【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!!   作:そとみち

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第一話で一か所勘違いされそうな箇所があったため以下の訂正があります。

訂正前:性自認は男子。
訂正後:性自認も男子でちんちん保有。 ←ちんちんnew!

ちんちんを追加しました。
生物学上このオリ主は男です。かしこ。




2 入試に来たら彼女連れと間違われた件

 オイラ達は雄英一般入試の実技試験会場にやってきていた。

 隣を歩くイクノは随分とリラックスしてるが、オイラはめちゃくちゃ緊張している。

 周囲を歩く他の生徒たちがオイラ達の方を見て「は?可愛い」「隣のちっちぇえ男子は彼氏か?」「彼女連れかよ余裕だな」とか呟いていくのが耳に入ってもそれに返す言葉も出ないくらいにだ。

 

「峰田」

「なんだよイクノ」

「やっぱ俺って可愛いかな?」

「オイラそれになんて返せばいい?? 緊張して結構余裕ないんだけどオイラ???」

「ちんちんに聞いてみて?」

「オイラのちんちんは何も答えてくれない」

「ちんちんだけにチン黙を保つってか! あははは!」

「殴るぞ」

「今の俺の笑顔可愛くない?」

「顔に自信ありすぎだろぉぉ……!」

 

 オイラの緊張をほぐすためにイクノが言葉をかけてくれてるようだけどリトルミネタまで惑わさないでほしい。

 こいつはいいやつだ。エロ全開で中学校生活を過ごしていてもオイラが結構学校になじめてたのは、たぶん、こいつがいつも隣にいてくれたからだと思う。

 コイツの行き過ぎたエロ談義を見てオイラ自身の発言も見直せたし、女子がドン引きしないラインってのもコイツから教わった。

 相変わらずオイラの脳内はエロ一色ではあるけれど、矯正されたと言ってもいい。

 

 いや、捻じ曲げられたって表現すべきだな。

 オイラはこいつのせいで男の娘モノとふたなりモノとTSモノで抜けなくなりました。

 返せよ……! オイラの性癖……!!

 

『どけデク!』

『かっちゃん!!』

 

 なんか門の前で大声が聞こえた。

 あ、あいつテレビで見たことあるわ。ヘドロ事件の時のバクゴーとか言うやつだ。

 へー、あいつも雄英なんだな。

 もし合格しててもオイラ達と違うクラスだといいなぁ! 男に用はねぇからなァ!!

 

「……むっ!」

「どしたイクノ……むっ!」

 

 そしてその方を眺めていたところ、オイラたちは美少女を発見した。

 なんかズッコけそうになった男子生徒を助けてる天使のような可愛い笑顔の女子だ。

 いいね、レベルが高い。コートで厚着してるが結構あると見た。

 

「優しみがある……そして笑顔がある……」

「胸もある……」

「ハチロク……E」

「オイラはD予想……その代わりムチムチ太腿……」

「ああ……夏が楽しみだな……!!」

「受かってほしいなあの子……!!」

 

 オイラ達はいつものようにエロ談義に花を咲かせ、緊張をほぐしながら試験会場に向かうのだった。

 

 

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────────────────

 

 

 さて、試験会場ではボイスヒーロー「プレゼントマイク」が試験の概要を説明している。

 どうやら同じ学校同士では試験会場が違うみたいだな。

 まぁ当然か。オイラとイクノで協力し合えるなんて状況になったら絶対受かっちまうしな。

 

「仮想(ヴィラン)が三種。でもって『行動不能』でいいのか。やったな峰田、お前の個性が最高に輝くぞ」

「みてーだな。こりゃ緊張するまでもなかったかなぁ? これくらいの内容ならイクノだって問題ないだろ」

「だな。俺の場合はあとは敵倒すスピードだけだ」

 

 小声で隣に座るイクノと話す。

 この条件なら───オイラの『もぎもぎ』は絶大な効果を発揮する。

 イクノと何度も組み手をして、個性の使い方も色んな発想で鍛えてきた。

 その3年間の成果を試せそうな内容に、思わずにやりと笑みを浮かべちまった。

 

『───プリントには四種の(ヴィラン)が記載されております! 誤載であれば───』

 

