【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!!   作:そとみち

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169 ヒロアカにおいて名前はその者の本質を表すことが多いらしいよAFO

 

【side 緑谷】

 

 

 その日が来た。

 

「君と話をしたい」

「青山くん……」

 

 ケータイで連絡を貰い呼び出された……という形で、仮設要塞トロイアから少し離れた立体駐車場にいる青山くんの下に来た。

 雄英周辺の50キロ範囲内は既に市民は避難済みで、この付近に一般人はいない。

 雄英高校にわざと紛れ込ませているスパイもAFOがここに現れたら即座に捕獲する手はず。

 その直後に雄英の警護システムで避難民はみんな士傑高校に地下を通り脱出。

 雄英高校を浮上させてそこを僕と死柄木の最終決戦の地と……そんな予定になっている。

 

 大丈夫。幾野くんや他のクラスメイト、ヒーローたちは日本全土を再パトロール中だという情報を流して、実際に移動してる。幾野くんなんか現地で生配信してる。

 『イグジストが世界を救ってみた!』で放送されるそれは社会の不安に怯える人たちの希望の様な動画となっており、九州地方に実際に行ってる。

 それをAFOが見てればこの近くに幾野くんがいないと分かるはずで、そのタイミングを見計らって青山くんが僕を呼び出した……という事実を作り上げている。

 

「ねぇ……緑谷くん。すごいと思わないかい? ヴィラン連合が、AFOが脱走し潜伏している状態のこの社会でも、人々は社会制度の崩壊を防いだ。緊急事態宣言下において、パニックを起こさずにいられるんだ」

「青山くん……? いや、それは本当にすごいと思うけど……どうして、急にここで?」

「AFO……あの人が狙っていたのはきっと日本の崩壊だったと思うんだ。世界大恐慌や超常発現と似た流れを作り……社会制度を崩壊させる。世界に混乱を齎す……政治が機能しなくなる。そうなれば人々はどんどん目先の安全を求め、争い貧しくなっていく。歴史の逆行だよ。そうなったときに日本はどうなると思う? 人口が少ないんだ……他の大国に国の力で負けるだろうね。抵抗すれば戦争はどんどん激しくなっていく。旧世代の第二次世界大戦なんて目じゃないよね。みんな個性を使えるんだから」

「何の話をしているんだ青山くん……?」

「そんな世の中になった時に……世界で最上の力を持つモノはお金でも命でもない。『個性』になる。ただ一人の圧倒的な個性の持ち主が現れれば、その人がイニシアチブを取れてしまう。恐らくAFOはそれを狙ってて、そして彼は世界の裁定者(覇王)になるんだ……」

「青山くん……!!」

「だから、どこか一つの均衡を崩そうとしているんだ……一つでも均衡が崩れれば、この社会は崩壊する危険を常にはらんでいるんだよ」

 

 青山くんの迫真の演技が続く。

 ちょっと内心でビビり始めるくらいに迫真だよ。すごい汗と、恐怖で歪む瞳。

 僕も思わず汗を出してしまう……が、AFOに悟られないようにしないと。僕が茶番を演じているということを。

 ラグドールのサーチが死柄木ではなくAFO側に在れば、僕の動揺は察されてしまうだろう。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、少なくとも顔には出したくない。

 

「そんなの変だよ……! 世界が許すはずがないよ……それに、僕たちがいるよ! 幾野くんも九州で頑張ってる……AFOを見つけたらみんなで頑張れば、きっと……!!」

「そうだね。これは今、将棋で言う王手、チェスで言うチェックメイトをヒーロー側が差す寸前で……それを盤面からひっくり返そうとしているんだよ」

 

「ごめんね」

 

「やっぱり僕はパパンとママンの安全を守りたい」

 

 

 その言葉の後に────青山くんの背後、立体駐車場から影が動き、ゆっくりと降りてくるように────オール・フォー・ワン(AFO)が。

 

 間違いない。

 恐ろしいほどの存在感。重圧。死柄木のそれを煮詰めたような不快感。

 本物だ。

 とうとう……()()()。世界の闇が。

 

「オール・フォー・ワン─────!!!」

「よくやってくれたね青山優雅。恐ろしかっただろう、友を裏切るのは……心苦しかっただろう、信頼されるというのは。よく乗り越えた!! キミの言う通り盤面をひっくり返しに来たよ! キミたち家族が幸せに過ごせる社会を共に作ろう」

