【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!! 作:そとみち
オールマイトの戦闘訓練の授業を終えて放課後。
俺達A組のみんなは教室に残って今日の戦闘訓練の振り返りを行っていた。
みんな向上心あるな。なんて素晴らしいヤツらなんだ。
俺もしっかりと考えを述べて、今日の試験についての意見交換に混ざる。
「─────耳郎ちゃんが音の索敵で相手の位置を把握したのは初動としてはよかったよな。でもその後の上鳴が一人で先行したのは悪手だったかも。口田の個性で索敵され返されて結局耳郎ちゃんが先に狙われることになっちまったし。上鳴は電気を放つ個性だろ? 周囲に迷惑かけるからって単独行動したのかもしれないけど、それにしたって相手の位置と攻めるタイミングがはっきりするまでは固まっていた方が相手も攻めにくいよね。そう考えると峰田と八百万ちゃんはよかったよな、峰田が突出しないできっちり迎撃する形で構えたから挟み撃ちにも対処できてた。あれで峰田が迎撃しきれなくても八百万ちゃんが守りに入れる形が取れてたもんな。チームを組むヒーローって単独行動せずにいかにして全員の力を全部ヴィランにぶつけられるかが勝負だって前に記事で読んだから、多分そういうことなんだろ。俺らも今後授業の中で今回みたいにペア組むこともあるだろうから、互いの個性の把握は急務だな」
「誰だお前」
「偽物か?」
「雰囲気違い過ぎない?」
「お前真面目な話が出来るやつだったのか」
「ひどくね?」
俺が真面目にそれぞれの試合の講評をしていたらなぜかみんなに変なものを見る目で見られた。
なんでや。峰田だって真面目な話をしてるのに何も言われてねぇのに。
「つーかさ幾野、俺らとしてはお前の個性が一番分からねぇんだけど。何だったんだよアレ?」
「試合後の講評でも八百万が首を捻ってたもんな」
「透ちゃんなんて『変な動きはしていませんが組んだ相手が悪く活躍できませんでしたね』なんて評価されてたし」
「いや葉隠ちゃんはそこにいるだけで助かったから。透明な味方が一人いるだけでやれること増えたし。そう……葉隠ちゃんは俺が勝つために必要な犠牲になったのだ……犠牲の犠牲にな……」
「木の葉が潰れるよ!?」
葉隠ちゃんがツッコみを入れてくるが実際犠牲にするような扱いをしてしまったので申し訳ないという気持ちがあります。
メンゴの意味を込めて葉隠ちゃんの目を正面から見据えてぱちくりとウインクを返しておいた。
照れてる。可愛い。
「───みんな、ゴメン! まだやってる!?」
「お、緑谷お帰りー」
「ケロ、なんだかすっきりした顔してるわね緑谷ちゃん」
「おかえり。爆豪とはちゃんと話せたか?」
「うん、ちゃんと話せた。ごめんね幾野くん、気を遣ってもらっちゃって」
さてそれじゃあ俺の個性について説明しようとしたところで緑谷が帰ってきた。
何やらかっちゃんを探しているということで、俺の個性で校内をウォールハックして、校門に向かう爆豪ちゃんの位置を教えてやったのだ。
なんだか先程校門前でお話していたようだが、今の緑谷の顔を見る限り悪い話ではなかったのだろう。
幼馴染のツンデレロリ巨乳と仲直りが出来たようで俺もほっこりだ。
「んじゃ緑谷も来たし改めて俺の個性の説明するか。俺の個性は────」
そして爆豪ちゃんと先に帰った轟を除いたクラスの皆に、俺の個性の説明をする。
『潜行』。対象を選ばないこと。持ち物や服も潜行させられること。個性発動時は周囲を透かして見える事。
シンプルにして無敵。そんな能力を分かりやすく説明した。
「……成程。入試の時、巨大ロボに潰されても無傷だったのはそういうカラクリか」
「私のことも見えてるんだよね、色は見えないみたいだけど! 私、人と目が合うのって初めてだったからドキドキしたよー!」
「なんてすごい個性なんだ……!! 物理も温度も、個性にも潜れるなんて! つまりすり抜けているということで……そういえば去年の雄英体育祭でも似たような個性の人が……ブツブツ……幾野くんは服ごと通り抜ける……個性も通じないとなると1対1じゃあ本当に無敵?カウンターも効かない?……すごい、オールマイトでももしかして……ブツブツ……だけどスピードは身体能力に準じるから万能の個性じゃない……どうやって個性コントロールしてるんだろう……脚の一部だけすり抜けないようにして壁の中を歩いているのか……ブツブツ……スピードでは飯田くんや峰田くんに負けるからルールのある試合だとわからない……映像を見る限り障子くんはここで一目散に核に向かっていれば……」
