【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!! 作:そとみち
完全オリ話。
三学期も始まり、ある日の事。
今日は普段と一味違うヒーロー基礎学が午後にあるため、みんなそれを楽しみにしていた。
「久しぶりだよなー。4カ月ぶりくらいか?」
「夏以来だもんな。向こうも強くなってんだろうな」
「B組は混ざらないんだねー?」
「B組はB組で、あっちの試験会場で縁が出来た学校の生徒に声かけて来月にやる予定なんだって」
A組のみんながヒーロースーツにそれぞれ身を包み、USJに集合する。
かつてヴィラン連合の襲撃があったここUSJだが、勿論その後の授業でも色んな救助活動の訓練でも使っており、俺たちにはもう馴染みある場所だ。
しかし今日はこのUSJ全域を使っての授業だというのだから面白い。
USJに到着すれば、すでにゲストも来ていたようで。
俺は本日のゲスト……
「おー、来たっすね!! お邪魔してるッス!! 久しぶりっすね幾野サン! 轟と上鳴サンはこないだのチームアップお疲れ!!!」
「や、幾野くん。緑谷くんに……みんなも。俺はまだチームアップミッションで一緒になってないから仮免試験以来かな。冬場になったからみんな随分様変わりしてるね!」
「久しぶり夜嵐!! 真堂パイセンも!! みなさんも!!」
「皆さんお久しぶりです!! 今日はよろしくお願いします!!」
今日はここ雄英にて、3校揃っての合同遠征訓練が行われる日だった。
我らA組のほか、前回の仮免試験で合格した学校の中でも有力なところで教師陣での協議があり、お互いの成長、刺激のために企画されたのだという。
いやーみんなお久しぶりですわ!! 中瓶パイセンのヒーロースーツ相変らずエッチっすね!!
でもあれだな、この中で一人だけ俺が初見のパイセンがいるので挨拶だけしておかねば。
「現見パイセンは
「やほ~。ケミィでオケオケ、よろぴ~イグジスト。つか本物マジ美人でテンション爆上げ不可避ウケる。仮免試験ん時ヴィランにヤバたにされててメンゴ」
「すごい文化的口調ッ!! でもまぁよろしくっすケミィパイセン! 大変でしたね、トガヒミコの件。無事でよかったすよ」
「あざま~。つかなんでウチも無事だったかわかんね~情け有用J9だった説ありより? ウケるね」
ケミィパイセン。かつて仮免試験で間違いなく出会ってて、一緒に試験合格もしたはずの方だったんだけど……何か夜嵐から聞いた情報だとなんか仮免試験の補講に肉倉パイセンと一緒に出てたってことで。
なんで? ってなって夜嵐経由で直接本人に確認取ってみたらトガヒミコに襲撃されて入れ替わっていたという話だ。なるほどね。八斎會の時にトガヒミコが「また会いましたね」って言ってたのはそういうことかってなった。
俺のウォールハック、人の体の中まで透過して見てねぇからな。試験中に気付けってのが無理があった。あの場でケミィパイセンの体をガン見する理由なかったし。今はダイブセンサーもあるしやりようはあると思うけどね。
だからケミィパイセンとはライン交換して自撮り送りあう仲ではあるんだけど直に会うのは今日が初めてである。こっちも直に会ったら美人で驚きましたよ。
「でもやっぱこうして直に会えて分かりましたけどケミィパイセンのお顔も綺麗ですね!! 睫毛のあたりのメイクすっごい好みっす!! すき!!」
「幾野サン彼女いましたよね!?」
「変わらないな君は……」
「雄英の品位を貶めると同時に笑顔を世間に提供するダブスタ男であるな……」
「やばみ~。イグジストに褒められっとガチで照れるし!」
いつもの如く本心を口から零したら夜嵐ともじゃパイセンと肉倉パイセンに白い目で見られた。テレるね。
さて、まぁ挨拶はこれくらいにして合同訓練に入ろうぜ。
今日の訓練ではそれぞれの学校の担任教師と、オールマイト先生と13号先生が見に来てくれている。
