【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!! 作:そとみち
【side 幾野】
「この周辺はダツゴク多いなー。さっきからめっちゃ拾えてる。500人は軽く稼げそう」
「受刑者に脱獄された3つの刑務所のうちの一つが近くにあるもんね。ヒーローも相当数配備されてて……ん、危機感知来た」
「っし。行くぞ」
俺と緑谷が飛び回って一日が経った。
刑務所を含む2県の主要都市を飛び回って、一日で俺が発見したダツゴクの数は約3000人。
緑谷の危機感知からの事件解決件数が約100件。
悪くないペースで進んでる。
ダツゴクの総人数は1万人くらいだ。3か所の刑務所とタルタロスから脱獄した人数と考えればこれだって多すぎるくらいだけど、結局顔が割れてるから公共交通機関など使おうものなら一発で場所を特定される……とまともな頭のヴィランならば考えるだろう。まぁそもそも俺が秘密裏に動いてるんですぐ場所は把握されるんだけどな。
で、そうなるとタクシーでも使うか、もしくは自分の脚で移動するかって所なのだが、当然にしてダツゴク達はお金を持っていない。
なんで受刑者らしく金を奪うための強盗を起こしていたのが脱獄事件が起きて数日の事。
これは各地のヒーローが対応して、やはりどうしてもそれなりに被害は出てしまったが……この時点で雑魚ダツゴクはヒーローにやられて捕まり、今生き延びてるのはそれなりに腕に覚えのあるヴィランだけ。
だからこそチームアップを組んでヒーローたちは対応する必要があるというわけだ。
さて、緑谷の危機感知が示す先へ俺と緑谷ですっ飛んでいく。
今や緑谷は黒鞭のほか、OFA継承者の全ての個性に目覚めていると聞いている。
死柄木相手に命の危機を感じながら全力を出したことで一気に個性の蓋が開いたとか何とか。ただまぁ全部を常に使いこなすってのは個性許容量的にもナンセンスなので、色々と使い方を模索しているところだ。
とりま高速移動の時は黒鞭と浮遊と、時には発勁。
今はフルカウルも60%、一時的なパワーなら80%まで引き出せているので……正直なところ、全盛期のオールマイトを超えるほどの速度で動けているようにも見える。
なもんでそれについていく俺も必死だ。
無視をフル活用しながらダイブワイヤーとダイブブースターで移動して、特にブースターはそれだけでマッハ超える魔改造を施しているのだが、それでも時々置いてかれる。置いてかれたらワープですぐに緑谷のそばに現れられるからそこまで困ってはいないけど。
ま、お互いに
俺らにとっちゃいつもの事とも言える。脚を止めてる暇はない。
「5キロ先、見えた。ダツゴクが複数で強盗……っと、ヒーローたちも応戦してる。市民への被害は出てない。避難済み」
「詳しい情報見せて」
「出した」
「ん。……10人か、黒鞭で一気にやる。フォローお願い」
「りょ」
この会話の間に5キロの距離なんてすぐに移動し終えてしまう。
俺の了承の言葉の次の瞬間には、緑谷がダツゴク達が暴れている大通りの中心に突っ込んでいった。
「……お前たちの思い通りには何一つさせないっ!!」
「なっ!? ンだこの黒いのはァ!?」
「急に……!?」
「ムム!? 増援か!?」
そして黒鞭を操りヴィランの動きを束縛、同時にエアフォースやスマッシュを叩き込んで一撃で意識を刈り取っていく。
俺は一瞬遅れて到着し、誰にも気づかれないままに周辺の建物に個性を通し、無視させる。
市民の避難はヒーローたちの誘導で既に済んでいたので……あとは被害を抑えるだけ。
今や無視を通せる範囲も相当に広がっている。限界を超えて……俺の半径100m以内の物なら無条件だ。
