【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!!   作:そとみち

166 / 177

※ヴィジランテのネタバレが多分に含まれまくります。
全15巻! バイナウ!


166 こいつヤバい。

 

 

 俺はセントラル病院にやってきていた。

 アメリカからやって来たスターアンドストライプが死柄木に襲撃されて重傷を負い……その後エリちゃんに回復され、その経過を確認するためだ。

 彼女が入院している超VIP用の個室にお邪魔する。ノックノック。

 

「失礼しまーす……おおう。スゴイ人数」

「幾野か。その後の捜索はどうだった」

「相澤先生……いや、申し訳ないっす。駄目でした。衛星からの映像もハックして探したんですけどアイツ海中に一度潜ってそのまま逃げちまったみたいで。衛星映像まで仲介すると無視が通せないんでジャミングの個性使われると映像に乗らないっぽいんすよねアイツ」

「そうか……いや、やむを得ん。その情報でも値千金だ。公安と警察でさらに精密な調査が進むことだろう」

 

 病室に入れば、まず病衣を着てベッドで胡坐をかいてるおっきな女性、スターアンドストライプがいて。

 で、その周りには今回スターアンドストライプを巻き戻して治癒したと聞いているエリちゃんと、その保護者である相澤先生。この二人は最近はセントラル病院に常駐して何やらやってるらしい。

 あと出迎えに行ってたエンデヴァーと、スターアンドストライプをセントラル病院に運んだ物間。

 塚内警部とオールマイトとホークスもいて。

 ……で、あと日本人の、20代前半ってところかな? 見知らぬ男性の方がいて。

 

「スター、クロウラー……これがさっき話に上がってたイグジストだ。貴方たちと同じように、規格外の個性を持つウチの生徒だ」*1

「ん、ん……ん? イレイザーさんすみません、なんて言いました? アメリカに住んでてもまだ英語よく聞き取れなくて……」

「お前は口を閉じてろ」

「はい」

「……アメリカでも噂にはなってたさ、LGBTQの破壊者って方でね。坊や……いや、本当に坊やなのかい?」

「ちんちん見せましょうか?」

「アッハハハハハ!! なるほど話の通りクソガキだな! 気に入った、私と初対面でその胆力は見込みがあるよ……良い目もしてる。この子たちが貴方の希望ですか、オールマイト」

「ああ。幾野少年も、物間少年も……もちろん私の力を継いだ緑谷少年も、他の生徒も。みんなが世界の希望だ。彼らの活躍があったからこそ各国も日本への支援要請に前向きでいてくれるのだ。……それなのにキャシー!! 君というものは一人で飛び出してしまって!! 吐血するほど心配したぞ!!」

「ああ、もうしわけありません! オールマイトを心配させるつもりじゃなかったの……私は貴方の国を助けたかったのよ」

「それでもだ!! キミは合衆国ナンバーワンという立場をよくわかって……」

「オールマイト! 話はまだよく分かってないスけど説教で女の人泣かせちゃ駄目っスからね!! そこのエンデヴァーみたいになりますよ!!」

「俺を引き合いに出すなイグジストォォォ!!」

「泣かせるつもりではないぞ幾野少年ンンンン!!」

「元ナンバーワンと現ナンバーワンにそこまでの態度を取れるのは君くらいだろうねェ幾野くん。相変らずで何よりだよ、元気が出てくる」

「んにゃぴ」

 

 はい。あいさつ代わりに全方位茶化しから入ってやりました。

 で、改めて初対面の二人にはご挨拶し、いろいろ事情をお伺いした。

 

 スターアンドストライプ。説明不要のアメリカナンバーワン。

 個性についてはアメリカの方で情報統制がされてたけど俺と同じで概念系個性。俺よりも出来ることが異様に広く、ただし敵の個性に対して完全な無効化はできないと。防御力じゃ俺の方が上かもね。

 一刻も早くオールマイトを助けたくて独断行動で日本に飛び出してきちゃうあわてんぼさんでもあった。見た目は画風が濃いけどそういう所だけ見ると可愛いなこの人。笑顔が優しくて素敵だし。

 笑顔が素敵な女性いいよね……。ママみを感じる。

 