「ええ……!! 心苦しいなんてものじゃなかった……ごめんよ、緑谷くん……本当にごめん……どれだけ謝っても許されるはずがない……本当にごめんよ」

「青山くん……信じてたのに!!!」

「クク。仲間に裏切られるのは慣れてないのかな緑谷出久。世の常だろ、裏切りなんて」

 

 青山くんの演技はまだ止まらない。

 当然だ。涙をボロボロ流しながらでも青山くんは油断していない。

 僕たちにはヴィランの虚を突いて速攻を仕掛けられる友人(幾野くん)が、ヒーローがいっぱいいる。

 これが青山くんによるハメだとAFOが理解した瞬間に逃げる可能性がある。

 AFOが泥ワープを使ってここにヴィランを呼び寄せるまでは待たないと。

 発目さんとラブラバが共同開発した無音透明ドローンによる周辺警戒によれば雄英周辺や地下にヴィランが集まっている。AFOが呼び出すために周囲に潜伏させたんだ。

 

 それを誘き出した瞬間に一網打尽にする。

 

「くっ……動かないでね青山くん!! 僕は君を殴りたくない!! ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!! キミは被害者だ!! キミの家族が恐怖におびえなくて済む様に……ここで僕が倒す!! フルカウルッ!!」

「オールマイトの力を受け継いだ少年、緑谷出久。世間に今最も関心の高い英雄の君をここで殺そう……そのための策を練ってきていないとでも思ったのかい」

「何ッ!?」

「幾野くんを九州に回したのは痛手だったね……索敵系個性で彼の個性だけは欺けないが、他の個性なら弔が防げる。つまりどうなるかわかるかい───こうなるのさ!!」

 

 僕が本気で動揺する演技を見て仮面を被ったAFOが楽しそうに泥ワープの個性を発動した。

 泥が空中に現れ、空を飛ぶAFOの足元に現れるのはヴィラン連合幹部、そして取りこぼしていた異能解放戦線のメンバー。

 その数は1000人程度か。

 

 時は来た。

 

「緑谷くん……本当にごめ」

「エアフォースッ!!」

「ほう、あのバカ(オールマイト)よりも判断は速い……」

 

 片手4本、両手8本指による広範囲型エアフォースで、青山くんの周囲にいるヴィランに向けて空気砲を放つ。

 もっともOFAの力は手加減していない。それを受けられるヴィランなんて早々いるはずもなく、当たった敵はそれで意識をトバしたが……荼毘やトガヒミコ、死柄木はその軌道上にいなかった。

 別にいい。この攻撃は青山くんがこっちに戻ってくるために必要な隙を生むために。

 

「───裏切りが世の常か……その通りだよ叔父さまッッ!!」

「ッ……! 貴様らの言葉に嘘の色はなかったはず……なぜ急に……!」

 

 青山くんが己のお腹からいつものレーザーを横っ飛びしながらAFOに向けて放ち、その反動で移動して僕の横に退避してきた。

 いい動き。AFOはレーザーを移動して避けたし、その光景に周囲のヴィランも一瞬ぽかんとしてたけど……それで十分な隙だ。

 あとはみんなが出てこられる隙を作るために……蹴り飛ばすッ!!

 

「90%エアフォース・スマッシュ!!」

「がっ!?」

「グァ……!!」

「気を付けろ!! 目の前にいるのはオールマイト並みのヒーローだぞ!!」

 

 本気の廻し蹴りを繰り出して横薙ぎに広範囲の攻撃を放ち、先頭集団のヴィランを100人はブッ飛ばした。

 舐めるなよ。

 僕はOFAの九代目継承者なんだ。

 たとえこの場面で僕一人だけだとしてもお前らに負けるもんか!!

 

「チッ……やるじゃねェか緑谷出久。ザコを倒して楽しいか?」

「死柄木弔……僕はもう、一人じゃないんだ!!」

 

 蹴りを周りのヴィランを盾にして防いだ死柄木弔がこちらを睨みつけてくるが、僕もそれを睨み返す。

 ここまで僕たちの手のひらの上なんだ。

 タイミングは今。青山くんの安全も確保して、ヴィランに隙を生んだ今だ。

 

 一人でもやるということと。

 みんながいてくれるということは矛盾しない。

 

「────さあ、群訝山荘に学ばなかった愚か者共を一網打尽にしてしまおうか。運命の楽章はとうとうフィナーレを迎えるよ」

 

 空中に、黒霧のワープゲートが生まれる。

 誰よりも拡張性のある個性……幾野くん曰く、敵に回したら世界で一番面倒くさいが、親友(ダチ)の今は誰よりも頼れる、そんな僕たちの親友。

 物間くん(ファントムシーフ)が僕の背後にワープして来て。

 

 同時に、日本各地からワープゲートで集められてきたヒーローたちが集結する。

 もちろん、その中には。

 

「────こんにちは、死ね!!」

 

 彼が存在した(イグジスト)

 

 


 

【side 幾野】

 

 

 ハイ勝った。

 やっぱAFOはバカ確定だな! 名が体を表してるわ!!

