【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!!   作:そとみち

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152 ふたりきりだね……緑谷♥

 

 

「よっす! オライグジスト!!」

「!? ……幾野くん」

「来てしまったか、幾野少年……黒いな」

 

 青空が広がる外、デカいビルの屋上に緑谷はいた。すぐ後ろにはオールマイトも一緒だ。

 見下ろす街並みにはなんか爆発でもあったのか、所々から煙が出てる。既に一仕事終えたところだったかな。

 黒いヒーロースーツに身を包んだ俺が急に現れて一瞬驚いた様子だったが……オールマイトからも話を聞いていたのか、すぐに落ち着いた空気になる。

 ってかコイツ……目つきがなんか変わったな。

 OFAを背負う覚悟がそうさせてるのか。いつもの丸っこい目はどうしたお前。

 

 俺は緑谷と語り合う。

 お互いの想いをすり合わせるために。

 

「……僕を連れ戻しに来た、わけじゃないんだね」

「そうしたいのが本音だけどな。それが出来る力も今の俺にはある。なーにがOFAじゃい。俺が世界で二番目に強くて一番はミリオ兄さんだからな。ちょろいぜ」

「相変らずズルいね幾野くんは。でも……」

「分かってる。ここで俺が無理矢理お前を連れ戻しても、お前はまたすぐ飛び出して行っちまうだろ。スピード勝負じゃお前に分があるしな。まさか毎回ワープして無理矢理やるわけにもいかないだろ」

「分かってくれてて嬉しいよ」

「ホンットお前、無茶しやがってさ。いいんだぜ? 俺もだけど、A組の誰だってお前が近くにいて迷惑だなんて思わねぇよ。準備してここに来てる俺が言うのもなんだけど……戻るつもりはないんだな?」

「うん。死柄木は僕の居場所を捕捉できる……今はまだ僕たちとの戦闘のダメージがあるからかもだけど、奴らが万全の状態になってしまったら前の戦いよりもひどいことが起きるかもしれない。その前に死柄木とAFOを止めなきゃいけないんだ。その戦いにみんなを巻き込みたくないんだよ」

「殴りたくなるようなこと言いやがって。……ま、いいさ。気持ちは俺もちょっとわかる。今実は俺、個性がちょっと暴走しててよ……出来ることが増えすぎて、個性の力が強くなりすぎてる。意識してないと周りを無視しちまうんだよ。なんで人がいっぱいいる所にいるのが怖くてさ」

「幾野くんの個性が……? ……そんな。それだったらなおの事、みんなの所にいたほうが……」

「気ぃ抜くと話しかけても無視されんだぜ? しかも俺のせいで。お互いに哀しみしか生まないわ今の俺があそこにいても。その分こっちにくりゃ緑谷だけ意識してりゃいいからずいぶん楽だ。そもそも俺も死柄木に狙われてるし」

「…………戻りなよ。これ以上個性が暴走したら……」

「鏡見るか? 今の俺の立場から、お前に全く同じ言葉を返せるぜ?」

「ぐぬ。……なんか前にもこんな話したね」

「ああ、したな。文化祭の時だったっけな、懐かしいな。……緑谷、俺はお前の隣にいてやるよ。ただし一つ条件がある」

「ありがとう。でも条件って……?」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「っ……」

「ヒーローは人を笑顔にさせる存在だって言ったのはお前だったよな。そんなお前が、OFAの……今の状況の重荷に耐えられなくなって笑えなくなったら、俺が止めてやる。そうなる前にとっととヴィラン共捕まえて、AFOと死柄木の情報取って、んで俺のワープで突っ込んでブッ殺して解決するぞ」

「いや僕も行くけどね? っていうか幾野くん、僕に飛んできてくれたみたいに……死柄木たちの所へワープはできないの?」

「人遣い荒いな。まぁ無敵だから出来ればやるんだけど、やっぱクソヴィラン相手には俺の心の距離が遠いのか、やれる感覚がないんだよな。親しい相手……お前たちみたいな親友ならもういっくらでも飛べるんだけどさ。ごめんな融通利かない個性で」

「君の個性で融通利かないとか言われたら立つ瀬がないよ僕。……でも、それなら今の僕が囮になってAFOの情報を少しでも引き出せれば……」

「ああ。俺が飛び込んですぐ解決できる可能性だってある。バレないように調査するだけだってヒーローたちに情報回せるしな。んでさらにお前の隣にいることはヴィラン共には幸いにしてバレないし。個性で無視されてるからな。お前がアタッカー、俺が見えないサポーターだ。ダツゴク共も捕まえつつAFOが痺れ切らすの待つぞ」

