【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!! 作:そとみち
「仕切り直します」
みんなからの拍手が終わったのち、相澤先生の鶴の一声でいったん第五試合に参加していたみんながフィールド中央の広間に集められた。
なお俺もここにいる。ワープして出てきてしまったが引っ込みもつかないのでちょっと話聞いていきます。緑谷の調子も気になるし。麗日ちゃんの様子も。二人とも顔まだ赤い。
「えー……とりあえずお互いに大きな怪我はないか」
「麗日のほっぺがちょっと擦り傷あるけど」
「ああ! ごめん麗日さん、なんてことを……!」
「大したことあらへん! 大丈夫だよデクくん!」
黒いアレに向かって躊躇いなく抱きしめに行った麗日ちゃんのほっぺに黒いヤツが擦って擦り傷が付いてるが……それ以外のメンバーに大きな怪我はなし。
女を傷物にした緑谷は責任取らないとな。多分リカバリーガールで治るレベルだろうけど。
「助かったわー峰田。やっぱ流石なー」
「ホレてもいいんだぜ?」
「梅雨ちゃんにチクろっか?」
「控えて」
芦戸ちゃんに暴走した黒いアレが飛んでった時に峰田が守ってたらしい。見る暇はなかったが……流石って所か。
後から合流した庄田、柳ちゃん、小大ちゃんは黒いアレをしっかり回避してたようだ。暴走の最初の方しか飛んで来なかったんだって。
物間は俺の個性を使ってスルーしてた。最適解だろう。
心操と相澤先生は遠くだったから黒いの飛んできてなかった。ふむ。
とりま被害が最小で済んでよかったです。
「じゃあまず緑谷……何なんだおまえ。今のアレ」
さて、みんなの無事を確認できたところで相澤先生がみんなが抱えていた疑問を緑谷にぶつけた。
「めっちゃ黒いのぶっぱなしてたねェ。制御できてなかったみたいだけど……」
「日に日にバケモノになっていくなキミは」
「君の個性は超パワーだと理解していたのだが。先ほどの技は逸脱していないか?」
「かなりウラメシいよアレ。速いし遠距離まで届くし」
「む」
芦戸ちゃんや物間、庄田や柳ちゃん、小大ちゃんも疑問に思っているらしい。
峰田や麗日ちゃんも口にこそ出さないが何だったんだと思ってるだろう。
ぶっちゃけ俺も思ってる。緑谷もそう思ってるに違いない。
ただ、さっきオールマイトと話してた……OFAの力に関係があるものだとは察する。
大丈夫かな。口滑らせんなよ緑谷。
「……僕にも……まだハッキリわからないです。力が溢れて抑えられなかった。僕自身すごく怖かった。50%の力を本気で人に向けたから……なのかもしれません。きっと僕の個性の新しい段階なんだと思います。ぼんやりと前から見えてて……」
「50%で狙われた僕の気持ちにもなってほしいね。……まァ煽り過ぎたよ、悪かった」
「ううん、僕も冷静じゃなかった。ごめんね物間くん」
「……今は大丈夫なのか」
「はい。少なくとも意識しなければアレは出ないと思います。30%くらいに上限を抑えてれば出ない……です。先生、僕のせいで一時中断になってしまったのは本当に申し訳ないですけど、試合を再開できませんか」
「そこを俺も悩んでいた。お前ひとりの事情で最終戦を中断するのは他のメンバーに申し訳ない。……お前らの中でもうやりたくないってやついるか?」
とりあえず緑谷も自分もわからない、けどもう出すことはない……と説明して相澤先生も納得しきれてはいないだろうが呑み込んだ。
個性であることは間違いないので相澤先生の抹消が効くしな。次からは相澤先生がより注意して緑谷も見ていればいい。俺が常にスタンバっててもいいし。
で、当然だけどその後に続いた相澤先生の問いに対してはみんな首を横に振って雄弁に応えた。
中途半端に終わるつもりもない。やりあうならガチだ。
まだ誰も大きな怪我はしてないし無茶な個性の使い方をしたやつもいない。
物間もコピーした個性のネタバレはしきっていない。
緑谷もマックス30%に抑えて戦うということで、それだって十分な脅威度。やることは変わらないだろう。
「……ブラド」
『こっちでも教師陣で検討した。オールマイトとも話したが……相澤、お前の判断に委ねる。生徒たちにまだやる気があるのに一方的に止めるのもな。だが万が一再び緑谷が暴走したときは必ずお前が止めろ』
「ああ。……決まりだ。もう一度スタート地点から再開する。緑谷は30%以上の力を使うことは厳禁。もし黒いのが再び出てきたら俺が止めた上で、お前はその時点で失格。それでいいな」
「「「はい!!!」」」
第五試合の仕切り直しが決定した。
次は緑谷が暴走せず……真っすぐな試合になるだろう。頑張れよみんな。
「じゃあ幾野。お前は戻れ」
「うっす。なんか出てきただけでなんもできなくてすみません」
お互いがスタート地点に戻る中で俺も相澤先生の指示を受けて観戦席に戻る。
なんか……なんもできてねぇわ今日の俺! 第四試合もだけどダチが危ない所に飛び出して行ってもなーんもできてないし!