教師陣も俺たちに続いて授業開始時間に合わせてUSJに到着したが……しかしその様子がなんか面白いことになってた。
「イレイザー……なぁ……いいだろ……? ハァ……結婚しよう……ハァ……!!」
「イレイザー先輩、その女の言うことを聞かないでくださいね……ハァ……僕がいますからね……ハァッ……!!」
「事案か???」
「ショータお兄さん……エリが守るから……!」
「エリちゃんも相澤先生にひっついてきたぞ」
「物凄い状態でやってきたな相澤先生」
バスから降りてきた教師陣……のうち、まずミスジョークが正気を失っていた。
で、13号先生も相変わらず正気を失っており、そしてそんな中でエリちゃんもなぜか相澤先生についてきて腰のあたりをぎゅって掴んでる。
ものっっっっっっすごい困った顔をしている相澤先生。助けてやらんぞ。
真堂パイセンも中瓶パイセンも困ってんじゃん。ミスジョークが完全に飢えた獣になってるじゃん。セックスビースト。誰のせいやろな(遠い目)。
「……生徒の前ではきちんとしろ二人とも。エリちゃんも見学用の控室から出ないように。……さて、待たせたな。今日は雄英・士傑・傑物での合同訓練だ」
「若き力が最近は伸びている。どの学校の仮免ヒーローもチームアップやインターンでニュースで名前が上がらない日がないくらいだ」
「幾野くん……イグジストのお陰で仮免ヒーローにも注目が集まってるしね。たしかに取材受ける機会増えたかな」
「今日はお互いに磨きあい、連携を深め、切磋琢磨し……更なるプルスウルトラをしてほしい!!」
「「「はい!!!」」」
さて先生方からの挨拶を終えて続いて合同訓練の内容についての説明になる。
俺たち生徒は13号先生が配る小型のアイテムをまず受け取った。
コレは……明ちゃんとメリッサさんが開発室で作ってんの見たな。
形を一言で表現すればドラゴンボールのスカウターだ。インカム機能と、マップを表示する機能と……そして謎のゲージが表示されている。
ちょっと弄ればマップはどうやらUSJでの自分の現在位置が表示される仕組みになってるようだ。ふむ?
「今配ったものが今回の訓練で使うアイテムだ。耐久性は考慮しているが破壊・破損は出来る限り避けるように。露骨な顔面狙いは禁止だ」
「今日の訓練……名付けて【
「「「楽しそう!!!」」」
続く説明を聞けば……とりまルールはこんな感じだ。
・A組20人、他校8名のうち24名を抜粋して8チームのランダムチームを作ってバトル。4名は休憩兼観戦。
・フィールドはここUSJ内。どこをどのように使ってもOK。建物の破壊もルール違反じゃないけどほどほどに。
・行動不能になるか、スカウターに表示されてるゲージが0になったら脱落。ゲージはダメージをスカウターが読み取って反映され、大体クリーンヒット3回で終わり。
・バトロワということでPUBGやAPEXみたいに、セーフエリアが時間ごとに収縮していく。収縮マップはスカウターに表示される。範囲外にいるとゲージが削れていく仕組みで、出た瞬間に敗北とはならない。
・各地にゲージを回復するアイテムや、周囲のチーム位置が一定時間分かる様なアイテムなどが置いてある。それを探索してチームを強化していくのもあり。
・ヒーローらしく相手の命を脅かすような攻撃はNG。手加減しながら全力でプルスウルトラしましょう。
「「「絶対楽しい!!!」」」
ルール聞いたら特にゲームに造詣のある生徒達から歓喜の声が。俺もFPSはウォールハックの気分味わうために触れてるのでルール自体はとても理解しやすいものだった。
これは面白いぞ……範囲が狭まっていくからいずれ必ず接敵しなければならないし、スタート地点をどこにするか考える必要もあるし。勿論隠密行動だってやれるだろう。場合によっては他のチームと手を組んで強いチームを挟み撃ちにしたりとかも考えられるかも。アイテムの種類も見れば格上を一方的に倒せるようなのもいくつか混在してる。
うわーちょっと無限に面白そうなルールじゃん! これB組とも後でやろうぜ!