「助かるよ。…………君はいつもそうだね、幾野くん。隣にいてくれる……この力の使い方を覚えるのも、ステインの時も、I・アイランドの時も、かっちゃんと喧嘩した時も、八斎會の時も……いつも君にばかり頼っちゃってる。申し訳ないよ」

「謝られることなーんもない」

「……ふふ、そうだったね、うん、ありがとう」

「いいってことよー! でも麗日ちゃんお前の手紙読んでめっちゃくちゃキレてたのだけ伝えとくな。俺はフォローしないからな」

「何で最後にそれ言ったの考えないようにしてたのに」

「ハハハ。彼女がいるのに頼ろうとしないお前が悪いわクソボケが!!」

「ハーレムクソ野郎がなんか言ってる。逆に大丈夫なのそっちは。葉隠さんと八百万さんと発目さんにはちゃんと説明してきたの? 冬美さんにも……」

「緑谷にどうしてもついてきてほしいって言われたって説明しようかなって」

「今すぐ帰ってくれる??」

「冗談です。俺も峰田に置手紙してきてその辺説明してきたから大丈夫やろ」

「……峰田くんかぁ、そっかぁ。彼女たちを差し置いて峰田くんかぁ……一番大変なの絶対峰田くんだなぁ」

「なんや。手紙書く時間が無くて仕方なくやぞ」

「そっかァ~……。……ふふっ。なんか、いっくらでも何とかなる気がしてきた」

「俺とお前で出来ないことなんてあるもんかよ」

「そうだね……うん、平和を……みんなとの時間を取り戻すために頑張ろう。よろしく、幾野くん!」

「ああ! ヴィラン共全滅させてやろうぜェ!!」

 

 言いたいことは全部言って、緑谷も俺が隣にいることは了解してくれた。

 ちゃんとそこ落とし込んどかないと逃げる可能性あるからな。お前を一人になんかさせるかよ。

 麗日ちゃんの話題を出したところで目つきもいつもの画風に戻ったし。よかったよかった。

 

 さて、んじゃあとは具体的な今後の活動についてだが。

 

「オールマイト。とりま警察と公安にお願いして、大至急ダイブセンサーにダツゴクの顔写真リストのデータ送ってもらっていいスか。これが新しくしたアドレスです」

「ム。判った、すぐやらせる……が、どうするつもりかね」

「簡単な事ですよ。俺のダイブセンサーは生体バイタル登録での居場所の察知の他、()()()の機能もあるんです。ヴィラン連合は全員バイタル登録してやったから俺から5キロ以内にいればわかりますし、ダツゴクも顔変えてなければセンサーで捉えられます。俺と緑谷で全国飛び回ってヴィランやダツゴクの居場所を見つける。ダツゴク一人一人に対処はできないから、俺がマッピングしたダツゴクの場所をヒーローネットワークに共有させて、現地のヒーローや俺らのケツ持ってくれてるエンデヴァー達に捕まえさせる。俺等も余裕あれば捕まえる。で、既に事件が起きてりゃ俺と緑谷で即潰す」

「なんと……!! そこまでの事が出来るのか!? 確かに、それができれば相当な検挙が出来るだろうが……!!」

「明ちゃんが40秒で開発してくれました。俺の個性も成長しましてね。やれる事増えた。だからオールマイトはその情報をヒーローたちに共有してください。俺と緑谷が全速力で行動すれば一日に数千キロは走り回れる。根絶やしにしてやりますよヴィラン共を。とっととケリつけましょうや」

「僕の危機感知も広げておきます。5キロ以内のダツゴクの位置情報を幾野くんが自動で集めてくれるなら、起きてしまってる事件を僕の方で感じ取る。人々を助けながら動けるかと」

「中々にいい嚙み合わせだな。んでAFOの痕跡が出てきたら速攻で情報共有してって感じで……ヴィラン壊滅RTA始めましょ」

「うむ……君たち二人に頼ってしまってすまないが……!!」

「ん。なーんも」「謝られることない、です!」

 

 つい先ほど明ちゃんに組み込んでもらった、ダイブセンサーによる顔認識機能を使うことを考えていた。

 ダツゴクはこれから事件を起こすヴィランとは違って、既に事件を起こして一度収監されているヴィランだ。データは刑務所に残っており、全ての顔写真も当然にして保管されている。

 であれば俺がそのデータを貰い、ダイブセンサーで今詳細に感知できる5キロの範囲内にいるダツゴクを顔で認識して位置を確認する。フードや仮面で顔隠しててもダイブセンサーの前では無意味だ。監視カメラのAIよりもよっぽど精度良く捕捉出来るだろう。

