【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!! 作:そとみち
【side 幾野】
彼はいつかやると思っていました(インタビュー風)。
いやね、エンデヴァーの事ですよ。
どうしても過去の過ちを清算したくてたまらないあの頑固おやじね。
実を言うとそのあたり、オッドアイから話を聞いてたんだよね。
前に屋上で話してた時に秘密だからね、って聞いたのがそれね。
エンデヴァーが荼毘が自分の息子であると知り、状況次第では燈矢と共に自分も死ぬくらいの覚悟であったっていう。
マジふざけんなよ……ブチキレるぞマジで。
どんな思いとどんな罪があってもヒーロー活動する中で死ぬのだけは違うじゃん。
ヒーローが殺しちゃダメだし死んじゃダメだろ。
俺は俺が手が届く範囲で二度と誰も死なせたくない。
たとえ相手が荼毘だろうと、AFOだろうと、死柄木だろうとだ。
捕らえた結果として判決による死刑が在るのは仕方ない。罪を犯した者の末路だ。
だが、その過程で己の意志で殺すことはしたくない。人間を殺そうとしたら終わりだと思っているから。
……あ、脳無は別な! アレはゾンビみてーなもんだからとっとと殺して魂を救ってやらねーとな!
「峰田。ここ任せていいか」
「おう。AFOの個性消えたし意識も堕ちたしもぎもぎで全身包んでるし警察の応援ヘリはこっち向かって来てるし……大丈夫だぜ。お前のオート個性はずっと繋いでもらってるしよ。行ってこい」
「悪いね」
さて。
AFOとのタイマンの場で、ヤツに個性破壊弾を撃ち込んだ後のこと。
AFOは正気を失いうつろな状態でブツブツ呟きながらその内気絶した。
よっぽどショックだったみたいだね。ウケるわ。
ダイブセンサーでバイタルチェックしても諸々無視してなんか企んでないか意識調べても真っ白だったからな! 体内の個性も全部スッキリなくなってるし!
堕ちたな(確信)。
因みに峰田の方でAFOを茶化すためにAFOの服やら持ち物やらを地面に並べていた。あのエロ同人でよく見るやつね。服着た時と同じ配置に並べて学生証つけるやつ。AFOの目が万一覚めても目の前に自分の服が並べられてるようになってます。
んでその最中にマスクの中になんか個性破壊弾らしき小型注射器が仕込まれてるのを俺が発見したので押収しました。こいつらも複製まだ持ってたんかよ。こえーわ。峰田に撃たれないでよかった。
はい。
で、その後に雄英の様子とヴィラン共を
雄英にはちゃんと作戦通り死柄木だけを捕らえられていた。緑谷ほか火力に優れたヒーローたちが立ち向かっている。
物間も相澤先生も熱い視線を死柄木に注いでるから全く問題なし。蛇腔総合病院の時は不完全な死柄木にヒーローたちで優勢を取れてたが、今回は死柄木が最大覚醒状態になってるっぽい。
ま、こっちもプルスウルトラしたうえで立ち向かってるからな。あっちは火急の状態にはない。
続いて先にセントラル病院の方を説明しておこう。
こっちは事前にAFOがヒーローの目を欺くために情報を流してたようで、スピナーほか、異能解放戦線の生き残りが異形型個性を持つヴィランや一般人を扇動して襲撃を目論んでいた。
目的はセントラル病院に捕らえられてる黒霧の奪還解放……ということで。
まぁしかし、あまりにもバカなこと考えやがったなアイツらも。
完全に囮なんかな。そもそもセントラル病院に黒霧がいるっていう情報もちゃんと信憑性調べたのかよ。
俺と緑谷が二人のヒーローとして希望を見せていて、AFOとっ捕まえようぜェ! って社会全体の雰囲気が希望に向いてるところで人々を扇動してなんて……そうそう上手くいくはずがなく。
実際、その扇動に乗った一般人の人数もそこまで多くはないようで。
A組からは障子常闇口田が異形型個性を持つモノとして止めに行ってるし、B組からも鎌切宍田凡戸角取ちゃんが向かった。異形型個性持ちとして『
あっちも全く心配していない。プロヒーローも暴動の鎮圧に参加してるし……多分、あそこだけは俺が増援に行っても意味がないだろうしな。
