【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!!   作:そとみち

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131 怪盗キッドさんはちょっとチートが過ぎる

 

 

 冬休みも終わって今日から始業。

 俺たちA組はクラスに集まり、お互いにあけましておめでとうの挨拶をして。

 で、早速始まる授業について飯田委員長から案内があった。

 

「今日の授業は実践報告会だ。冬休みの間に得た成果・課題等を共有する」

「インターンやチームアップミッションで得た経験を見せるって事か」

「うむ! さぁみんな、スーツを纏いグラウンドαへ!」

 

 飯田が冷静かつ適切な指示出しでA組に通達する。

 随分と物腰も落ち着いていた。マニュアルさんとこでインターンしてきた成果出てるな。物腰柔らかだ。

 

 さて、早速俺たちは教室のロッカーから自分のヒーロースーツを取り出してグラウンドへ移動する……と言う所で。

 

「……すまん飯田!」

「む、相澤先生。随分慌てて……如何されましたか? 本日の概要は伝達済みですが……」

「ああ、悪い……急用が入った! 実践報告会は明日に延期! 今日はグラウンドでミッドナイトに授業を任せているからそっちから指示を受けてくれ! スーツ無しでジャージでいい……急で悪いが後は任せる!」

 

 相澤先生が教室に現れて……しかし、何やら随分と急いでいる様だ。慌てていると言ってもいい。

 かなり珍しいな、相澤先生があれほど焦るなんて。本気の急用っぽい……身内に何かあったりしたんだろうか。

 

「かしこまりました! ミッドナイト先生に指示を仰ぎます! 先生はどうかお気になさらず用事のほうに!」

「すまん……!!」

 

 飯田の答えを聞いて、ほぼ駆け足に近い急ぎ方で相澤先生は去って行ってしまった。

 

「…………ケロ。行っちゃったわ」

「あけおめの挨拶する暇すらなかったわー。マジで忙しそうだったね」

「何かあったのか……? ちっと心配だな」

「うむ……しかし今僕たちにできることはない。せめて先生にさらに心配かけぬよう、指示通り動こう! ヒーロースーツは一度収納! ジャージに着替えて改めてグラウンドに集合だ!」

「おう!」

 

 しかし先生も行ってしまった今俺たちに出来るのはちゃんと授業を受けることくらいだ。

 改めてスーツはしまって、ジャージに身を包んでグラウンドに集合した。

 

 


 

 

「おー、いい天気だなー今日は」

「日差しが出て温かくていいですわね」

「グラウンドに集合っつってたけど……ミッナイ先生どこだ?」

「おお? なんか色々用意されてんな?」

 

 さて、そうしてグラウンドに集まったところで……なんかグラウンドにいっぱい準備されてるのを見つけた。

 なんだあれ。どう見ても服がかけられてるハンガーラックと、あと試着室の様なそれが並んでて。

 試着室が5個並んで……はっ!?

 

「ゴレンジャイゲームか!?」

「アカレンジャイ……ケツバット……うっ……オイラ頭が……!!」

「年末の特番でお前らラーカーズでやってたなーゴレンジャイ」

「ぜんっぜん揃ってなくてめっちゃ峰田くんケツバット受けてたね……」

「全員赤で揃えてきたの爆笑しちまったわ」

「ホントお前ら二人はよくやるよな……」

 

 俺と峰田がその試着室を見て恐怖を思い出す。

 年末特番で笑ってはいけない24時を収録した際、その内の企画の一つでゴレンジャイゲームをやらされたのだ。

 まぁこれが息が合わなくて揃わない事。何回もケツバットを食らう羽目になったわ。

 まさか授業でもやるのか……!? でも20人でやるとなると永遠に時間がかかるぞ……!?

 いや流石にやらんか。

 

「ってか先生……あれ!? 相澤センセーいるじゃん!?」

「え? お、マジだ。 向こう向いてら」

「急用とのことだったが……用はもう済んだのだろうか?」

「相澤先生ー? どしたのー?」

 

 さて、しかしその試着室の近くをよく見れば普通に相澤先生がおるやんけ。

 向こう向いてるけどあのヒーロースーツと捕縛布を見間違えるはずもない。身長も高くて175cmくらい……アレ!? いや待てあれなんかでかくね!?

 まだ相澤先生の身長は160cmから2cmしか成長していないはずだぞ!?

