【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!! 作:そとみち
「ハァッ……ハァッ! 幾野、くんっ……ぅっ………くぁ……!」
「はぁ……はぁ……♥緑谷……これ以上は、もうダメ……♥ そんな、暴れないでぇ……♥」
「っ……ぐっ……でもっ……! まだ、終わりたく、ないっ……! あっ!……くっ、急に、締まって……ッ!! くっ、……イ、クっ……」
「───はい3分! 終わりー! 終わりでーす!! はよ離れてセンくん!!!」
「ん、終わったか」
「……くはぁっ!」
「……いやーつっかれた!! マジですごかった緑谷……!!」
俺は抱きしめていた緑谷の腕と、太腿にぎゅっと挟み込んでいたもさもさの頭を解放し、脱力して床に体を投げ出した。
ぜぇぜぇと息が整わない。額から汗が流れ、髪が頬に張り付いて気持ち悪い。
とても濃密な時間だった。お互いの息の荒さが先ほどまでの運動の激しさを物語っている。
特に緑谷は初めてだったこともあってとてつもない疲労のようだ。腰砕けになっちゃった。でも初めてにしては上手だったよ。こっちも色々試せてよかった。けっこうイケたし。
もちろんこれは戦闘訓練の話である。
「デクくん、大丈夫!? ものっすごい動きしてたよー!?」
「大丈夫か緑谷ァァァ!? 主に性癖の方!!!」
「麗日さん……峰田くん……うん……大丈夫……大丈夫………………多分……」
さて、何故俺が緑谷の頭をむちむちな太腿で挟み込んでいたかを軽く説明しよう。
先ほど緑谷に目覚めた個性を試すため、俺と組手を行うことになった。
俺は怪我するほどのダメージが来るような攻撃は自動で潜り抜けられるから全力でやっていい、と伝え、緑谷も俺の個性を信頼し、全力で飛び込んできた。
凄まじい速度と、力だった。
ビルをぶち抜いたアッパーの時のような威力ではないにせよ、体育館γに設置されている岩壁にパンチが入ればひびが入るほどの巨力。
スピードも速い。俺があえて岩壁に挟まれたゾーンに戦闘区域を移動してからは、そこを飛び跳ね回り不規則な攻撃を仕掛けてきたのだ。
並のヴィランでは間違いなく相手にならない。
とんでもない力に緑谷は目覚めていた。
だが、その攻撃は俺の目には見慣れた速度でもある。
中学の頃、裏山で峰田と共に戦闘訓練をやっていたのが活きた。
あの頃は山の中、飛び跳ね回る足場がいくらでもあるそこで、跳ねまわる峰田を相手に捌いていたのだ。もちろん俺も個性を使ってたが。
その時に鍛えた動体視力で、今の緑谷の動きであればギリッギリ見切る事が出来た。
パンチを避け、キックはいなし。反撃も繰り出して。時にはオート個性による回避が発動するほどの攻撃を受けつつも。
力に目覚めたての緑谷がどんな動きが出来るのか確かめていくように、俺は攻撃をさばき続けていた。
で、定めていた組手の時間が残り30秒を切るころだ。
俺もかつて同じような経験があるからわかるのだが、個性は使い慣れていない頃は不意の衝撃や驚愕で解けてしまうことがある。
それも緑谷に試してやることにしたのだ。
飛びこみながら殴り掛かってくる緑谷に対して、俺は個性を発動させてカウンター気味に目潰しを仕掛ける。
従兄から教わった技だ。『ブラインドタッチ目潰し』。
目に実際に俺の手は当たらないが、ほぼ確定で相手に隙を生むことが出来る。
『っうわっ!? 個性が解けた……!?』
『はい隙ィ!』
不意打ち気味のそれによる驚愕で体に纏っていた紫電が解けてしまった緑谷に、俺は慣れた動きで腕を取り、変形の三角締めを繰り出した。
緑谷の身長は166cm。対して俺は170cm。スタイル抜群で脚も長いので割と完璧な体勢で極まった。
すぐに体を持ち上げられないように腕も緑谷の下腹部に絡みつける。