つい昨日、これでマスキュラーがブッ壊そうとしたビルなどの崩壊を防いでいる。
俺のまわりで悪いことはさせねぇよ。
「エアフォースッ!!」
「ガハァッ!!」
「……っし。周辺にヴィランの気配なし。危機感知は?」
「落ち着いた。……大丈夫でしたか?」
5秒程度で全てのヴィランの意識を刈り取った緑谷が、黒鞭で一か所にヴィランを纏めて事件の対処に当たっていたヒーローたちに挨拶する。
引き継いでヴィランを確保してもらわないといけないしな。
しかし……成程、これだけ迅速に市民の避難が行われて被害ゼロだったのは流石のメンバーと言ったところか。
そこにいたチームアップしていたヒーローは三人。
9位、ヨロイムシャ。
6位、クラスト。
11位、ウォッシュ。
全員がビルボードチャート最上位、機動力には欠けるが経験と防衛力に長けるヒーローたちだ。
「ウム、助かった。しかし、噂に違わぬすさまじい力よ。そなたがデクか……エンデヴァーより報告は受けている」
「オールマイトの力を継いだ少年……見事な活躍だ!! オールマイトの目は確かだったか……!!」
「ワッシュ! 助かったっシュ! ……えっと、相方も近くにいるっシュ?」
3人ともそれぞれ緑谷に返事するが、しかし流石にこれだけ上位のメンバーなら詳細な事情は耳に入っているらしい。
ウォッシュから俺の事も言及されたので全くあいさつしないのもと思い、俺は3人に意識を向けてオート無視を解除する。
……未だにちょっとキツいなこれ。いつ直るのか……とはいえ今はダツゴクを捕えるのが優先。
そのうちいい感じになるやろきっと。
「どうも、お疲れ様です。ってかクラストさん、病院の崩壊で脚がやられちゃったって聞きましたけど……」
「おお、イグジスト!! 黒に染まったか……! 我が脚なら心配無用!!
「トップ解決にもほどがあるでしょ。無茶しないでもろて……とは今は言えませんか。無茶はいいけど無理なことはせんでくださいよ。貴方にも死んでもらっちゃ困るんだ」
「誰よりも無茶をしている若造が何を言っておるか。お主らこそ無理はせぬようにな」
「ハイ! ヨロイムシャさんは確か、前の異能解放戦線の襲撃作戦を終えたら引退の噂がありましたけれど……」
「ホッホッホ。そんな事言っていたかの……忘れてしもうた」
「とうとうボケが始まっちまったんスか?」
「カカカカ!! おヌシは変わらんなイグジスト……社会が未曽有の危機に陥りかけておる。
「エンデヴァーを若造扱い出来るのはヨロイムシャさんくらいですね……」
「ワシャシャ!! ヨロイムシャが引退したらウォッシュがベスト10っシュ!! 早く平和を取り戻すっシュ!!」
「意外と俗物っすねウォッシュさん」
警察が到着するまでの僅かな時間に、少しだけ色々と事情を聴き出した。
みんな流石だな……脚が千切れてもすぐに復帰しヒーロー活動をするクラスト。そして引退を先延ばしして最後の仕事として働くヨロイムシャ。ウォッシュも決して戦闘タイプのヒーローではないが、それでも立派に仕事を果たしている。
エンデヴァーの会見でヒーローたちもみんなこれまで以上に踏ん張ってくれている様だ。
こりゃ負けてられんわ。俺達もしっかり仕事を果たさねぇとな。
「───! また
「ん、早いな。ってわけですみません、俺らはこの辺で……潜伏してるダツゴクのデータは順次ヒーローネットワークに共有されてるんでこの周辺は任せます!!」
「ウム、任された!」
「息災でな。死ぬなよ若人」
しかしやっぱり長話してる暇はなく。
緑谷が新たに危機を感知。挨拶もそこそこにすぐさま飛び出していった。
俺も追うために再びオート無視に戻る所で……しかし、最後に。
「ちょっとだけ待つっシュ。君たちに渡しておくものがあるっシュ。イグジストなら有効利用できるっシュ」