 

「────引っかかったわね!! 今日の授業はずばり『入れ替わり』よ!!」

「「「ミッドナイト先生ー!?」」」

 

 そこでばさりとスーツを翻し、脱いだ向こうにはいつものドスケベヒーロースーツを纏ったミッドナイト先生が待っていた。

 コスプレしてたという事か……!? 相澤先生の服を!? なんで!?

 好きな人と同じものになりたいって言う難儀な性癖の持ち主だったのか!?

 もしかして急用ってミッドナイト先生に服を奪われそうだから逃げてたのかな相澤先生。おいたわしや。

 

「……ま、実はこの授業はもうちょっと後にやる予定だったんだけどね。相澤くんが急遽授業出られなくなったので先にやっちゃおうってワケ。激しい運動とかもないから年明けの一発目にちょうどいいかなってね」

「え、今の変装を俺らがやるんスか!?」

「そうよ! ヒーローは時にヴィランを欺く技術を求められるわ! 外見も内面も他人になりきって上手に入れ替われるかを競います!」

 

 ミッドナイト先生の授業の説明が入る。

 まぁ一言で言えば変装の練習だ。ただし服だけじゃなくてその内面もしっかり真似できるかという所も考慮されてるらしい。

 ふむ、一理ある。ヴィランだってトガヒミコに代表されるようにヒーローに扮装することもあるし、逆にヒーローが潜入の際に他の何かに変装することだってあるわけだしな。

 実際に俺なんかは八斎會の事件の時に身バレしないように変装したしな。普段も有名税で変装必須マンだし。

 面白い。俺好みの授業だ。

 

「誰が誰の姿になるかはくじで決定! レプリカのスーツを着たら入れ替わり開始!! で、この人物識別ロボの『認識くん』がなりきった相手だと判断すれば合格よ!」

「明ちゃんが作ってた奴だ。授業に活かされることになったのかお前ら……意外な活躍」

 

 今日の授業を支える人物識別ロボ。開発室で明ちゃんが手慰みに作ってた奴らだ。

 作ってみようぜってネタ出したのは俺です。久しぶりだなベイビーたち。

 

『ハンベツチュウ……ハンテイ セン イクノ(○)』

「本人です」

 

 うん。ちゃんと○が描かれたプレートも動いてるな。稼働ヨシ!

 

「しかし他人になり切るとは……興味深い授業だ」

「言うは易し、行うは難し」

「言っちゃなんだけどコスプレみてーなもんだろ? 楽しそうじゃねーか!」

「内面まで真似できるかどうかって所がポイントなんかね」

「俺の独擅場だな。女装で鍛えたコスプレ術見せてやるわ」

「逆にお前のコスプレする奴が地獄にしかならねぇぞ」

「せんせー、コスプレするのは男女別ですよね? 幾野は?」

「基本はそうだけど幾野くんはあらゆるリスクと可能性を考慮して女子枠に入れてあるわ!」

「知ってた」

 

 まぁ変装なら自信ありますし。女装で鍛えておりますし。

 面白そうな授業じゃねぇか!! 一番いい成績叩き出してやるぜェ!

 

「さぁみんな準備いいかしら!? 思う存分なりきって頂戴!!」

 

 入れ替わり授業が始まった。

 

 


 

 

 まず一番手。緑谷→爆豪ちゃんのすがた。

 

「…………」

「かっちゃんから殺気を感じる!!」

「ヒーロースーツの着こなしはいいんだけど目がどうしても……アレだな。緑谷だな」

「目力が足りな過ぎる」

「ほら緑谷ー! 爆豪になり切れー!」

「ファイトー!」

 

 うん、着こなしは悪くない。ちょっとダボ付いた感じだけどレプリカのヒーロースーツはフリーサイズになってるようで緑谷の身長でも爆豪ちゃんのスーツをバッチリ着れていた。

 でも目があんまりにも緑谷だ。爆豪ちゃんは眼つきが特徴的だからな。やむなし。

 合格判定に至るためには後は内面を上手く真似できるかだ。誰よりも爆豪ちゃんの事を見ている緑谷なら行けるか……?

