【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!!   作:そとみち

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122 ゆうえいのふのめん×2

 

 

 さてA組B組合同戦闘訓練も終わり、翌日も普通に授業やって、放課後は緑谷が発目ちゃんとメリッサさんにガントレットの改造をお願いして、そこに麗日ちゃんもついてきて。

 

「メリッサさん。私、デクくんと付き合うことになりました!!」

「ええ!? うら……ッ……お、茶子さん!? なんで今!?」

 

 早速メリッサさんに麗日ちゃんが牽制してた。

 緑谷も俺や峰田に倣って麗日ちゃんを下の名前で呼ぶことにしたらしい。まだ言い慣れてないようだけど。

 青春しやがってコノー。

 

「……あら! そうなのデクくん!? 麗日さんも! おめでとう!!」

「おおー! おめでとうございますお二人とも!! ロマンティックというやつですね!!」

「あ、ありがとうございます……!?」

「メリッサさん……負けませんから……!!」

「んー? うふふ、どうしよっかなー?」

「え!? え!?」

 

 麗日ちゃんが独占欲からメリッサさんにムムムって顔で迫り、メリッサさんもそれを受けて面白そうに笑っている。

 うん……まぁ肉体だけの関係なのかもしれないしなメリッサさんは……。*1

 俺の口からはそこは零さないから安心してくださいメリッサさん。緑谷も。

 麗日ちゃんがそこをどうするか。君たちの物語だ。俺はそれをそっと見守っておるよ。

 

「ではおめでとうの改造完了です!! どうぞ!!」 ===〇 「モゴーッ!」

 

 そして発目ちゃんが一瞬で改造を完了させた緑谷の新ガントレットがまた顔面に突き刺さり、その後またしばらく(*)って感じの顔に緑谷がなっていた。

 それを見て慌てる麗日ちゃんとくすくす笑ってるメリッサさんが対照的だった。

 こいつらおもしれ。

 

 


 

 

 はい。

 実は今日は放課後の訓練には参加しません。

 

「─────ゆうえいの……ふのめん……!!」

「アハハハ!! 何言ってんのかなこの子ォ!! ねぇ幾野くんちゃんと教育しているのかいキミィ!?」

「実を言うとそれを吹き込んだのは俺ではない。教育はミリオ兄さんと手すきの教師陣が主に担当してるね」

「俺が言ったんだよね! 文化祭の時に君のことを『雄英の負の面』と教えたんだ!」

「僕こそ正道を征く男ですけどォ!?」

「コントやめましょう困ってますよエリちゃん」

 

 今日は職員寮でちょっと用事がありまして。緑谷と俺はそっちに参加しています。

 呼び出したのは物間だ。前々からタイミング見てやってみるかと相澤先生と話してたことがあり、ただ物間とエリちゃんをタイマンで呼び出すにはちょっと教育に悪すぎるので俺と緑谷、ミリオ兄さんが呼び出されたわけである。

 エリちゃんが俺にあわわわわって感じですり寄って来た。大丈夫だよ、お姉さんが守ってあげるからね。

 

「おう。悪いな呼び出して」

「相澤先生!」

「ショータお兄さん……!」

「……源氏物語の第5帖かな?」

「物間が鋭い。若紫で例えるのやめろ?」

 

 そこに職員会議を終えた相澤先生も合流し、さてそれじゃあ早速試してみることになった。

 職員寮に入り……物間の個性『コピー』でエリちゃんの個性をコピーさせる。

 それで物間がエリちゃんの個性を使えるようになれば、エリちゃん自身が個性のコントロールをする訓練の参考になるかも、というところでやってみたのだが。

 

「……うーん……スカですね。残念ながら期待には添えられなさそうですイレイザー」

「物間、エリちゃんに変な性へ─────」

「流石に少女の前でその話はやめようか幾野くん。キミへの尊敬が軽蔑に変わるよ?? そもそも誤解だ」

「ごめん」

 

 また物間がスカとか言い出すから条件反射で茶化そうとしたらめっちゃ真顔で諭された。

 ごめん。確かにエリちゃんの前で口に出すような会話ではなかったですね。反省。

 

「物間くん、スカってどういう……」

「この子の個性は『ため込む系』の個性ってことさ。例えば脂質をため込むファットガムのように……後は昨日僕が見せたシュガードープなんかは糖分をため込まないと使えないわけだけど。それに近いんだろうね。僕は『個性』の性質そのものをコピーする。何かしらを蓄積してエネルギーに変える様な個性だった場合、その蓄積まではコピーできないんだよ。シュガードープは蓄積が容易だからこそ僕も気に入って使わせてもらっていたけどね」

「なるほど……」

 

 そしてコピーしても性能を引き出せなかった物間が自分の能力の解説を挟む。

 ふーむ。そんな性質があったんか。ファットガムの所にもこないだチームアップミッションで行ったって言ってたもんな物間。判りやすい例だった。

 となると俺の知ってる個性で言えば八百万ちゃんの個性は使いづらそうだな。あれも脂質溜めて消費するやつだし。

 OFAも多分スカになりそうだ。暴走を懸念して物間はコピーしなかったようだけど。

 