 そんでそのデータをヒーローネットワークに共有。ヒーローたちが今日本中をパトロールをしてくれてるから、どんな個性を持っているダツゴクかが分かれば対策を練ることも出来るだろう。それでダツゴクは一斉検挙。

 緑谷の手紙で読んで分かってたけど緑谷も危機感知の能力に目覚めているので、既に事件が起きている、もしくは危険が迫っているような緊急性のある事件は緑谷が感知して俺と共に即時解決。

 これをダツゴクがいる範囲を中心に全力でブン廻して、AFOが焦れて攻め込んでくるのを待つ。

 刺客でも送ってくりゃそっから情報引っこ抜く。俺が緑谷の隣にいることは俺が周囲を無視してるからバレないし、アイツ基本的にバカだから何も考えず刺客を緑谷に送ってきてそうだし。

 

 

 やることは決まった。

 俺も緑谷も、想いは一つ。

 

 平和を、あの日常を取り戻すために。

 

 

「ん。また危機感知……こっからでも見えるね。巨大化の個性を使ったみたいだ。でっけーヴィラン」

「我が世の春ってツラしてんなぁ。ただデカくなるだけで強くなれたらマウントレディは苦労してねーのよ。よし……じゃ、行くか」

「うん」

 

 緑谷が顔を隠すためにマスクを被り、俺はダイブセンサーの機能を十全に使うためにヘッドギアモードを起動。

 緑のヒーロースーツと、黒のヒーロースーツが青空に飛び出した。

 

 

 ──────ヴィラン連合に落とし前つけてやろうぜ。

 

 


 

 

【side 真堂】

 

 

 俺とタタミ*1は傑物学園近くのパトロールにあたっていた。

 ここ数日で学園周囲のヴィラン事件は急増。エンデヴァーが会見でも言っていた通り、近隣のヒーローを集めてチームアップして対処に当たっているがそれだけではなかなか手が回り切っていない。

 どうにも情報としてはダツゴクが複数この周囲に逃れてきているということで、社会もかなり混乱してしまっているが……しかしまだ一線は保てている。人々がパニックを起こしたりはしておらず、傑物学園への避難も順調に進んでくれている。

 だがそれでも、体の不自由な方やそもそも避難を望まない人たちもいて、その人たちに被害が及ばないようにこうしてパトロールの回数を増やしてるってわけだ。

 

「んー。ヨーくん、さっきの人たち大丈夫かな。避難はいずれするって言ってたけど……」

「強制連行していいなら引きずってでも連れていくけどね。この周辺にアレが潜伏してるって話は伝えたし……逃げてはくれると思う。あとはアレを迅速に捕まえるしかないな」

 

 つい今朝入った情報。タルタロスから脱獄したダツゴク、マスキュラーがこの辺りで暴れているという話。

 既に何件か被害が出ている。血狂いは周囲への破壊と、同時にヒーローを襲撃して戦いを望む癖がある。

 だからこそ俺がそれに対抗して止めなきゃいけないわけで、先生たちにも出たら早急に応援要請しろとは言われてるけど……ま、やるしかないよね。

 

 そうしてパトロールしていると、やはりその時は来た。

 真壁からの通信。すぐに俺たちは気を引き締めた。

 

『───二人とも、ヤツが出た!! 肉眼で確認したうえでそっちに向かってる!! 先生と周囲のヒーローには連絡済みだ、止めろ!!』

「来たか……血狂い!! タタミィ!! 市民の避難を!!」

「了解! ヨーくんは!?」

「ブッ倒す……と言いたいけど力量差は理解してる。足止めするさ、応援来るまで!! ミスジョーク先生が来てくれりゃ一発だろ!!」

 

 ズン、とビルが崩れるような音が響く。巨体で飛び跳ねて移動しているのだろう。

 これ以上町は荒らさせない。俺が止める。

 

 ……見えた。

 1キロ先の彼方から、まるで流星のように飛び込んでくるマスキュラーの姿。

 

 着地点はちょうど俺の目の前のビル……避難済みの地区だから建物には誰もいないはず。

 俺たちを狙ってるか。ちょうどいい、相手してやる!!

 

「────よう!! 遊ぼうぜェァッ!?!?」

 

 ……だが、そこでおかしなことが起きた。

 飛び込んできたマスキュラーが、ビルに着地……当然その勢いはとんでもなく、ビルを倒壊させながらの着地になるかと思われたところで。

 なぜかマスキュラーの体が、()()()()()()()()()()()()ビルに潜り込んでいったのだ。

 

 何だと? 急になんだ?

 もしや新しい個性か? AFOと共にタルタロスにいた元ヴィラン連合所属の男だ。もしかすると新しい個性を与えられているのか?

