【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!! 作:そとみち
【side 耳郎】
やったなー……。
いや、こればかりはウチが悪い。食堂の新メニュー全制覇とかするんじゃなかった。
幾野が準備してくれたリゾートのチケットは嬉しいし絶対プールは楽しむんだけどとにかく今ウチの体は油断している。
冬になってきて寒くなったしその分美味しく感じられる食事が増えたから。季節のせいよ季節の。
日々プルスウルトラを目指してると言っても体重までプルスウルトラする必要はなかったわマジ。
「……」
「……!」
「…………」
気配を消しながら周囲のA組女子の顔色を窺うと、どうやら麗日と芦戸はウチと同じ懸念を持ってるっぽい。
ヤオモモは問題外として、梅雨ちゃんも葉隠も問題はなさそうだった。いや葉隠は顔見えてないけど。余裕が体から溢れてる。
アンタら全員ウチよりもムダにデカイもん抱えてくるくせに贅沢な悩みしやがって。
……とはまぁ言わないよ。今は。
とりま麗日と芦戸は同志。
プールの日までにどうにかして元の体を取り戻さなきゃね。
「……プールに行くために! 今からハイカロリーな食べ物は一切禁止とします!!」
「彼氏に見せる初めての水着……妥協できひん!!」
「食べる量も考えないとね。油断だわマジで」
芦戸と麗日の言葉に頷いて決意を深める。
同志がいるから我慢できるんだ。カイジの漫画でも45組がそんな感じでめっちゃ頑張ってた。ウチらも頑張るんだ。
しかしそんな決意をした直後にしたり顔でやってくるクソバカがいた。
幾野だ。
「共有夜食ボックスにチョコの新製品入れといたからみんな食べてくれなー。CMになってたあのチョコチップも買っといたよ」
「貴様ァ……!!」
「おやどうしたんだね芦戸ちゃん。前から食べたいって言ってたじゃあないかァ! 遠慮なく食べるといいさ!!」
「確信犯なのが腹立つー!! でも後で頂くわ! いつも寮長お疲れなクソぉ!」
完全に確信犯でウチらに甘味の誘惑をしてくる幾野。コイツはさぁ。
そもそもコイツがチケット取ってくれたから行けるってのもあるし夜食共有ボックスなんかはホントマメに更新してくれてるし。寮長として、クラスメイトとしてスゲーやつだよなとはいつも思ってる。
けど今このシチュでその腰つきを維持するアンタに確信犯で言われると腹立つんだよなぁ……!!
「ってかイクノさー! マジでどうやって維持してんのその腰! ケツ! 結構食べてるよねェ!?」
「あ、それはウチも聞きたいわ。どうやってそのくびれ作んの」
「太もも完璧なラインで羨ましい!」
「恥じらいを捨て始めたな君ら。ふむ……まぁ真剣な悩みみたいだしみんなで話し合おっか」
1Fの共用スペースは男子がいつ来るか分からないので部屋で話そう、ということになりウチらみんなで移動する。
で、やってきたのは梅雨ちゃんの部屋。この部屋冬場はあったかくていいんだよね。たまに集まるわ。
葉隠もヤオモモも呼ばれて女子陣+幾野によるダイエット会議が始まった。
「助けてヤオエモ~ン!! 油断しちゃったよぉ~!!」
「事情は分かりましたけれど……」
「様子が変だと思ってたわ……」
「みんな全然すっきりしてるのにー!」
「女子の面子というやつか……わかるよ」
「男子がなんか言っとるよ」
恥じらいを捨ててウエストの、太りの悩みを女子に共有する。
幾野もいるけど今回はもういいよ。コイツ女子枠で考えるから。真面目に相談すればコイツちゃんと聞いてくれるし。
何よりスタイルはヤオモモと並ぶモデル体型。見習うべき所は見習いたい。
「今すぐ痩せる道具を創造するというのは難しいかと……」
「脂肪吸引とかだと手術の領域になるし……腹に装着して痩せる! とか言うヤツも即効性ないからねあれ。筋肉鍛えるのが主目的だから2週間じゃな」
「センちゃん詳しいねー」
「女装する関係でやっぱ痩せ関係の知識も入れてたからね」
「むしろおヌシらがどうやってスタイル維持してるのか教えて!! 実践するから!!」
芦戸の言葉にうんうんと頷くウチと麗日。
幾野はともかくウチらはまぁ毎日風呂で顔合わせてるしお互いのスタイルも意識しては見ないけど分かってる。ヤオモモは眼に毒。梅雨ちゃんも最近なんか……綺麗になってきたように見える。
男か。やっぱ男なのか。
さてじゃあまずはヤオモモから。
「しっかりと脂肪を蓄える事ですわ! 『創造』で消費してしまいますからね」
「ムリだー!!」
「ケンカを売っているとしか思えない発言だよ八百万ちゃん」
舐めてんのか。自分にしかできない方法でスタイル維持してるんじゃないよ……!!
