【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!! 作:そとみち
体育館γ。
この一年で俺たちがほぼ毎日のように使っている施設で、A組B組41人と、今日はもう一人ゲストが集まっており。
そして、今日はその空気がおかしなことになっていた。
「……っはぁ……!! はぁっ……! ハァ……ハァ……ッ!!」
荒い呼吸。
汗だくの、疲労の浮かぶ表情。
全身がボロボロになるほどの擦過傷。
そう。
異様な雰囲気の原因は、ただ一人の男。
灰廻航一。スカイクロウラー。
この人が……めちゃくちゃボロボロになって体育館に横たわっていた。
「無理!! これ以上は無理だって!! 死んじゃう!! ホントに死んじゃうよ俺!! みなさん強すぎだってすごいね今どきの学生って!! あっまたオッサンみたいなこと言っちゃった!! 違うからね俺まだ20代だから!! ギリギリ四捨五入して……あっ四捨五入しちゃだめだ! アラサーにはまだ早いから!!」
割と余裕あるなこの人。
ってか……いや、割とマジで余裕があるんだよこの人。
今の今まで、A組近接攻撃メンバーが代わる代わる、っていうか雪崩式に
もうちょっとわかりやすく具体的に説明しよう。
OFA80%緑谷とオーバーフロウ爆豪ちゃんとサードシフト飯田とスクランブル峰田とチート個性の俺が全員で一気に攻めて、致命傷を一つも与えられなかった。
おかしいだろ。全部こっちが先手で奇襲仕掛けてるんだぞ。
それなのにこの人は、手や足、膝、体の各部位から天使の輪の様な力場を生む個性で受け流すように……いや、実際に緑谷の超パワーも爆豪ちゃんの爆破も受け流して、避け続けていた。
飯田の虚を突いたキックも、明らかに飯田が先に攻撃を放ち俺の目にすら留まらぬ速度で蹴り抜いた後に、ギリギリで回避していたのだ。
峰田が絶対に避けられないタイミングでもぎもぎネットを投擲しようとしたときには『後の先』を綺麗に取られ、個性の輪から放つ空気砲のようなもので峰田の顔を見事に打ち抜き吹っ飛ばす。
俺なら力場にとらわれないので諸々無視してダイブブースターの加速で突撃しても、今度はゴキブリのように四肢を床につけて滑走し、その異様な速度と奇妙な軌道を読み切れずに逃げ切られた。
逃げた先で緑谷と爆豪ちゃんがコンビネーションで
まるで霞を相手にしてるみたいだ。
もちろん体にかすったり、ダメージを受け流せてなかったり、体力的にかなりキツい様子は見せているのだが……A組B組全員が息を呑むには十分すぎる捌きをコーイチさんは見せつけて来た。
俺のように個性で無敵だぜーダメージゼロだぜー、ってレベルじゃない。
己の勘と経験で、決して防御に向いているというわけじゃない個性で、A組トップ勢の攻撃を捌き切ったのだ。
「ありえねェ……次俺!! 俺行くわ!! 硬い攻撃ならどうっスか!?
