【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!! 作:そとみち
【side 緑谷】
────お互いに構えて。
いつもは聞こえる、先生の合図の声はなく……僕たちは、
「───手加減なんて!!」
「───したらブッ殺すぞデクゥ!!」
ここで僕が負けたら、みんなをOFAとAFOの戦いに巻き込むことになる。
僕にそうさせまいと本気でみんなが僕に向かってくるから、僕も本気だ。
フルカウル60%。
スマッシュ80%。
エアフォース、
すべて使って、みんなの想いを受け止める。
これが
でも今の僕の目の前にいるのはA組だ。
毎日のように僕や幾野くんと訓練していた猛者の集まり。
真っすぐ突っ込んだら絶対ヤバい。だからまずは搦手から!
「────っ煙幕!! 六代目の!!」
「爆風地雷ッ!!」
「無駄だ!!」
「分かってんだよこっちは何使ってくるのか……!!」
「っ……!!」
みんなの目から逃れるために周囲に全力で煙幕を撒いたけど、かっちゃんの爆風地雷と、障子くんの複製腕が団扇のように扇ぎ、尾白くんの尻尾による尾拳・沼田打旋風で一瞬にして散らされてしまった。
しかもその煙幕を逆に利用して、他のみんながそれぞれ得意な位置に移動していった。
……それはそうか。
僕との連携もみんな、ずっとやってたんだ。
僕が何をしようとするかなんてわかっちゃうか。
たとえこの煙幕がみんなの前で使ったのが初めてだとしても。
「距離を……」
「────取らせると思うかよコエーよ警戒するわ!!
みんなで一気に攻められると反撃が難しくなる。特に轟くんは氷の防壁を生み出せるから彼がいる間は集団相手に攻めてはいけない。
一度距離を取り各個撃破としようと、猛スピードで黒鞭を飛ばしたけど……瀬呂くんのテープがそれを一息で巻き取り、僕が跳べないようにした。
流石は瀬呂くんだ。己の個性と経験とセンスを極めて、僕や幾野くんよりも立体機動は上手いから。
一度跳躍してしまった僕の体は空中で不自然な挙動となってしまう。テープを力で千切る必要がある。
フルカウル60%なら少し力を籠めれば……
「させないよ緑谷ぁ!! アンタ飛ばしたら終わりだからね!!」
「ガッ……!!」
でも、そこで耳郎さんのハートビートサラウンドが飛んできた。
自由に動けていたら音よりも速く跳べて避けられていただろうその音撃に、しかし直撃した。
痛い。訓練で食らうのよりもはるかにダメージが伸びてる……っていうかなんかビリビリする!!
え、こんな効果あったっけ!? 音の振動だけじゃなかったっけ!?
「なんかビリビリするんだけど耳郎さん!? ……まさか」
「それ以上言ったらブッ殺すよ!? アンタと幾野が戻ってこないから女子の機嫌悪くてちょっと肩身狭いんだかんねウチはァ!!」
あっ(察し)。
上鳴くんちょっと許せないな。見つけたら80%でスマッシュ入れよう。
けど、勿論この直撃だけで僕は終わらない。OFAの力はそう簡単に負けやしない。
音波の衝撃を堪えて、瀬呂くんに追いつかれないように変速でギアを入れ替えて浮遊。
黒鞭の補助なしでも相当の速度で飛び回ることができるようになったんだ。
これはここ数日幾野くんと飛び回った成果だ。力の扱いが最適化できた。
負けない。
僕は、OFAはそう簡単に負けないぞ。全力でかかって来い!!