 

「かっちゃんになりきる……かっちゃんに………ッスゥー……俺が最強だァ!! 俺について来いッ!!」

「おお!! いい線いってねーか!?」

「自信出てるわよ緑谷くん!」

「ここ最近はコンビでの仕事も多いもんね緑谷とバクゴー」

「旧知の仲。勝手知ったると言ったところか」

『ハンベツチュウ………ハンテイ カツキ バクゴウ(○)』

「やったぁ! やったよかっちゃん!!」

「何で俺に話しかけんだクソデクぁ!! お前が俺になろうなんて100万光年早ェんだよォ!!」

「爆豪ちゃんが動揺している」

「距離の単位だぞ光年は」

 

 なんと一発成功。中々に見事な啖呵だったね。

 まぁ流石の幼馴染って所か。最近は緑谷も爆豪ちゃんに変な遠慮もしなくなってきたし。仲が良くていい事だ。

 だから麗日ちゃんはそんな目で二人を見ないであげてくれる?? 男の友情だよアレは多分。

 

 

 

 次。飯田→緑谷のすがた。

 

「雄英高校ヒーロー科一年A組出席番号18番、緑谷出久です!」

「ただの飯田じゃねぇか」

「なりきろうとしているが余りにも飯田が強い」

「飯田ジャナイヨ。緑谷ダヨ」

 

 駄目だ。こいつはなり切るのがヘタクソすぎる。

 腕のいつもの変な動きも出てるし。片言になり出したし。マニュアルさんの所で何を学んできたんだお前……!!

 

「あ゛あ゛~~~~~~!! なめとんのかァ!!」

「ケンカ売っとる??」

 

 ヤバい。強火系彼氏と重力系彼女が興奮し始めた。

 

「メガネ外せェ! ソバカスも足りてねンだよ! その立ち方やめろォ!! もっと自信なく突っ立って腕は胸元でぐっと握れやァ!! 眼も丸みだせェ!!」

「熱血指導が入った」

「爆豪お前……」

「ちょっとあれやね……まず背を少し丸めて……んで目は柔らかくてでも芯のある感じで。首はちょっとうつむき気味で見上げる風にしたほうがええかな……」

「彼女からもダメ出しが出たぞ」

「耐えられなかったか……」

 

 彼氏と彼女による熱血指導が入り、見る見るうちに飯田が緑谷になっていく。

 言っててなんだけどスゲェ表現だなコレ。愛が重いよ。緑谷への愛が。

 

『ハンベツチュウ………ハンテイ イズク ミドリヤ(○)』

「おお! ありがとうかっちゃん! お茶子さん!! 君たちのお陰だ!!」

「ああああア゛ア゛ア゛!!!」

「喋らんといて??」

「かっちゃん!? お茶子さん!? 授業だからさ!!」

「ウケる」

 

 結局飯田のコスプレへの怒りは二人とも収まらなかったらしい。

 愛の重い彼氏と彼女を持つと大変だな緑谷(笑)。

 

 

 さて、そうしてみんな順々に課題をこなしていく。

 

 次は瀬呂→轟のすがた。これは着こなしも○、一発でクリアしてた。ツンツンしてた頃の轟模倣。

 次は轟→常闇のすがた。異形系を真似するために轟が頭に常闇きぐるみを被ってたけど多分この授業そういうんじゃない。クリアはしてた。

 次は切島→尾白。普通になるのが難しいというか切島の髪の主張が強すぎる。ウィッグの付け方は前の女装大会で教えてやっただろ?? 粘って合格。

 

 

 次。

 上鳴→峰田の姿。

 

「まず身長を108cmにしようか」

「無茶いうなよ幾野!?」

「黙れ。俺が無視の個性使って縮めてやるよ縦によォ……ってかふざけんな頭にブドウ玉つけるだけで峰田になり切れると思ってんのかよテメェはよ……?」

「イクノの目がイッてる!!」

「助け……助けて!! 葉隠! ヤオモモー!!」

「面白いからもうちょっと見てるね」

「愛ですわね」

「クソッ駄目だあの女たち使えねぇ!! 峰田ァァァ!!」

「ケロ、実ちゃんは口田ちゃんのなりきりね。似合ってるわ」

「梅雨ちゃんはイクノかー! 普段ぴっちりスーツ着てるからハードルは低そうな!」

「いちゃつきやがってよォあの野郎ォォ!!」

「とりあえずこの金髪は無視で頭の中に埋めてやるよ……その代わりちゃんと峰田のナイスヘアスタイルにしてやるからよ……あとテメェなんだそのハーパンはよォ? 峰田の腰回りはカップ焼きそばみてぇな半円状に決まってんだろクソが……埋め込んでやるわ俺が。ちゃんと顔にもマスク被れや殺すぞ……」

