【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!!   作:そとみち

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114 合同訓練の時あらゆる意味で教師を困らせる俺

 

 

 今日も今日とてグッドモーニング早朝ランニング。

 もう12月に入り完全に冬になったんだけど朝の鍛錬は欠かさない。峰田と共に敷地内ランニングです。

 

「寒くなると走る時にどんどん体があったまってくるのいいよね」

「いい……」

 

 全力疾走しながら朝焼けに変わっていく空を見上げる。

 まだ星がでてらぁな。これが徐々に空が青白くなっていって寮に戻るころの時間には青空になってるのだ。それ見るのがマジで好き。

 どうせ走ってりゃあったかくなるしな! 寒いのは寮を出る時だけだぜ!

 

 んでえっほえっほと走ってたら、しかしそこでまさかの人物と出会った

 

「おん? 緑谷じゃねーか」

「マジかマジだ。俺たちよりも早く走り出してたんかアイツ……やるじゃねぇか」

 

 俺らの前を走る緑谷を発見したのだ。

 マジか。俺らの速度で追いついたってことはだいぶ前に走り出してやがったなアイツ。

 冬場は中々朝のランニングってみんな遠慮しだすからな寒いし。気持ち入ってんな。えらい。

 

「おは緑谷ー。精が出るな!」

「おはー。何時から走ってたん?」

「あ、幾野くんと峰田くん。おはよ……ちょっとね、変な時間に目が覚めちゃって」

 

 肩を並べて走って……やらん! 俺らの全力疾走は止められねぇ!!

 ってわけで緑谷が足を速めて付いてくるんだけどこいつもだいぶ朝練常連マンなので俺らのスピードにもついてこれるようになった。入学したころよりもだいぶ体できてきたな。

 なんか変な時間に起きたって話だけどたまにあるよねそういうのも。余りにもすっきり深い睡眠がとれると朝早くにバッチリ目が覚めることあるある。透ちゃんと夜の運動した翌日とか。

 その後は特に話題を広げることもなくだだだーっと3人で走り抜いて朝のランニングを終えた。

 

 


 

 

 登校して午前の授業を終えてお昼。

 

「メシだー!」

「メシだーメシだー!」

「こいつはメシだ」

「僕は飯田だ」

 

 クラスのみんなで昼食に向かう。今日のメンバーは飯田・峰田・轟・麗日ちゃん・芦戸ちゃん・透ちゃん・梅雨ちゃん・俺である。

 緑谷はついてこなかった。誘ったけど今日はオールマイトと一緒にメシ食べるらしい。寮生活になって買い切りの弁当も売ってるから食べる場所は割と自由なのだ。

 たまには麗日ちゃんを誘って二人きりで食べに行きゃいいのに。メリッサさんでもいいぞ。

 

 ちなみにメリッサさんはこないだ来日して以来、サポート科の寮で生活している。

 午前中は英語や開発技術関係の授業でTT*1してくれて、午後は発目ちゃんと一緒に開発室で研究、という生活を送っている様だ。

 半年くらいこの出向続くんだって。その間に緑谷のちんちんがまた狙われてしまうのだろうか。麗日ちゃん頑張れ。負けるな。同じ寮で過ごせているという強みを活かせ。多少夜更かししても許すから。

 

「センくんなんか変な事考えてへん?」

「そんなことない」

 

 応援する意味で麗日ちゃん見てたら怪訝な雰囲気を察された。するどい。

 まぁそんな普段通りのお昼を過ごして、午後の授業になった。

 

 今日の午後は演習授業。

 それも特別な授業となっている。楽しみだぜ。

 

 


 

 

 運動場γ。工業地帯のようになっているそこに俺たちはヒーロースーツに身を包んで集まっていた。

 

「ワクワクするねーセンちゃん!」

「色んな意味でね。具体的には俺にどんなルールが課されるかという意味で」

 

 相変らず手袋と靴だけが見える姿になってる透ちゃんの隣で俺は首をひねった。

 因みに透ちゃんのヒーロースーツだけど夏合宿以降に透明伝達クリアリングで自分の服まで透明にできるようになった透ちゃんは俺と御揃いのぴっちりタイプのコスチュームになっているので、冬場でも寒くないようになっている。