「─────で、結局死柄木に崩壊を叩き込まれてこのザマってわけだ。クロウラーに助けてもらわなきゃ間違いなくあそこで彼らと一緒に死んでたな。サンキュークロウラー。アンタやっぱり最高のバカだ」

「……え、あれ!? 今俺お礼を言われてる!? 言われてますよねイレイザーさん!?」

「口を閉じてろ」

「はい」

「俺みたい」

「僕もそう思った」

 

 で、そのスターアンドストライプをヒーローチックな活躍で救出したこの人は、ヒーロー『スカイクロウラー』。

 外国のヒーローについて俺は全く以て詳しくなかったが、とりあえず聞いたところによると日本人で、なんか相澤先生たちとも縁のある方だと。ほえー。

 言っちゃなんだけど、こうやって間近で見てもなんていうか……一般人としか思えないくらい気が抜けてる人だ。普通の人すぎて、近くにいてほっとすると言ってもいい。

 でもこの人が崩壊をくらったスターアンドストライプを助けたんだよな。今の死柄木から。人は見た目によらないって事か。

 

「一応改めての報告となるが……あの後日本政府より迅速な救助活動が行われ、X-66戦闘機の搭乗員は全員救出済み、セントラル病院に運ばれている。さらに戦闘記録もアメリカ政府の了解のもと情報提供を頂いている。解析中だが、戦闘中のあらゆる生体反応から個性解析まで記録されている……そこからさらに死柄木の能力などについて分析が進むだろう」

「各国からもヒーロー派遣についてスターに次いで進めてくれている話が出ている。一週間後には更なる戦力が日本に集う事になる」

「もうすぐチェックメイトね。ただ……私が力になれないのは不甲斐ないけれど」

「ん。スターさんはエリちゃんの力で治ったんじゃないんですか?」

「ああ、体は回復したのだが……一度死柄木に個性を奪われた際にキャシーが無茶な個性の使い方したことで個性の調子がかなり際どい事になっているんだ」

 

 スターアンドストライプから話を聞いたオールマイトより説明があった。

 身体はエリちゃんの巻き戻しにより、崩壊を乗り越えて無事に回復はしたとのことで。

 しかし個性『新秩序』が死柄木に奪われたときに、個性と反発しあう条件を個性に付与したとかで。まずそれがスゲー。

 で、その状態の個性を返されたときに、己の個性すらも傷つけてしまったとかで。概念的でよくわかんね!!

 諸々無視して個性細胞見てみるか。ちらり。……なるほど確かになんか元気がない感じだ。これでは十全に個性を使えないだろう。

 これの回復は巻き戻しでもどこまで戻せばいいかもわからないので様子を見ているという話だ。

 

 ……ふぅん?

 

「なるほどね。()()()()()()()

()()()()()()()

 

 ここに未だに物間がいる理由が分かったわ。

 黒霧からワープゲートの個性をコピーするほかに、『新秩序』のコピーも試すつもりだなコイツ。

 AFOがやりたいこと全部コイツがやってんじゃん。やっぱこいつが一番のチートなのでは??

 

「まァ……でも命があっただけよかったさ。特にそこのお嬢ちゃんがいなけりゃ私は塵になって死んでた」

「……ふぇ? 私のこと?」

「フフ。ちっちゃいころの私に似てるかな……オールマイト、この子の名前はなんと?」

「エリという。その個性により悲しい過去を背負っているが……OFAの力を継承した緑谷少年や、幾野少年らの活躍により闇より救い出され、光の道を歩もうとしている」

「そうですか。……っしょっと」

 

 スターアンドストライプがベッドから降りて、しっかりとその足を床についた。体はマジで完治してるな。

 で、その大きな体がエリちゃんに向かって歩を進める。

 はわわわわ、と驚いてエリちゃんが相澤先生の背中に隠れようとするが……でもスターアンドストライプの顔を見て大丈夫だとわかったようだ。

 スターの表情は、誰よりも優しい微笑みが浮かんでいたから。

 エリちゃんの前でゆっくりと膝をつき、大きな体を折りたたんで視線の高さを合わせたスターが、微笑みのままに一言。

 

「────エリ……ア・リ・ガ・ト!」

「……ん! どーいたしまして、おねーさん!!」

 

