【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!! 作:そとみち
クリパも終わって2学期も終業式まであとわずか。
みんなの気分も浮つくこの時期に……しかし、今日の俺はどうしても興奮を隠せずにいた。
「……ハァ…………ハァ………!!」
「僕の後ろにステインがいるのだが」
朝のHR前、自席であるクラスの右後ろ、飯田の後ろの席に座りその時を待つが……駄目だ。興奮で呼吸を荒らげてしまう。
体の震えが抑えられない。狂気に呑まれそうになる自分を理性で何とか抑えている。
早く……早くしてくれ。己の内の獣を抑えきれないんだ。
「シィィィィィィィィイイ…………!!」
「後ろで水の呼吸しないでくれるかな峰田くん」
ちらりと見れば峰田もどうやら同じ興奮を味わっている様だな。
分かるぜ……俺らだけに通じるこの興奮。期待感!
雄英に入学してこの時を待ち続けていたと言っても過言ではない。
プールや林間合宿など色々楽しい行事はあったがそれらよりも待ち望んでいたもの。
もはや甘露だ。圧倒的甘露。
はよ……はよ!! もう待ちきれないのぉ!! 先走っちゃうのぉぉ!!
ゴングを鳴らせ相澤ァァ!!
そうして震えながら待っていたところ、とうとう始業のチャイムが鳴って相澤先生が教室に入って来た。
始まるぜ─────祭りがなぁ!!
「今日は全生徒で───雄英高校大掃除だ」
大掃除開始ィィィィ!!!!
「ヒヒーッ!! ヒャアッ!!」
「キキィィィ!! イィィィヤッ!!」
「言語野を失ったぞあいつら」
「いつから雄英は童実野町になった??」
マスクよしッ 三角巾よしッ ゴミ袋よしッ バケツよしッ 業務用研磨洗剤よしッ ポリッシャーよしッ
全部よしッッッ!!
俺と峰田は興奮が体を支配するままに掃除道具を一瞬で整える。
そう、今日は雄英高校の大掃除の日。
年末の本日に全校生徒が雄英に感謝を込めて色んな所を掃除しようというレクリエーションの一日になっている。
つまり俺と峰田の日だってことだよなァ!?
くたばれゴミ共が!! 塵ひとつ残らずキレイさっぱり散らしてやるぜェェェ!!!
「爆豪ちゃん!! 業務用ポリッシャーはお前に任せたァ!!」
「オォ! 磨き殺したらァ!」
「緑谷ァァァ!! 業務用研磨洗剤の使い方は分かってるよなァァァ!?」
「ゴム手袋よし! バケツよし! 希釈5倍! 任せて峰田くん!!」
「爆豪も緑谷も染められてる……」
「前の謹慎期間中に掃除に目覚めてたからなコイツらも」
「葉隠くん、八百万くん、蛙吹くん。あの二人の監督を任せたい。何かあったら止めてくれ」
「りょーかいイインチョー!」
「あまり暴走しないように目を光らせておりますわ」
「ケロ。実ちゃんがやらかしたら舌で捕まえるわ」
俺と峰田で迅速に清掃の準備を整え、掃除幹部である緑谷と爆豪ちゃんにもそれぞれ指示を出して早速掃除に取り掛かる。
個性を使って日頃お世話になっている校舎を綺麗にしてやるんだからな。一切手は抜けない。
任せろよ……全部の校舎を建築当初の美しさに磨き直してやるからよォ!!
「まずA組教室!! ッラァ!!」
「ッシャア!!」
「うおっ!? ホコリめっちゃ落ちて来た!!」
「ギャー!? やるならやるって言えバカイクノー!!」
「教室全体に無視を通して汚れや埃を床に落としたのか……」
「個性進化してねぇかアイツ」
「生活に便利すぎる個性だね相変らず……」っっっ ←汗の表現
「そして落ちた埃は峰田が広範囲に広げたもぎもぎネットで一瞬で回収。阿吽の呼吸か」
「俺たちやることなくない?」
一先ず俺たちA組が普段お世話になっている教室から掃除だ。
無視の個性ともぎもぎの変形がこれほど輝く瞬間もない。俺たちにかかれば半径30mまでの範囲なら一瞬だぜ。
しかしこの力が真に生きるのは教室掃除ではない……A組は俺らが普段使う部屋だからやったけど。
俺らの戦いの場は学び舎じゃねェんだよなぁ!!