次、梅雨ちゃん。
「私は胃を出し入れできるから……」
「どう頑張ってもムリだよー!!!」
「ってかまさかだけど梅雨ちゃん、飯食べた後に戻してる……わけないよね?」
「まさか。そういう最終手段があるってだけ。そんなことしたら農家の方々に申し訳ないわ」
こっちも物理的に無理な手段を述べて来た。
けどそもそも行儀正しい梅雨ちゃんの事だ。毎回胃袋裏返して戻して……なんてのはしてるはずもない。
普段からバクバク食べる方でもないからなぁ梅雨ちゃん。A組女子勢では一番個性が肉体派とも言える。良く動いてるからあの腰からのヒップライン維持できてるのか。
……ウチも戦闘でもっと動いた方がいいかなぁ。
次、葉隠。
「週2の夜の運動」
「Rが18ッッ!!」
「色んな姿勢で運動すると脂肪が効率的に燃焼されるゾ」
「幾野は黙ってろォッ!! スタイル維持の秘訣だけ喋ってりゃいいのよアンタはァ!!」
言うと思ったけどやっぱり言ってきたよこのバカップル!!
もー。マジでウチらA組入ってからこういう話題に強くなりすぎだわ。慣らされた。
よく考えたらいきなり男子に腰ひっつかまれて担がれても騒いだくらいで済ませたウチって……いや相手が幾野だからそういう意味では全く危機感なかったけど。慣れ過ぎかなぁ……?
最後、幾野。
「つーかマジでイクノはよくスタイル維持してるよねー? 三食結構バッチリ食べてるよねおヌシ?」
「まぁそうね。クラスの男子の中でも食ってる方だとは思うよ」
「やっぱ神に愛された肉体……?」
「ケロ、神がトチくるった肉体とも言えるわね」
「うーん……基本的にスタイルの維持って筋肉の下地があればかなり楽になって、俺の場合中学時代にインナーマッスル鍛え抜いたからこそのコレなんだとは思うけどね。峰田と毎朝10~20キロ走ってるってのも筋肉があるからこそだし。多分アレに明日から付いていく!! ってやってもただ疲れるだけでそう簡単には痩せないと思う。目的のないダッシュはお勧めしない」
「真面目イクノ出てきたな」
「こういう話する時のセンくんは頼れる」
「あとその視点で言うとダンスでインナーマッスル鍛えられてるはずの芦戸ちゃんは夜食食べ過ぎ」
「うるせぇなァ!!」
「はい。まぁ……そうは言っても運動しないってのだけはあり得なくて。ダイエットって言葉に勘違いして飯を減らすだけってやる女子多いけどアレってただただ自分にツラいだけなんだよね。長続きしない。だからまず運動。有酸素運動……ただ疲れるってだけじゃなくて筋肉への負荷は軽くていいから長時間継続して行う運動がいいんだよ。汗かいて達成感あるし。で、それをやりながら食事量は減らさないけど増やさないようにして。あと絶対やらなきゃいけないのが毎日体重計載る事ね。増えてたら危機感煽れるし減ってたら達成感でもっと頑張ろうってなるから。体重計だけは絶対毎日乗って。なんならこれだけでも意識相当変わるよ」
「こういう所は緑谷ちゃんと似てるわ。好きな話題になると早口になるわね」
「食事の方は俺が男子にばれない程度に気を遣って献立考えとくよ。野菜や食物繊維多めのモノにして糖質少なめのメニュー考えとく。肉と野菜は多めに食べていいからその分米やパンちょっと減らすの意識ね。後はさっき言った有酸素運動を……何するかは任せるけどまぁ頑張りつつ、あとお風呂で汗はかこう。汗かいて損することないから。肌もツヤツヤするしむくみ取れるし。あと寝る前にウエスト細くするヨガやろっか。10分でできるし割と効くよ、俺もたまにやるし。スマホでそれぞれメニュー作って送るわ」
「プロか???」