 病室内にいる全員が、頬の緩みを隠すことができなかった。

 

 


 

 

 さて、お見舞いも終わって俺は再び雄英に戻ることになったのだが、それについてくるメンバーが数名。

 

「クロウラー、お前の身柄を拘束する」

「なんで!? っていうか今更ですけどイレイザーさんすごい小さくなってない!? どうしたんスか!?」

「今更スか」

「とんでもないド天然と見たよこの人は」

 

 物間と相澤先生とエリちゃん、あとスカイクロウラーさんも一度雄英に戻ることになったのだ。

 相澤先生はエリちゃんの保護者で、兼任して個性の監督もしている。セントラル病院の重傷者を治す活動をしてる……とだけは聞いてるけど。そのためにエリちゃん連れてくるのか? という疑問は実は思ってたりする。

 まぁなんかやってんだろな。この人常に説明不足だし。エリちゃんがセントラル病院にいたおかげでスターアンドストライプが助かってるしまぁ細かいことはええやろ。

 

 で、問題はこの人だ。

 灰廻航一(はいまわりこういち)。スカイクロウラー。

 調べたら3年くらい前の大きなヴィラン事件、『鳴羽田ロックダウン』の時に()()()()()()として活躍した人ということで。

 多分……林間合宿の風呂で相澤先生が言ってた、知り合いの元ヴィジランテってのがこの人だ。

 その事件でヒーロー資格なしで大立ち回りをした影響でスゴイ額の借金とスゴイ数の裁判を抱えているので日本に住めなくなってアメリカでヒーローをやっているらしい。

 物凄い人生を歩んでらっしゃる。

 で、どんな活躍してたのかなとも調べてみたが……こいつヤバい。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ええ……化物……?

 エンデヴァーやホークスでも単独でジェット機は無理じゃない……?

 そもそもジェット機に空飛んで単独で追いついてんのこの人……?(ドン引き)

 俺なら……ワープして、ジェット機全体に個性を通して……いやでもジェット機って何トンなんだろ。限界を超えた今でも厳しそうな重さと推力だ。乗ってる人に無視は通せないし、空中で全員避難させるとかくらいしかできなくない……?

 

「一先ずは緊急事態ということでお前の借金や裁判は今は触れないことで日本とアメリカ両方から了解を取っている。が、ここでアメリカにとんぼ返りさせるわけにもいかん」

「あ、でも俺久しぶりの日本なので父さんと母さんに逢いたいなって……あと鳴羽田の友達とか恩師にも会いたくて……」

「事件が解決したらその辺は便宜を図ってやる。だが今はお前の力も貸せ。お前の身柄は雄英で預かることで両国から了解を取っている」

「またまたー。国が俺のことなんて気にするわけないじゃないですかイレイザーさん」

「……大統領権限で日本に来てるんだぞお前は」

「アハハハ! いつの間にか冗談が上手くなりましたね!」

「もう口閉じろお前」

「なんで!?」

「何故だろうすごいデジャブを感じる」

「僕の友人がいっつもあんな感じだったねェ。君の事なんだけど」

 

 しかしその実力とは裏腹に、態度は本当にすっとぼけたお兄さんって感じだ。相澤先生も生徒にするよりもなんか口調が荒くなってる感じある。

 今まで俺が出会ったヒーローの中でも一番ヒーローらしくないというか……いい意味でも悪い意味でも。

 ただ、こんな人でも死柄木に襲われているスターアンドストライプを助けるために戦場に飛び込む勇気があるわけで。海外で活躍されてる先輩ヒーローだからな。敬意は払うべきだろう。

 

「とりあえず物間、雄英に俺たちを転送頼む」

「了解、イレイザーヘッド」

 

 一先ず俺たちは物間がコピーしている黒霧の個性『ワープ』で雄英に戻ることになった。

 物間がこれを使えていることも秘密なんだって。そりゃそうだわな。ヴィラン連合に知られたら警戒されること請け合いだ。

 

 


 

 

 さて戻ってきました雄英高校。

 相澤先生が久しぶりに戻ってきたこととスターアンドストライプの襲撃に死柄木が現れたことで予定していたパトロールは一度中止となり、A組B組全員がまだ学園に残っていた。