「助けてェェ!! 耳郎!! 耳郎助けてェェェェ!!!」

「ウチを巻き込まないで」

「梅雨ちゃァァァァん!!!」

『ハンベツチュウ………ハンテイ ミノル ミネタ(○)』

「……っは!? 梅雨ちゃんに助けを求める姿が峰田判定された……!? た、助かった……!!」

「……チッ」

「アイツが一番重いんじゃねぇか」

「光と闇を孕みし男」

 

 上鳴が中途半端な峰田の変装してたから懇切丁寧に指摘してやったら合格判定貰ってやがったクソがよ。

 明ちゃん作成のベイビーとはいえ判定が緩すぎるな。俺にいわせりゃまだ100点満点中5点ってレベルだわ。命拾いしたな上鳴ィ……。

 

 

 はい。

 しょうきにもどった。

 その後もみんなそれぞれなりきりまくっていたのだが、ついに俺の番がやって来た。

 

「百ちゃんでした」

「まぁ! 照れますわね……センさんがわたくしのスーツ姿になるなんて! お写真の準備をしておきましょう!」

「幾野が……八百万に……?」

「目を潰して光を失うという選択肢が俺の脳内に生まれつつある」

「ハイチーズできんか葉隠」

「やだ」

「メガネを外していてよかったとこれほど思う時はない」

「腰回りはともかく胸はどうすんのセンくん」

「まぁ見てなって」

 

 俺は一度試着室にin。

 一度全裸になり……そしてこの授業で女装する可能性があると理解した時点で開発室から持ってきたアイテムを装備する。

 明ちゃん開発の変装用アイテムだ。

 首にチョーカーのように装着し、ボタンを押すとフラッシュが発光して、なんか周囲の元素を固定してどうたらなんたらして……まぁハニーフラッシュみてぇなもんだよ!

 それで顔を自由に変装したり、あと偽乳を俺の肉体に増設したりすることができるのだ。

 ヒーロースーツ着てる時は首にダイブセンサーが出てくるから使えないんだけど、日常のマスコミ避けやファン避けに顔を変えるにはこれほど便利なものはない。

 で、今回はそれで胸だけ増設。百ちゃんと同じカップまで盛った。形も俺の手が覚えている限りで完全再現。

 

 髪の色は変えなくていいか。髪型は百ちゃんと御揃いの巻き上げつつポニテにするオールバックでおデコ見せて、前に房を垂らしてっと。

 んでレプリカのコスチュームを着て……いや改めて着て分かるこの露出の激しさね。

 俺は過激な服も着慣れてるのでアレだけどやっぱ攻め過ぎじゃないかなこの衣装。俺の彼女が肌を晒しすぎている。

 魅力をみんなに伝えたいという想いと俺の彼女の肌を晒させたくないという想いが二つある~!!

 でも透ちゃんが全裸だった頃もあるし今更か。

 最後に目元を吊り上がり気味に化粧でちょちょいのちょいっと。ヨシ完成。

 

お待たせしましたわ

「「「髪の赤いヤオモモ!!!」」」

『ハンベツチュウ………ハンテイ モモ ヤオヨロズ(○)』

「判定はっや」

「まぁ……素敵ですわ! センさんがまるで私のように……!」

「ってか胸ェ!? どうなってんだよそれスーツじゃねぇよな生身だよな!?」

「明ちゃんに作ってもらった変装用アイテムでなんとか出来たところあるよね」

「コイツの彼女みんな有能すぎんか??」

 

 まぁ一瞬で合格判定よ。当然である。

 髪の色を黒く染めたら本人と並べても違和感ないレベルだと思う。お互いにスタイル抜群だしね。

 芦戸ちゃんのなりきりしてた百ちゃん(なりきれてない)と、麗日ちゃんのなりきりしてた透ちゃん(なりきれてるけど俺しか見えない)で並んでお写真なども取りつつ。

 ミッドナイト先生も授業中だけど俺たちの青い果実に感動しててチェキOKしてくれてた。

 

「うふふ……なりきれてないのも多いけど……その青さもまたいいわぁ……!」

「青いかあの3人?」

「既に爛れきってない?」

 

 まぁその後もみんなで衣装チェンジしてみたり。着替えたがらない爆豪ちゃんを俺が煽ってものの見事な飯田のなりきりを完成させてたり。

 そんなこんなでなかなか盛り上がって、新年初の授業は終わりを迎えた。

 

 

 ……しかしまぁ、相澤先生のことはやっぱ心配だな。

 あの人の事だから聞いても教えてはくれないだろうけど、ちょっと気にしておこう。

 

 

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