「俺も行くぜ切島ァ!! 一手御指南お願いしゃッス!! 『スティール』ッッ!!」
「遠距離攻撃ならどうするか見せてもらうぜ……赫灼熱拳・燐───!!」
「広範囲の攻撃であれば避けることは叶わないでしょう。私の茨から逃れられると思わないでください」
「ちょっと待って!? 休憩しよ! ね!? 俺もちょっとキツ……っわぁ!?」
「クッ!! 避けられた……ってか捌かれた!!」
「ジェットバ───がっ!? このタイミングで反撃くんのか……!?」
そんなコーイチさんの様子を見てみんながみんなトップギアに意識を切り替えている。
攻める生徒を交代してさらに模擬戦継続だ。流石に40人全員でがーっと行っても攻撃に参加できない生徒も出てくるしな。4~5人のチームアップで交代交代に攻めていこう。
いやマジで正直悔しい。ワープ使えばそりゃまあ掴むことはできそうだし、掴めば俺の勝ちだろうけど、なんかそれすら捌かれるんじゃないかって恐怖ある。
あとは心操の洗脳なら一撃で行けるかな……でも洗脳状態でも避け始めないかなこの人。後で試そう。
「……とうとう見つけたぜェ……!! 最ッ高の見本をよォ……!!」
で、俺ら1組目は一旦息をついて休憩したのだが、爆豪ちゃんがまぁ嬉しそうな笑顔を浮かべている。
全身から汗だっくだくに流してブツブツ呟いてる。
アレだ。ミリオ兄さんを前にしたときのアレ。完全にゾーンに入ってら。
……まぁそらそうよな。一度相対したからこそ今の俺にも爆豪ちゃんの気持ちが分かる。
この人、
ってか先を取らない。絶対に相手に先手を譲ったうえで、それを全部対処してやがる。
どんな訓練を積んだらこんなことができるんだ……回避とカウンター特化の化物じゃん。そりゃ相澤先生も太鼓判押すわこんな人。
アメリカでやっていけてる理由が分かった。俺とは別の意味で、しかも己の経験と技術に基づいた無敵の人だ。
爆豪ちゃんの目がギラついて、コーイチさんの一挙手一投足を見逃すまいと集中している。
コイツなりの見取り稽古だな。才能マンだからコーイチさんの動き見るだけで『後の先』をすごい勢いで吸収しているのだろう。
とうとうオーバーフロウが完成するな。こいつぁ頼もしいぜ。
「……嘘やん。ボロボロになった方が動きキレとるやんあの人」
「ヤバいね……何がヤバイって超スピードとかじゃないんだよね……」っっっ ←汗の表現
「俺の目にも……耳郎の耳にも早過ぎる動きというほどのそれは捉えられていない」
「マジでそれ。なのに委員長の蹴りも避けるしさ……どんな反射神経してんのクロウラーさん」
「あー……ヤッバい。武道家の血が騒いじゃう……次アタシな!! 大拳でどこまでやれるか試してやるっ!!」
「それよりも気になるのはあの個性さ……見る限り、力場を発生させてそれで加速、飛行、攻撃を兼ねている様だが……出力が明らかに異常な瞬間がある。それなのに空気砲のように射撃する時は拳で殴る程度の軽い衝撃に抑えられている……気になるなァ。後で試しにコピーさせてもらいたいところだ」
「万能っつーか器用貧乏って感じの個性だよな。強個性とは思えねーのに……うお。また轟の初動潰した」
「塩崎さんの茨に一度包まれたのに脱出したぞ……どうなってんだ」
「圧倒的にヤバイってんじゃなくて俺たちにも出来そうな動きで避け続けてるのが逆にヤバイ」
「勉強になる……」
コーイチさんのワケわからない捌きにみんなが感嘆と困惑を漏らして。
爆豪ちゃんが「ガンガン攻めろォ! 殺せェ!!」と叫ぶままにA組B組全員が一通り組手して、それを生き延びたコーイチさんに全員から拍手が送られた。
「い……いいから……拍手はいいから水ください……」
ボロッボロにはなったんだけどなんかまだ生きてんな。
「もう一巡行くか」
「イレイザーさぁん!? どんな教育してんですかこの子達に!?!?」
まぁその後はちゃんと物間が治癒してあげました。なんで腕と脚骨折してても攻撃よけられたんだこの人。
治ったらもう一巡して、とても密度の高い訓練を積むことができました。レベルアップ。
……さて、そんな実りのある訓練も終えて翌日。
とうとう事態は動いた。
「……あれ? 青山はどした?」
「ん。なんか先生に呼ばれて出てったぜ、朝のうちに」
俺が峰田と緑谷とのランニングを終えて寮に戻ってくると、起き出してきたみんなの中に青山の姿がなかったのだ。
聞けば先生に呼び出されたということで……しかしアイツが呼び出されるようなこととなるとアレか?