「よし。この建物のあとの掃除はみんなに任せるぜ。俺と峰田は他の施設全部ブッ
「今日一日でピッカピカにしてやんよ……運動場γの鉄パイプのサビ全部落として鏡みてぇにしてやるからよォ……!!」
「どこまでやるつもりだお前ら」
「こいつらをこのままにしてていいのか……? 止めるべきなんじゃねぇか俺らは……?」
「みんな何やってるの!! 任されたんだからこの校舎は僕たちで綺麗にしないと!! はい研磨剤撒いたからモップで磨いて!! 雑巾使う時はゴム手袋付けてね!!」
「廊下は俺が殺ってやらァ! ポリッシャーさばき見せてやるよクソ廊下どもがァ……!!」
「お前らもか」
「私の彼氏が毒されとるんよ」
「悪い事じゃないはずなんだけどね。でもドンマイ麗日」
「まぁサボるのもあれだしな……しかたねぇ、俺らもテンション見習ってキッチリやってやろうぜ!」
校舎は緑谷たちA組に任せて俺と峰田はさっそく運動場に突撃。その後ろを俺らの彼女たちが付いてくる。
大丈夫だろう。緑谷も爆豪ちゃんも今や立派な
俺たちで雄英を綺麗にしてやろうぜ。全てをこの手に……!!(錯乱)
【side 麗日】
「幾野たち行っちゃったね」
「まぁあの二人掃除大好きだからな……葉隠たちも付き添ったし酷い事にはならねぇだろ」
「やっていることは立派な奉仕活動なのだがな。なぜかあの二人が揃うと何かやらかすのではないかという不安が生まれる」
「わかる」
掃除
デクくんと爆豪くんが勢いよく活路を開いてくれるから、私達がそれに並んで片付けていくような形やね。
廊下や手すり、窓ガラスなどをみんな個性を上手く使いながら掃除していく。
私も無重力で重いバケツ運んだり、ゴミを運んだり、天井を拭き掃除したりして……まぁそれなりに楽しくやれていた。
デクくんが掃除に魂を引かれるようになってるのはちょっとあれやけどね。センくんの影響大きいもんなぁデクくん。
悪い事とは言わないけど、ちょっとモヤっと。
梅雨ちゃんは峰田くんだからもっとモヤッとしてそうなのに強いよねぇ。私ってもしかして独占欲強い方なんかなぁ。
いやそもそもセンくん男子なんやけどね。
「オオーん? ノリノリじゃねぇかグッドボーイ&ガールズ!! そういやA組は掃除大好きなやつらがいたっけなァ!? その調子でアゲアゲで頑張れ若人ォ!!」
「あ、マイク先生に相澤先生!!」
「おう……で、その掃除好きな幾野と峰田はどうした」
「アイツらなら雄英敷地内の全てを磨き殺してくるっつって突撃しましたよ。ホントに全部綺麗にしてくるんじゃないかってくらいの勢いで」
「そうか…………後で様子を見てくるか……」
掃除の様子を見に来たマイク先生と相澤先生に挨拶を返す。
相澤先生はセンくんたちが他の施設まで掃除に向かったことを聞いて後で見に行くんやって。お疲れ様です。
どんなことになっとるか私も正直怖い。放課後の訓練の時にキラッキラの体育館になってたらどーしよ。いやそれはいい事なんやけど。謎の恐怖あるんよ。
「しっかし幾野がいねェんじゃアテが外れたぜ。『アレ』をウォールハックで探してもらおうと思ってたんだがなぁ」
「……アレ? 何の話っすかマイク先生?」
「ん? ああ……今の
「おいマイク……まさか……『アレ』を探すつもりか?」
「えーなに? 何の話ー?」
「面白そうな話じゃないっすか?」
掃除はしながらもみんなでマイク先生が話し始めた『アレ』の話に耳を傾ける。
そんな噂聞いた事もなかったなぁ。昔の……相澤先生たちが生徒だった頃の話なんやろか。