いかんなぁ。もっと決断早くしないと。インターンで鍛えてるはずなのに緩んでる気がする。
まわりにみんながいるからかもなぁ……甘えてるのかもしれない。この甘えはよくない。
「……緑谷を助けるために飛び込んできたことは評価する。不発だったが……俺よりはよっぽど働いた。その行動を恥じるな。お前の神髄はきっと
「……ッス」
そんな風にもんにょりした顔をしてたところで、別れ際に相澤先生が慰めてくれた。
優しい。気遣いできるお人なんだから。敬意深まってしまいます。
それを同僚女性やエリちゃんにも向けてやってくださいよ。
さてそんなわけで俺もダイブワイヤーで色々無視して移動し、再び始まる第五試合の観戦に戻ることにした。
はい。
今度は俺視点で試合が進みますよ。ウォールハック全開。
「なーんか大変だったなー」
「緑谷くんの新しい力か……暴走してしまったが。入学当初を思い出すな」
「あの頃自爆マンだったもんね緑谷。あの力もそんな感じなのかな」
「でもあれ相当自由度高そうな力だったぜ。コントロール出来るようになりゃまた緑谷強くなるな」
「やれることの多い個性だよなーマジで」
「幾野ほどじゃねェけどな」
「確かに」
さっきの緑谷の暴走についてはクラスのみんなも首を傾げてはいたが、まぁこのクラスには出来る事多すぎマンの俺がいたからな。そこまで疑問には思ってなかった。
ちょっと能天気すぎるかも、とも思うけど……ダチだからこそ疑わない優しさがある。その優しさに今は甘えよう。
俺も爆豪ちゃんもぶっちゃけ今はアレが何だか分からないし。この授業終わった後改めてオールマイトと緑谷と話す必要ありそうだ。
「仕切り直しになったけど……A組は戦法変えたな!」
「緑谷には麗日がセットでついて、峰田は芦戸とコンビか」
「早速カップルやってんじゃん二人ともー! いいねぇいいねぇ!」
「あれ程劇的な告白は中々ないよね」
「少しときめいてしまいますわね。愛の力で暴走を止める……物語のようですわ」
「その後ギャグになったけどな」
「相澤先生はー……やっぱり全体見える位置か。先生の役割は変わらないかな」
「さっきは心操いい感じに相手できてたけどねー。警戒しちゃうか?」
試合の流れを見守る。
A組メンバーのやることは大きく変わっておらず、緑谷が先行、峰田が後衛……だけどお互いの距離を空け過ぎず、麗日ちゃんが緑谷についている。
もしもう一度暴走が起きた時は全員がフォローできるような距離感だ。あったけぇなアレ。麗日ちゃんは意地でも一緒にいるって話をしたんだろうな。
いいなぁ。隣にいてやれてる。
今日の麗日ちゃんはちょっと俺にまぶしすぎるぜ。
「B組は……こっちはあまり変わってないね」
「近接苦手な二人をフォローに回る庄田の3人コンビと、先行する物間と奇襲する心操か」
「A組がペア組んでるから今度は心操の個性刺さりそうじゃない?」
「それもあるし……物間なら完封できんだろ」
「幾野の個性も貰ってるし、アイツ奥の手もあるしな」
「今の物間氏はそうそう負けはしませんぞ」
「まだ教えてくれねーのかよ!? ネタバレしろってB組ー!」
さてB組だがこちらは先ほどと変わらない攻め。
物間が先行し、後続の3人がセットで支援に回り……心操は単独行動。
さっきの相澤先生の動きが見えてて心操がまた同じ動きをしてるってのがちょっと気にかかるが、どうもB組はあの構えに絶対の自信があるらしい。
それだけ物間がコピーしてる個性が強いって事か。B組教えてくれないんだよな。
一つは俺の個性で間違いないんだろうけど、残り二つがまだ見えてない。どうなることやら。
「……お!? 物間がさっきと違う行動に出た!」
「潜ったな! 幾野が良くやるヤツ!」