先日の会議の時に校長先生の言葉に反応してた青山。もしかするとその件かもしれない。
気になるな。相澤先生に聞いてみるか……と思っていたところで向こうからやって来た。
「……全員揃ってるか」
「あ、お早うございます相澤先生!」
「青山以外はいますよ。アイツどうしたんスか?」
「ああ……その件も説明する。朝飯を食い終わったら全員で会議室に移動するぞ」
「かしこまりました。みんな、速やかに朝食を食べるぞ! 喉に詰めないように!」
「落ち着いて朝飯は取らねぇか」
「何やらかしたんだ青山は……?」
相澤先生から今の時点で詳しい説明はなく、とりま飯食った後に移動するという話で。
この話を聞いた時、俺はこの事態を深く考えていなかった。
AFOに繋がる様な作戦が何か動いたのかな、というくらいで。
でも、そんな気楽さはすぐに吹き飛ぶことになる。
「────どういうことだよ」
驚愕と、後悔と、絶望が俺の脳を埋め尽くした。
机が片付けられた会議室に入れば、そこには厳重に拘束された青山と、恐らくはそのご両親が椅子に座らされており。
絶望の表情を見せ涙をとめどなく流すご両親と……そして、顔を伏せる青山がそこにいた。
傍には厳重態勢で警察幹部と堀内警部、そして根津校長とオールマイトと相澤先生がいて。
俺たちA組は、余りの様子に口を開くことができなかった。
「……事情を説明するのさ」
根津校長から聞いた話は、以下の通りだ。
─────青山はAFOの内通者だった。
元々、青山は無個性だった。
それを嘆いたご両親が、100%の善意から、富裕層に伝わる噂を辿り、AFOと知らず個性を渡せるという話に乗ってしまい、AFOと関わりを持ってしまった。
青山の個性はAFOによる個性の付与だった。だから個性と体質が合ってなかったんだ。
そしてAFOの駒にされた。
オールマイトを追うために雄英に入学するように指示された。
クラスが孤立するタイミングを聞き出された。
合宿先を聞き出された。
すべてはAFOからの一方通行の指令で、それを遂行しなければ殺される。嘘をついても殺される。
その様を見せられた。そうした人間が処分される様を父親も母親も青山も見せつけられた。
警察に逃げ込んだものは出所後に殺されて逃げられなかった。どこにいても居場所がバレる。
青山は両親が人質になり、両親は青山が人質にされ、命令を遂行するしかなかった。
……元『無個性』だった青山。
こいつが緑谷の手紙を見た時に、どんな気持ちだったんだろう。
そして、青山の両親のもとにまた再びAFOから指令が来てしまった。
『雄英に戻った緑谷出久が、幾野潜がいないタイミングで一人きりになるよう誘き出しなさい』。
この指示を受けて─────今の状況がある。
「……根津校長」
「何かな、幾野くん」
「俺らみんなが感じてる疑問を代表します。……
「……そうだ。相変らず君は有事に頭が回り過ぎる」
「少し考えりゃ分かるでしょ。泣いてるところ見るとご両親は知らなかったようですけど……青山から多分校長に自分が内通者であることをバラしたんだ。そうじゃないと今朝の動きが説明がつかねぇ。前の会議の時に様子がおかしかったのはそういう事だ。自分の身の上をバラして……AFOに繋がる手掛かりとして使えないか持ち掛けた。……そうだろ、青山……」
「イグジスト。彼は今重要参考人として身柄を拘束している状態だ。話は……」
「今俺は青山に聞いてるんすよ塚内警部」
そうじゃなきゃおかしいんだ。
こいつは恐らくAFOが脱獄したと聞いた時点か……もしくは、緑谷の手紙を見た時点でその決断をしたんだ。
そうじゃないと、
あの時のアイツの言葉はそういう意味だったんだ。
己の罪を精算できていないから、今は俺を殴れないと……緑谷にかける言葉がないと言ったんだ。