 が、体のラインが普段から見えるのは恥ずかしいしヒーローとして透明になっておきたいという希望で服は常に透明にしているのだとか。俺の目には可愛い顔までばっちり映ってるけどね。

 

「みんなのコスチュームも入学時と比べると随分様変わりしてきたな」

「冬仕様になってる人が多いね」

「梅雨ちゃんは寒さに弱いだろ? スーツ大丈夫なん?」

「大丈夫よ実ちゃん。冬用の防寒保温スーツにしてるし……首元のこれが体温調節機能付きのマフラーなの。寒くなくて助かってるわ」

「こないだ発目ちゃんに作ってもらってたね」

 

 みんなそれぞれコスチュームを進化させている。

 八百万ちゃんはひざ下まで届くマントを装備して痴女っぽさが増してるし、女性陣も肌の露出が全体的に減ってきている。冬用って感じか。芦戸ちゃんのもこもこマフラー可愛いな。

 男子で言えば爆豪ちゃんが梅雨ちゃんと同じように防寒発熱機能付きのスーツになった。チームアップミッションじゃ大体こっちのスーツだったな。黒とオレンジで整ってるから素直にイカしてんな。センス◎。

 

「緑谷が一番変化激しいよなー。最近またなんかグローブ変えた?」

「うん、やれることが増えてきたからさ……すごいんだよこのグローブ! 既に三代目なんだけど発目さんとメリッサさんが強度の調整までしてくれて!」

「こないださらに手になじむようにメリッサさんがめっちゃ調査してたね開発室で。発目ちゃんが俺のダイブセンサー調整してる間にメンテし終わるんだからメリッサさんも開発スピード早くなったよなぁ」

 

 緑谷が前に作ってもらってたグローブも日々進化を果たしている。使い慣れているのもあるし、メリッサさんが緑谷が使いやすいように細部を調整しているのだ。

 50%までの力なら躊躇いなく放てるようになっている。もっともそこまで力を振り絞るシーンがあるかというと微妙なのだが。今は30%フルカウルまでなら体が耐えられるようになったので大体それで何とかなる。

 

「去れ!」

「麗日ー!?」

 

 尾白と一緒に緑谷のグローブの話してたらなんか麗日ちゃんが発症して己の顎を拳で殴っていた。

 んん。メリッサさんへの嫉妬かな? かわいいね♥先手必勝♥

 でもメリッサさんがきっとアメリカ人で性に奔放な所があるからまだ多分緑谷のことはセックスフレンドとしか見てないから……パートナーって言う距離感まで秒読みだけどまだチャンスはあるから……。

 頑張れ……俺は麗日ちゃんも応援してるよ。他にも爆豪ちゃんや青山やオールマイトって言うライバルが多いけど頑張ってな……。

 

「センちゃんがまたおバカな妄想しています」

「最近はより分かりやすくなってきましたわ」

「あーゆーとこ好き」

「わかります」

 

 透ちゃんと八百万ちゃんがひそひそ言ってなんかわかりみ深く頷いてた。なんや。

 

 さて、そうしてA組のみんなの準備ができたところで、そこに近づいてくる20人の影。

 向こうもまた全員がヒーロースーツに身を包んでいる。

 もうお分かりだろう。B組の皆さまだ。

 そう、今日はA組とB組での戦闘訓練なのである。

 

「おいおいおいおい……まァずいぶんと弛んだ空気じゃあないかA組ィ!? 僕らを舐めているのかい!?」

「いや欠片も舐めてねェよ?」

「ワクワクしかないよね」

「お互い切磋琢磨したもんねぇ。夏の頃楽しかったなー」

「よろしくなー!!」

「おー!! こっちこそよろしくな!!」

「幾野。先日はインターンの口利き助かった」

「私はラーカーズで今後もお世話になる事でしょう。シンリンカムイとの出会いは天啓でした」

「ん」

「ええよええよー。ラーカーズも色んな卵と交流が持ててプラスなところあるしな」

「B組女子のヒーローコス……いい……!! 捗る……!!」

「実ちゃん」

「ぐえー!!」

「ウケる。もう尻に敷かれてんじゃん峰田」

「仲良しノコ」

「和気藹々とした雰囲気になってしまっているねェ!? シロクロつけようよシロクロォォ!!!」

「やめな」

「ンッフ!!」

 