 

「センちゃんお帰りー!」

「おかえりなさいませセンさん、ご無事でしたか?」

「ただいま。無事だけど全然活躍できなかったよ」

 

 透ちゃんと百ちゃんから出迎えを受けてぎゅーっと抱きしめられた。安心してしまいますね。おっぱい。

 

「……ねぇ、えっと……物間くん?」

「何でしょうかスカイクロウラー」

「あの子、噂のイグジストでしょ? 女の子なのに男の子で……」

「まず今更その確認をされるのに驚愕を隠せないですよ僕」

「彼女さんいっぱいいる感じ……? すごいねぇ、今どきの学生は……ってなんかオッサン臭い発言しちゃった!! まだ俺も若いのに!」

「彼の周りの女性関係は触れてはいけませんよ」

 

 コーイチさんと物間がなんか話してる。なんや。俺は愛する女性を愛してるだけやぞ。

 エリちゃんの教育に悪いってこないだ相澤先生にも言われたけどまだ愛とか恋とかエリちゃんは分からないお年頃やろ……大丈夫やろ……。

 

「さて……クロウラー。お前にはこの雄英でやってもらうことがある」

「ん、何でしょうか! 今は避難して来てる人たちもいるんですよね! ゴミ整理とか掃除なら任せてください!!」

「ちょっと待ったそこは俺がやるんで」

「掃除マンが行ったぞ」

「オイラたちがこの学園の清潔を保つからよ……アンタの出る幕はねェんスよ……!」

「掃除マン同士で争う事態に」

「ってかあの人アメリカから来たヒーローなんだろ? 日本人みたいだけど……なに、すごい人なん? 緑谷知ってる?」

「スゴイも何も……ネット界隈じゃある意味伝説のような人だよ!! 鳴羽田ロックダウンで超大型ヴィランを撃退した立役者! 日本から海外に出て活躍するヒーローって少ないんだけどその中でもダントツの事件解決率と借金額と訴訟を抱えている三重苦ヒーロー!! その個性は飛行と言われているけどそれだけじゃ説明できない動きがいっぱいあるんだ! アメリカにいった直後は大きな事件を解決して結構ニュースでも流れてたけどその度に解決後の問題行動が多すぎて日本でもニュースに取り上げられなくなっていったって言う逸話があって……!!」

「へー。海外のヒーローまではあんま調べてなかったから知らなかったわ」

「強いのかな……?」

「実力は情報を見る限りじゃ未知数なんだ。ジェット機の墜落を救出してるって言うニュースはあるけど、他にどんなことをしてるかまでは表のニュースに出て来てないから……」

「俺がコイツに求めているのも()()だ。今日はパトロールは緊急性がない限り中止。クロウラーと戦闘訓練をして実力向上に努めてもらう」

「え!? 俺がこの子達と訓練するんですか!? うわぁ、雄英の生徒さんたちに教えてもらえるなんて……アメリカから飛んできた甲斐があるなぁ!!」

「お前が教える側だバカ」

「なんで!?」

「なんか幾野みてぇ」

「わかる。……が、俺たちを相手に、か……どうかな」

 

 生徒たちが集まったところで緑谷が早口でコーイチさんの説明をしてくれて、その上で相澤先生が今日一日はこの人との訓練に費やせとの指示を出してきた。

 マジか。だが相澤先生の目は確かだ。それだけは確信を持って頷ける。

 つまり相澤先生はこう判断したのだ。

 

 俺たちA組B組の実力はぶっちゃければそんじょそこらのプロヒーローを軽く超えている。緑谷や俺というチートな存在が多数いることで訓練の密度が高まっているからだ。

 そしてコーイチさんはそんな俺たちを相手にして指導ができる実力を持っているという先生の判断。

 

 A組もB組もまぁ負けん気の強い生徒達で集まっている。

 敵意ではなく、実力を舐められれば奮起するのが俺たちなのだ。ミリオ兄さんのときと一緒。

 相澤先生の一言で全員から「負けるか」という圧が発されて、コーイチさんは随分と恐縮してしまっている。メンタルはホントヒーローらしからぬなこの人!!