「……やはり楽はできないな。じゃあ、エリちゃん……」

「ショータお兄さん……」

 

 物間の個性のアテが外れたが……しかし元々、俺たちはどうするかちゃんと決めていた。

 エリちゃんの個性が再び暴走しないように。彼女が自分の力を、優しい力として使えるように。

 相澤先生が……そして俺たちが、その手助けをしてやるんだ。

 

「……あの時、俺を助けてくれたキミの力を。制御の仕方を覚えていこう。必ず俺がキミを見ている……だから、一緒に頑張ろう」

「……うん!」

「俺もいるのを忘れんでね。出来る限り顔出すさ、いつでもワープしてこれるしな」

「僕も出来る事があれば手伝うからね! 困ったらいつでも言ってねエリちゃん!」

「勿論俺もさ! みんなでやるからプルスウルトラなんだよね!! これからは文字のお勉強の時間のほかに、個性の使い方も覚えてみようか!!」

「……ふむ? よくわからないがこれは僕もお手伝いする流れなのかい幾野くん」

「俺の個性いつでもコピーさせてやる代わりにお前も手伝え物間」

「ギブアンドテイクかい? ハッ、まぁいいさ。治癒系個性はとても貴重だからね、時折顔は出すとしよう」

 

 一人の力で難しければみんなで力を合わせればいい。

 エリちゃんの力はとても優しく、素晴らしい力だ。どんな力も使い方次第。

 俺の個性がそうであるように。物間の個性がそうであるように。

 エリちゃんの個性だって、きっといつか自分で誇れる優しい力になれると信じて、頑張ろう。

 

 


 

 

 さて、その後も平和な日常を過ごしていたところで。

 先生から午後のHRで一つ大きな発表があった。

 

「先日の戦闘訓練の結果を鑑みて、心操くんの編入するクラスが決定しました」

「おお!! 決まったんスか!?」

「A組!? A組っすか!?」

 

 心操のクラスだ。

 1月からヒーロー科に編入になるというのは戦闘訓練の時点で聞いていたが、どうやらクラスが決定したらしい。

 さてどっちになるか……A組なら寮生活のルールを教えてやらねぇと。ルーチンも組み直さないとな。さてはて。

 

「────B組です」

「「「チクショオオオオオオオオ!!!」」」

 

 残念。B組だったってよ。

 マジかー……一応模擬戦はA組が3勝2敗で勝ったんだけどな。純粋にその結果だけは見られてないって事かやっぱり。

 

「色々理由はあるが……大きくは一つ、俺のキャパが関係してた。知っての通り俺は鍛え直してるところで、今回の戦闘訓練でもアイツに後れを取るほどだ」

「それは相澤先生が抹消を使ってなかったってのもあると思いますけど……」

「未熟であることには変わりない。で、そういう訓練でも時間を使って授業のコマ数なども教師陣に配慮してもらってる俺が更に生徒をプラス1する負担も考慮された。A組は問題児が多くて管理も大変だからな」

「A組に問題児なんていないのにー。みんな真面目な先生を愛する生徒達じゃないっすか!」

「お前のことだ幾野」

「んにゃぴ」

 

 相澤先生が説明した理由の一つに、今やショータ先生となってしまっている相澤先生が受け持つクラスにさらに負担が増えるのはどうか……という点があった。

 まぁな。確かに相澤先生は普段の授業でも訓練に混ざるし放課後訓練も心操と一緒に顔出すしエリちゃんの保護者もやってるし女性教師から貞操を狙われてるし。かなり大変な所はあるよな。

 心操のことはこれまでも面倒見てたからその流れでー……ってよりかは、むしろブラド先生に任せて見ることで色んな教え方、考え方に触れるって所か。

 確かに今の心操の実力を見れば独り立ちしてもいいくらいだ。別に今後訓練一緒に出来ないってわけでもないし、放課後はどうせまた会うし。

 

「今はA組とB組の距離もだいぶ縮まってる……そこはいい変化だと思う。クラスは違えど今後も切磋琢磨する機会は増える事だろう。負けるなよ」

「「「はい!!」」」

 

 相澤先生の言葉に、俺たちは満面の笑みで頷いたのだった。

 

 

 

 なおその後の余談。

 

「ハーッハハハハ!! 見てよA組ィ!! 僕たちB組は心操くんをいつでも歓迎できるように部屋まで準備しておいたんだよねェェ!! ブラド先生にも報告済みさァ!! 新たな戦力が増えて今度こそB組がA組を超える時が来たのさ!!」

「いや人数比の問題で単純な比較ができなくなったろむしろ」

「21人のクラスで20人に勝った! っていうの難しくね? どうやって比較するんだ?」

「個人ごとの事件解決率の平均を取ってみてはどうだ? 事件数も考えて按分して」

「余計な知恵をつけて来たねぇホントに君たちはさァ!?!?」

 