「─────尾空旋舞ッ!!」
「えっ!? 捉えられ、ッ!?」
なんて気合を入れたのもつかの間、高速で飛び回る僕を尾白くんが捕まえて来た。
危機感知は発動していない。みんな、僕を想って戦ってくれているからこそだとは分かっている。
それでも、今超スピードで動いてるはずの僕の位置をそう簡単に認識なんてできるはず……
……いや、
「……索敵組3人が僕を捉えてるのか!!」
「正解。インカムは八百万さんが作ったよ。いつもそうやってたよな、緑谷!!」
「尾白くん……!! 僕は、抵抗するよ!!」
「やってみろッ!! 大きな力だって使い様だ!!」
尻尾で僕を捉えた尾白くんはそのままビルの屋上に叩きつけてくるが、僕はそれを黒鞭と浮遊で抵抗。
発勁による力のチャージを腕に……
「動きに無駄が多いッ!!」
「ぐっ……この!!」
「焦りの拳なら捌ける! 通形先輩のスマートさに比べれば……カァアアアアッッ!!!」
貯めようとして腕を動かしたところで、その隙を見事に拾われて脚を尻尾で払われた。
床を殴りつけて尾白くんに突撃しても、彼の磨き上げた武術が僕の渾身の一撃をいなし、逸らした。
そしてその一瞬の隙にも満たない隙を狙い澄まして突撃してきた友がいた。
「押せ!! ダークシャドウ!!」
「常闇くん……くぅっ!!」
常闇くんがダークシャドウを纏って超高速で突撃してきた。
僕の今の素の浮遊よりも数段速いその飛行速度に捕らえられて……でもこのままビルに押しこまれたりはしない!!
「ごめん、ダークシャドウ……!!」
「ピェー!! ミドリヤ、ニゲナイデー!」
物理攻撃が効かないダークシャドウなら力を躊躇う必要はない。
瞬間的に80%まで引き上げた腕の力でダークシャドウの体を払いのけて、飛んで逃れようとした、ところで。
「────ライトニングシュートッ!!」
「ギッ……!!」
上鳴くんの電撃が、僕を貫いた。
……そうか。上鳴くんも飛べるんだった。ライトニングボードは普段の放課後訓練じゃヒーロースーツを着ること少なかったから頭から抜けてた……!!
今や上鳴くんはシューター無しでも電撃を指向性を持たせて飛ばせるようにもなっている。空中では分が悪い。
「緑谷! OFAも大事だと思うけどよぉ!! 今のお前にはもっと大事なもんがあるだろが!! 麗日だ!! キレてたぞあいつ!! だからとりあえず謝ろ!! な!?」
「全部が終わったら土下座してでも許しを請うよ……!! 上鳴くんこそいつの間に耳郎さんとそこまで進んでんのさ!!」
「寂しがってたから慰めただけっていうかあんまその話大声ですると響香が怒るから俺の事はいいだろ!?」
「エアフォース70%……!!」
「本気で殺しに来てるゥゥ!?」
だがこちらも遠距離武器はあるんだ。
指一本とは言わず3本まとめてのエアフォースで上鳴くんを狙う。
大丈夫、君を信じてる。このくらいじゃ死なないって知ってるから。
全力で解き放ったエアフォースは、しかしダークシャドウが間に合って防がれた。
「チッ」
「やっぱマジだっただろお前ェェ!? サンキューダークシャドウ!!」
「変わらぬ事に安堵もあり……だが貴様は必ず討つ! 己から闇を孕むな緑谷!!」
不発に終わったエアフォースを再び放つ前に、改めて常闇くんと上鳴くんが攻撃してきたので一度態勢を整えるために建物内に退避。
幾野くんが事前に調べている。この周辺は既に避難が終わっていて、一般市民は誰もいない。
ガラスをたたき割って高層ビルの中に突っ込んでいき、そこで二人を迎え撃とうとして……しかし。
「15番ビル8F入ったよ」
「予定通り。態勢調えようとしてる」
「攻め続けて何もさせるな」
3人の索敵から逃れることはできるはずもない。
恐らくは今もインカムで情報を共有され
ッ
殺気 危機感知が
反応
嘘
まさか
ヴィラン? 違う
これは
誰もいない
ヤバ
首
葉隠さん
避け
無理
死
「──────ッッ!!!」
……と、そう思わせるほどの殺意。危機感知が発動するほどの圧。
ゴキブリのように姿勢を下げて全速力90%でダッシュしたからギリギリ避けられた。
それほどの殺気を、危機感知を発動させたのは…………葉隠さんだ。
「……ちぇ、ネックストーン失敗。最後まで気配を消し切れなかったなぁ───」
「はが、くれ、さん……!!」
「あ、怒ってないよ? うん、緑谷くんが一番大変な状況にいるってのはわかってるから」
「絶対怒ってるよ!! 氷のように冷たいよ声が!!」
「怒ってないよ? ただちょっと体を動かせなくするだけだもん。頸椎が折れても死ななければエリちゃんもいるし」
「物騒すぎるよ考えが!? ごめんって! 幾野くんのこと連れまわしたことはホントに、その、ごめんだけど!! アレはでも幾野くんが僕の隣にいたいって」
「─────あ?」
「言葉選び間違えました許して!!」
阿修羅になってる(恐怖)。
いやそりゃ! 幾野くんとずっと一緒にいて申し訳ないって思ってたけど!! 葉隠さんとか八百万さんとか心配してるよ早く帰りなよって僕も何度も言ったんだけど!!