確かに、モノ探しならセンくんのウォールハックが一番見つけやすいやろうしね。掃除が終わったころにお願いなんてしてみたらどうやろ。
「アレは……爆弾級だぞ」
「ああ……もうドッカーン!!だぜ」
うーん、なんか物騒な話になってきとるな。
爆弾みたいなもんが雄英に埋まっとるんやろか……? でもそんな危なっかしいものがあるなら片付けとると思うんやけど。
……と、そんな風に話を耳にしていたところで。
「あ、お茶子ちゃん。悪いわね、こっち手伝ってくれるかしら……」
「ん、梅雨ちゃん? どったの疲れた顔して。峰田くんたちは?」
「二人の掃除が激しすぎて私達だけじゃゴミ袋運んで埋めるのが間に合わないのよ……二人とも笑いながらあっという間に建物一つ一つの埃や汚れを全部落としていくから……」
「掃除モンスターやん。でもうん、手伝うよ!」
「助かるわ……」
梅雨ちゃんからヘルプが入ったのでそっちに御呼ばれすることにした。
うん……あの二人が個性を全力で使って建物からごっそり汚れと埃の塊を取り出すさまが目に浮かぶようやわ。
梅雨ちゃんも透ちゃんもヤオモモちゃんも大変やね。まぁでも将来的にはおうちの掃除任せられるから楽できるのかもしれへんし。
結局マイク先生の物騒な話を聞き終える前に、私は梅雨ちゃんと共にその場を後にした。
さて。
そうして連れてこられたのは既に大量のゴミ袋が重なっている敷地内の森の中。
見れば透ちゃんとヤオモモがえっほえっほとゴミ袋を満タンにして運んで来とる。大変やね。
「ここにゴミを埋める穴を掘りたいの。先生たちの許可は貰ってるわ」
「おっけ、まかせて!! 建設会社の娘やもん、穴掘ったりするのは得意やわ!!」
「頼もしいわ。私はまたゴミ袋運搬してくるからよろしくね」
まず私に任された仕事は穴掘りだった。
確かにここなら誰も通る所じゃないし、センくんたちが持って来るのは汚れのついた埃だから有機物。
埋めて片付けられれば問題ない。でも全部埋める穴を掘るのはちょっと大変だけど……まぁ私の個性で地面の土の重さをゼロにしながら掘ればすぐやんね。
ここで大穴一つ開けられないようじゃ父ちゃん母ちゃんに顔向けできんわ。
「おりゃりゃりゃりゃーーーー!!」
シャベルを使って勢いよく地面を掘り進めていく。
こういう単純作業も中々楽しいよねぇ。悪ぅない。
でも掘りながらふと気づいたんやけどこれセンくんが全部個性で地面に埋めれば穴を開ける必要はないのでは? 私もゴミ袋運搬に混ざった方が良いのでは??
梅雨ちゃんもなんか疲れた顔してたしそこまで考えが回ってなかったのでは……?
「ん」
疑問を纏ったシャベルを地面に突き刺したところで、しかし私の手に急にかちん、と何か固いものに当たった感触が返ってきた。
なんや。地中に金属の何か? ここパイプとか通ってたっけ?
少しシャベルを動かせば確かにカンカンと金属音。慎重に周囲の土を掘り起こして、それを掘り出してみれば……。
「何やこれ……金属の筒?」
円柱状で、上下をボルトで固く封じられ、一時停止標識の様な『!』マークが記された50cmくらいの金属の筒が地面から出てきた。
土汚れもあるけど……かなり古そう。サビもあるし……なんやコレ……ん?
『雄英のどこかに埋まってる─────』
『爆弾級────』
『ドッカーン!!』
爆弾やコレ。
え、どどどどうしよう!? 爆弾掘り出してしもたよ!?
おおお落ち着け麗日お茶子! 落としちゃあかん!
先生たちも地中に埋めざるを得ないくらい危険な爆弾……もし爆発したら雄英の危機!!
絶対に刺激だけは避けんと!! 無重力にして落ちないようにして……慎重に、慎重に運んで……!!