 発症した物間がいつものライバル心全開でやって来たけど既にA組とB組の仲は大変良好になっております。

 もちろん演習だから手を抜いたりヌルくなったりってのはないけど、戦う前と戦った後はノーサイドでいこうや。恨みつらみをする理由なし。

 梅雨ちゃんの舌に捕えられた峰田を見て片腹を痛めつつも、教師陣も集まってきたのでまずは演習前の説明から。

 

「さて……今日はA組とB組の合同戦闘訓練だ。真剣にやる事」

「さらに今日は特別参加者(ゲスト)がいます」

 

 最近身長が1センチくらい伸びた相澤先生と、その隣に身長の高いブラド先生が並ぶ。すごい身長差になったもんだわ。

 で、その説明を受けて……ゲストが一人混ざるとのことで。

 まぁみんなその言葉でほとんど予想が付いている。放課後訓練でも仮免試験でもどちらのクラスにも顔を出してるヤツがいるもんな。

 

()()()()()()()()()()()()……現C組、心操くんだ」

「おおー!? 心操ヒーロー科への編入決まったんスか!?」

「前々からさんざん努力をしてたのは見てたけど!! おめでとう心操!!」

「いいね……心操くんがB組に入れば更なる戦力になる! B組の優位が更に伸びるってもんさァ!!」

「仮免も無事に取ったし、その後のインターンでのヒーローたちからの評価もおおむね好評。学業でも試験をパスしてる……なので来年1月の三学期から編入になる」

 

 出てきたのはやっぱり心操だ。ヒーロースーツに身を包み、ニヒルな笑みを零している。

 まぁマジで頑張ってたもんなコイツ。体育祭の後から職場体験にも行って、相澤先生の元で鍛えまくって……夏休み中の個性伸ばしにも参加。その後もA組とB組それぞれの放課後訓練には必ず参加してたし、インターンも俺が仲介した後は自分で人脈作って結構な頻度で出てたらしいし。

 試験もパスしたってことで来月から編入になることが決定したそうだ。やったな。

 

「編入はどっちになるんですか!? A組!? B組!?」

「A組に来ようよー!! 一緒にがんばろ!!」

「B組がよいですぞ!! 仮免試験の絆を思い出すのですぞ心操氏!!」

「どっちに入るかはまだ確定していない。今日の演習でその辺の噛み合いも見て本人と教師陣で相談して判断する予定だ」

「俺としては今の所フラット。A組にも幾野はじめ世話になってるし、B組にも仮免の恩があるし……ま、どっちに行ってもよろしく。今日も全員超えるくらいのつもりで来てるんで……そっちもよろしく」

「「「おおー!!」」」

 

 どっちのクラスからも歓迎の言葉が溢れていた。あったけぇ。

 編入がどっちになるかは今日の戦闘訓練の噛み合いも考慮されるって話だ。こりゃ頑張らねぇとな。勝った方に入る……って単純な話でもないだろうけど、負けた方がいいなんてことはないだろうし。やる気出てくるね。

 

「じゃ早速始めるか……今日は戦闘訓練!! A組とB組の対抗戦で舞台はここ運動場γの一角!! 双方4人組を作り1チームずつ戦ってもらう!!」

「相澤センセー小さくなったからなんか可愛くない?」

「分かるノコ」

「普段A組の授業くらいしか出なくなったからあんま見ないもんね」

「oh……ショータ先生、可愛いデス!!」

「五月蠅いぞB組」

 

 相澤先生が声を張り上げて今日の授業の説明をしたところでB組女子陣から黄色い声が飛んだ。

 俺らA組は流石に慣れたけどまぁショータ先生状態だからね。中学生が頑張ってるような感じある。微笑ましいものを見る視線に相澤先生がむすっとしてた。そういう顔ですよそういう顔!!