でも幾野くんが僕のそばから離れようとしなくって!!!
なんて言ったら今度こそ殺されそうなので僕は何も言わなかった。
葉隠さんの姿は完全に消えてて見えない。そこにいるんだろうけど、パンチで狙うのは難しい。
こうなると範囲攻撃の蹴りによるエアフォース・スマッシュが考えられるけど、それをやると万が一ビルが崩壊したら取り返しがつかなくなる。
煙幕を出して煙で位置を確認……しようとしても、透明伝達クリアリングをやられたら煙ごと透明になって位置の把握がむしろ難しくなる。
感知系の技術が危機感知しかないことの弊害だ。
4代目には悪いけど、幾野くんやA組感知組を知っているからこそ、この能力には得手不得手があって、今は不利な状況だとわかってしまってる。
黒鞭で捉えるにしても、そうすると機動力が削がれて他の人から更なる追撃があるかもしれない。
ここは逃げる。
さっきから押し込められてばかりだ。反撃を出来る体制を整えて、一人ひとり倒していきたい。
僕は葉隠さんがいるであろう方向から距離を取るように後方に飛び跳ねて、しかし。
「んゴホッ!?」
そこで急に、何かに全身がぶつかった。
なんで。ここには何も……いや、透明伝達クリアリングを先に通してたのか!!
柱を透明にした? いや違う、形状が柱のように均一的じゃない、これは……
ッ
殺気 危機感知が
反応
また!?
そこで再びの危機感知。
しかし今度は逃れられなかった。
不可視のそれ……八百万さんが創造した何らかの機械に、僕の体は押さえつけられた。
なんだこれ……ぐえ。締め付けられる。
締め付けて……ちょっと待って圧が強い!!!
痛い痛い痛い!! 背骨折れるって!!!
「───はじめはわたくしたちも、センさんが助けようとしている貴方を心配していました。緑谷さんが誰よりも大変な身の上であることは分かっております。それでも……恨み言の一つや二つは言わせてもらいたくなるというもの。女とは身勝手な生き物なので」
「八百万さん、これちょっと待って!? 何で出来てるのコレ!?」
「私が考えうる最も硬い合金です」
「殺意が凄い!!!」
「ご安心を。ギリギリ内臓破裂しない程度の圧力に抑えてあります」
「なんて言った今!?」
「全身の骨は砕きますが命だけは許します」
「95%ッッ!!」
再び僕を殺しに来たクラスの女子の魔の手から逃れるべく、僕はさらに己の上限を超えていく。
意外と僕の体もここ数日の無茶な個性使用で伸びてたようで、体にきしみは入ったけど95%でも耐えられた。
合金をねじ切る様にして両腕を解放し、そのまま全身を機械から脱出させる。
そして八百万さんの声のした方を向けば……
─────。そうか、八百万さんも
幾野くんが葉隠さんや八百万さんに個性を通せるように、葉隠さんも八百万さんに個性を通せるんだ。
透明な、僕の命を狙う女子がこのビルに二人いる。
逃げたい。
「うわあああああ!!!」
「あ、逃げられた」
「逃がしませんわ」
ビルの壁をぶち破って全速力で脱出した。
マジで怖かった。AFOの刺客なんて目じゃないくらい怖かった。
幾野くん絶対後で責任取ってもらうからね!! ふざけんなあの野郎!!
「……空中を黒鞭無しで飛ぶときに迅速な軌道変更はできるのかい、緑谷くん☆」
「んっ!?」
直線的にビルから飛び出したところで……空中を浮遊する僕を地上から狙う友がまた一人。
青山くんだ。彼のレーザーが凄まじい精度と密度で僕を狙い落そうとしてくる。
浮遊はあくまで空中での動きを補佐する物。黒鞭が伸ばせるビルが近くにないここだと立体機動は使えない……!!
