!!」

「ア゛ー……誰、ダレ? トリ、と……オンナ、女?」

 

 空中に浮かびながらも超再生で体を復元し始める脳無に、ダイブワイヤーをブッ刺して接近戦を挑む。

 とりつく必要がある。俺は『重力』を無視し、ほぼ己の体重をゼロにしたうえで埋め込んだワイヤーを巻き取って、脳無の気持ち悪い体に潜り込んだ。

 エンデヴァーとホークスがみじん切りにしたコンクリートの塊を更に燃やし溶かしたり剛翼で動かして被害がないようにしている間、俺が時間を稼ぐ。

 

「女、邪魔っジャッ、ジャマ……ジャマ!!」

「効いてねェぞノータリン野郎がよ!! 喋れるようになっても相変らずバカのままだなお前!!」

「ば、ば、バカ? バカ……バカじゃナい!」

「馬鹿っていうやつがバカなんだからお前がバカなんだよ三回もバカって言いやがって!! 三倍のバーカ!! 理解できないんじゃやっぱりバカだよバーカ!!」

 

 会話が通じるってのは非常に有難い事だ。煽れる。

 その煽りに反応して脳無が再生させた腕で俺に向けて凄まじい勢いで触手を伸ばして突き刺すが、当然ノーダメージ。

 それに首をひねって殴ったり振り払おうとしてくるが無駄だ。守りという面では俺に不安はない。

 さて、じゃあどのように攻撃するかという話だが。

 俺ももう脳無相手には容赦しないことにしている。

 

 俺のパンチじゃあ効きもしない。そんなのは分かっている。USJで何度も試した。

 潜り込んで……しかし当然、かつて行った個性解除の『上書き』はできない。

 ダイブセンサーやダイブワイヤーがオシャカになっちまうし、万が一だがAFOの『個性を奪う個性』をこいつも持ってればそれこそ終わりだ。

 つまりは潜り込んだ状態でコイツが困るような攻撃をしなければならない。

 じゃあ何をするか、という話なのだが。

 再び脳無に相対した時の『覚悟』はもう出来ていた。

 

 かつて俺がコイツの存在を、その体の仕組みを知らない頃には取れなかった手段。

 改人『脳無』が人間という枠におらず、ゾンビのような改造人間であると判断されていること。

 ()()()()()()()()()()()という事。

 

 躊躇わない。

 出来る限り殺さない様にという根本は変えないが、俺の躊躇いで今逃げまどっている無辜の市民の命が奪われる可能性があるのなら、俺は躊躇わない。

 こいつを殺す可能性がある攻撃でもやり遂げる『覚悟』。

 

 腕を伸ばす。

 伸ばす先は……フードに隠れた、()()()()()()

 

「ギ───イガガガガギギゴゴゴガギガガガ!?!?!?!?」

 

 脳味噌の所から目が出てるという、明らかに改造が施されたそこだが……ここだけはプリンと同じように柔らかい。

 自分から弱点を曝け出しているんだ。無傷で接敵できる俺がそこを狙わない理由はない。

 握りつぶしても再生するのかもしれないが……脳ミソをぎゅうぅぅぅっと絞る様に握りしめるだけでも相当な激痛が生まれているのだろう。叫び声をあげながら縦横無尽に痛みをこらえて飛び回っている。

 ついでに目ん玉も引っ張っちまえ。えいえい。

 目は取れても再生するんだろ? じゃあ両目も潰し続けてやるか。

 

 脳無っつっても元は死体である以上、人間の構造から脱却できてない。

 脳をえぐれば思考できないし、目を潰せば物が見えない。

 えげつない攻撃をすることで俺の人気が落ちるのだけが懸念点だけどンなモン犬にでも食わせたるわ。

 俺の人気よりも市民の命の方が千倍大切。くたばれクソ脳無がよ。

 

「いい援護だ……しかし俺が殺る、仮免が背負うものではない! この脳無の危険度、最早出し惜しみは命取りか!!」

「えっげつないなぁイグジストくん! 助かるけどね……!!」

 

 エンデヴァーもホークスもビルの瓦礫の始末が終わり、再び脳無に接敵してくれた。

 が、そこで激痛に堪えかねた脳無が新たな動きを見せた。

 

「イだ! 痛イ!! イダイ!! じゃっ、ジャマ!! ジャマジャマジャマ!!!」

「なん……」

「ジェットバーンッッ!!」

 