 だが……そうすると厄介だぞ。あのタイプの力はいやって程見覚えがある。

 まさかだが、()()()()()()()()()を持たされていたとすると余りにも厄介だ。

 場合によっては撃退を諦めて市民の避難を全力で……と。

 

「クソッ、何が……って緑谷ァ!! 緑谷だ!! 逢いたかったぜ!! 雑魚ばかりで物足りガッ……!!」

「お前が脳ミソまで筋肉じゃなくてよかったよ。この電撃は洸汰くんの分だ……くたばれクソが」

「80%、セントルイス・スマッシュ───!!」

 

 そこまで俺が考えていたところで、マスキュラーが潜り込んでいったビルの中から凄まじい音が鳴り響き、煙が吐き出された。

 煙の中で、電撃のような音と、超パワーによる殴打のような爆発音がして。

 なんだ? 何が起きている?

 ビルごと『振伝動地』で崩壊させるか? いやそれでこちらの隙を与えてしまっては……。

 

 そう悩み、ビル内が静かになっても臨戦態勢は取り続けていたところで、しかし。

 

「……やっぱり真堂さんだ。頑張ってるんだな。無事でよかった」

「向こうには中瓶パイセンもいるぜ。相変らずエッチだなあの人のヒーロースーツ」

「人の彼女に何言ってんの」

 

 ビルの中から完全に気絶させたマスキュラーを連れてくる、()()()ヒーローの姿が。

 そのスーツもまた余りにも見覚えがあり過ぎた。先々月に行われた雄英での合同訓練で見たスーツで、それは……。

 

「……緑谷くんかい!? マスキュラーは!?」

「お久しぶりです! ワケあって秘密作戦行動中なんですが、マスキュラーが相手なら急いで迎撃しないとと思って! 完全に気を失わせて捕らえてあるので、すぐにメイデンのある警察署まで運んでもらえますか?」

「あ、ああ!! わかった!! すまない、助かった!!」

「ハイ!! 真堂さんも中瓶さんも、みなさんもお気をつけて!! この後この周囲にいるダツゴクの位置情報がヒーローネットワークに共有されると思うので参考にしてください! では失礼しますっ!!」

 

 事情が呑み込めない俺に捕らえたマスキュラーを渡し、ダツゴクの位置が分かったという話を貰って……そして、次の瞬間にはもう緑谷くんは飛んで行ってしまった。

 黒鞭を使いこなしている姿は合同訓練でも見せてもらったが、しかしその時の速度の比ではない。

 高く飛び上がって行ったが、もう後姿が見えなくなりそうなほどで。

 

 そして、彼の隣にふと、一瞬だけ。

 黒い影が付き添うように飛んでいた、ように見えた。

 

 

「……ヨーくん!! 今の緑谷くん!? なんか……すごいことになってたね!?」

「ああ、驚いた……でも彼の個性は超パワーと黒鞭だけだったはず。マスキュラーを建物にすり抜けさせたり、さっきの煙は何だったのか……わかんないけど。でも……」

 

 急な展開に未だに驚愕を呑み込み切れてはいないが、それでも被害が増えることなくマスキュラーを捕えられたことはよかった。

 先生たちに報告したタタミも戻ってきてくれて、先ほどの様子に驚いていたが……しかし、俺は同時に少し安心していた。

 

 

「───でも、雰囲気は変わってなかったな。頑張ってるんだな、緑谷くんも」

 

 

 その優しい声が、一緒に訓練した時と変わっていなかったから。

 彼が彼らしくヒーロー活動をしているのであれば、俺はそれを応援しよう。

 そして、俺も負けないように。助けられる範囲の人を全力で助けていこう。

 

*1
彼女の名前。





さば味噌様よりファンアートを頂いたので紹介させていただきます!

①ヴィランに対して遊び抜きのガチモードになるセンちゃん

【挿絵表示】

https://www.pixiv.net/artworks/113523608
(pixivにも投稿いただいています。いいねしてどうぞ)

ガチセンちゃんを描いてもらいました。
ヤバい(語彙消失)何がヤバイってこれデジタルアートじゃないです……コピックで描かれておる。
画像クリックして拡大するとそのクオリティの高さで殴られます。いいねとフォローするしかないやんこんなの……しゅごい……陰影の使い方最の高……。
いつもはおちゃらけてギャグ顔メス顔してるセンちゃんが不意に見せるシリアス顔。美しい……美しすぎます。
こんなんみたらファンの脳が灼ける!腰つきのエロスと顔の凛々しさがもう……なんていうかすごい。口があんぐりしました。情緒壊れちゃう。

ファンアート心より感謝申し上げます。有難うございました!
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