 物間のワープゲートの存在は極力隠し続けていたとはいえこう使う発想に至らないもんかね!

 まぁバカだからな! これで終わりだくたばれクソが!!

 

「荼毘」

「キキッ……お父さん!! 俺を見てよ父さん!! イグジストォォオオ!!!」

 

 そして第二のバカ(手マン野郎)第三のバカ(義兄さん)に指示をしてるけど……マジでバカだな。

 個性使わせるわけねーだろ。

 

「荼毘……いや、燈矢……」

「ヒャア……なッ!?」

 

 個性が出ないのも忘れてエンデヴァーに突っ込んできた荼毘が炎をブチまけようとするがまぁ無駄なんだよね。物間が見てるし。

 この場にいるヴィラン全員個性使えません。個性使おうとするやつみんなバカです。

 物間は今取陰ちゃんの腕に掴まれて空中に飛んでいるのでヴィランの皆さまは空中を頑張って個性無しで狙おうね。

 狙っても無駄だけどね。あいつ俺の無視使ってるから攻撃無効だし。取陰ちゃんは腕やられても再生するし。

 

 さて、ラスボス共にアイサツしますか。

 

「そういやAFOは初対面だったよなァ!! 初めましてクソ野郎!! ゴミ共連れて来てご苦労さん!! ゴミ掃除の才能あるよなお前!! なんてったってゴミはまとめて掃除するのが楽だからよォ!! あ、そっちの肌荒れ露出フェチのマント羽織った変態もおひさ!! 聞いたぜ海の上でマヌケに逃げ回ったんだってなァ死柄木ィ!! すげぇよなお前俺なら恥ずかしくて死んでるよ!!」

「フフ、初対面かっ────────」

「てめェっ────────」

 

 

 

 ────────()()()()()()()()()()()()

 

「ナイスだぜ心操」

「人生で一番緊張した」

 

 俺の声色に合わせた心操が、マフラーに隠しながら口パクする俺の後ろからAFOと死柄木を煽り散らかし……まぁ返事しちゃったものだから、二人とも洗脳に叩き込めた。

 このダブルラスボスにずっとこれが効くとは思わない。

 緑谷みたいに解除してくるだろうな洗脳くらいは。

 だが一瞬でも効果が出れば十分だ。

 動けない一瞬が欲しかった。

 

『───システム【鋼鉄処女(アイアンメイデン)】、ON!!!』

 

 塚内警部の放送の声を俺のインカムが拾った。

 一網打尽にまとめて叩く。そこもよい。

 けど死柄木やAFOは万が一だが物間の抹消を貫通してなんかやってくるかもしれない可能性もある。抹消も完全ではないことは異形型個性が証明している。

 なんで無機物で攻める。コイツらが感知できない檻で捕らえる。

 コンデニウムを大量投入して作り上げた檻が地中から生えてきてヴィラン連合を捕らえ始めた。

 意識を失ってたAFOと死柄木も同様だ。まとめて潰そう。

 

『檻が!? こんなもので俺たちを封じたつもりか!?』

『壊して! 早く!!』

『バカが、遮蔽すれば個性が使え……っない、だと!?』

 

 檻の中から木っ端ヴィランの叫びが聞こえるけど物間くんはウォールハックしながら抹消かけられるんで。

 ごめんな。詰みなんだわお前ら。ギャグを思いついた。罪を犯した者たちの詰み。ウケない。

 

 さてしかし、俺のウォールハックによる視界の中で、死柄木が檻の中で洗脳を解いて覚醒した。

 そして─────抹消を受けているにもかかわらず、その腕を異形型個性のように爆速に成長させ、その巨力で檻を破ろうとしていた。

 

 ああ。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「─────ッ!? 何……!!」

 

 死柄木を捉えたアイツ専用の檻が、ぐにょーーーーーーーーーん、とアイツのキモい腕の形に合わせて伸びる。

 鋼鉄製である檻が壊れない。その理由は至極簡単。

 

