【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!! 作:そとみち
【side 雄英】
【side 死柄木/AFO】
「変速・
「ガハッ……!!」
おかしい。何故だ。どうしてこうなった。
俺は/僕はなぜこうもやりたい放題にやられてしまっているんだ。
罠に嵌められた。
クソAFO/もう一人の僕が罠に嵌められ、浮遊した雄英高校の中に閉じ込められた。
個性が一瞬でも使えれば増やした腕で『崩壊』を放ちこんな檻など粉々にしてしまえた、というのに。
「フィーヒヒヒヒヒ!! 惨めだねぇラスボスともあろうものがボコボコにされてねェェ! 気持ちいいねェ気持ちいいよォ!! 幾野くんはまだかねェ!! 絶対好きだろう彼こういうの!! ラスボスをハメてるんだからねェ!! ともに笑いたいよ僕の友達と最高のショーを観覧してねェェェ!!!」
「一瞬たりとも気を抜くなよ物間。そろそろ一度俺に触れろ……コピー時間を回復させておけ」
檻の外からクソ共が……イレイザーヘッドと俺/僕のような能力を使うガキが個性を使わせない。
遮蔽物に身を隠そうとも抹消され続けるというのは異常だ。
おのれ……この棺も厄介だ。俺/僕が全く自由に戦えないように恐ろしい改造がされている。
「ガァァ……!!」
「そっちは悪手だろがァクソ手マン野郎ッ!!」
「グハッ!!」
この、一般人。
OFAを持たぬただの一般人のガキに、俺は/僕は
先程からOFAの力から逃れ体勢を立て直すために、体を成長させ腕を盾にして距離を取ろうとするたびにこの男が邪魔をする。
無論、爆破程度の攻撃で死ぬことはない。体の再生が間に合う。
即座に反撃。至近距離にいるこのガキに避ける術はない。一撃入れれば心臓を貫ける。
「こっ」
「ッこだァッ!!」
「ガ────!!」
体中から爆発を起こし、想像すらできない速さと手段で『後の先』を取られて反撃を潰されて顔を焼かれる。
どうなってる。コイツはどうなっているんだ。
OFAでも無視でも新秩序でも何でもない、ただの一般人がここまで
「────
「ッ─────!!」
「大氷海嘯─────!!!」
そして緑谷出久とこの男によって積み重ねられた一瞬の隙が数瞬の隙になった途端に、準備しているヒーロー共が必殺技を叩き込んでくる。
この男……エンデヴァーの息子か。その体より放たれる凍える様な炎の奔流。
避けられない。直撃し─────俺の/僕の体は一瞬にして凍り付いた。
体の芯まで凍り付く絶対零度を超えるほどの氷結。
溶けない。これは……溶かすまでに時間がかかる。
「───ゼロシフト・グランドライブッ!!!」
「ガハァ──────ッッ!!!」
そこに人間大の砲撃が放たれた。
どれほどの加速と質量を伴えばこれほどの破壊力を生むのか。この速度域に俺は/僕は生息していない。
反射速度であれば僕の知る限り最速は灰廻航一、移動速度であればホークスだったが……この二人であっても俺が/僕が先手を取れる自信はあった。
いや、灰廻航一だけは不確定要素だったが……しかしこのインゲニウムの弟、個性をどこまで伸ばせばこの速度に至るのか。
シンプルな体当たりに、しかし凍り付いた体では避けられずに四肢が、体がひび割れてバラバラになる。
凍り付いているから再生もすぐには始まらない。その分体力をごっそりと持っていかれる。
「フゥッ……助かるよ轟くん、飯田くん!!」
「とっとと変速のクールダウン済ませろ緑谷! 俺らもいったん離脱する!」
「シフトチェンジの速度で負けるわけにはいかないのさ! 死柄木も削れている、このまま畳みかけなければ!!」
「最後まで油断すんなァ!! 俺も汗腺休ませてェ、ちっと時間稼ぎ頼むわ───
お互いに必殺技を放った後にクールタイムを回しているらしい。
油断したな。凍り付いた体でも一部は爆速で成長させられる。
それでOFAを、謎の爆発をするガキを、エンデヴァーの息子を、厄介な速度の男を狙い殺す。
こちらは一撃で人体を破壊できる火力を持っているんだ。
厄介だが無敵ではない。イニシアチブを取り返すためにそちらを狙って……
「────
「ガッ……!?」
顎から下が吹き飛ぶかとさえ思わせる、
地中から、俺の腕を『無視』して……いや、『透過』してきて殴り抜けた通形ミリオの姿。
『無視』の失敗作。下位互換の使いづらい個性であるこの男の、しかし個性に依らない男の拳は──
信じられない。この男の拳が、肉体が何よりも信じられない。
ただの人間がどのような鍛錬を積めばこの拳の重さに至る!?