「あれ奇襲に最適だよね……緑谷と麗日の位置はバレたか。まぁあの二人は音出してるしな」
「囮になってるけど……物間がその二人をスルーしたな。後方に向かってるか?」
「物間のあの動き方だとウォールハックは使ってねぇな。ミリオ兄さんみたいに潜ってる時は見えてないはず。時々顔だけ出して周囲見渡してるから……でもそれでもあそこまで動けるのは流石としか言えないね。慣れてんな俺の力使うの」
「私がセンちゃんと一緒に潜ってるようなもんかー! 回りなーんも見えないんだよね!」
さっきと異なる戦況の動きが生まれた。
緑谷と麗日ちゃんコンビを地中に潜ることでスルーした物間。後続を先に潰しに行く算段か。面白い。
これにより、緑谷麗日ちゃんが3人コンビと接敵し、物間が峰田芦戸ちゃんコンビと接敵することになる。
先に相手を潰した方が戻って挟み撃ちに出来る構えだけど……物間の場合は俺の個性が持続する間は挟み撃ちになってもそこまで影響はない。
だが物間がこの地形で瞬時に峰田を潰す事が出来るのか。スピード勝負になったら俺の個性なんか意味ないぜ。
その自信があって行ったのか。よほど便利な個性を持っているのか? 洗脳は警戒されてるだろうし……。
「お、まず緑谷たちが庄田たち見つけたな!」
「心操がそこの周囲で洗脳狙ってる……けど緑谷も麗日も全然声出してねぇな、もう警戒してるか!」
「相澤先生が緑谷くんたちを追って……その道中に心操くんが隠れている。先生ならば見落とすことはないだろう」
「物間も峰田たちに接敵したぜ!」
「始まるな! 前と後ろでドンパチだ!!」
おおむね予想通り、前と後ろで同時にバトルが始まった。
まず前衛。
緑谷も15%くらいの出力で飛び回り始め、スピードで牽制しつつ麗日ちゃんを守りつつ、麗日ちゃんもガンヘッドマーシャルアーツが使える距離まで接敵。
もちろん柳ちゃんと小大ちゃんがそれを許さない。複数飛ばすポルターガイストがサイズを急に変えたり庄田のツインインパクトで更に衝撃を与えて軌道変更したり加速したり。
いや、緑谷も悪い動きじゃないけど三人のコンビネーションがホントにいい。うかつに攻め込めない緑谷。
で、そこに声を飛ばそうとする心操だけど相澤先生が接敵した。こっちはさっきの焼き増しか。
相澤先生としては心操を早急に捕縛したうえで緑谷たちの援護に回って……と言う所だろう。
さてじゃあ後衛。峰田と芦戸ちゃんを見つけた物間が二人の前に出てきて、お互い臨戦態勢。
芦戸ちゃんは酸を纏って滑るように移動しながらアシッドアタック。今はかなり遠くまで広範囲に巻き散らせるようになってるし、物間の『無視』の精度では俺のように酸性だけ無視したり……と言うのはできないだろう。シンプルに物理的に無視するしかないから個性の発動時間を強制させられる。
峰田は当然の跳峰田スクランブル。マシンガンの様な跳躍音が観戦席にまで響いてくる。あの速度と無軌道な動きを見切れる奴は雄英一年にはいない。
もぎもぎネットを投げつけてこちらも無視の時間を削って、その間耐える……という戦術。
もちろん二人とも物間が心操の個性をコピーしている可能性も危惧し、お互いの会話は最低限。
これは物間がきついか? B組に緑谷のフルカウルをブチ抜ける火力はツインインパクトの連発くらいだろうけどそれを捌けない緑谷じゃない。時間がかかればかかるほどA組有利になっていく─────って。
え。
うわ。
マジか。
「───ッ嘘だろ!?
「ケロ!?」
「えー!? 嘘ォ!? アイツが倒されてるの初めて見た!?」
「急に倒れたように見えたぞ!? ガス系の個性か!?」
「なんか跳峰田踏み外して自分からパイプに突っ込んでったような……」
「……!!