「────麗日!」
「梅雨ちゃんに言われて応援にきたよ! よく考えたら幾野くんの個性でゴミは埋められるから穴掘るのはやっぱり無しで、ゴミ袋運搬手伝ってって……あれ?」
「デクくん、切島くん!?」
と、浮かせて運ぼうとしてたらデクくんと切島くんが梅雨ちゃんに言われて手伝いに来てくれた。
よかった……いやよかった? でもデクくんが来てくれたからちょっと安心。
きっとデクくんなら助けてくれる! 雄英を守らんと!
「……緑谷、アレ先生が言ってた……」
「うん、特徴も合致してる。お茶子さんが見つけたんだ? お手柄だよ!」
「掘ってたら出てきたんやけど……」
「やっぱり……!!」
二人も私が浮かせている金属の筒を見て、やっぱり先生たちが言ってたヤツだと察したみたい。
どうしよ。これ先生呼んでくるべきやないか……と思っていると。
「よし!! 開けてみようぜ!!
「わあああーーーーー!?!?」
切島くんが急に硬化した拳で鉄の筒を叩き開けようとしよった。
なにしとん!? なにしとんのー!?
「だだだ、ダメだって!! 何が起きるか分からんよ!?」
「開けてみなきゃ始まらねーだろ!」
「むしろ終わっちゃうよ!? で、デクくんも何か言ってよ! ね!?」
「まずは開けてみないと何も始まらないよね!! フルカウルッ!!」
「デクくんまで!?」
なんで私の彼氏まで破壊することをヨシとしとんの!? 何があったの二人とも!? 洗脳くらっとんの!?
止める間もなく硬化した切島くんとフルカウルを纏ったデクくんがゴンゴンガンガンと好き放題に爆弾を叩きつける。
幸いにして頑丈だったようで爆発はせんかったけど……あかん……このままじゃあかん……!!
「んー、やっぱり頑丈だね……幾野くんがいれば硬さ無視して開けられそうなんだけど」
「アイツは今は掃除から離れねーだろ。爆豪呼んでみっか?」
「落ち着いて考え直して……!! 爆豪くんは今一番呼んじゃいけない人!!」
「お、おう?」
切島くんが提案した爆豪くんに開けさせるというそれをイメージし、雄英全体が大爆発に巻き込まれる未来を予感した私は思わず真顔になり二人を諭す。
っていうか爆弾だって先生から聞いとったんでしょ!? なんで力技でどうにかしようとしとるん!?
B組の骨抜くんとか! それこそセンくんとか! セメントス先生とか呼んでくる所でしょ!?
「……あっ!」
そうして私が狼狽してたら地面に落ちてた鉄の筒に間違って足をぶつけてしもた。
少し下り坂になってるところだったから、その衝撃でゴロゴロと勢いよく爆弾が転がってってしまう。
「あああ! 止まってお願いー!!」
急いで追いかけて、爆発する前に何とかしないといけない。
二人をおいて転がっていく爆弾を追いかける……が下りの道を見事に加速して行ってしまう。
ちょっと見失ってしもて……そして下り坂が終わった道の先、粗大ごみの収集場所にまできてしまった。
「あかん……この辺まで転がってったはずなんやけど……! ガラクタばっか……どこや!?」
粗大ゴミの山の中に爆弾が紛れてしまったのか、少し探しても見当たらない。
あかん。これは本格的にセンくん呼んできてウォールハックで見て探してもらわんといかんかも。ダイブセンサーも装備させて……と、粗大ごみの山を探していると。
「───おや!? 麗日さんじゃないですか!!」
「わぁ!? 発目さん!?」
「あら、こんにちは麗日さん!」
「メリッサさんも!?」
ゴミの山の中からズボッ! と急に頭を出してくる発目さんとメリッサさんと遭遇した。
「急に出てきたからびっくりした……何しとるのお二人はこんなところで」
「掃除がてら素材集めをしていました!」
「ここはお宝の山ね。今でも使える回路とかが眠ってるの。リサイクルは大切……で、麗日さんこそどうしてここへ?」
「私は探し物があって……これくらいの大きさで、筒状で金属製の……」
聞けば二人で開発素材を集めていたとのこと。こういう所からでも見つかるんやそういうの。
でも今はそれどころやない。私が身振り手振りで爆弾のサイズを説明する。
「うーん? 見た覚えがあるようなないような」
「あ、もしかしてさっき開発した……アレじゃない?」
「アレ? ……ってなんか改造されとる!?」
メリッサさんが指さす先を見れば爆弾の筒状のボディに腕と足が生えてチリトリとホウキを持っている謎のロボットが自走して掃除をしていた。
一瞬で開発したんか発目さん!? 相変らずやなその開発速度!!