 

「さて……しかし心操氏を加えると41名。この半端はどう解決するのでしょうか」

「心操は2回参加させる。A組チーム・B組チームそれぞれに一回ずつ……つまり5試合中2試合は5人チームになる」

「……ん? 5対4になるって事っすか?」

「そんなん4人が不利じゃん!!」

 

 授業の説明が続く。心操が混ざることで4人1チームになると人数比がおかしくなる。

 で、そこは心操が2回参加することになるようだが……そうなると当然5対4になるので比率がおかしい。

 今や心操の能力もお互いの個性の理解も得られているし、チームアップミッションで連携の特訓もしているから心操が混ざることでチームの戦力が落ちるようなことはない。純粋に心操の入るチームが有利になる。

 だが、そこは教師陣も策を練ってきたようだ。

 

「ああ、お前らの言う通りそのままじゃあ合理的じゃない……だから心操が入って5人のチームになった場合は、その相手となるチームにも一人追加となる」

「え!? じゃあ5対5になるってこと!?」

「誰が入るんですか? クラスの内誰かが二回やるって感じになるんですか?」

「いや、ソレだとまた不公平感も出るので第三者的な立場の存在を入れてフラットに行く。つまり……」

 

「─────()()()()

「「「相澤先生がァ!?」」」

 

 衝撃的なルールとなった。

 つまり心操が入ったチームを相手するチームには相澤先生が入り、5:5の勝負になるということで。

 いやでも流石にそれは逆に心操チームが不利すぎんか!? いくら縮んでるとはいえイレイザーヘッドはプロヒーローだし!! 『抹消』がチートだから見られたら相手によっちゃ終わるのでは!?

 

「俺にはもちろんハンデをつける。『抹消』は使わないこと、そしてチームの指示を受けてそれで行動すること。無論、適宜の判断で戦闘は行うが……チームの指示を逸脱するような動きはしない。俺を上手く使って見せろヒヨッコ共」

「うおお……!! マジか!! 個性無しでもプロヒーローがチームに入るのか!!」

「ちっちゃくなったけど実力据え置きみてぇなもんだしな……!」

「捕縛布の扱いや瞬間的な身のこなしはまだ心操も及んでねぇもんな……アレだけで普通の戦闘ならおつりが来るぜ」

「ケロ、その分心操ちゃんには個性がある……連携次第って事ね」

「相澤先生の個性無しなら火力や作戦次第でなんとかなるかも。バランス取れたなこれ」

「A組のチームに入る時だけ本気出したりしませんよねェ!? A組可愛さにさァ!!」

「アホか物間。相澤先生だぞ? むしろA組相手にするときに本気出してくるだろこの人」

「……確かに」

「どっちにも全力で取り組んでやるからそこは安心しろ」

 

 中々面白いルールになってきたな?

 心操が味方に入った時には洗脳の個性を万全に活かすためにどう連携するかが課題となる。

 逆に、心操が相手に入ったチームは相澤先生が味方に入るので、戦闘経験豊富なアタッカーが加入することになる。『抹消』は使わないという事だがそれだってよほどのパワータイプの個性じゃなければ優位を取れるだろう。元々捕縛布を使った近接戦闘だけで大型ヴィランすら手玉に取るお人だ。

 楽しくなってきたな。そのチームになっても、ならなくても……見るだけで勉強になりそうだ。

 

「さてではルールの説明を続けるぞ! 今回の状況設定は『ヴィラングループを包囲し、確保に動くヒーロー』! お互いがお互いをヴィランと認識して……」

 

 ブラド先生が演習の説明を続けてくれた。

 お互いの陣営にある檻に相手を投獄したら捕まえた判定になり、そこに相手を全員ブチ込めば勝利。勿論行動不能にしてもOK。

 自陣の近くで戦闘不能に陥らせるのが最も効率的のようにも見えるが、そうそう上手くはいかないだろう。お互いにそうさせまいと動くからだ。

 お互いの個性を理解しているうえでの戦闘訓練……推理力も必要になってきそうだな。

 制限時間は20分。その間で相手を全滅させるか、制限時間終了時点で多くの敵を投獄していたチームの勝利になると。

 

 さて。

 ここまでおおよそ説明は受けたのだが……しかしそろそろ聞いておくかと俺は自分から挙手した。

 大体こういう生徒同士でやる戦闘訓練の時って俺アレなんよね!!