『……!! ……っ、こ、れ……!! 個性を張り直す、集中が……っ!』
『あんまり動くと首が締まるぞ……!』
『……ぐっ、がっ、ぎ……ぃぃぃ……!!』
ぎちぎちむちむちと俺の太腿に沈み込んでいく緑谷の頭。
こいつの髪、癖が強いな。しっかりしたシャンプー使ってるんだろうか。
そして緑谷も抵抗して何とか体を起こそうとしてくる。個性の再発動も試みているらしい。
だがやらせん。もう集中させるか。
『……あんっ……♥』
『!!?!?!?!?!?!!』
俺が緑谷の気を紛らわすために甘い声色で喘ぎ声をあげると、ビックーン!!!と目に見えてわかるレベルで緑谷の体が跳ねた。
おもしれ。
そのまま時間切れまで囁きながら粘り続け、冒頭の会話に戻り、緑谷が俺の名前を「イク」まで呼んだ所でタイムを計っていた麗日ちゃんの声で組手は終了したのだった。
「……いや、でもマジですげースピードとパワーだった。初めての組手の相手が俺でよかったな……その状態で力加減ミスれば死にはしないだろうが大怪我は全然ある」
「うん……僕も驚いたよ。でもこれで出来ることが一気に広がった……! まぁ幾野くんには負けちゃったけどね……」
「ははは、俺とタイマンで勝てる奴なんていないっての」
「あと最後のアレはお願いだからもうしないでね?」
「悪い悪い! 悪ノリしすぎた!」
上体を起こし、すぐ隣で同じく座りこんでいる緑谷と顔を合わせて、勝負前の笑顔とはまた別の、友の成長を喜ぶ笑顔を浮かべる。
緑谷もまた掴んだものが大きかったのか、珍しくにっかりとした満面の笑顔を浮かべ返した。
「緑谷の性癖終わっちまったかな……」
「大丈夫だよね!? 大丈夫って言って峰田くん!?」
そして、緑谷やクラスメイト達と鍛え上げていった二週間はあっという間に過ぎ。
雄英体育祭、本番当日がやってきた。
「皆! 準備はできてるか!? もうじき入場だ!!」
「コスチューム着たかったなー」
「公平を期すため着用不可なんだよ」
「結局爆豪は訓練にこなかったなー。勿体ない」
「ザコ共と訓練してどうなるってんだよクソが」
A組の控室で全員ジャージに着替え、入場の時を待ちながら雑談を交わす。
結局訓練に最後まで参加しなかったのは爆豪ちゃんと轟だけだった。
勿体ない。めっちゃみんなで頑張ってたのに。
未だにこの金髪ロリ巨乳はツン期を脱し切れていないらしい。
「─────緑谷」
「轟くん……何?」
すると部屋の隅の方で轟が緑谷に声をかけているのが見えた。
え、何?
「告白か?」
「どうして口に出すんだお前は」
隣にいる峰田にキックされた。
「違う。……緑谷、客観的に見ても実力は俺の方が上だと思う」
「え!? う、うん……」
「……お前オールマイトに目ぇかけられてるよな」
「っ!!」
「別にそこ詮索するつもりはねぇが……お前には勝つぞ」
そして轟の口からは宣戦布告が放たれた。
これは珍しい。これまであまり感情を表に出してなかった轟が、緑谷に何か感じ入るものが在ったのか?
……まぁな!! 気持ちは分かるなー!! 俺のおかげで緑谷めっちゃ強くなってるからなー!!
「……轟くんが何を想って僕に勝つって言ってんのかはわからないけど……」
「それは恋ってやつだよ、気付け緑谷……!」
「お前マジで口閉じろ!?」
「でも……皆、他の科の人も本気でトップを狙ってる。僕だって……前に進む覚悟はできてるんだ。僕も本気で獲りに行く!!」
「……おぉ」
茶化したらまた峰田にキックされた。
でも緑谷がちゃんと言い返したのは好印象だな。俺達との特訓で自信がついてたからかも? そうだったら特訓付き合った甲斐があるね。
「……幾野」
「えっ俺にも告白?」
「お前よォォ!?」
「違う」
続けざまに今度は轟が俺にも声をかけてきた。
え、やだ。早速二股!? んもーこのプレイボーイめ!