「ん、ウォッシュさん。何です?」
ウォッシュからとあるものを餞別として差し出され……それを俺はありがたく受け取って、緑谷の下へワープして次の現場に突撃していった。
その日の夜。
あいにくの雨……しかしそれでも関係なく、俺と緑谷は日本中を飛び回る。
「この辺は雄英が近いね……」
「まーぁ雄英周辺はみんながパトロールしてるだろからな。心配してねぇよ……ダツゴクのデータも共有済みだけど雄英に近づくバカはやっぱ少ないな」
「そっか。それならよかった……じゃあオールマイトからの指示通り、雄英から離れた町の方に移動しよう」
「OK。ただ今日は雨の夜だしヴィランの活動も少し減るだろ。移動したらオールマイトと合流してちっと休憩入れるぞ。まる二日お互い動きっぱなしだからな」
「いや、僕は大丈夫……」
「お前が大丈夫かどうかは俺が決めるから。引子さんから緑谷の事任されてる身なので俺の判断に逆らったら雄英に強制送還させるぞ」
「スゴイ強引」
「お前が倒れたらそれこそ終わりっていう存在になってんの自覚しろ?」
「んむ。返せる言葉はないけど……!」
「焦んなって話よ。この二日でダツゴク共の4割は場所特定できてる……未だにヴィラン連合やAFOは見つかってねぇってことは、お前が動きすぎても出てこないかもしんねぇしさ。肝心な時に休憩不足で不覚を取ったなんて言えねぇし。休める時に休むぞ」
「……わかったよ」
闇夜の移動だが俺は少なくとも全く問題なし。無視してるから周囲は全く問題なく見渡せている。
緑谷もなんか……夜目めっちゃ利いてる。OFAの力なのか、スーツに暗視効果でもあるのか。OFAのほうかな。あの被るマスクは引子さんお手製の布のままのはずだし。
全身の強さを高めるのがフルカウルだから視力も高まってるのかもな。
「……っ! 危機感知! 前方4キロくらいの所……急に来た!」
「んだと。5キロ以内なら見えるはずなのに……いや、ダツゴクじゃねぇな。急なヴィラン事件か!?」
雄英から離れる方向に舵を切ったところで、緑谷が再び危機感知。
しかし5キロ以内なら俺のダイブセンサーでダツゴクの位置は分かるはずで……そうじゃなかったってなるとダツゴクではないヴィランによる事件が起きたのか?
こんなご時世で更に社会に混乱を起こそうとするんじゃないよおバカ!
「ダイブセンサーで見て…………むっ!!!」
「何があったの!?」
「めっちゃエロいお姉さんがいるッッ!!」
「色々と謝って!?」
早速そちらに移動しつつダイブセンサーを詳細に広げて事件の状況を見れば……無辜の市民の女性に、チンピラか何かが襲い掛かろうとしている……様な感じだ。
でもちょっと待ってください。襲われているお姉さんがエッチすぎます。
異形型でちょっとドラゴンっぽいお顔の女性なんだけどまずバッチバチの睫毛ね。すごい。透ちゃんも睫毛凄い長くてきれいで俺も睫毛フェチになってるところあるからまずお顔が性癖にぶっ刺さる。
そして身長が約250cmってところか……大きい。
おっぱいもすっごく大きい。
えぇ……ママ……。
思わずママみを感じてしまう。すっごいエッチですよ。物凄くドスケベだよあれ!!
なんでこんなエロいお姉さんがこんな夜道に……とも思ったが、リュックを背負ってるから避難の途中だったのかな。
で、そんな大きな異形型の女性と出会ったから驚いて、チンピラみたいな相手が襲おうとしている……と言う所か。
『化物め!!』とか徒党組んでる男共のほうが叫んでるけど、女性の方はただ怯えているだけだ。何もしてないって言ってる。
何もしてない女性に個性を向けるとか人の風上にも置けねぇよなァ!? このクソヴィラン共がよォ!!