個性に頼らぬ素の拳に、果たして
「
「混成大夥──
「ガ、ァァァァァ!!!」
名も知らぬ、個性も注目すらしていなかったモブによる遠距離攻撃が、どうしようもなく己の体に突き刺さる。
謎の波動は捻じれるようにして捉え切れぬ速度で凍り付いた体を穿ち抜き、俺/僕の体を確かに焼くほどの火力の高出力砲撃が連発して放たれる。
それらすべてを回避、防御するために己の体を再び増殖させようとするときに、重い拳が顎を捕らえて振り抜かれ、ほんのわずかな一瞬だけ思考がトバされる。
余りにも息の合った連撃。この3匹のゴミが、魔王たる俺/僕になにもさせまいと一瞬たりとも途切れぬ攻撃を繰り出し続けている。
そこに連携するための会話はない。目線すら合わせていない。
阿吽の呼吸で人間はここまでやれるのか。
「勝つよー!! 勝って卒業式、やるんだから!!」
「ああ。早くこの雑魚を潰して……社会に平和を取り戻して。俺たちみんなで
「ホントだよね!! 空中に浮かぶ学園で卒業式なんて俺たちが初めてじゃないかな!? 楽しそうだよね!!」
「貴様ら─────舐める「舐めてんのはテメェの方だァッ!!!」ガッ─────!!」
呑気な会話を目の前で繰り出され、それを咎めようとさらに全身に力を満たし、熱線で溶かされた体全体から増殖を試みようとした瞬間に再び両腕で回転しながら爆破で飛び込んできたOFAの金魚の糞が俺/僕の顔面を焼いた。
この男にはあらゆる隙が見えているとでもいうのか。後の先を……こちらが何かをしようとする、その意識をすべて読まれているかのようなカウンターを繰り出されて。
まず、い。
緑谷出久も回復してくる。
コイツら以外にも、プロヒーローが距離を取って待機している。
個性を抹消されたままだとこの体の真価を発揮できないまま終わる。
この棺の外側にいるアイツらを何とか潰さなければならない。
──今、古い体の中にある僕の力が消えた。
なら俺の中のお前はもういらない。
─────やめろ。二人でやらねば負ける。
黙れ。アンタのやることは全部上手くいきやしねぇ。
────────よせ。どうして貴様の意識がまだ消えていないんだ弔。どうして
喧しい。消えろ。俺は俺の意志で俺の物語を歩む。
────────────────愚かな男め……
ああ。
スッキリした。
「ッ、気ィ付けろッ!!」
「雰囲気が変わった……!?」
俺の体に一撃を叩き込み距離を取っていた爆豪と緑谷が、AFOの意識を塗りつぶし喰らった俺の雰囲気の変化を敏感に読み取った。
ああ────いい勘だ。
面倒な小姑が消えさった。頭がすっきりしている。
わかったよ。
認めよう。
お前らは強い。お前らの連なりは強かった。
結び紡いだ友情とか言うやつだろ。
ヒーローが得意としてる奴だ。どんな物語でもヒーローってのは信頼とかいうので
反吐が出るが見習ってやるよ。
俺にも勝機はある。
死柄木弔という男が紡いだ連なりが、まだ残っている。
「─────黒霧ィィィィ!!!!」
人の名前を、これほどの想いを籠めて叫んだのはいつぶりだろうか。
黒霧。
お前だけは、きっと俺を裏切らない。
奇跡が起きていれば。
セントラル病院に派遣したスピナーが役目を果たしてくれていれば、俺にも勝機は────
「……!!」
息を呑んだのは誰の喉からだったか。
俺の叫びに呼応するように、雄英の棺の外、浮遊する足場に位置していたイレイザーヘッドの背中にワープゲートが生まれた。
コピーする個性のガキによるものではない。明らかに誰もが急なそれに驚いている。
黒霧だ。黒霧が俺を助けるために来てくれた。
闇の広がるワープゲートの中から出て来たモノは。
───
「──さ、ショータ。あの時の続きをしようぜ……お前なら、俺たちならいける!!」
「元A組の三バカ勢ぞろいだぜェ!! 15年ぶりだなァ!!」
「──────白雲、山田……!!」
ぱきりと。
心の中の何かが砕けるような音がした。
【side セントラル病院前 2分前】
【side 障子】
守ることにかけては、俺達の右に出る者はいないと思う。
俺たちA組の生徒は……守るという作戦を訓練でも実戦でも、経験することが多かったから。
俺たちの中に
だから、人を守ることにかけてはA組の誰もが慣れていた。傷つけずに戦う事は慣れていた。
【──落ち着いてください!! 己を取り戻すのです!! 恨みに我を忘れるのではなく────愛してくれた者に胸を張れる自分であってください!!!】