 眼鏡かけてクソ真面目そうなやつが男子生徒が質問し、0点のギミックがあるという説明も追加された。

 そのついでにさっき校門前でずっこけそうになってた男子をつっついてたが、あんまり気分はよくねぇな。

 オイラたちも遠くではあるが話してたし。他の学校でも小声でつぶやいてるやつはいる。一人だけへの攻撃みてぇになってるじゃねぇか。

 こんな人前で指摘されたら可哀そうってもんだ。共感性羞恥というか、気にしちまうのがオイラのノミの心臓よ。

 

「……あいつも緊張してんだろーなー多分。紛らわすにもやり方あるとおもーんだけど」

「……かもなー」

 

 けど、イクノはそんな様子を見てもたいして気にしてなさそうだ。

 基本的に図太いんだよなコイツ。ちんちんの話ではなく。

 性格的な話で。

 ま、そうでなきゃこの外見を貫き通しはしねーだろーけどな。

 

『Plus Ultra!! それでは皆、よい受難を!!』

 

 プレゼントマイクのその言葉で、オイラたちは分かれて演習会場に向かうことになった。

 お互いの合格を誓い合い、オイラ達は分かれた。

 

 

────────────────

────────────────

 

 

 スタート地点に集まる生徒たちの群れの中にオイラはいた。

 こういう時キャラデザの都合で身長が低いと不利だよな。下手すると蹴っ飛ばされかねねぇぞオイラ。

 なので集団の後ろの方に位置して、冷静に同じ会場の生徒たちを見渡すことにした。

 

 むっ!

 あの長い黒髪のカエルっぽい雰囲気の女の子いいねェ……!

 おっぱいもあるし、髪がきれいだ。異形型の個性なんだろうけど、にしても顔も可愛いし。

 んー……女子が中々粒ぞろいだな。あ、あっちの眼帯してるサイドポニーの子もいいな。ビッグな夢が詰まってる。

 余裕があったらあの二人は助けよう。クラスメイトは美女に限るぜ!

 

『─────ハイスタートー!』

 

 と、そんなことを考えてたらプレゼントマイクの気の抜けたアナウンスが響いた。

 え、マジ? これでスタート?

 

『どうしたあ!? 実戦じゃカウントなんざねえんだよ!! ()()()()ぇ!!』

 

 ポカンとしていたオイラだが、その言葉で意識が一気に切り替わる。

 『走れ走れ』。

 そう言いながら、3年間オイラを毎朝追いかけまわしてくれたダチがいたからだ。もはや条件反射だ。

 最後尾の位置にいるなんて関係ない。

 始まったなら、オイラは駆ける。

 

「──────【跳峰田】ッ!!」

 

 脚の裏にもぎもぎをくっつけて、両足の強化完了。

 オイラは一息で飛び出して、敵ロボのせん滅に向かった。

 

「なっ!?」

「あのチビ、速っ……!!」

「くそ、俺達も!」

 

 オイラの後に続くように他の生徒達も飛び出してきたが、速度が違う。

 プロヒーローと比べても、オイラの跳峰田はかなり俊敏な動きが出来るほうだという自信がある。

 さらに言えばここは市街地だ。壁もビルも、跳ねる対象はいくらでもある。

 ダチと鍛えたこの速度についてこられるもんかよ!

 

『標的捕捉!! ブッコロス!!』

「っと、きたか……!!」

 

 オイラの目の前に壁を破壊して1Pの敵がやってきた。

 身長が低いオイラからすればかなりの大きさに見える。だいたい2mくらいか。

 だがこの程度。ヒーローを目指すオイラに取っちゃ通過点ですらない。

 

「ほらよォ!!」

 

 もぎもぎを二つもぎって敵に投げつける。

 ダチと鍛えたオイラの強肩は正確に高速に敵ロボの首関節部と地面設置部にくっついた。

 そのまま跳躍して首の上から拳を叩き込み、首と胴体をくっつけてやる。

 これで終わりだ。もうアイツは首を挙げられないし、移動することもできない。

 グレープラッシュを使うまでもない。動きも遅かった。

 これならイクノの生身の方がよっぽど怖い。

 

(大した事ねェな、これなら。オイラの方は合格イケるぜ、イクノ!!)