見た目へのコンプレックス。俺があそこに行ったところで火に油を注ぐだけになる可能性がある。
俺の方は別に、異形型だろうがカッコいいやつはかっこいいしエロい人はエロいと思ってるんだけどな。その辺りは色々あるよな。
万が一ヤバくなったらでしゃばる事にしよう。結局のところ俺は守りに向いてない個性。適材適所だ。
はい。
んでもって問題のヴィラン共を一網打尽にしたと思われてた開始地点ね。
とりあえず青山らあの場に残ってたクラスのみんなやヒーローによってヴィランの捕まえ漏らしは見事に一瞬で殲滅されてた。
あとは
で、それを現地に残ってたエンデヴァーが一瞬で捕らえて、お互いに燃え盛りながら空へ。
あっ(察し)。
……で、今峰田に了解を取って、AFOが警察に確保されるまでの現場保全を任せて一足先にワープしたってわけです。
A組の19人は俺がずっとオート個性通してるんで無敵モードだしね。もしまたAFOになんかあったら飛んでくりゃいい。峰田がいてくれるんでどっからでも一瞬でワープできる。
今の俺は誰かがそこにいればどこにでも
みんながいてくれるからこそ、緑谷と二人で回ってた時よりも迅速に広い範囲に手が届く。
「─────いや近親ホモ心中とかニッチジャンルすぎでしょ」
火球のど真ん中にワープした俺は、周囲500mの範囲に個性を伝達。
『周囲の酸素』に『炎』を『無視』させた。
どんなに個性使ってるっつっても、炎はそこに空気が、酸素がないと燃えない。小学校の理科で習うやつ。
個性の炎は無視させられなくても周囲の酸素は俺が無視を通せる。
ってなわけで酸素には炎を無視してもらって、炎にとってはまるで真空になったような状態にして二人の炎をかき消した。
酸素には炎だけを無視させてるから呼吸とかは普通にできるしな。こういう調整もできるようになったのが俺です。
「イグ、ジスト……!! なぜ……!!」
「カハッ……お父さん……お父さぁん……」
灰になりかけてたエンデヴァーと、さらに体ぼろぼろになってる荼毘がお互いに口から煙を吐きながら俺の姿に驚いていた。
荼毘の発言……やっぱこいつ燈矢だったっぽいな。まぁ関係ないけど。
「何故も何もあのままだったらエンデヴァーも荼毘も死ぬところだったでしょうが。アンタが殺してどうするんすか……親が子どもを、子どもが親を殺すのだけは駄目でしょ」
「ッッ!!!」
「荼毘がアンタの息子さんだったとして……この後捕まったらそりゃ裁判で死刑になるだろうけど、ってかほっといても死にそうだけど……それでも俺が殺人を肯定することは一生ないです。恨むなら瞬殺されて俺の時間稼げなかったAFOを恨んでもろて」
二人の首根っこを掴んで熱を無視させる。体に熱が溜まり過ぎてたのでそれを放出してやりながら、地上に降りてくる。
太陽のような火球を生み出していたため近づけなかったヒーローたちがそこには待っていて……俺の姿を見て安堵の表情を浮かべてくれた。
「イグジストくん!! よくやったよ!!」
「どーも! とりあえずホークス、この二人任せていいっすか! セントラル病院に運んで! あっちも……
「了解した! 死なせるわけにはいかないからね……!」
「ええ、あとは……」
地上に降り立ち、エンデヴァーと荼毘の回復はホークスに任せた。
二人とも熱に強い体をしている。荼毘の方はバイタルチェックしたらオールレッドだったけど……命を永らえる事は出来るだろう、多分。
人殺しのクソ野郎だけど、この場で死んでほしくはない。死ぬなら罪を償ってから死んでくれ。
そしてようやく第二のラスボス戦、RPGの最終ステージとなるそちらへ突撃するつもりだったが、しかし折角
無視を通したダイブセンサーで周囲のヴィランで意識が残ってる奴をチェック。
すると……。
「……
「何!?」
「眠り香の中でこれほどの時間呼吸を堪えていたってのか!?」
「や……そうか、トガヒミコの装備してるマスクつきのアイテムがガスマスクの機能持ってるっぽい。堕としてくるよ」
トガヒミコが
ぎらつく様な目でチャンスを伺っている。
なるほどね?