 B組にダチが編入してきたことが嬉しすぎた物間がまたA組寮に突撃して来て暴走してたけど俺らA組もタフになってたのでノーダメージ。

 その後いつもの如く拳藤ちゃんが首トンして持って帰ってった。仲いいなあの二人。

 

 


 

 

 さてまたしても翌日。

 

「幾野ー、また蜜丼買ってきてよ蜜丼。ウチあれハマったわ」

「吝かじゃないけどたまには自分で食べに行きなよ耳郎ちゃん。近いんだし」

 

 のんびりロビーでテレビなど見てたところでまたしても蜜丼のトピックニュースが流れており、それを見た耳郎ちゃんが再び俺にねだって来た。

 買って来るのは吝かじゃないんだけどね? でも俺がいつも耳郎ちゃんを餌付けしてるとね? 上鳴からの視線がね??

 それにちゃんと女子の別腹に配慮していつだってスイーツ系は常備してあげてるよね俺?? 蜜丼カロリー凄いから食べ過ぎると太るわよ??

 ってかそういえば前に戦闘訓練の時に抱えた耳郎ちゃんの腰……普段ほっそいからアレだけど……夏にプールで見た時よりも既に……うん。

 おいたわしや。

 

 これは甘やかしちゃいかんな。

 A組女子の美貌を守るためにも俺はここで切り札を切ることにした。

 

「じゃあ蜜丼の代わりじゃないけど……ちょっと皆様に発表があります」

「え。幾野がソレ言うと毎回嫌な予感しかしないんだけど」

「予感が正しいかは耳郎ちゃん次第。ちょっと待っててね」

 

 いったん俺は自分の部屋に戻り、目当ての物を持って来る。

 取ってきたのは…………とある施設のチケットだ。

 

「さて。皆様はご存じでしょうか。大人気施設……『トロピカル』を!!」

「トロピカル? ああ……あれか、最近できた屋内プール施設」

「いつでも常夏を感じられる南国リゾート館が大ウケしてるんだっけ?」

「海ー!! って感じだよね!!」

「行ってみたいけど……前調べたらチケット取るのに一年待ちだったんよねぇ」

 

 話題に出したのは屋内プール施設だ。季節不問で遊べる温水プール。最近雄英の近くにオープンした。

 もちろん学生である俺たちはめっちゃ興味津々の施設だが、麗日ちゃんが言った通りメチャクチャ人気でチケットすら一年待ちというありさまである。

 しかし。

 

「全員で行けるんだよなぁこれが……!! 見よ!! この団体招待チケットをよォォ!!」

「え!? うわマジだ!? どうしたんだお前それ!?」

「こないだあの施設から動画配信CMのオファー貰ってインターンついでに収録したときに貰って来た。いつかA組のみんなで行くかーと思って」

「マジかよ!?」

「自分の外見をこの上なく使いこなしてやがる……!!」

「ネットでCM調べると俺のスマイルが見られます。……で、そろそろ冬休みでまとまった休み取れるしみんなで日程合わせていこうぜ!! 俺を崇め讃えなァ!!」

「ウオオオ幾野ー!!」

「幾野様ー!!」

「センちゃん最高ー!!」

 

 ワハハ、とない胸を張ってみんなに崇められる。

 20人まで行けるという団体チケットなのでバッチリA組みんなで行けるものだ。もしこれで心操がA組入ってたらもう一人分チケットねだる所だったな。

 俺がCMした動画は随分好評みたいだし今後ねだればまた貰えそう。B組もいつか誘ってやるかな。

 

「トロピカルにいけるんや! えへへ……デクくん楽しみだね!!」

「え、あ、はい!! すごい楽しみです!!」

「どうして敬語なんだ緑谷」

「青き春……」

「いい……プール!! また梅雨ちゃんの水着が見れるぜェェ!!」

「ケロ、テレるわ。前と違う水着準備してこようかしら」

「「「────────!!」」」

 

 みんなも盛り上がる中で……しかし峰田と梅雨ちゃんの会話の中で水着という単語が出てきた瞬間にフリーズした女子が三名。

 俺そういうの見逃さないから。わかっちゃうから。

 まず耳郎ちゃん。やはりな。油断していたか。甘いものを食べ過ぎるから。

 そして芦戸ちゃん。そもそもムチムチ気味な君の体の事だ。この冬に備えるために蓄えてしまっただろう。共有夜食ボックスの利用率上位であることを俺は知ってるよ。

 さらに麗日ちゃん。彼氏ができて初めての水着。気合を入れたいだろうな……わかるよ。

 

 ふふふ。

 計画通り(例の顔)

 

「それじゃあ日程は二週間後!! みんな! 水着の用意も忘れずにな!!」

 

 飯田委員長の鶴の一声に、覚悟を持った眼差しで3人が頷いた。

 さてどうなることやらですね。夜食ストック買い貯めしておこ。いともたやすく行われるえげつない行為。

 

 

*1
解けない誤解

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