 

「いや、俺が教える様な事なんてないでしょイレイザーさん。すごい活躍らしいじゃないですかこの子たち?」

「お前ほど自分の力を理解していない男はいないな……」

「先生。意見具申を宜しいでしょうか」

「何だ飯田」

「スカイクロウラー……灰廻航一氏の事は僕も聞き及んでおります。我が兄インゲニウムが現役時代に、ヴィジランテであった灰廻氏と連携、協力したことがあったと。捕らえようとしたこともあったと」

「え、あ! キミもしかしてインゲニウムさんの弟さんなの!? うわー! 言われたら似てるかも!! なつかしいなぁ!! インゲニウムさん元気してる?」

「ええ、今はまた新しいヒーローの道を歩んでおります。その節はお世話になりました」

「へーえ、飯田のお兄さんとも知り合いなんだ」

「顔広いなこの人?」

「っと、失礼を……確認したいことは灰廻氏の実力です。どんな活躍をされており、どんな力を持っておられる方なのか僕たちは知らない……本気で戦ってもいいものでしょうか?」

「……なるほど、懸念はもっともだ。だが心配するな、殺しても死なないようなヤツだ」

「殺される前提!?」

 

 飯田がその人ホントに実力大丈夫? と心配の意味を込めて質問してた。

 ってかインゲニウムさんとも知り合いなんだ。エンデヴァーともなんか顔見知りっぽかったし……なんだろ。意外と顔広いのか?

 

「……簡単にクロウラーの力を説明しておこう。個性は飛行。力場を生成して地面を滑走したりも出来る……が、その使い方と判断力はその辺のヒーローとは一線を画す」

「おお。相澤先生がそこまで言うんや……」

「ケロ……実力を自覚していないタイプなのかしら。長年ヒーローやられてると聞いているけれど」

「はっきり言うが路地裏などの閉所で俺が最も戦いたくない相手だ。峰田以上にな」

「峰田よりも!? 先生の得意フィールドである路地裏で一番戦いたくない相手……!?」

「──────ほう。面白ぇ」

「強火系クソ重彼氏が着火したぞ」

「ヴィジランテとして警察から逮捕状を出されたこともあり、その際に複数のヒーローが追跡、捕獲しようとしたがコイツは逃れ切った。その時追跡していたのは俺のほか、インゲニウム、ベストジーニスト、エッジショットだ。その少し前には人ひとり抱えながらエンデヴァーと正面からカチあって無傷で逃れている」

「兄さんの追跡を振り切った、だと……?」

「……アァ!? ジーニストが!?」

「エッジショットまで!?」

「ナンバー3とナンバー4、さらにインゲニウムと抹消使ったイレイザーヘッドの追跡を振り切った……!?」

「親父からも逃げ切ったってのか……?」

「バケモノか!?」

 

 話を聞けば聞くほどこの人の異常性があらわになってくる。

 いやおかしいだろ。路地裏のイレイザーヘッドってだけでも逃れられるヴィランなんてまずいない。

 その上に飯田並みの速度のインゲニウムと、拘束に特化したベストジーニストとエッジショットを相手にして……逃げ切った? マジ?

 エンデヴァーなんて3~4年前なら全く容赦しなかった時期だろうに……それも人ひとり抱えながら逃げ切るって。ええ?

 

 その話を聞いた時点で完全に俺たち生徒の意識は切り替わった。

 最高の練習相手としてスカイクロウラーをロックオンしたのだ。

 

「体育館を貸し出す。飯田、拳藤。お前らが監督してクロウラー相手に組手のローテを組んでくれ。ヘビロテでいい」

「承知しました」

「はい」

「ここまでに俺の意志が介入する余地がなかったんですけど!? ねぇイレイザーさん!?」

「怪我しても治癒させる個性のヒーローが常駐しているから安心して生徒達を揉んでくれ。俺の大切な生徒達を頼むぞクロウラー」

「若返ったのに笑顔がうさんくさいまま!!」

「殴るぞ」

「理不尽!!」

 

 こうして俺たちはスカイクロウラーとの模擬戦に挑むことになったのだった。

 

 

*1
こっから先の会話はエリちゃんとコーイチ以外は全部英語。






  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。