って返したら流石にキレられそうだったのでジャブで済ませておく俺優しい。
結構ガチな雰囲気だったので俺も表情をガチなものに戻す。
「……お前の個性に俺は一度やられてる……正直、お前にタイマンで勝てる姿はまだ思い浮かばねぇ」
「……」
「だが、お前にも俺はいつか勝ちてぇ」
「……ははっ。いつかと言わず今日挑んで来いよ轟。俺は潜りはするが、逃げも隠れもしねーよ」
「ああ、そうするつもりだ」
轟の言葉に俺もまっすぐ答えてやる。
俺の個性はタイマンでは無敵だ。それを思い知りながら、それでも超えたいと言われてしまえば……俺だって感じ入るものはあるさ。
今日はいい日になりそうだな。プルスウルトラ。
「入場の時間だ!! よし、行くぞA組!!!」
「「「おおーーーーー!!!!」」」
飯田委員長の檄の声に猛る熱を叫び、俺たちは会場に向かった。
『どうせてめーらアレだろこいつらだろ!? ヴィランの襲撃を鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!! ヒーロー科!! 一年A組だろぉぉぉ!?!?』
マイク先生のアナウンスで沸き上がる会場に俺たちは入場した。
知ってはいたがとんでもねぇ人入りだな。やっぱ大人気だな雄英体育祭。
こいつ等全員性癖歪ませてやるからな。ぐへへのへ。
「何とか……何とか今この場でコイツを殺す方法はないものか……!! オイラがみんなの性癖を
「ケロ、物騒だわ峰田ちゃん」
峰田がなんか言ってるけどあーあー聞こえなーい。
『選手宣誓!! ……静かにしなさい!! 選手代表、1-A幾野潜!!』
この日の為に準備した選手宣誓の文言を改めて思い浮かべつつ、俺はミッドナイト先生のアナウンスに従い前に出る。
「おお、可愛い!」
「あれ、あの子この前インタビューに写ってた生徒じゃないか?」
「女子がやるのか、流石雄英だ」
「選手宣誓は入試の一位がやるのが恒例なんだよ。あの子が一位か……」
「胸はないがあの顔は人気が出るな……!」
「俺既にファンになりそう……」
「可愛いかよ……」
観客席の方からちょっとした歓声が起きるのが俺の耳に入る。
インタビューの映像がネットミームになっていたのが後押ししたな。これは熱い展開だ。
マイクの前に立ち、しゃなりと前髪を手で払いにっこりとメス顔スマイルを浮かべて、俺は宣誓を述べる。
『────選手宣誓♥』
「ヤバイ……! 声を使いだしたぞ幾野のヤツ!?」
「ああ……終わりだ……」
「これを見ているお茶の間の青少年たちが歪んでしまう……!」
「悲劇だ……雄英体育祭の悲劇だよ……!!」
うるさいぞクラスメイト共。
『私達生徒一同は、日頃の授業の成果を発揮し、治安を支えてくれるヒーロー、学校を支えてくれる先生方、これまで支えてくれた家族の期待に応えるため、正々堂々競技を行い、全力を尽くすことを誓います♥』
とりあえずは例文通りに読み上げる。
拍手が始まってしまう前に、俺は言葉を続ける。
『───その上で、個人的な話を少しさせてください♥』
「やる……! センちゃんやるつもりだよ……!」
「幾野くん、何を言うつもりなんだ?」
「飯田お前ここまで来て危機感がないのは逆にすげぇよ!?」
「どうしてあんなに難儀な性癖になってしまったのでしょうかあの方は……」
うるさいぞクラスメイト共。
『先日、雄英高校の校門前で街頭インタビューを受けました。その映像がなにやらネットに出回っていると聞いて見てみると……私の映像に、色んな方のコメントが見られました。肖像権の侵害、とは言いません。目立つのもヒーローの条件。私の事を多くの方に知っていただけたのは嬉しいと思っています。けれど、私は顔だけではなく、力も見てほしい。知ってほしい。私がどんなことが出来るのか、今日は皆さまにお見せしたいと思っています。だから、あえてここで宣言します─────私が優勝する、と』
「そこで止めるんだ幾野! そこで止めておけばお前は立派な生徒代表でいられる……!」
「ダメでしょイクノは止まらないでしょ。私詳しいんだ、アイツのブレーキ壊れてる」
「ケロ、絶対言うわセンちゃん」
「ウチ頭が痛くなってきた」
うるさいぞクラスメイト共。
『あと、最後に一つだけ♥あのインタビュー映像で
「終わりだ」
「清浄なる日本に深淵が溢れ出す。もはや止められぬ」
「長げぇわクソが」
「少子化が進行しちまうよぉぉぉ……!」
『えー……ごほん』
俺は喉の調子を整えて、そして。
『俺は男なのでちんちんあります』
ぶちかました。
一瞬の静寂。
そして。
「「「「「えええええええええええええええええええええええええああああああああああああああああああああああええええええええええええええええええええええええ!?!?!?!?」」」」」
観客の大絶叫が会場に響いたのだった。
クラネスハインド様よりファンアートを頂いたので紹介させていただきます!
①ヴィランに催眠洗脳をかけられるバニーセンちゃん
【挿絵表示】
催眠洗脳をかけられるセンちゃんを描いてもらいました。
局部は出てないからR18じゃないな! ヨシ!
無敵の個性も貫通してくるヴィラン……何て恐ろしい存在なんだ(※作中には登場しません)
ファンアート心より感謝申し上げます。有難うございました!
ファンアートの紹介を作品前書きに掲載させていただいておりましたが、ちょっと縦に長くなってきたので活動報告に一覧として乗せることにいたしました。
お含みおきください。