口田の個性による叫びが、セントラル病院を襲撃しようとする暴徒……異形型の個性に依る抑圧を感じていた一般市民3000人全員の耳に響いた。
口田の個性『生き物ボイス』はアイツの真価であるツノが解放された後、更なる進化を果たし……
広義的に解釈を広げ、あらゆる生物の耳に声を通せるようになったのだ。
だが、それはあくまで声を届けるだけ。
いわゆる動物であればそれは命令をする用途でも使えるが、人間相手に心操のように洗脳をするまでの効果はもたない。
なによりも口田がそう使おうとしなかった。
心操の個性を否定するものではない。アイツは使い方を間違えていないし、俺も口田も、学校の皆が心操の事は認めている。
口田の個性はあくまで心に声を響かせるだけだ。お願いするだけのもの。
しかし、恐慌状態にある人々や恐怖におびえているような人々を落ち着かせるには十分な効果を発揮した。
【今の社会が異形型に対して十分な理解をしているとは言いません……僕も、僕の友達も姿形で悲しい想いをした経験がある!! 気持ちはわかるのです!! でもッ!! それで僕たちが本当に怪物になってしまったら、誰も僕たちの言葉を聞いてくれなくなってしまうではありませんか!! 僕たちも貴方たちも人間なんだ!! 傷つける側に回らないでください!!! 復讐者にならないでほしいんだっ!!!】
口田の魂の叫びが、人々の恐慌を、暴走を落ち着けて冷静さを少しずつ取り戻させていく。
ここに配属された俺たちヒーローも、暴徒には絶対に手を出さない。守り、止めるだけだ。
気持ちは分かるから。虐げられた苦しみを、恨みを俺が見てみぬ、知らないふりはできないから。
でも、それを理由に人を傷つけるのは違うんだ。
お前らもきっと見ただろう。
ステイン事変のあの動画を見ただろう。
俺の友が叫んだ言葉が全てなんだ。
─────どれほどの事が在ろうと、人を傷つけてしまったら加害者に回ってしまうんだ。
違うだろう。
俺達が
守り、言葉を交わす事なんだ。
誰かを守ることで、俺たちは前に進むことができるんだ。
「……俺たちは……何を……」
「解放すると……代弁者に従えば、異形型への謂れなき差別から解放される、なんて……あり得るのか……?」
「あの子の言う通りじゃないのか……?」
「俺たちは……間違っちまってるんじゃないか……?」
暴徒となってしまった人たちの歩みが止まる。
思い悩んでいる。
口田の言葉に魂を揺さぶられ、揺らいでいる。
『なぜ止まる!! 六・六事件!! ジェダの大粛清!! 虐殺は止まらないことは過去の歴史が証明している!! ここに集ったのは照らされなかった者たちだ!! 我々は自分自身で己を照らす!! さあ行けェ!! 代弁者が我々にはついて─────』
「お前が自分一人でやればいいだろ」
「笑いながら言う内容ではないですぞ」
「反吐が出るね」
「悪巧みするヒト、許せまセン!」
「ッ!? ガッ……!!」
扇動していた異能解放戦線側の男、ビルの上で恐らくは扇動するタイプの個性を渡されていたソイツは……B組の四人、鎌切と宍田と凡戸と角取が神速の連携で一瞬で完封した。
見事。集団が止まれば扇動していた男が声を上げる、そこを狙った。
アイツに大義なんてものはない。ただAFOの命令の通りに無辜の市民を煽り、捨て駒として使っていただけだ。
本当に異形型への配慮を考えるならば、人を傷つけない方法を考えるべきであった。
他にも配置されていたダツゴクや異能解放戦線の生き残りは俺の索敵で場所を確認し、各ヒーローが向かって鎮圧済みだ。
強力なヴィランに対しては発目とメリッサさんが作っていたサポートアイテム『ALL MIGHT』を装備することで戦力差を埋めている。ここまでにヒーロー側と、一般人に被害はない。
これで完全に人々の歩みは止まった。決着まであと一歩。
「ウゥ……ウラミは!! きっ、きえ、消えなイ!!!」
「その恨みを関係のない人に向ければお前は心まで化物になる……!! その前に俺が止めるッ!!」
あとはスピナーのみ。
こいつは俺が止める─────
それをしたら俺の友の失敗の二の舞をすることになる。
俺たちは一人じゃない。
「ダークシャドウ─────!! 征くぞテンタコルッ!!」
「応ッ!!」
友がいる。
「人を殺めようとする行為に何の答えもないと知れッ!!