「くっ、が!! 厄介……!!」
「エアフォースを僕に放てばバランスを崩すよね☆ 狙い撃ちさ」
身をよじって回避するが、青山くんのレーザーは物理じゃない。光線だ。
これを身に受けても無事なのは幾野くんと葉隠さんくらいのもので、しかもレディ・ナガンの銃弾とは違い拳で弾くこともできない。
まずい、誘われた。僕の動きを分かり切っているみんなだからこそ、僕がやろうとしていることが分かっている。
このフィールドを舞台に選んだのもきっと全部準備してたんだ。
僕に必ず勝つために。
「『変速』ッ……二速、一速……!!」
「な、急加速からの急停止……!?」
僕は切り札である変速を出す。
二代目の個性。五速まで入れればそれは物理法則を無視するほどの速度を放てるけれども、デメリットとして使用してから五分経つと個性が使えなくなるクールタイムが発生する。
けど、二速までならデメリット無しで加速、減速が可能だ。
慣性に頼らない急加速と急減速。これを使って僕たちは町を飛び回っていた。
これで青山くんのレーザーの雨を潜り抜けて、遮蔽物であるビルに隠れてからエアフォースで反撃をすれば。
「───
「ッ!?」
「赫灼熱拳『燐』─────大氷海嘯ッッ!!」
でもそこで、僕の隙をついて飛び込んできた轟くんが僕の見たことのない技を。
超広範囲にわたる瞬間凍結の、凍るような炎の波を僕に向けて放ってきて。
─────避けられない。
僕の全身と、同時に周囲の幾つものビルを巻き込んで一瞬で凍りついてしまった。
入学当初の戦闘訓練で、轟くんが魅せた凍結……幾野くんと葉隠さんがいたビル一棟を、10秒くらいで凍り付かせてたっけ。
今は一瞬で複数のビルを凍り付かせるまでになったんだ。
すごい技だ。僕も……相当ヤバかった。
轟くんが本気だったら、多分僕も動けなくなったと思う。
でも、手加減された。
僕の表面は凍り付いたけど、まだ体は動かせる。
「フルカウル……80%ッ……!!」
「無理すんな緑谷! 体温を相当奪った、ロクに動けねェだろ!! 俺たちみんな、お前に負けない力がある!! AFOだろうが死柄木だろうが荼毘だろうが俺たちみんなで迎撃すりゃ負けやしねェ!! お前も、幾野も!! 一人でやろうとすんな!! 俺達も一緒に戦わせろ!!!」
バキバキと凍り付いた腕を動かし、体に熱を溜め、轟くんから離れる方向へ黒鞭を使い跳躍。
手足が上手く動かせないけど、黒鞭のコントロールで何とかなる。なんとか飛べる。
真っすぐ飛ぶだけならまだやれる。まだ……
「緑谷ぁッ!!!」
「ケロ、緑谷ちゃん!!」
しかしそこで人間砲弾が跳んで来て、弾き落とされた。
切島くんが全身を固めて、梅雨ちゃんの舌で遠心力をつけてぶつかって来たんだ。
……体育祭の時に、梅雨ちゃんの舌を掴んで切島くんが投げたっけ。
今度は切島くんを梅雨ちゃんが投げた。舌の力も強くなってるし、狙いを真っすぐ定めて飛んできた切島くんもすごい。
「お前に言いたいことも山ほどあるしよォ!! 聞きたいことも山ほどあるんだ!! 戻って来い!! 俺たちは大丈夫だ!! みんなお前を守ってやれる!!
「切島くんっ……!!」
「行かせないわ。貴方の事が大切だから……貴方とセンちゃんのいるA組が、みんな好きだから。貴方たち二人だけで
「梅雨ちゃん……!!」
二人の、みんなの想いが凍り付いた全身に染みわたる様にひしひしと伝わってくる。
わかってるんだ。みんなは強い。前に障子くんにも言った通り、みんなで力を合わせればオールマイトにだって勝てるかもしれない。OFAの力を超えられるかもしれなくて。
でも、巻き込みたくないんだ!!
みんなに危険な目に遭ってほしく無くて……
……でも、幾野くんなら巻き込んでもいいっていうのか、僕は?