 

 かなりの手ごたえを以て、オイラは市街地を突き進み、次々と敵を行動不能にしていった。

 

 


 

 

 試験も残り3分となった。

 ここまでのポイントは数え間違いがなければ46P。いいペースだ。

 基本的に投げれば終わりなのがオイラにとっちゃありがてぇ。

 敵の数と試験を受けてる生徒の数からして、30P前後が合格ラインだろう。

 まず間違いなく行ける、はず。

 

(けど油断はできねーな。最後までポイントは諦めずに────っ!?)

 

 そう考えながら街中を飛び跳ねているオイラの耳に、声が聞こえた。

 

「……ケロっ……!?」

「むっ!!」

 

 女子の声だ。

 かなり独特な鳴き声だったが、間違いなく女子。

 さっき見たカエルっぽい子か? 途中で見かけたけど、飛び回ってて機動力も破壊力もある感じの子だったから心配ないかと思ってたんだが。

 でも、今のは明らかに声色が困っている感じの声だった。

 助けなければ。

 オイラは声が聞こえた方に向かって跳ねる。どこだ? どこにいる?

 

「……いた! ……ってマジ!?」

「ケロ……」

 

 おりましたわ。

 長く伸びる舌が敵ロボの残骸に巻き付いて、でもそこから離れようとしていませんでしたわ。

 なんで困ってるのかって?

 そりゃね。

 オイラのもぎもぎが舌とロボをくっつけちまってるからですわ!!

 あれさっきオイラが倒した2Pのロボじゃん!!

 

「おわぁぁぁ!! ゴメンよぉぉぉ!! それオイラの個性だぁぁぁ!!」

「ケロ……貴方、一番に飛び出していった……」

「すまん!! すぐ外すから……!!」

 

 慌てて駆け寄り、舌にくっついていたもぎもぎに触れる。

 オイラは触れることで、もぎもぎの性質をコントロールすることが出来るようになっている。

 あっけなくロボと舌をくっつけていたもぎもぎが離れて、カエル子ちゃん(仮称)が舌を巻き戻して拘束を逃れた。

 

「ごめんな!! マジで!! ケガはないか!? ポイント大丈夫!?」

「ケロ。いいのよ、移動の為によく見ないでロボの瓦礫に舌を伸ばした私が悪いの。悪気があったわけではないのでしょ?」

「そりゃ勿論だけどさぁ!! オイラのせいでアンタが合格できなかったら申し訳なさ過ぎて割腹自殺しちまうよぉ!!」

「切腹はダメよ。……ええと」

「あ、オイラ峰田。峰田実」

「蛙吹梅雨よ。梅雨ちゃんって呼んで。峰田ちゃん、助かったわ」

「お、おお……梅雨ちゃん! 可愛い名前だな!! で、ポイントはホントに大丈夫か?」

「ええ。それなりに稼げているから、たぶん大丈夫────っ!?」

 

 オイラのせいで捕まっちゃってた梅雨ちゃんを助けて誠心誠意詫びていたところ、ある程度余裕のある答えが返ってきた。

 まぁ確かに、めっちゃ活躍してたもんな梅雨ちゃん。オイラのせいで不合格に……とかはならなさそうで安心した。

 そして女子と話せてオイラ的にもめっちゃ嬉しい。これをきっかけに始まる恋、あると思います。

 あと梅雨ちゃん髪めっちゃ綺麗。こーれイクノに伝えたら喜ぶわ。

 アイツ髪フェチだからな────────なんて思ってたら、急に地響きが鳴り始める。

 驚いた梅雨ちゃんと共に音の方を向けば、ビルよりも大きな超大型の敵ロボが現れた。

 

「おわああああああああ!? なんだアイツゥゥゥゥゥ!?!?」

「ケロ……あれが0点のギミックってやつかしら」

「やべぇ!! 逃げよう梅雨ちゃん!! ここにいたら踏みつぶされちまうよぉ!!」

「そうね、流石にこれはまずいわ。下がりましょう」

 

 オイラ達は危険と判断し、大通りを駆け抜けて大型ロボと距離を取る。

 0点だし、倒すメリットがない。周りを見れば、他の生徒達も我先にと逃げ出している。

 そりゃそうだ。圧倒的脅威、挑むメリットもない相手。逃げるが正解だ。

 命あっての物種、だ────────

 

「っ!? 避けろッ!!」

「!!」

 

 巨大ロボが大きな腕を振り上げ、こちらに振り下ろしてくるのが見えた。

 マジかよ中学生相手にやる攻撃じゃねーぞ!!