悔しいけど幾野の話が一番参考になったわ。
やっぱそれなりに悩みっつーかちゃんと頑張ってたんだねコイツも。まぁそうじゃないとあのスタイルは維持できないか。
メシのほうは気を遣ってくれるって事だから、あとはウチらでバッチリ有酸素運動か。
ってなると……
「それならウチに考えがあるんだけど……有酸素運動、カラオケって駄目?」
「アリだね。ストレスも発散できるし」
「立ちながら踊ったり振り付けをしたりしながら歌うのがよろしいかと思いますわ」
「よォし!! それじゃあたし等はこれからカラオケ強化週間とします!! 行くわよ耳郎! 麗日ァ!!」
「がんばろー!!」
「ちなみに当然だけどドリンクバーは甘い物飲まないようにね。お茶ね。お茶はカテキンとかでダイエット効果あるから。ほうじ茶お勧め」
「……一杯くらい」
「ダメです。何のためにカラオケに行くのか原点を常に意識しようね」
「相澤先生みたいなこと言っとる」
「私が見張りに行くから大丈夫だよセンちゃん! ってか私もダイエット関係なく歌いに行きたーい!!」
「おー、葉隠も来る? 全然オッケー!」
ウチが出したカラオケって言う案はみんな好意的に受け入れてくれた。
まさしくウチの好きなことで楽しんでやれるし、長時間の運動って意味でもやりやすい。楽しみながら痩せられるならウィンウィンでしょ。
そんなわけで油断組女子のダイエット作戦が幕を開けたのだった。
そして2週間後。俺たちはリゾート施設に遊びに来ていた。
もちろん水着バッチリ準備してきたよなぁ!! 夏に林間合宿になって結局お披露目の場に預からなかった水着を見せつける時ッ!!
「やって来たぜ常夏の楽園ー!! ウッヒョォー!!」
「峰田くん走るのはやめたまえ!」
俺より先に着替え終わって突撃していった男子たちの内、峰田の声がまだ着替え中の俺の耳に届く。
まあ待ってろって……最近寮生活で大人しくなっちまった俺の本気を見せてやるって……。
何故か俺にだけ専用の脱衣室が用意されてたけど。
準備いいなこの施設。受付でチケット出したら俺だけVIP扱いだった。顔写真とか出回ってます??
「ヨシ、と……」
トップスは赤のフレアタイプでフリフリ多め。胸がある様に錯覚させること請け合いだ。
臍は勿論露出して鬼の様なくびれを見せつけている。お尻までのラインはいつでも自慢です。
そして下。ブラジリアンビキニやVカットと悩んだけどここはあるのかないのかをひやひやさせるスケスケのキュロットパンツで決めてみた。キュロット部分が透けてるからちゃんと股間のパンツ部分も見える。もちろん埋めてあります。
髪飾りは安定のひまわり。ハイビスカスは髪色に溶け過ぎちゃうからね。右太ももにフットアクセサリで金属の輪っか巻いてちょっとむちっとさせてあります。
大きめの麦わら帽子をかぶって完成。さて脳破壊しに行くか。
「ひょぉーーーー!! 梅雨ちゃん最高ッ!! 前の時のは横縞のスパッツタイプの水着だったけどビキニタイプになってるー!! 可愛い!! 似合ってるぜー!!」
「ケロ、大声はテレるわ。今回は海で泳いでバーベキューして、っていうのじゃないから……もっと見た目に凝ってみたのよ」
「髪も結われて……結び方の名前は分かんないけど可愛いなー。これはイクノが喜びそう」
「センちゃんに髪を評価されたら本物ね。そういえばセンちゃんは……─────ッッ」
第一村人に発見される俺。まず脳を焼いたのはまさかの梅雨ちゃんであったか。
ひとまとめにした髪をふわりとなびかせながら俺のエントリーだ!!
やぁ男子たち元気してた!?