「『抹消』か!!」
マジか。
物間の奴、相澤先生の『抹消』をコピーしてやがった。
あー……いや、見てからなんだけどそりゃそうだ。相澤先生もウルトラチート個性。
いつコピーしたのかは知らないけど、前々から持ってたのか……それともさっきどこかで触れたのか。
相澤先生の事だからインターンで必要だ、って言われれば普通にコピーして渡しそうな気もするしな。ストックし続けてたという事なのだろうか。
これは確かに必殺だ。
峰田だけじゃない、あらゆる相手に特効の個性。効かないのは俺だけだ。
跳峰田の最中に、その姿を軌道を追って見ることはできる。それで峰田の個性が抹消し、もぎもぎの効力を失って……跳ねることができずにその勢いのままパイプに突っ込んじまったんだ。
芦戸ちゃんも酸が急に止められてズッコケた。そしてその隙を逃さずに物間がまず峰田に突撃。
相当ダメージが入ってしまった峰田はそれに抵抗できない。
峰田の強さは個性の使い方によるもの。その体は5歳児相当の身長で、勿論投擲力などは全力で鍛えてはいても……間合いが違いすぎる。
腹パン一撃で峰田がやられた。
クソ物間がよォ!!
これには俺も梅雨ちゃんもお怒りです。後でまた性癖破壊してやるからなあの野郎!!
「あー……芦戸もやられちまったか」
「んー。三奈ちゃんなら素の格闘もいいから粘れると思ったんだけどねぇ。わりとあっさり凌がれた……?」
「物間ってあんなに格闘できたっけ?」
「いや……明らかにパワー系の個性も使ってるように見えた。踏み込みが早過ぎる」
「幾野の無視と、相澤先生の抹消と、もう一つ増強系の何かって感じだったか」
「組み合わせえげつねー!! 前二つでおつりがくる上に近接戦闘でもヤレんのかよ!!」
芦戸ちゃんも果敢に肉弾戦を挑んだが、物間にあっさりやられてしまった。
俺の無視を使って……ってのともちょっと違う。無視を使いながらの肉弾戦って割と難しいところあるしな。使いこなすには習熟がいる。俺やミリオ兄さんのように。
でも物間は芦戸ちゃんのパンチを軽々といなして再び腹パン。一撃で堕とした。
で、芦戸ちゃんを軽々と抱えて峰田も片手に抱えて……うん、二人の体重が軽いとはいえあれは明らかに増強系の個性を使っている。
どこから持ってきたのか知らないけどアレは強いぞ。やるな物間。
「後ろはケリついちまった! 前は……!?」
「視るよ。ここでの戦闘でケリつきそうだから音も入れるか……今は緑谷と麗日ちゃんが押し気味かな。庄田がやられて……柳ちゃんと小大ちゃんだけだと中々緑谷の30%は凌げねぇか」
俺は一旦ウォールハックで見る視界を緑谷たちの方に戻す。
そこでは庄田が既に緑谷にやられてたのか倒れており……残る女子二人には麗日ちゃんが果敢にガンヘッドマーシャルアーツで攻めている様だ。
緑谷も続いて援護に回るようだ。これは上手く麗日ちゃんのほうで緑谷と庄田がタイマンできるように女子二人の注意を引いたかな。いい嫁さん。
こうなるとまっすぐ進めばB組3人は打倒されそうだけど……心操と相澤先生次第か。
あの二人どこだろ…………あ、いた。
近くで捕縛布バトルしてら。けどやっぱり心操がちっと押され気味か。
「んー、まだA組チャンスあるな! 心操を落として他3人も制圧できれば物間VS3人になる!」
「峰田芦戸のコンビがやられたとわかれば緑谷たちも相当警戒するだろうな。相澤先生はそもそも個性を使っていないから抹消をかけられても物間に対抗できる……ッ、なんだと?」
「え、心操……!?」
二人の勝負を見てたところで……心操の動きが、変わった。
その声をダイブセンサーで拾っていた。
洗脳をかけるために喋っていた心操が、決意の眼差しに変わって、そして。
『先生を……【超える!! 超えて見せる!!】』
『ッ……!?』
強い意志の籠った言葉を放った次の瞬間に、心操の動きが一変した。
速度も、捕縛布の扱いの精度も……まるで相澤先生のように。
いや、若返って筋力が落ちた相澤先生を超える様なそれに変化し、逆に相澤先生を追い詰めていく。
なんだ? 何が起きた?