でもめっちゃ危ないから! アレ爆弾やから!!
「あかんわ発目さん、アレ爆弾や……爆発するかも!!」
「ふむ、爆発ですか。素晴らしいですね!! 大丈夫です慣れていますので!! 次にセンさんの胸に飛び込むときに使わせていただきましょう!!」
この人には絶対渡しちゃあかん。
爆弾を惚気の道具に使おうとするなんて許せんわ……!!
っていやそういう意味での怒りではなく! そもそも発目さんじゃあ爆弾がどんな改造されたかわかったもんじゃないわ!!
「ごめんなさい雄英がキレイになりすぎちゃうからこれは回収するね!! おさらばやー!!」
「雄英が綺麗になるならセンさんが喜ぶのでは!? 私のベイビーを奪わないでくださいー!?」
「あらあら。なんだか楽しそうね」
手足を取り外して爆弾を抱えてその場からダッシュで逃げた。ごめんねお二人を守るためでもあるんよ!!
でももう……アカン。雄英には危険がいっぱいすぎる。頼みの綱のデクくんも破壊に賛成派やった。
センくんが来るまでもう誰にも爆弾を任せられん。
こうなったらもう……私がみんなを危険から遠ざけなきゃ……!!
決意した私は、自分に無重力を発動。
体ごと爆弾を抱えてふわりと空に浮かび……センくんの掃除が終わるまで待つ。それしかないやん。
万が一にもこの爆弾が爆発したらあかんの!
まだキスまでしかしてないんだから……!!
もっと色々やりたいことあんのや……!!
「あ、麗日飛んでら! どこまで行くのかと思ったぜ」
「お茶子さん!? どうして浮いて……」
「来ちゃ駄目ーーー!! もう爆発するかもしれへん!! 逃げてーーー!!!」
「へ……?」
そこに私を追ってきたデクくんと切島くんが来て……また近づいてきたけどもういつ爆発してもおかしくない。あれほどの衝撃を与えられたのだから。
これ以上衝撃を与えられん。万が一爆発しても、せめて被害は私だけに─────
「ッ……お茶子さん─────それ相澤先生たちが埋めたタイムカプセルだよ?」
────────。
「え!?」
デクくんのその言葉でめっちゃびっくりして思わず筒から手を離してしもた。
そしてみるみる落下した筒、タイムカプセルが地面にぶつかり……その衝撃でとうとう封が壊れ、中に入ってたものがあたりに散らばり。
タイムカプセル開封の儀はこうして私の早とちりと共に終わったってわけ。
「ここに……掃除中だってのに何か散らかした匂いがするなァ……!!」
「処すか……? 処すかイクノ……?」
「散らばったタイムカプセルの中身を察して掃除マンが集まって来た」
「幾野くんたちの嗅覚どうなってるの」
俺と峰田は敷地内の建物の半分をブチ
で、そこにはなんかフタが開いてる鉄の筒と、そこから散乱しているいろんなものが。
「──────
「教えてやる─────これがモノを
「スタァァップ!! 二人ともスタァップ!!」
「これゴミじゃねーんだ!! 相澤先生たちの代で埋めたタイムカプセルで……クッソ話聞こえてねぇぞコイツら!?