「やめて怖いわ緑谷ちゃん」
常闇が謎は解けたとばかりにフン、と鼻を鳴らし、葉隠ちゃんが何か期待するようにこちらを向いてきた気配がしたので俺はしっかりと目を合わせてニコリと微笑み返した。照れてる。可愛い。
そして緑谷が急に早口でブツブツ分析し始めた。一瞬でそこまで思考が及ぶのは素直にスゲーな。
「葉隠さんも見えるほどの透視能力ですか……おや? では戦闘訓練の時は……葉隠さんの裸を……!?」
「幾野……改めて問いただすが試験の最初、お前は葉隠に何をしていた……?」
「誤解だからな障子! 葉隠ちゃんと一緒にいろいろ俺の個性を試したりしてただけだから!! 同意の上だから!!」
「被告人はこう申し上げておりますが原告葉隠から意見はありますか?」
「え、あっ、そ、それは大丈夫! 私も見てもいいよって言ったし!!」
「イクノォォォ!? お前女子から裸見る許可とか許せねぇよなァ!?」
「黙れ峰田。俺の人徳によるものだとなぜわからんか」
「殴りてぇこの笑顔!」
八百万ちゃんが真実に気付いてしまい俺は障子に問い詰められたがちゃんと合意の上でのそれだったから。さきっちょまではセーフだから。
峰田はお前何気に女子の前でいい所見せてるんだから細かいことで騒ぐなよ。弱く見えるぞ。
そんなこんなでお互いに個性の紹介などをして放課後を過ごしたのだった。
因みに夜は葉隠ちゃんでシコりました。いっぱいでた。
翌日。
「なんかめっちゃマスコミいるな」
「何だ何だ」
峰田と一緒に登校してたら校門前になんかマスコミがめっちゃいた。
わからん。芸能人でも来たのか?
……あ、いやオールマイトがいるか。芸能人みたいなもんだなあの人。
記者たちは登校する生徒達に次々とインタビューを投げかけている。
街頭インタビューって許可なしでやっていいもんだっけ? わからん。
「あっ、そこの……うわ可愛い!? その、取材いいですか!? オールマイトの授業はどんな感じでした!?」
そんな中、一人の女性記者がこちらを見つけて俺にもインタビューをしてきた。
なお俺を見つけた時点で俺の顔にばかりカメラは向いて、残念ながら峰田はカメラの外である。
仕方ないね。俺の顔カメラ映えするからな。
「えっとぉ、そうですね……♥私も昨日、オールマイト先生の授業を受けたんですけどぉ……」
「誰だコイツ」
俺は声を作って可愛い系のメス声を出しながら、にっこりカメラに向かって微笑みかける。
テレビの向こうのみんなー? 性癖歪んでるー?
「とても勉強になったんですけれど……ふふっ、授業の途中でカンペをちらちら見てたんです。初々しくてちょっと笑っちゃいました♥」
「欠片も思ってねぇだろそんなこと」
「カンペ!? オールマイトも教師としては新人ということですね!? 素晴らしいコメントありがとうございました!! この映像絶対使わせていただきますね!」
「ええ、ご自由にどうぞ。お姉さんも、朝からお仕事お疲れ様です♥」
「公共の電波に乗せちゃダメな笑顔」
にっこり微笑んでからテレビの向こうの男子を駄目にするウインクを投げかけてやった。
ヒーローとして大成するには名前が売れないといけないからね。体育祭では選手宣誓もする予定だし世間が俺を知る日は近い。
「コイツとつるんでると日に日に被害者ばかり増え続ける」
「失礼な」
俺は髪をふぁさりと手で靡かせて口調を切り替え、A組の教室に向かうのだった。
「昨日の戦闘訓練お疲れ。Vと成績見させてもらった」
相澤先生のホームルームが始まった。
爆豪ちゃんの態度面への指導が入り、続いて緑谷のケツを叩く言葉も零れた。
口調こそ雑だが、それぞれ適切な指導だと思う。相澤先生なんだかんだよく生徒見てんな。いいこと言ってるよ。
緑谷は個性の制御が課題か。手伝えることあるなら手伝ってやろうかな。
「さてHRの本題だ……急で悪いが今日は君らに─────学級委員長を決めてもらう」
「「「「学校っぽいの来たーーーー!!!」」」」
そして話題は学級委員長を決めることに。
すかさずみんなが手を挙げ始めた。えっ凄い。マジ? 緑谷も挙げてるやん。責任感が凄い。
飯田も「投票で決めるべき議案!!」とか言いながらきっちり腕が聳え立っている。
「……あれ? 幾野、お前やらねぇの? こういうの喜んでやりそうなもんだと思ってた」
「いや、逆にみんなのアクティブさに驚いてる。そんなやりたいかね委員長って」
左前の席に座る切島からの言葉に俺は首を傾げて答える。俺のほかには轟くらいか、静かにしてるのは。
……え? 俺がおかしいのか? そんなにやりたいか委員長って?