 黒塗りの全身のあらゆる個所から、白い塊がぬるりと生まれて、それが放たれようとして。

 しかし俺がコイツの両目を奪っていたことから、間近に接近していたエンデヴァーの存在に気付かなかったのだろう。

 決断的にエンデヴァーが脳無に対して火炎の奔流を放ち、その白い塊の半分以上が周りに放たれる前に焼き殺した。

 もちろん俺はノーダメージ。こういう所でエンデヴァーの俺の能力への信頼を感じますね。

 

「白い脳無か!! こんくらいの数なら俺が潰せます! 任せましたよエンデヴァーさん!! イグジストくんも!!」

「ここまで援護されて勝てぬようではナンバーワンは背負えん! 貴様は市民への被害を出すなホークス!!」

「トドメは任せますよエンデヴァー!! 俺このままぐりぐりしてるんで俺諸共で!!」

「アギギギギ!! ギギギガガガァ!? アゴゴガガガガ!?!?」

 

 炎から逃れた白い塊……それがべちゃりと広がって白い脳無の姿になるが、それはホークスが速攻で対処に向かってくれた。

 流石だわ。空中戦も含めた戦闘のスピードならやはりこの人が最速か。オールマイトを除いて。

 これでかなり後顧の憂いも無くなった。

 この脳無はここまで見ている限り、エンデヴァーのような高火力の遠距離武器を持っていない。

 あくまで自分の体を変形させたうえでの超パワーでの攻撃のみだ。

 であればエンデヴァーは距離を取りながら火炎で燃やし続ければいい。

 今はそもそも俺が脳ミソと目ん玉ぐりぐりしてるからまともに空飛べてないしな。痛みから逃れるように上下左右にブンブンと飛び回るだけだ。

 

「オガッ!? オガガガギギガッガガガッ!?!?」

「逃げも再生も間に合わぬ煉獄……灼けて静まれ!!」

 

 エンデヴァーの体がまるで恒星のように燃え上がり眩しく輝く。

 アレは……エンデヴァーの最強必殺技のモーションだ。チャージ時間があるがそこは俺がカバーしている。

 OK、俺もろともやっちゃってください。魔貫光殺砲でも死なないタイプの主人公なんで俺。

 

「プロミネンスバーン!!」

 

 閃光のように灼熱の奔流が空中の脳無に放たれ、その炎の中に俺もろとも呑まれていく。

 これで灰になるだろう……と、しかし。

 迫りくる大光量で視界が奪われる中で、俺はウォールハックでそれを見た。

 

 俺が脳ミソを弄繰り回していた手を、脳の肉片を千切りながらも脳無が己の首をブチ切って。

 再び俺が掴む前に、首だけを火炎の本流から逃すように投擲したのを、見た。

 

 プロミネンスバーンの光が強すぎるからこそ、その動きはエンデヴァーには見えていなかった。

 俺が足場としていた脳無の体も、プロミネンスバーンで焼かれて灰になってしまう。

 逃げられたかクソッ!!

 しっかりつかんでなかった俺のミスだ!!

 

「ッヒ、残念」

「エンデヴァーさん!!!」

 

 首だけになった脳無がまたしても体を再生させながら、その触手をエンデヴァーに向けて高速で伸ばそうとする。

 ホークスは白脳無の討伐で距離がある。エンデヴァーもプロミネンスバーンを放った後の冷却時間で碌に動けていない。

 その触手が向いた先、エンデヴァーを狙っている。

 

 だがここには俺が存在する(イグジスト)

 

 させるかよ。

 俺のミスでダチの親父さんを殺すわけにはいかねぇんだよ!!

 

「やらせるかァッ!!」

 

 両手で同時にダイブワイヤーを投擲。

 一つは脳無の頭に。一つはエンデヴァーに。

 空気抵抗も全部無視して神速でワイヤーの先端の分銅が飛んでいく。脳無の触手よりも速い。

 ダイブワイヤーが二つの標的に当たる瞬間に……一瞬で『無視』を調整。

 

 エンデヴァーの体を無視。埋め込む。

 さらに重さも無視。自分に向けて引っ張りこんで触手を避けさせる。

 

 脳無には『抵抗』を無視。埋め込むのではなく、ダイブワイヤーの先端の分銅を武器として使い抉り込む。

 衝撃で弾かれた脳無の体にダイブワイヤーが物理的に埋め込まれた瞬間にライトニングB・Bを起動。

 電流を流して筋肉の動きを痙攣させて止める。こいつがどんな個性で触手を伸ばしてるのかは知らんがそれが血肉の通ったタンパク質である以上、電撃で動きは止まる。

 

 一瞬の攻防。

 しかしその結果、エンデヴァーの顔面を狙っていた触手はものの見事に空を切り、脇腹に多少かすった程度に収まった。

 