「先行くわ」
「久しぶりに見たよ幾野くんの欲望マンしぐさ!」
かっとぶ緑谷をほっといて俺はその女性に向けてワープを発動。
即座に女性を守る様に手を広げて位置するが……そういや俺の姿は今見られていないんだった。突発ヴィランが個性で何か飛ばそうとしてるのが止まらない。
こりゃあかん。俺は急いで周囲を意識して、オート無視を解除。
「ストップ!! 落ち着いてください!! イグジストです!! それ以上個性で暴力を振るおうとすれば締め堕としますよ!!」
「きゃっ……!?」
「ンなっ!? 黒いイグジスト!?」
「学校周辺のパトロールしてたら声が聞こえたので!! この女性は何もしていないって話ですし!! アンタらもヴィランじゃないなら手を下ろして! 動いたら俺も動く……!!」
急に現れた黒い俺の姿に推定ヴィランの奴らもお姉さんも驚いたようだ。まぁイグジストと言ったら白だもんな。黒いスーツは見せたことがない。
目の前のコイツらがダツゴクだったらこの姿を見せることもなく有無を言わせず堕としたんだけどな。映像見てる限りじゃ女性への直接攻撃はまだされておらず……構えて脅すだけだった。
まぁこれでも脅迫罪には該当するんだけど。ダイブセンサーで同時に警察への通報は入れてあるから順次補導はされると思うけど。
それはそれとして正しい事情を知らずに捕らえる権利はヒーローにはない。
こんな混乱した社会にあるからこそ、有名ヒーローになってる俺はダツゴク以外の相手にはちゃんとヒーロー活動しないとな。
「そ、その女が……俺たちに襲い掛かろうとしたんだ!」
「って言ってますけど。お姉さん、そんなことしたんです?」
「違うわ! 何もしてない!! 私は何も……!! ただ怖くて、急に襲われそうになって……!!」
「ですって。ちなみに俺は嘘ついてるかどうかってわかりますけど。もう一回どんな事情か聞いてもいいっすかねお兄さん方」
「なっ!? くっそ、ホントにチート野郎かよ……!! よ、夜中にそんなナリで出歩くからだ!!」
「今すごいこと言ってますよ? 不安なのはわかるけどだからこそ小競り合いはやめましょうよ。家に帰るか避難して下さい。この辺はまだ事件も少ないはず。それを増やさないでくださいよ」
「……! チッ!!」
事情を聴き出したところやっぱりただのクソ野郎だった。
このドスケベ一般女性が体が大きくて怖かったって理由だけでこんなに人は愚かになれるのか……どこに目ぇつけてんだ。
一万歩譲ってエロい体に急な劣情を催したとかならわかるけど。いやそれでも襲ったらゴミカスになるけど。ただ怖くて襲おうとしたって。チワワかお前ら。
まったくもー。捨て台詞を残して走って逃げてったけどお前らバイタル登録したからな!! 逃走ルートは警察に連携してるからお前らもうすぐ捕まるからな!! バーカ!!
はい。
まぁあれくらいなら警察に任せてもよかろ。今は警察もヒーローと連携して武力行使できるようになってるし。
ダイブセンサーで情報見たら早速夜番のヒーローと一緒に警察が動き出したみたい。いつも本当にお疲れ様です。
「……みんな不安なんだね、やっぱり。怖いんだろうな……」
「お、デク。遅いぜまったくもー」
「君が早過ぎるだけだし僕もちゃんと何かあったら飛び込めるように準備してたけどね!? 下手に混ざったら君に怒られそうだったから突入を控えた僕を褒めてもらってもいいと思うんだよね!?」
「えらいぞデクようした。……お姉さんは大丈夫でしたか?」
「う、うん……ありがとうイグジスト。本当に怖くて……」
「エロすぎやしませんかこの体」(もう大丈夫ですよ、安心してください。周りに危険はないですから)
「心の声しか零れてないよイグジスト」
「しまったZE。お姉さんが魅力的なのが悪いんや……!! こんな綺麗な人を襲おうとするなんてマジで男の風上にも置けねぇわさっきの奴ら! クソー! やっぱ捕まえてくるか!!」
「今は避難のお手伝いが先でしょ。……すみません、イグジストはいつもこうなんです」
「あ、はい、うん。知ってるわ、ファンだから。ホントに男の子なのねイグジスト……」
「やだこんな綺麗なおねーさんがファンだなんて嬉しい。サイン書きましょうか?」
「イグジスト」
「ごめん」
ついついドスケベなお姉さんを前にしていつものヒーロー活動のノリでファンサを始めそうになったけど緑谷が止めてくれた。
俺の存在は基本的に隠してるんでした。ごめんな。なんもかんもこの一般女性がエロ過ぎるのが悪いんや。