「……幾野くん。僕は……自分が殺していたかもしれない人たちと仲間の顔をして笑いあえてしまったんだよ。君の個性が羨ましくて……そして緑谷くんの個性が羨ましかった。緑谷くんが同じ元『無個性』で、AFOと戦う重圧を背負った彼を知って自分の惨めさに絶望した。
「───じゃあなんで!!! 合宿でかっちゃんと常闇くんを助けようとしたんだよ!! あの夜のチーズはAFOに言われてやったのかよ……!? 違うだろ青山くん!! あれは僕も幾野くんも気付けなかったSOSだったんだ……!! あの時は力がなかった!! 君が頼れるほどの力が僕に、僕たちになかった!! でも今は違うだろ!? だから君だって自分から僕たちを助けるために校長先生に話をしていたんだ!! 君のその行動は、立派なヒーローじゃないか!!」
青山の独白に、しかし緑谷が我慢できずに口を挟み……そして、俺の言いたいことの半分は言ってくれた。
そうだ。青山はこれまでの行いを悔やみ、後悔し、そして己から罪を告白し、AFOに対抗しようとした。
両親すら騙して……いや、両親も含めて俺たちが守り切れると信頼したからこそ、コイツは根津校長に相談したのだ。
そこまで分かってるから……A組の誰もが、青山を咎める言葉を出そうとしていない。
こいつはまだA組の生徒だ。俺達の仲間なんだ。
それにだ。
「……
「……詳しいなイグジスト。確かにそれは考慮されるべき事情だが……しかし緊急避難の要件は現在の危難を避けるためのものでなければならない。瞬間的な侵害の危険が直接切迫している状態でなければ……」
「継続的に危険に晒されてるじゃないッスか。命令を聞かなければ殺されることがはっきりと明示されてて、それを回避しようと警察に頼ったとしても駄目だと脅されている。強要罪でしょAFOの。しかもそれで青山がやったことは別に誰かを殺したわけじゃない。クラスが孤立する瞬間と合宿所の場所を教えただけでしょ。確かにAFO相手にそれを伝えるってことは、可能性として襲撃されることが当然予測されるわけで未必の故意に該当するかもしれないですけど……かなり際どくないですか? 拘束されるほどの事ですか、これ?」
「……事情はどうあれAFOに加担していたことは事実だ。現在は状況から安全と推測しているだけで、まだナガンのような爆発の仕掛けがないとは言い切れない。セントラルの検査結果が出るまで彼の身柄を────」
「そんなモンは青山の中にねェっつってんすよ……! ナガンを助けたのが俺の個性によるものだって知ってるでしょうが!! 俺が今『視』て、青山にもご両親の体にも何もねェ事確認してんスよ!! とっとと拘束外して────」
「────いいんだ、幾野くん。僕たちが愚かだったのは間違いない事実なんだ…………でも、感謝はさせてほしい。謝罪だと君は受け取らないだろうからね。……僕たちの為に怒ってくれてありがとう」
「……青山……っ」
つい熱くなって語気を荒らげてしまった所で、逆に青山から諭されて俺は口をつぐんだ。
緑谷が言ってくれた半分と、俺が言いたかったことの半分だ。
そもそも青山の罪は立件されねぇだろという当然の推察。だって両親と子供の命を脅されてたんだぞ? これで『AFOに加担するのは悪い事だから命令を聞かずに警察に相談するべきだった。命を守る約束はできないし殺されても責任は取れないけどね』なんて口ぶり出してみろ。ブン殴るぞ塚内警部。
青山も、ご両親も、ただ家族が大切だっただけだ。無個性を心配しただけだ。
詐欺にあったのと同じだろ。家族の命が天秤にかけられて冷静な判断なんてそう簡単にできてたまるかよ。
そして、その恐怖すら乗り越えて根津校長に相談したのが今の青山なんだぞ。
俺は青山の全てを肯定する。誰が何と言おうがな。
俺も緑谷もお前を繋ぐ
「───校長。建前はもういい。青山のことだって今デクと幾野が言った通りだ……俺はその先の話を聞きてェ。