 無敵すぎてハンデ課されるんだよね!!

 仕方ないね。俺だってチート個性で俺TUEEEEしたいわけではない。

 みんなの訓練の為になるなら何でもやりますよ俺は。

 

「ハイ先生!! 俺はどうすればいいですか!!」

「うむ。幾野だが……お前だけは捕らえるのが余りにも難しい個性だからハンデをつける。悪いがな」

「ブラドとも話したんだがな……幾野、お前が入ったチームはお前以外の3人が投獄されたらA組チームの負けとなる。心操か俺が混ざってたら4人だな」

「なるほど。まぁそりゃそうっすよね、そうしないと俺がチームに入った時点で投獄負けが無くなるし。他には?」

「制限時間終了時点でお前のいるチームと相手チームの投獄人数が一緒だった場合は引き分けとならずB組が勝利になる。投獄人数比の差だな。仮に一人ずつ投獄で制限時間終了となればお前の入ってるチームが負けだ」

「ふむ。それもそうっすよね。で、他には?」

「それだけだ」

「マジで言ってます?」

 

 俺に課されたハンデが余りにも大したことなくて逆に驚いてしまった。

 えっ、良いの? 俺の個性の使い方とかアイテムの使い方縛らなくて。マジで? ウォールハックもダイブワイヤーもダイブセンサーも使っていいの?

 脳無やイカれ治崎が相手ならともかく……いいの??

 

「───『本気でやっていいの?』って顔だねぇ幾野くん」

「物間……」

僕たち(B組)無礼(ナメ)ないでほしいね。これは僕たちの総意だよ。ヴィランが君みたいな強さを持っていないなんて限らないんだ。強いから手加減してください、なんてヒーローが言うはずがないだろう?」

「……や、そりゃそうだけどよ」

 

 そんな俺に物間が普段のイカれた笑顔ではない……不敵な、ガチ目の笑みを浮かべて声をかけて来た。

 コイツこの顔めっちゃ様になるな。アホなことしてなけりゃ顔がいいからな……煽り合いでマウント取れる顔だ。

 しかしB組のみんなも物間のこの意見には真っすぐな表情で同意して俺を見てくる。

 ……ンモー!! お前らプルスウルトラしすぎっしょ!! そんじゃ手加減しないからね!!

 

「それにだ……A組に君がいるように、()()()()()()()()。バランスは取れてるのさ」

「! ……なるほどね? そういうことか」

「そういうことさ。今日の演習……()()()()()()よ、幾野くん」

 

 そして物間が俺に手を差し出してきた……ああ、体育祭の時の焼き増しだな。

 あの時はお互いにお互いを理解していなかったが、今やコイツも親友と言っていいくらいに関係は深くなった。

 その握手を求める手の意図も分かっている。成程ね。確かに……それなら俺たちは平等だわな。

 

 一応、振り返ってA組のみんなの顔を見る。

 みんなの顔に……否定の色は浮かんでいなかった。

 やってやれと。物間に俺の個性をコピーさせて、なおそれを超えてこそプルスウルトラだと。

 そんな気持ちが一目で分かるような好戦的な顔。もう顔見るだけで気持ちが分かるくらいになったよな俺らも。

 

 ……ったくよ。

 マジでみんな成長しすぎ。誰のせいだよまったく。

 

「じゃ、よろしくな物間。手加減無しでやろうぜ!!」

「ああ。君たちに勝って見せるとも」

 

 俺は物間の個性を無視しないように調整して、その手を強く握り返したのだった。

 

*1
ティームティーチング。ググれ

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