でもまぁヒーローとしてちゃんと活動をする分には問題なかろう。俺は話を続ける。
「どうしてこんな夜中に……リュックを見る限りでは避難所に移動しようとしてたんですか?」
「避難が遅れたの……この辺りは雄英も近くにあるから事件は少なくて、家にこもってればその内落ち着くと思っちゃって……。でもニュースを見てた両親から早く避難しなさいって連絡が来て、他の街のニュースとか見てたら怖くなって……慌てて、飛び出しちゃったの。ごめんなさい、本当に……急に怖くなって……!!」
「それで勢いで雨の夜に飛び出すのは中々あわてんぼさんですね。やっぱ可愛いなこの人」
「そろそろツッコむのも疲れたよ? でもまぁ彼の言う通り、夜の街は危険ですし……雨ですから。すぐに避難してください。イグジスト」
「ああ。オールマイトが今こっちに向かってきてくれてる。送迎お願いしようか」
事情を聞けばこのお姉さんもだいぶあわてんぼさんだった。
避難は順次進んでいるが、確かにこの辺は事件も少ない。だとするとさっきのチンピラ共は完全になんかやらかそうと思って外出してた説が強いな。悪いことしようとしてたからこそこの大きなお姉さんを見てビビッてたのかも。やっぱ捕まれやアイツら。
で、まぁ事情も聞けば避難希望の一般市民であった。なら話は早い。オールマイトに送迎してもろたろ。
「俺が雄英まで付き添ってあげたかったんですけどね……実は今、秘密任務中なんですよ。俺がここにいたことは秘密にしておいてもらえますか?」
「そうなの? そんなときにわざわざ助けてもらってごめんなさい……」
「なーんも謝られることない。お礼なら全部が元に戻ってからでいいですからね」
「うん、ごめん……でも、元に戻るのかしら……」
「戻します」
「必ず、俺たちが」
「……え」
お姉さんの一言に、俺と緑谷は自然と返事を返していた。
誰よりも元の日常に戻したいと思っているからこそだ。
俺たちは、平和を……あのA組の日常を取り戻すために戦っているのだから。
さて、そこでちょうどオールマイトが車でやってきてくれた。
明ちゃんとメリッサさんが作ったウルトラデバイスだ。これが変形してめっちゃ強いヒーロースーツになるんだって。
でも車高が低すぎないすかねその車。もうちょっと利便性考慮した車の形でもよかったのでは? ロマンってやつか。ロマンなら仕方ないな。
「すみません。もう行かなきゃ」
「お姉さんと離れるのがすっごい口惜しいすけどね。迎えの車も来ましたし」
「あ、ごめんなさい……私、身体が大きいから乗れるか……座席に横になれば何とか」
「いやお姉さんのその大きなお体は素敵です! 俺はお姉さんの事一目で好きになりましたよ!! 綺麗ですよほんとに! だから謝らないでむしろ誇ってください! それにコレ運転してる人が身長220cmだから余裕でしょ多分!!」
「っ……て、テレちゃうわ……ありがとう、イグジスト」
「罪深い」
「……大丈夫かい。いや色々と。またイグジストがやらかしてないかい」
「手遅れかもしれませんオールマイト」
「失礼な奴らめ。オールマイト、彼女を避難所へお願いします。俺たちは一緒にいられないんで」
「え、オール……え!?」
とりあえずえっちなお姉さんはオールマイトに任せて、俺たちはパトロールに戻ることにした。
この周辺はかなり平和な状態だ……だからこそ潜伏するダツゴクを逃がさぬようにしないとな。
「送迎は了解。二人とも、これ持っていきな! お弁当! トンカツ入ってるから元気出るぞ!」
「乙女か?」
しかし別れ際、オールマイトが俺たちに作ってくれたのか、ウサギさんの柄が入ったハンカチで包んだお弁当箱を渡してきた。
どうしてここでお弁当なんだオールマイト……!! 俺わかんねぇよアンタの気遣いが……!!
あれか? 麗日ちゃんと喧嘩別れしそうな緑谷とのヨリを戻そうとしてんのか?
いや有難く頂くけどさ!! 気持ちはホントに嬉しいけどここまで乙女チックな弁当にする必要あったかなぁ!?
「ゴチっす!」
「有難うございますオールマイト!!」
「傷みやすいから早めにな。後は無理をしすぎぬように」
「大丈夫です、その辺俺が管理しますんで」
「行こうか」
弁当箱を受け取り、俺と緑谷は跳躍して再びパトロールに戻って行った。
最後に。
「二人ともありがとう!! 私、私の名前はっ──────」
助けたお姉さんが、飛び去る俺たちに伝え忘れていた名前を叫んで。
しかし雨風にかき消されたその叫びはダイブセンサーが拾ったのみで、周囲の闇夜に溶けていった。