「寮生活で普段の様子に慣れてたから逆にダメージがデカい!!」
「この上なく似合いすぎてるよ幾野くん!?」
「ぐああ……!! 脳が灼ける……!! 久しく忘れていたこの感覚……ッ!!」
「俺わかった。長髪で赤い髪がいっちゃん遠目で目立つんだ」
「頭から足まで視野に入れて無事な所がねぇってどういうことだよ」
えへへ。ばっちり脳を焼けましたね。たーのしー!!
風呂場だとみんな焦点ズラしテクや脳から存在追い出しテクやそもそも時間ズラしテクとかで俺の事見ないスキルを身に着けてたからな。俺も大人しくしてたし。
だが水着なら目を逸らすわけにはいくまいよ!
もっと見て♥普段の生活とのギャップで脳を焼き切ってやるよオラァン!!
「おぉー!! センちゃんかーわいー!! 似合ってるよー!!」
「む! 透ちゃんもバッチリ可愛いよ!! いいね、フリル付きのキュロットパンツが御揃いだ」
「お見事ですわね、その着こなしは……お綺麗ですわ」
「八百万ちゃんも……いや凄いなこれ。体への自信が見て取れる。はっきり申し上げると大変エロい!!」
「ちょっとだけハジけてみましたわ」
男性陣の脳を焼いてると女子の内透ちゃんと八百万ちゃんがやってきた。
二人ともビキニスタイルだけど透ちゃんはフリル多め。髪にハイビスカスのアクセつけてるのが好ポイントですね。
俺と付き合うまでは髪は無頓着だったけど俺が見てよく手入れの為に梳かすようになってからはアクセサリーや髪型も気にし始めている。素晴らしいです。
八百万ちゃんの水着は強者にのみ許されたシンプルな黒ビキニ。己の体に自信がなければできないスタイルだ。
ただただエロいです。って言ったらなんか喜んでた。性に解放的になったかな? 飛び込みたいおっぱい×2。
「頑張った成果は出てるのに……!!」
「身長比を考えたら負けだと思っとるよ」
「やっぱケツだよ幾野は。あの日本人離れしたケツがズルいんだよ」
ダイエット女子3人組からの眼差しが熱いぜ。
あの後無事にダイエットは成功したらしい。透ちゃん曰くカラオケでも頑張り、その後たまたま遭遇したヴィランとの戦闘でバッチリ燃焼できたとか。
うん、俺から見ても3人ともしっかりウエスト絞れてるし綺麗で可愛くてエロいと思いますよ。俺のくびれに勝つにはプリケツボリュームが足りないけどな。
クラス内の尻のボリュームで言うと俺≧若奥様>>俺の嫁≧緑谷の嫁≧切島の嫁≧峰田の嫁≧上鳴の嫁くらいの勝負ですかね。震えろ。
「お、お茶子さん! すごくかわいい水着だね! 似合ってるよ!!」
「やだもーデクくん!! そんなお世辞言ってぇー!」
「お世辞じゃないよ、本当に!! その、すごく……すごく可愛くてすごいです!!」
「もうちょっと語彙増やして来い緑谷」
「ダイエット成功したんだな耳郎!」
「ハ? なんで知ってんのよアンタ」
「前にカラオケボックスでめっちゃ歌ってるのチラ見してそーなんかなって。いいじゃん、綺麗だぜ」
「はぁ!? ちょっ……ハズいんだけど!! こっちみんな!!」
「ちょっま!! 水中で音はや゛め゛っ」
「……目立つな芦戸」
「んー? どーした切島、私のこのスッキリボディに釘付けかー?」
「いや水着の話。まァ腹は凹んだな」
「激薄ほぼ水アシッド!!」
「ブッヘ!! 何しやがる!!」
でもそれぞれなんかいい感じじゃん。ダイエット成功したという自信が開放的にさせているのか。
梅雨ちゃんも峰田と一緒にウォータースライダーで遊んだりしてて……こりゃ負けてられないぜ!!
「じゃあ男子は俺と一緒にスライダー乗ろうか♥」
「誰か葉隠呼んでこい」
「ビーチボールぶつけろビーチボール」
「喋るたびにしなを作るポーズ取るのやめろ」
「罪深い」
その後なんだかんだでクラスのみんなで目いっぱい楽しみました。
また来ようね。チケット取っとくから。