「フルカウル……!! 止まって二人とも……!!」
「なんかごめーん! 私なんか、なんか色々変なことになってごめんなー!?」
正気を失いゴミに突撃する俺たちだが緑谷と切島に全力で止められた。
そして事情を聞けばなんだかタイムカプセルを発掘したんだって。麗日ちゃんが空中の高い所から落として開けたんだって。
ほーん。それなら休憩中だし許したろ。おれはしょうきにもどった。
さて、んじゃそうなれば相澤先生たちを呼んだ方がいいだろうね。
「……あー、相澤先生、マイク先生。聞こえます? タイムカプセル見つかりましたよ、昇降口の外にいるんで来てください」
距離を無視して先生たちを呼び出す。
で、すぐにやって来た先生たちと野次馬のA組のみんな。
「OH!! マジで見つけたのかよタイムカプセル!! ってかもう開いちゃってるYO!!」
「すみません、色々あって落としちゃって……中身が散らばっちゃいました」
「ん。A組の方の掃除は?」
「バッチリよー! 建物ん中全部キレイキレイだよイクノ! 後で見てみ? 驚くから」
「流石。んじゃ休憩がてらちょっとタイムカプセル見ていきますかね」
芦戸ちゃんに聞いたらA組のみんなもちゃんと掃除してたらしくて流石だね。
やっぱ掃除よ。掃除してれば大体の悩みは吹き飛ぶ。それで吹き飛ばない悩みはおっぱいに顔を埋めてれば吹き飛ぶ。完全なメンタルコントロール。
「何々ー? 何が入ってんの!?」
「お、これ当時の雑誌じゃね? グラビアページあるか!?」
「実ちゃん」
「ぐえー!」
「HA! 俺の高校の時のコスチューム! 懐かスィー!!」
さてそんじゃ散らばったモノの回収しつつみんなで何が入ってるか確かめていく。
峰田が拾い上げた雑誌、マイク先生の学生時代のコスチューム。うんうん、色々入ってんな。
「ん、これ昔の捕縛布? 相澤先生が使ってた奴っすか? すっげぇ、頑丈な捕縛布がボロボロだ」
「訓練用のだな。昔はこれ使って上り下りしてた……ん。これは……」
「お、先生なんか見つけたんスか!?」
「……ああ────
そこで相澤先生が拾い上げた古い写真……横目にちらりと見れば、そこには高校生時代の相澤先生を中心にして、左にマイク先生、右に……誰だろう、知らない人だ。白い髪色の少年が写っていて。
今の方が写真の中の先生よりも若いっスね────なんて、茶化す雰囲気ではちょっとないな。
八斎會の事件のあとの病室で俺と緑谷だけが聞いた話。かつて、明るい友人がいたという相澤先生の過去。
でもその人の話をマイク先生も相澤先生も全くしない……そしてきっとその人はヒーロー科の生徒で。
そこまで分かれば推測ができる。きっと……亡くなられたんだ。
であればそこで俺が無神経に茶化すのは違うよな。
この想い出はきっと、相澤先生とマイク先生だけのものだ。
「あ、このCDの曲親が時々口ずさんでるわ」
「流行ったの俺らがめっちゃ小さい頃じゃね?」
「時代を感じるな」
「ジェネレーションギャァップ!! 俺だってまだまだヤングよ!?」
「相澤先生の方がヤングじゃないすか?」
「それは言わねぇお約束よォ!!」
「ねぇねぇ、私達もタイムカプセル埋めてみるー?」
「面白そうですわね。検討してみましょうか」
「いいな! やろうぜ!」
「峰田はアレ入れてよー、ジオラマフィギュア! みんなのまた作ってさァ」
「それにしても爆弾だと思ってたなんてなァ! 麗日おっ
「むー! 恥ずかしいから言わんといて切島くん……!! 一人で勘違いして何してんやろ私……!!」
「また浮いちゃった……お茶子さん。僕たちを守ろうとしてくれてたんだよね。ありがとう!!」
「……やだ、もー……デクくんにお礼を言われることじゃ……」
「そんなことないよ! お茶子さんらしくて……その、可愛かったよ!」
「へへへ……」
その後もタイムカプセルの中身を見て盛り上がったり、緑谷と麗日ちゃんがなんかいい雰囲気になったりして。
休憩も終わり再び大掃除が再開されて、俺はA組全員を引き連れて結局雄英の敷地内全ての建物の塵芥を