で、しかし。
このルールを聞いた瞬間にやっぱり気になるのは俺の事。
これ俺が下手に無敵チートしたらあれよな。なんで俺はびしっと挙手。
「相澤先生。俺はどーします?」
「ああ。……今日は他校の生徒も来ている、いわばレクリエーションも兼ねた訓練だ。今回はお前にハンデを課す。俺たち雄英が普段やってる訓練でもあることなので、他校の生徒は気にしないでいい。あくまで訓練だからな」
「イグジストくんはまずウォールハックの範囲を半径100mまでに抑えてほしいの。透けて見える索敵はこういうバトロワ系だとホントヤバいからね。あとダメージ判定は君が攻撃を無視してすり抜けてもスカウターでカウントするから攻撃は避けないとダメって感じで、スカウターの無視の調整をお願い。……悪いね君だけ」
「いやいや全然気にしないでください。バトロワ系FPSにチーターが紛れ込んだらそれこそ興ざめですし……移動に無視ワイヤー使えるしウォールハックも100mも見れれば相当やれる。いい塩梅だと思います」
先生方から受けたハンデはそんな感じだった。
いい感じですね。無視自体は使っていいけど、FPSゲームでチーターがやってる文字通りのウォールハックは今回は半径100mに抑える。どっかの施設の中心にいればその施設の大半が見渡せる程度の範囲が見える感じかな。
で、攻撃は無視してすり抜けてもスカウターの方でダメージ判定を貰うから、ちゃんと体ごと回避しないといけないわけで。当然だな。ウォールハックと無敵のチーターが混ざったらそれは即アカBANなんよ。
良いんじゃないでしょうか。ワープして接敵しても範囲攻撃受けたらゲージが削れるっていうくらいの塩梅、強キャラだけど連携次第で潰されるくらいのそれに落ち着いて。十分よ。
「8チーム24名でくじを引いて、一回休みのくじを引いた生徒は観戦だ。全域にカメラやドローンも準備しているから、見る事でも学ぶように。この訓練が終わった後は各校レポートも提出してもらう」
「楽しんでいいけど真剣にね!! そんじゃ早速ペア分けのくじを引こうか!! 何回も引き直すからね、即席チームアップが出来るようにこれまでチームアップミッションで鍛えたんだ!! 成果見せなよアンタたち!!」
「「「はい!!!」」」
さぁ、ワクワクしてきたぞ。
ウルトラランブル。楽しんでいこうじゃねぇか!!
超楽しい!!
「なるほど、隠れる用に植え込みや廃車になった車が普段より多く設置されてんのね……とりあえず100m8時方向に1チーム。マップにピン刺します。常闇、肉倉パイセン、梅雨ちゃんか」
「肉倉いるんじゃワンチャン『精肉』で一発ダウンありそー。つか水難地帯は初動で人少なめ? ウケる」
「飛べる常闇と泳げる蛙吹もいるからこのフィールドじゃ機動力はダントツ。どうする幾野」
「轟の氷で梅雨ちゃんの体温さげりゃ動きが抑えられるかも。常闇もダークシャドウ広げてないから索敵はそこまで広くない。とりま見つからないようにこっちもアイテム探して、隙をつきますか。行こうぜ」
何戦かチームを変えてやってみたけど中々にこれが面白い。
落ちてるアイテムの中にはカメラガンのような形で相手をカメラに収めて引き金を引くことで一発限りだがゲージ30%削る様なものもあったりして、アイテム収集がマジで重要なのが一つ。
で、もちろん索敵、奇襲も重要で。どんなに強いアイテムを拾おうと峰田や肉倉パイセンみたいな一撃で行動不能にできるタイプの個性と接敵するとその場で動けなくなったうえで狭まるセーフエリアの範囲ダメージでやられる。
チームの連携や個性の噛み合いなども考える必要があり……訓練として色んな判断力が求められる中でも、ゲームのような面白さも混ざって。いやこれおもしれーわ。
これまでの戦闘の中で、とりあえず俺は初回のバトルでドン勝を取っている。
が、その後は周りからも警戒されまくり、200m以上離れたところからカメラガン×3で一瞬でゲージ削られてやられたり、セーフエリアが狭まり切ったラストバトルで回り全チームと息を合わせて狩られたり。
地中に潜って攻撃回避するにせよ真堂パイセンの『振動』や、あと口田が毒虫使って地中で攻撃して来たり爆豪ちゃんが体育祭の時みたいに地面を爆発で大穴開けてきたりして、普通にゲージ削られることがあって。
マジで連携次第でいくらでも俺が負けるルールだ。俺がカメラガンで早期に落ちた試合では最後まで透明であり続けた透ちゃんが一位になったりもしてて。
ゲーム的な要素も入ってるから楽しめるし、ガチバトルも奇襲もありえる。
乱戦の訓練になるなコレ。今後も定期的にやりたいまであるわ。
さて、そうしてこの試合も梅雨ちゃん達チームをなんとか撃破して、セーフエリアの収縮に巻き込まれないようにして俺ら幾野、ケミィ、轟チームは戦場を移動。
一旦広場に移動して、収縮が最終的にまとまりそうな火山地帯に移動するか、道中のチームはどうか……と考えていたところで。
しかし、そこで。
「幾野くん!! 緊急事態!! すぐ来てッ!!!」
緑谷の大声が、俺の許された索敵範囲を超えた距離から届いた。