「─────ッッッ!!!」
感情がぐちゃぐちゃになって、僕はなりふり構わずに全ての個性を解き放った。
黒鞭の弾性+OFA90%+発勁+浮遊+変速二速。
現役時代のオールマイトを軽く超える、超々々々高速飛行。
みんなに申し訳が無くて。
向ける顔が無くて。
かんしゃくを起こす子供のように───僕は空に飛び出した。
「お願いね委員長。
「ああ。任せてくれ」
でも、そんな迷子になった僕の耳に、届かないはずの声がして。
甲高い、エキゾーストがあたりに響いて。
「レシプロターボ───ゼロシフト・グランドライブッ!!!」
どこへでも駆けつけて、迷子の手を引いてくれる君が。
飯田くんが全力のレシプロターボで僕を追い、お茶子さんの個性で空に飛び……僕の手を、しっかりと掴んでくれたんだ。
君の速度には、僕の本気でも敵わない。
振りほどかなきゃいけないのに、力が入らない。
これまでみんなから受けたダメージと、僕の迷子になっていた気持ちをその手が掴んでいたから。
僕は─────
「……無重力解除!! 三奈ちゃん!!」
「任せろい!! もみじおろしにはさせないよー!! 保護被膜用超弾力アシッドマン!!」
「見事な援護だ!! 峰田くんのもぎもぎほどではないが、これなら……!!」
そしてその勢いのままに無重力が解かれて、凄まじい勢いで堕ちていく僕と飯田くんの体が地面にぶつかる寸前に、芦戸さんが僕たちの体に濃度を調整したうえで弾性を持つ酸を纏わせてくれた。
そのおかげで着地の衝撃は相当に抑えられ、飯田くんの姿勢制御も加味して僕たちは無事に着地した。
「よぉーし! 緑谷! アンタもイクノもほんと無茶ばっかりしてさ! やっぱ駄目! 私らA組、誰が欠けても歪でさ……!! だから戻ってきてよ! 一緒にいよう!? みんなで世界、守ろう!?」
「芦戸、さん……僕は……」
着地した後に、みんながそれぞれお互いを抱えて飛んだり移動したりして、集まってきて。
その中でも芦戸さんからも僕たちを心配する言葉がかけられて。
僕は……僕は、みんなに負けた。
OFAの力を使って、本気で戦って、負けた。
僕は、みんなに謝らなくちゃいけなくて──────
「────デク」
「かっちゃん……」
最後に、僕に声をかけてきたのはかっちゃんで。
「……てめェをずっと見下してた」
「……」
「無個性だったから……俺よりはるか後ろにいるはずなのに俺よりはるか先にいる様な気がして嫌だった」
「……」
「見たくなかった。認めたくなかった。だから遠ざけたくてイジメてた。否定することで優位に立とうとしてたんだ……俺はこの雄英に入るまで、お前にずっと負けてた」
「……」
「雄英入って……幾野が、バカな俺の頭叩き割ってくれた。
「……」
「言ってどうにかなるもんじゃねェけど、本音だ」
「─────今まで、ごめん」
かっちゃんが、僕に。
これまでの行いを謝罪し、頭を下げて。
「OFAを継いだお前の歩みは理想そのものだ。何も間違ってねぇ……って、
「!」
「けど今は言える。OFAの意志を継いだお前が、今やってることは間違ってんだ。オールマイトになろうとするお前だから間違っちまってる。幾野も、峰田みてぇになりてぇって……お前ら二人は、
「……僕は……」
「オールマイトを超えるために。お前も幾野も、雄英の避難民も町の人も、もれなく助けてヴィランを捕まえて、平和を取り戻すために……一人の力じゃやれることなんてタカが知れてんだ。お前と幾野二人でもまだ足りねぇ。─────
「……!!」
「だから……帰ってきてくれ。俺たちには、お前の力が必要だ」
そして、今のかっちゃんだから辿り着いた答えを、僕に教えてくれたんだ。
そんな、考えてみれば当たり前のことで。
一人でやるよりも、みんなでやったほうが……平和に近づけるってわかってるのに。
僕も幾野くんも、周りが見えていなくて。
みんな、とっくに僕たちなんかよりずっと先にいて。
─────力も、心も、みんなに負けた。
「……ごめん……みんな、本当に、ご、め──────」
そのことが申し訳なくて、みんなが僕たちを助けてくれたのが嬉しくて……思い出したように、僕の全身に疲労が回った。
意識が落ちる。
ふらついた僕を、それでもしっかりと支えてくれたのは……柔らかくて暖かい、お茶子さんの腕だった。
「わかってる。─────お帰り、デクくん」