 オイラは【跳峰田】で、梅雨ちゃんも攻撃に気付いたようで舌を上手く伸ばしてその場から退避し、振り下ろしの腕を回避する。

 瓦礫が爆砕する音が聞こえたが、なんとか回避できた。

 っぶねー!

 

「ケロ、本気でやばいわね。でも残り時間も少ないわ、このまま逃げ切れれば……」

「ああ、もっと距離を─────っ!?」

 

 しかし、そこでオイラは見つけてしまった。

 先程の攻撃の余波で飛んだ瓦礫が当たってしまったのだろう。

 巨大ロボの進路上で、頭から血を流して倒れている、女子の姿を、見つけてしまった。

 

「くっ……う、あ……」

 

 ─────助けねぇと!!

 

「梅雨ちゃん!! 右下、倒れてる女子がいる!! 舌で運べる!?」

「ケロッ!? 本当だわ! 運べるけれど、敵の攻撃が……」

「オイラが足止めするから急いで!!」

「っ……わかったわ」

 

 加速する思考の中で飛ばした指示を梅雨ちゃんは聞いてくれた。

 倒れた女子……試験前に見たサイドポニーの子だ。おっぱいがおっきい可愛い子だった。その子の方に向かう梅雨ちゃんだが、舌で人ひとり抱えての移動は速度が落ちるだろう。

 安全な場所まで距離を離すまで、時間を稼がねばならない。

 

 助けなければならない。

 女子は、絶対に助けなければならないのだ。

 

「そうだよな、イクノ……!!」

 

 そう、オイラ達は誓い合った。

 エロを探求する親友と誓い合ったのだ。

 

 女子を守って死ねるなら上等よぉ!!

 

「こっちだデカブツぅ!! オイラはまだまだ元気だぜぇ!?」

『GYAAAAAAA!!!』

 

 大声を張り上げた挑発にどうやら乗ったらしい。

 バーカ。これでまず目的の半分以上は達成した。女子へ矛先は向かなくなった。

 後はもう半分、こいつを行動不能にするだけだ。

 

 だがそれもオイラにとっちゃ苦でもねぇ。

 さっきまではビビって逃げ出すことを選択したが、オイラの後ろにかわいこちゃんが二人もいるこの状況では逃げはもう選択肢に入らない。

 こいつを一刻も早く止める。

 オイラにはそれが出来る!

 

「食らえ必殺のぉぉぉ─────」

 

『GYAOOOOOOOO!!!』

 

「─────【グレープラッシュ】!!」

 

 振り回してきた大腕を飛び越えてビルよりも高く飛びあがり、オイラは巨大ロボに向けてもぎもぎの嵐を投げつけまくる。

 もちろん無造作にではない。狙いは関節部、そして腕の先端だ。

 体を、腕を、脚を動かすたびにもぎもぎが張り付いて機動性を奪っていく。

 そしてバランスを崩してビルに寄り掛かれば、もうオイラの勝ちだ。

 ビルと巨大ロボの間にさらにもぎもぎを投げつけて、接着。

 もぎもぎは力ずくでは絶対に取れない。

 破壊するまでもなく、巨大ロボはうなりをあげながらも、その動きを停止した。

 点数にはならないが上等だな。

 

「……っふぅー。これで時間稼ぎは出来たな。二人は……?」

 

 地上に降り立って、市街地の大通りの先を振り返る。

 すると、かなり遠くまで離れた梅雨ちゃんと、それに肩を貸してもらっているサイドテールちゃん(仮)が地面に座っているのが見えた。

 オイラがそっちを見たのを梅雨ちゃんも気づいたのか、ぐっとサムズアップを見せたので、こちらもびしっとサムズアップを決めてやった。

 

 そして、その瞬間。

 

『終ゥ了~~~~~~~~!!!!』

 

 試験終了のアナウンスが響いたのだった。

 

 

 

────────────────

────────────────

 

 【side 梅雨】

 

 

 すごいものを見た。

 先程試験中に出会い、彼の個性に引っかかってしまった私を助けてくれた、彼。

 峰田実の実力を見た。

 