「オクトスパンション・
「ガ、ア、ア、アアアアァァァァ!!!」
巨大化したスピナーに
剥き出しになった腹に向けて、複製腕を幾重にも重ねて回転力を増した俺の必殺技を叩き込む。
本気の切島の体にすら深く衝撃を叩き込むほどの質量弾に、スピナーの体がくの字に歪み……沈黙させた。
完全に意識を飛ばした。泡を噴き白目を剥き、暴動の首魁を打倒した。
────決着はついた。
これで……ヴィラン連合の
【side セントラル病院内】
【side ─────】
「────【SHIRAKUMO=OBORO floats in the air】」*1
「は……はい……白雲朧……そ、空に浮きます……」
フワ~、と俺の体が自然と空に浮かび上がった。
うん、すっげェや。さっすがアメリカナンバーワン。とんでもない個性だぜ。
でもま、その個性をお借りして本人確認されるとは俺も思ってなかったけどね。
名前を正しく自覚してなければ『新秩序』の効果が発揮されない。つまり、今浮いた俺は正しく白雲朧であるということだ。
「HEYHEYHEY……朧ォ!! 完全に目が覚めたかよォ!!」
「おーぅひざし!! お前ほんっとにフケたなァ!! ヒゲ似合ってねーぜ!!」
「バッカヤロ……お前が俺らを置いてっちまったんだよォ!! バカヤロが……!!」
俺は2日前に目覚めた。
エリちゃんって言う女の子が、俺の体に巻き戻す個性を流して……俺が死んだ時を超えて
確かに死んだはずだった……15年前のあの時に。
ショータに声をかけながら意識は白く溶けて、眠る様に命を失ったはずだった。
けど、途中から俺じゃない誰かの記憶が急に生まれている。
闇に落ち、闇に生きた黒霧の記憶も俺の中にある。
AFOに、死柄木に仕え生きていた闇の住人としての記憶も存在して。
そのことを目覚めていの一番に真っ正直に答えたところで再び個性使えないようにされてガッツリ捕まった。
そりゃそうよ。俺ってばマジでバカ。
ま、実際に記憶の混濁に苦労してたのは事実なんだけどね。なにせ一回死んでるし。
俺が白雲なのか、黒霧なのか、はっきり分からなかった。
いや、分かりたくなかったんだ。俺は黒霧として何人も殺している。ド級のヴィランになっちまってた。
死体を弄繰り回したAFOに自由に使われ、黒霧としての意志で死柄木を助け……その結果に何人もの死があった。
それを認めたくなかったんだと思う。結構しんどかったよ。
俺が俺であるかどうか、不安な日々が続いた。周りの声なんて何も耳に入らなくて。
でもさ。
『……俺たちはお前の体を戻して……目覚めなければ、それを受け入れるつもりだったんだ。エリちゃんに頼んだのは蘇生じゃない。言うなれば【葬送】……弄られたお前の仏が戻ってくればそれでよかった……その後、改めて荼毘に伏すつもりだった……』
『けどよォ、お前は目が覚めちまった!! 生き返ったんだよォ!! だったら戻って来い朧ぉぉ!! テメーが簡単に泣き寝入りして諦める様なやつじゃねェって俺は知ってんだよォォ!! 生き汚くたって構うかよ!! 倫理観だのなんだのなんて知るかッ!! 俺たち二人がお前をフォローする!! だから自分を見失うな……俺たちと一緒にヒーローやるんだろ朧ォォ!!!』
『なろうぜ、ヒーローに……!! お前だけはまだ雄英を卒業してねぇから仮免のままだけど……逆にちょうどいいんだよ! A組に比べて今B組が一人多くて人数比がズレてるからお前は俺のA組に編入だ! 問題児ばかりだからお前一人くらい増えたって負担は変わらねぇ、厳しくシゴいてやるさ!! 時期も二年生からだからちょうどいい! そしてお前が俺の生徒達と卒業したら、俺も教師を一旦退職して……3人でチームを組んでヒーロー事務所をやるんだ! キャットタワーのある猫事務所をさ…………ハハ、夢物語だ。でもさ、俺は今素直にそう在りたいよ……だから白雲、負けるな! 戻って来い!!』