これ、
自由に使えるなら死柄木でも荼毘でもコンプレスでも、この鉄檻を突破することが出来る個性はあっただろう。
物間の抹消は既に死柄木の方に向けられているから使おうと思えば使えたはず。単純に血を舐めれば姿も個性もコピーできる……と言うわけでもなさそうだ。
俺の個性をコピーされる可能性も考慮してたが……そもそも俺の個性コピーしても許容量の限界があるから速攻ゲロ吐いて動けなくなる。許容量限界を伸ばし続けてた俺と物間が異様なだけだ。試そうとした瞬間に無理だと感じたか……それとも俺の血そのものを回収できてないか。
……なんかAFOといいトガといい、他人の個性を使える系の力と相対するたびに物間のヤバさが浮き彫りになるな。
いや人の事まったく言えないんだけどさ俺は。
アイツが暴走しないように俺がガス抜きしてやらねば。拳藤ちゃんだけじゃ荷が重かろう。
さて、ここにいるヴィランの中で未だに戦闘能力を残すトガヒミコ。
躊躇いはない。俺たちの目的はヴィラン連合の壊滅およびAFO、死柄木の捕獲。
「ガッ……!! イグジ、スッ……!!」
「ん、夜目が利くね。まぁ関係ないんだけど」
ワープからの首絞め。
俺の必殺コンボだ。相手がヴィランである限りこれから逃れられる奴はいない。
これまでにもそうしてきたとおり、今もそうするし、これからもそうする。
ヴィランには何もさせない。喋る暇も与えない。
「ッ……ッ!! な、ん、で……!!」
「……」
なんで、とつぶやくトガヒミコ。
その言葉にどんな意味があるかは分からない。どう答えればいいかもわからない。
この作戦に当たる前にトガヒミコの家庭事情については聞いている。聞いてしまった。
難儀な性的嗜好を抱えて、家族や周囲の理解を得られずに一線を越えてしまった過去を。
辛い想いをしたとは思うよ。
でも、その辛い想いを周りに押し付けるのだけはいけないんだ。
前にステインに俺が言ったことと同じだ。他人を殺すことで分かってもらおうとしちゃ駄目なんだ。
お前が加害者である限り、俺はヒーローとしてそれを止める。
これまでに相対したヴィランにそうしてきたように、捕まえることに手加減はしない。
「────────」
「……堕ちたな」
バイタルチェック。深い眠りについたことを確認し、俺は頸動脈を締めていた手を離した。
念のため、万が一にも回復した直後に血を吸われることがないように装備にストックされてた血もアンプルごと全部砕いておく。吸うためのマスクもコードも破壊。
これでトガヒミコは無力化できた。ヴィラン連合の幹部は全滅。
「……ん。終わったんやねセンくん」
「ケロ……他のヴィランは全員拘束してあるわ。メイデンも準備してある。ここはもう大丈夫よ」
「お、麗日ちゃんに梅雨ちゃん」
二人とも彼氏が近くにいないからか心配そうな顔してる。
大丈夫。峰田は俺が何があっても殺させないし、緑谷も同じだ。この後すぐに助けてくるよ。
「……トガヒミコは?」
「寝てる。深く落としたからもう起きないでしょ。これでアイツを捕まえたのは3回目だな……次はもうないと信じたいね」
「ケロ。……少し気にしてしまうわ、彼女の事」
「私も」
「ん」
さて緑谷の下へワープしてチェックメイトを打ってくるかってところで、二人から意外な話を受ける。
……いや、そうでもないか。林間合宿でトガヒミコに襲われた二人だ。あの時に話した内容が胸の内にあったのかも。
年の近い女子がヴィラン連合にいるってことで思う所もあったのかもしれないな。
「……あんまり特定個人のヴィランに肩入れはしない方がいいよ」
「それはそうかもしれんけど……」
「彼女の過去も知ってしまったわ。どうにもならないのだけれど、どうにかできたんじゃないかって考えてしまうの」
「そっか。……ま、それは後で考えたらいいさ。今はまだ油断する時じゃないでしょ、最後まで気を抜かないようにしようぜ」
「ん、そうやね……そう。世界を救うのが先やね。ごめんね変な事ゆうて」
「ここは任されたわ。気を付けて、センちゃん」
「うん」
俺の考えとしてはそこだ。
さっき考えたように、トガヒミコの境遇には同情する面もある。
しかしそれは同情であって彼女の罪をどうにかするようなものではない。
麗日ちゃん達の気持ちは分かるが、今この場で交わす議論じゃない。
今は平和を取り戻すためにヴィランを捕まえる時。全ての戦いが終わってからそういう話はしっかり考えていこうぜ。
そん時は俺たちだけじゃなくてみんなでさ。A組B組でこれ議題にしてディベートしようぜ。
みんなの意見聞きながらみんなで考えていきゃいいさ。俺たちはそうしてプルスウルトラ出来るんだからな。
「じゃ、行ってくる」
俺はそんな平和な日常を取り戻すために、緑谷たちが戦う雄英に向かってワープした。
Q.トガちゃんはなんでトゥワイスの個性を発動しなかったの?
A.鉄檻の中なので無限増殖したら圧死するから。
ちょっとトガちゃん確保まわりの表現を更新しております。