 試験開始前は、こちらに生温い目を向けてくる男子生徒、という認識でしかなかった。

 いや、校門で同じ学校の女子と謎の卑猥な談義を行っているのも見たので、変人なんだなと。

 自分の事を棚に上げてしまうが、個性の影響か、彼は身長が著しく低い。

 フィジカルははっきりと運動能力に影響が出る。

 あの身長では、今回のような敵を破壊する試験では厳しいだろうと。

 彼女を連れてくるあたり、記念受験のような物なのだろうと。

 

 けれど、彼は試験でいの一番に飛び出していった。

 自分の個性を十全に活かす使い方。

 敵ロボにも果敢に向かう勇気、一瞬で行動不能にする強い個性。

 肉体的な鍛錬も、個性の鍛錬も行っているのだと理解できた。

 彼は合格するだろうな、と確信できてしまうほどの活躍。

 俊敏な動きに負けないように、私も敵ロボを倒していった。

 

 それなりにポイントを稼げた、その後。

 移動の為に倒れた敵ロボの瓦礫に舌を伸ばして絡めた際に、彼の個性の玉に舌が触れてしまった。

 しまった、と直感した。

 そしてその直感通り、彼の個性の玉は私の舌から離れず、ロボの残骸から私は離れられなくなった

 重量のあるこの残骸から離れられなければ移動できない。

 私は躊躇した。舌は切れないし、ロボを砕くにも時間がかかる。

 点数は十分にあるのだから、無理はしないでも、と思いかけたその時だ。

 

「おわぁぁぁ!! ゴメンよぉぉぉ!! それオイラの個性だぁぁぁ!!」

「ケロ……貴方、一番に飛び出していった……」

「すまん!! すぐ外すから……!!」

 

 個性の持ち主、峰田ちゃんが私の声に気付いて駆け寄ってきてくれたのだ。

 そして個性もコントロールが利くらしく、外してもらえた。

 これだけでも、彼の性根が伝わってくる。彼からすれば私は放っておいてもよかったのだ。これは試験なのだから。

 ライバルが一人でも少ない方がいい試験において、彼は己の個性で不利益を被った私を助けてくれた。

 いい人なんだな、と。

 私はそこで彼に対しての心証を新たにした。

 

 しかし、そこで超大型敵ロボが現れた。

 0Pの敵。倒す意味のない相手。

 ビビり散らす峰田ちゃんほど恐怖はしなかったが、私も最善手として逃げを選択する。

 彼の言葉で攻撃をかわしながらも、残り試験時間も短いことから、このまま終了まで粘れば、と思っていた時に。

 またしても、彼の言葉に驚かされた。

 

「梅雨ちゃん!! 右下、倒れてる女子がいる!! 舌で運べる!?」

「ケロッ!? 本当だわ! 運べるけれど、敵の攻撃が……」

「オイラが足止めするから急いで!!」

 

 助けたのだ。

 彼は自分の命すら危うくなる相手に恐怖で追われる中で、人を救うために行動した。

 その身長では人を運べないだろう彼は、私に適切に指示を出した。

 もちろん私もそれに倣い、倒れていた拳藤さん(あとで名前を聞いた)を助け出した。

 私だってヒーローになりたい。人を助けられるヒーローに。

 峰田ちゃんが声を掛けなくても、きっと助けはしただろう。そう、あっただろう。でも。

 私の個性は飛び跳ねる力もある。ひとり二人を抱えても、移動はできる。

 だが速度は落ちてしまう。その間に大型敵ロボからの攻撃が来ないように……峰田ちゃんは、アレに立ち向かった。

 

 そして、勝った。

 破壊こそできなかったものの、最善の手を打ち、一瞬で行動不能にまで追い込んだ。

 彼の頭部の玉は随分と数を少なくして歪になり、そこからは血が流れ落ちている。

 小柄でデフォルメな体も加味して、随分と満身創痍に見える。埃と衝撃で服もぼろぼろで。

 

 けれど、私の眼には。

 

 笑顔でサムズアップを返してくる彼の姿が、本物のヒーローのように映っていた。

 




なお拳藤ちゃんの出番はしばらくないです。
個人的に梅雨×峰田カップリングが推しなので作中で推します(断言)
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