「ガ─────女ァァァ!!!」

「やっかましいんだよクソ竿役が!! 男の声が五月蠅いAVは抜けねぇの!!」

 

 俺は脳無につないだダイブワイヤーに改めて個性を通して今度こそ抜けないようにした。

 首だけ千切って逃げるのはもう見たからな。二度と逃がさねぇぞこの野郎。

 再び体全てが再生されればさっきの触手っぽいのをまた放たれる恐れがある。

 エンデヴァーの体に埋めたワイヤーを外して脳無側のワイヤーを巻き取り、重力を無視した俺が再び脳無にとりついた。

 

「ギ!! お。オ前!! 強クない、つつ、強クなイノに邪魔!! ジャ、ジャま邪魔ジャマ!!」

「どうした? もっと悦べよ。俺が抱き着いてやるなんてサービスしてんだぜ竿役がよ」

「ハナ、離れロ!! 離れロ離れロハナレアアアアアアギギギギャァゴゴガッギギイ!!!」

 

 今度は逃がさない。片腕を常に脳無の頭に潜り込ませている。

 これならば再び首を自切したとしても首の方に俺が潜っているから脳ミソと目潰しの嫌がらせをやり続けられる。

 ヘシオドスの「鷹とナイチンゲール」だ。俺が鷹でコイツがナイチンゲール。どんなに泣き喚こうが鷹である俺が小鳥であるお前を逃すことはない。

 俺に恐怖しろ。もう油断はない。

 

「……イグジスト、よくやった……もう一度だ」

 

 脳味噌と目を再び内側からこねくり回していると、エンデヴァーが排熱を終えて再び構えた。

 この人も轟と一緒できっと体に熱をため込むんだ。だから冷さんと結婚して……という経緯(いきさつ)は轟から聞いている。

 でも、どんなに熱が籠っても勝利を諦めない。この人は今、象徴になろうとしている。

 ならば俺がそれを助ける。

 いや、俺()が。

 

「そのまま弄繰り回しててねイグジストくん……! 心おきなくエンデヴァーさんが放てる所に持っていく!!」

 

 ホークスの剛翼が俺と脳無の体を包み、凄まじい勢いで空中に飛びあがり始める。

 それに抵抗しようと翼を広げる脳無だがさせねぇよ。何も考えられなくなるくらい俺がメロメロにしてやるよ。物理でな。

 

「イギギギギギッギギギギギギギギギギギギ!!!」

「頼んます、エンデヴァー……!!」

 

 先程よりも空高く。

 周りの被害を一切考えなくていい、高い高い青空に俺と脳無が持ち上げられて。

 そしてそれを追うように飛んできたエンデヴァーが……再び、灼熱の光を放つ。

 それは先ほどよりも眩しく、熱く、希望の光を人々の瞳に映して。

 

「おおおおおお!!!」

 

 ────PLUS ULTRA プロミネンスバーン!!

 

 空に火柱が上がる。

 それに呑まれて再生が間に合わぬほどに脳無が炭化した。なお俺はまったく無傷。

 そんな俺達がホークスの羽根という浮遊力を失い落下する。

 体に潜り込んでいる脳無に、最早一切の活力がない事を俺は察した。

 

 勝ったのだ。

 

 ……しかし、見ればエンデヴァーも一緒に墜ちている。

 超必殺技の二連発。排熱する時間はあったとはいえ相当の負担が、熱が籠ってしまったのだろう。

 気を失ってるかもしれない。ヤバイな、このまま落ちちまったらそれこそ飛ぶ鳥が跡を濁しちまう。

 完全に意識を失った脳無から抜け出て、俺はエンデヴァーに向けてダイブワイヤーを構える。

 掴んで抱えながら地上に着水しようとして……しかし。

 

「……いらん」

 

 エンデヴァーの口から、小さく声が零れた。

 ……そっすか。了解。

 象徴が学生に助けられ続けてたら格好つかないっすもんね。

 

 ならばもう心配はいらない。漢の意地を見せてもらう時だ。

 俺は脳無と共にそのまま落ちていき……そして落下の途中で、エンデヴァーがぐっと顔を持ち上げた。

 先に着地した俺に対し、エンデヴァーは脚から再び炎を放って落下速度を落として……両の脚でしっかりと着地して、顔を上げて。

 

 

 ─────勝利のスタンディングポーズ。

 

 

 拳を突き上げ、己の勝利を日本中に魅せつけた。

 

 

 






次回はこのバトルを見てたA組や轟家の反応になります。
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