己を零しそうな俺にずっと声をかけてくれたダチがいたんだ。
俺が死に際にショータにずっと声をかけていたように、俺が大変なときには声をかけてくれるダチがいてくれた。
世間が大変なときに、ずっと……ずっと声をかけてもらってたお陰で、俺は俺を少しずつ取り戻して。
黒霧の闇を、記憶を記憶として整理できるようになって。
そして、俺はここに再び
「……間違いない、ここに在るのは白雲朧だ。意識もはっきりしているし黒霧の記憶はあれど思考は欠片もない……この私の個性が証明しよう!! 光と闇を司るヒーロー『オッドアイ』の『
「俺が寝てる間におもしれーヒーローが増えたなぁ! ったく、ワクワクしてくるね……でも今雄英で死柄木とバトってんだろ?」
「おお。イレイザー……いや、相澤がバッチリ死柄木の個性封じてるはずだぜェ!! アイツはやるときゃやる男になったからよォ!!」
「そっか!! 間に合ってよかった!! っしゃショータだけに手柄横取りされてたまるかってんだ!! ひざし!!
「行く……ってマジかァ!? お前まさか、個性っ……」
「ああ、どうやら
スターアンドストライプとオッドアイに本人確認を間違いなくしてもらった俺は、回復した体を起こして……俺のもう一つの個性を発動。
『ワープゲート』。黒霧になってから改造されて得た個性だけど、巻き戻しってのは個性細胞自体には影響がないらしい。問題なく使う事が出来た。
試してみれば俺の元々の個性である『雲』も使えるっぽい。おおスゲー。二つの個性使えるなんてなんか主人公っぽくない?
瀕死から目覚めると新しい力に目覚める的な展開熱いな!
これなら……ショータの力になれるはず。
「HEYHEYHEY……マジで言ってんのかァ朧! 大丈夫なのか、死柄木を相手に……黒霧の記憶もあんだろォ!?」
「大丈夫! だと思う!! 黒霧の時代に感じてたんだけどさ……死柄木はあれ、ガキのまま大人になっちまったんだよ。誰かが止めてやらなきゃいけなかった。だから俺がそれをしてやるさ、せめてな。それになんだかんだ言って
「おっ……ッシャアアア!! んじゃやってやっかァ!!」
「ってか俺がそう言いだすの分かってて俺にこのコス準備してたんだろ? お前ら調子乗り過ぎだよ」
「急に下げてくんなァァ!?!?」
俺の体に着せられてる懐かしいヒーロースーツ……俺が学生時代に着てたそれを手に取りぱんぱんと叩く。
俺が俺を取り戻せるように当時の記憶を思い出せるようなそれとしてやってたんだろーけど、ここでヒーロースーツを着てたら俺が言いだしそうなことはお前たちもわかるじゃん。
まったく。やっぱ俺たちはA組の三バカのままだ。
どれだけ時を重ねても、俺たち3人の絆は壊れない。
「フ……気を付ける事だ。魔王は既に覚醒している……今、勇者たちがその闇を晴らす為に尽力している。一つでも命を零せば敗北と知るがいい。貴公らの旅路に光あれ」
「Are we going to go to Shigaraki's now……? So all the heroes in Japan are idiots, huh? I see, now I know why Exist is stupid. Teachers are bad.」*2
オッドアイも、スターアンドストライプも、俺らの行動を止めはしなかった。
何を言われても止まらないってわかってるからだろうな。英語分かんないけど。多分激励してくれたんだろな。
大丈夫、無理をしに行くつもりじゃない。
過去のダチに逢いに行って、今のダチを止めてくるだけだから。
俺のけじめをつけてくるだけだからさ。
「じゃ、行くぜひざし!! A組三バカ突撃ィィィ!!」
「おォよ!! 俺ら三人ならなんだって出来るぜッ!!」
ワープゲートを俺の親友に向けて開いて。
俺とひざしはその中に飛び込んでいった。