「……いいのかい、爆豪くん。言いたくはないけれど、君たちが一番の被害者なんだ。罪の有無はともあれ、君たちには怒る権利がある」
「───────それは過去の話でしょう」
「飯田くん……」
そして俺と緑谷の想いを、クラスのみんなが共に抱えていた。
俺たちを騙していたことを悔やみ、贖罪の為に己から動いた青山に……怒る理由はなくなっていた。
むしろ逆だ。
それほどまでに追い詰められていた青山に、俺たちは気付けなかったんだから。
爆豪ちゃんも、飯田も、想いを共有するからこそ。
「彼の心の内を掬い取れなかった僕たちの責任でもあります。だからこそ……泣いて絶望し、その中でも僕たちに想いを託して立ち上がったクラスメイトの友として、彼の手を取りたい。そしてAFOと死柄木を打倒し、社会に平和を取り戻す。それが再び僕たちが対等になれる唯一の方法なのです」
「ケッ!! ヴィラン連合に捕まったくれェのことでガタガタ抜かすかよ俺様が! 幾野にウザ絡みされるほうが100倍クソだわ!! 青山ごときが俺のストレスになる事すら烏滸がましいわボケがァ!!」
「幾野によるストレスチェックが謎の機能を果たしていた」
「罪深い」
「でもみんなの言う通りだぜ青山!! お前は今度は俺たちを信じてくれた!! 緑谷と幾野を止めに行ったとき、俺らの誰か一人でも無個性を責めたかよ!? 涙堪えて隠し事してた奴らを嫌いになったかよ!? お前だって一緒に止めてくれたじゃねぇかよ……青山!! まだ一緒に踏ん張れるんだよ俺たち!!」
「A組20人で……一緒にいたいよ!! 私らまだここにいるじゃん!!」
「青山……!!!」
いつしか。
いつしか俺らはみんな、涙を零しながら。
お互いの想いを確かめ合うように、声を張り上げてしまっていた。
「────いい覚悟だ、お前ら」
「っ……相澤先生……!」
そして先生の鶴の一声で、俺達の意志は固まる。
「俺の気持ちもお前らと同じだ……青山。俺はまだお前を除籍するつもりはない」
「せん、せい……!!」
「お前を除籍する前に不純異性交遊の疑いで除籍する候補が多すぎるからな」
「ヒュッ」
その言葉でA組の半分以上がビクッ! と肩を震わせた。
ジョーク! ブラックジョークですよね相澤先生!?
アンタこそロリから妙齢まで幅広く手を伸ばしてるくせに!! 風紀の乱れの代表者!!
「……根津校長とも話した。既に作戦は考えてある。だがこれは青山とそのご家族に聞かせられる話じゃない……塚内さん」
「……了解だ。三茶、3人を連行するように……丁重に扱え。重要参考人だ」
「はっ」
そして青山とご両親が塚内警部の部下によって部屋から退室を促された。
素直に立って歩く青山達の背を、俺たちA組で見送る。
ただ、俺だけは。
お前に伝えておきたくて。
『……青山。お前の覚悟は俺たちが受け継ぐ。必ずAFO共を倒してお前ら家族が笑って過ごせる社会を取り戻す。だから……!!』
無視の個性で、口も開かずにテレパシーを青山に送った。
それを受け取った青山は、遠くから俺たちに振り返り……そして。
泣きはらした瞳で、僅かに笑みを返してくれた。
その後。
俺は相澤先生と根津校長から作戦の概要を説明され……その準備に当たるよう指示を受けた。
今回の件、青山のご家族にAFOから連絡が入ったのは明らかに焦っている証拠だ。
あと数日で外国からの応援も来て、ダツゴクも異能解放戦線も相当確保されて、スターアンドストライプからも個性を奪えず……追い詰められたからこそ出した尻尾。
それを青山が掴んで離さなかった。両親すらも天秤にかけて、社会の平和を今度こそ求めた。
青山。
あの場では言わなかったけれど。
俺にとっては、
「────絶対、倒そうぜ」
俺の呟きに、A組全員から覚悟を籠めた声で返事を受けた。