実力を隠してたのか心操……? でもそれなら最初からやってればよかったのに。
「……ケロ。アレはもしかして……」
「知ってるのか梅雨ちゃん?」
「ええ。前に心操ちゃんと話したときに聞いたことがあるの。心操ちゃん、
「マジで? ……なるへそ、さっきの声で自分に暗示かけて限界超えて力出してんのか! やりよる!!」
心当たりがあったらしい梅雨ちゃんに聞くと、なんと心操は個性伸ばしの結果自分にも洗脳をかけられるようになっていたらしい。
確かに見れば心操の目がだいぶ遠い感じになっている。アイツ顔がいいから洗脳かけられてもむしろバトルモードみたいな感じでかっけぇな。
で、自分にかける洗脳は暗示の様な効果を出せるようで、自分の限界を超えて動けている様だ。体に影響出るだろうが……今が切り札の切り時と見たか。
相澤先生も、自分よりも速く動き自分よりも捕縛布の扱いが上手い相手などするのは初めてだろう。
抹消が使えれば当然対処はできるのだが、今はそれを縛られている。一気に戦況は傾いて……相澤先生の体が動かせないように、心操が捕縛布で捕えた。
……やりやがったなアイツ。マジモンのプルスウルトラだ。
普通科の生徒が半年強で教師すら超える成長を果たしたんだ。やべーよ。
「心操が相澤先生に勝ったァァ!!」
「すげー!! うわーちょっと俺A組だけど嬉しいまである!!」
「やりましたね……! いつも努力なさっていましたものね、心操さん!」
「すげぇな……あいつ」
「抹消を使っていなかったとはいえ……震えてしまうな。だが流石に限界は来るのか、あれほどの動きは……膝をついたようだ」
「緑谷と麗日ちゃんもB組三人を制したね。小大ちゃんと柳ちゃんは綺麗に堕とされたな。麗日ちゃんもネックストーン使えるんか」
「ガンヘッドマーシャルアーツにも首トンの技術あるんだよー。拳藤ちゃんに一緒に教わったった!」
「アタシのともちょっと違う力の入れ方だけどね」
心操が相澤先生を制するというジャイアントキリングを見せつけたが、流石に限界を超える動きをする洗脳は長続きしないのだろう。かつての緑谷のように体に反動が来たか、それ以上は動けそうにもなく。
で、その間に緑谷と麗日ちゃんがB組3人を制したが……しかし、そこに物間が来た。
峰田と芦戸ちゃんを捕えたのを見せつける物間。緑谷も麗日ちゃんもそれを驚いたように見て……今度こそラストバトルだ。
「緑谷が突っ込んでったな! けど……!!」
「あーやっぱ消された!! エグい!! 転ばなかったけど!!」
「こりゃA組キツいぜ……物間にはまだ幾野の個性も増強系個性も残ってるし!!」
「隙を突いて首トンできれば……」
「いや……物間の油断がない。厳しいな」
「いけェ物間ー!! 今日のお前が最強だ!!」
緑谷がフルカウルで突っ込んでいったけど、即座に物間が『抹消』で個性を消して対抗する。
いったん二人を置いて、増強系個性で飛び込んだ物間が緑谷を圧し始めた。麗日ちゃんも援護に加わるが、物間の動きがいい。麗日ちゃんがカウンターの腹パンで沈んだ。
緑谷も素の近接戦闘は鍛えており、芦戸ちゃんや峰田よりは動けるものの……物間の純粋なパワーに攻めきれない。厳しい。
拳で語り合う二人の声を、俺のダイブセンサーが拾い上げる。
『やはり持つべきものは友だよ緑谷くん!! 僕にも色んな友達がいてねェ!!』
『っ……!!』
『洗脳を警戒してるのかな? 大丈夫さ、君はこのまま拳で仕留める……仮免試験会場で知り合った友達がいるのさ。雄英の入試で惜しくも落ちてしまった彼だがその後他校のヒーロー科で研鑽していたようでねェ。中々話も合ったので親しくさせてもらっているのさ。何より使い勝手のいい個性だった。そして僕の能力を聞いても蔑まない、笑わない……いい人だった。体も心も大きな人だった』
『……ッ、……!!』
『雄英だけが全てではない、そう感じたさ! 彼とは先日チームアップミッションでもたまたま共にしてね。お願いして個性をストックさせてもらっていたんだよ! シンプルな増強系の個性で使いやすさが素晴らしくてね。デメリットも5分使えばコピーが切れる僕は無視できる。君のように暴走や暴発をする増強系個性とは大違いさ!! 力は使い所だよ緑谷くん!! 最後に君を倒すその個性の名を教えよう!!』
『くぅっ……!!』
緑谷が煽りと共に攻め立てられ……体勢を崩された。終わりだ。
最後、物間の必殺の拳が突き刺さるとともに、コピーしていた個性について語られた。
『───【
緑谷の腹に物間の拳が直撃し、とうとう意識が堕ちた。
再び黒いアレが暴走することもなく、物間の完封。
その後、物間と動けるようになった心操でA組チーム5人をプリズンにぶち込み、5-0でB組の勝利となった。