確実に業務に時間が取られて、鍛錬の時間も勉強の時間も自由時間も削れるんやぞ? マジか?
「───だからこそここで複数票を取った者こそが真に相応しい人間ということにならないか!? どうでしょうか先生!!」
「時間内に決めりゃ何でも良いよ。……幾野は挙手しなかったな。お前が仕切ってとっとと委員長決めろ」
「マジすか。面倒押し付けられた感すごい」
そして無言を貫いてたら逆に仕切ることになるというね。
まぁいいやとっとと決めよう。俺は寝袋で眠りだした相澤先生の隣、教壇に立ってみんなを見下ろす形になる。
「───では今から皆さんには殺し合いをしてもらいます」
「殺し合い!?」
「まさかの
「嘘です。……まぁさっき飯田が言った通り、投票で決める感じでいいだろ。で、今はこれで決めるけど、後々で性格とか仕事ぶりとか見て違うなーってなる可能性もあるし、一か月後に一回だけ、クラスの過半数の希望があれば不信任決議取れるようにしようぜ」
俺は軽い冗談をかましてから簡潔に考えを述べる。
飯田の案と梅雨ちゃんが零した話の折衷案だ。「日も浅いのに信頼もクソもない」という梅雨ちゃんの言葉通り、俺たちはまだお互いをよく知らない。
そんな中で投票で決まった委員長でも、後日文句が出る可能性もあるだろう。だからこそ一か月後の再投票できる制度を設けることで、ある意味お試し期間としてこの一か月を過ごせるわけだ。
こうすることで委員長に決まった人が責任感を持ってちゃんと仕事をするだろうという副次効果もカバー。
みんなの顔を見ると、その内容でおおよそ納得してくれている様だ。これでいいスかと相澤先生に目配せすると寝袋からもぞもぞ腕を出してOKサインを作ってくれた。言質取ったど。
「んじゃ投票用紙作って配るわ。用紙の下に名前書いたの配るから、上側に投票する人の名前書いてね。投票用紙の内容は公表しないけど、当然ながら自薦は無効な。あー……麗日ちゃん、障子。準備手伝ってくれる?」
「ん、ええよ。用紙は……ノートでええかな?」
「ハサミをいくつか貸してくれ。俺の手なら複数枚切れるからすぐ準備できる」
「助かる。投票箱はー……別にいいか。書けたら用紙を折って教壇の上に出してもらうか。んじゃ配るぞー」
教壇の前の席に座る麗日ちゃんと障子にも手伝ってもらい、ちゃっちゃと投票用紙を配り、名前を書いてもらう。
俺は正直誰に投票してもいいんだよな。峰田に投票するのは流石に身内びいきが過ぎるし、アイツを委員長にすると女子のスカートの丈が膝上30cmになってしまうかもしれないからアイツにだけは投票しないが。
もし峰田が委員長になったらその時は俺がスカートを履いてきて精神的カウンターをかまそう。これで女子は守られる。
……飯田でいいか。ついさっき、みんなが我こそはと手を挙げる中で唯一正論を述べてたのは評価に値する。
「ほいじゃあ全員出したな。集計しまーす。えー……緑谷……八百万……幾野……飯田……幾野……峰田……」
全員の投票が終わったところで集計開始。
結果は以下の通り。上位五名のみピックアップ。
幾野 4票
八百万 3票
飯田 3票
緑谷 2票
峰田 2票
なんでや。
「なんでや」
「えー、だってセンちゃんなんだかんだで話の中心になってること多いじゃん! 私はいいと思う!」
「昨日だって結構冷静に試合見てて、放課後に鋭い意見出してたしな! 今もテキパキ仕切ってくれてるしよ!」
「入学初日ですぐ挨拶して回れるくらいコミュ強じゃん。適任じゃね?」
「オイラの意志を継げるのはお前しかいねぇんだイクノ……!」
葉隠ちゃん、切島、瀬呂、峰田がそれぞれ答えてくれた。
なんでや。退路が無くなったじゃねぇか。いや峰田はなんか違うっていうか身内投票やめろとしか言えねぇけど。
「……えー、では不本意ながら暫定として俺が委員長になりました。みんな拍手ー」
「わー! 頑張れセンちゃん!」
「ケロ、応援しているわセンちゃん」
「マジで拍手返ってくると辛いんだけど!! 一か月後の不信任決議楽しみにしてるからな畜生!」
そんなわけで何故か俺が委員長になってしまいました。
ところで副委員長が八百万ちゃんと飯田で同点なんだけどどうしよう?
「どうする、幾野委員長」
「副委員長は一人と決まっていますわ。イクノさんが選んでいただければ」
「超悩んでるから今日の放課後まで待ってもらっていい?」
実直の飯田、おっぱいの八百万ちゃん。
この命題に俺は即答できなかったのでちょっと悩みます。
ビアンカフローラの二択より悩むわコレ。