「……フッ……フゥゥ……!! ヒーローを目指して最初の仕事がこれとは人使いが荒すぎるのではないかねイグジスト!?」

「やかましい。ラブラバが見てるんだからカッコいいとこ見せなよ───ジェントル・クリミナル」

 

 ジェントルの個性『弾性』だ。

 警察で身柄を拘束されてたコイツの個性は本物だ。話聞けば刑務所一か所ダツゴクを出さないように守り切ったらしいじゃん。

 偉いぜ、すごい。そこまでの仕事を、本気のヒーローを見せられちゃ俺だって過去は全部水に流した。

 コイツの個性の有用性を塚内警部や公安委員長に説明し、説得して、今回の事件で協力してもらうように働きかけたのだ。

 ラブラバへの動画作成のご褒美って面もあるかな。

 なんだかんだ絆されちまったよ。アンタは己の罪を償い、反省し、ヒーローへの道を歩み出した。

 俺はそんなアンタを肯定する。

 

 で、まぁ物間のワープで一緒に移動してきた後に、全てのシステム【鋼鉄処女(アイアンメイデン)】と地下を通して物理的につながってたレバーに触れ、『弾性』を張っておいてもらったのだ。

 他の檻でも異形型個性のヴィランが素手で何とかしようとしてるけど何ともならん。硬度0スネークボディが一番厄介ってペインマンが言ってた。

 

 さて、しかし死柄木が洗脳から起きたとなればAFOも起きるだろう。

 今はまだ壊されてないけど厳密には密閉できてない。その内ブチ開けて来てもおかしくない。

 死柄木が個性に頼らぬ超パワーを持ってることも確認できたので、ここはプランCになる。

 

『死柄木、およびAFOは覚醒の予兆アリ!! プランCだ!! ファントムシーフ!!』

「了解! 一筋縄ではやはりいかないねェ……!!」

 

 プランCの流れは以下の通り。

 ・AFOと死柄木を捕らえた檻だけをワープゲートで移動させて大物二人を分断する。

 ・分断先でボコる。

 

 ってなわけで物間が再度ワープゲートを大きく展開。それぞれ予定していた地へ【鋼鉄処女(アイアンメイデン)】ごと運び込み、ワープさせた。

 そもそもだが死柄木もAFOも個性使わせなくても力押しされる可能性があるのは前の蛇腔総合病院の戦いで理解してた通り。

 死柄木は浮遊し始めて避難民も脱出させた雄英高校に向けて運ばれるだろう。そこで総力戦だ。

 AFOは群訝山荘跡地へ。今は瓦礫の山だが周囲に何もないからこそやれる作戦がある、そこでケリをつける予定だ。

 

 そして、他の檻に入ってるヴィランだが。

 

『クソ、この檻破れない……っ……───────』

『なっ、オイ! どしっ────────』

『……!! 眠って……!? オイ起きっ───────』

 

 当然だけど檻開けたり逃がしたりする必要ないよね。

 せっかくここまでまとめたんだから一網打尽です。

 

 具体的には【鋼鉄処女(アイアンメイデン)】の中にミッドナイト先生の『眠り香』を大量にブチこんであります。

 前に俺と百ちゃんがやった時のように睡眠薬でやってもよかったんだけど、あれはギガントマキアだからだ。一般ヴィランには効果が不透明だし昏睡の危険もある。

 そこでミッドナイト先生よ。眠り香のほうが睡眠導入は効果高かったし後遺症とか考えなくていいんで躊躇わず使えた。

 さて、あとは呼吸が我慢できなくなるまで耐えてもらっておしまいです。

 

 眠り香が撒かれ始めた時点で物間も抹消ずっと使ってなくてもよくなった。

 そもそも物理で簡単に壊れないしね【鋼鉄処女(アイアンメイデン)】。ジェントルが頑張ってるし。

 個性使うために一息でも吸おうものならおやすみなさいだ。

 

 あ、勿論死柄木がワープさせられた雄英の方には先に相澤先生がまばたき克服のためにマニュアルさんと連携して、全域が見渡せる位置にポジショニングしてくれてます。

 相澤先生の抹消は遮蔽物に隠れられると厄介だけどそうならないように地形も瞬時に組み替えられるようになってるし、そっちに向かう緑谷たちがそうはさせないだろう。

 物間もすぐに応援に行きます。ダブル抹消で何もさせないよ死柄木には。

 

 

 ん、そうなるとAFOはどうするんだって?

 大丈夫。

 

 

「─────さ、やろうか元ラスボスさんよ」

 

「イグジスト──────!!」

 

 

 無敵の俺がタイマンしてやるからね。

 

 

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