【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!!   作:そとみち

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21 エロ戦車出撃ィィィ!!

 

 

「始まったな」

 

 俺はスタートの合図とともに、緑谷に向かっていく幾つかのチームを遠目に眺める。まずは様子見だ。

 ちなみにうちのチームの騎馬の形だが、かなり特殊なものとなっている。

 俺が騎手で身長170cm。

 峰田が108cm、梅雨ちゃんが150cm、心操が177cm。

 クソみたいにバラバラなので普通の騎馬が組めず、やむなく考えた陣形がこれだ。

 

「……心操、重くねぇか? 大丈夫か?」

「ああ、とりあえず問題ねぇ。梅雨ちゃんも支えてくれてるし……でもほぼ肩車のようなもんだよなこれ」

「え? もっと太ももで頭ぎゅってしてほしいって♥?」

「耳が腐ってんのかやめろ絶対やるな怖いんだよマジで柔らかくて。ホントに男かお前」

「確かめてみる? 男にしかないトコぎゅって押し付けて♥」

「今からでも棄権していいか?」

 

 俺が心操に肩車される形で乗って、前に出した脚を峰田が持ち、俺のお尻のあたりを梅雨ちゃんが心操の背中から支える形だ。

 バランスとるのめっちゃ(ムズ)ゥ~!!

 

「センちゃんのお尻すっごい柔らかいわ」

「やだ褒められた。あんまり揉まないでね梅雨ちゃん」

「ひっぱたきたいわね」

「意外と過激。でも梅雨ちゃんのお尻のプリティさには負けるよ」

 

 スパァン!! と尻を引っぱたかれた。なんでや。

 

「ふざけてねーでイクノ、これからどうするよ? とりま状況は緑谷が既に狙われてるけどよぉ」

「ああ……とりあえず、俺の危険度を知ってるA組は間違ってもこの時点で俺には立ち向かってこないだろうな。終盤ならともかく今は逃げの一手だ」

「なら狙うはB組か」

「ああ。気を付けたいのは範囲攻撃してくるタイプ……上鳴や轟みてーなのだ。騎馬であるお前らに攻撃が行くのが望ましくない」

「そうね。でも、その二人は同じチームのようだし、一先ずはB組を狙いましょ」

 

 他の騎馬より少し遅い歩みで俺はB組のよさそうな獲物を探す。

 さて誰から分捕りに行くか……って、おや。あれは葉隠ちゃんだ。

 

「葉隠ちゃんが全裸になってる」

「は?」

「お、マジだ。本気モードだな」

「あれ、でもハチマキがないわ……取られちゃったのかしら」

「待て? 驚いてる俺がおかしいのか? A組は変態の集まりなのか?」

 

 ウォールハックで見た所ちゃんと全裸だった。今日もエッチな大天使ですこと。

 騎馬になって支えてる口田と尾白がマジでうらやましい。耳郎ちゃんが騎馬の前側か。前は耳郎ちゃん、後ろは尾白の尻尾。いい組み合わせだ。

 だが梅雨ちゃんが言った通り、葉隠ちゃんの額にあるはずのハチマキが無くなってしまっている。

 そうかそうか。よし。

 

「葉隠ちゃんのハチマキ取ったやつ殺そう」

「物騒ねセンちゃん」

「あ、あそこのB組のやつじゃねーか!? ほら、拳藤ちゃんが物間って言ってたスカしたイケメン!!」

「よっしゃ全力で()りに行くぞォォ!! 心操走れェェェ!!!」

「了解」

 

 俺はB組の物間が葉隠ちゃんのハチマキを奪ったことを知り、殺しに向かった。

 俺の天使に何してくれてんだお前ェ!!

 

「おや、来たね幾野くん。あー……選手宣誓で一位を宣言してたけど、できるのかなァ? そんなに強い個性を持っているってこと? 気になるなァ……」

「うるせー死ね!! 葉隠ちゃんのハチマキ取りやがってこの野郎!!」

「あれぇ? そんなに恨むことかい? ちゃんとルールにのっとって競技をしているだけだよ? あ、わかった。好きなんだろ君、さっきの子のこと。透明人間を好きになるなんて変な嗜好だねぇ」

「コイツ……!!」

「乗るなイクノ!!」

「葉隠ちゃんの美少女顔を見れてねぇのか!! うわもったいなー!! もったいなー!! 葉隠ちゃん超美人なんだぜ知らねぇの!? うーわかわいそ! それなのに俺に噛みついてきたわけ!? なんかすました顔してるけどさー! どうやって俺を煽ろうか考えてるって感じ!? 俺に煽り合いを挑むわけ!? マジで!? あれだろどうせお前俺の見た目で攻めようとしたけど一目惚れしちゃって言えなかったんだろー!?」

「だから言ったんだお前煽るの好きすぎるからよぉぉぉ……!!」

 

 物間と対峙したら急に俺の事を煽ってきたので逆に煽り散らしてやる。

 口で俺に勝てると思ってんの?

 

「ハァ? 何か見るタイプの個性なのかな君は? しかし下らないね、そんなに歪んだ性欲満たしたいの? 全くヒーローらしからぬ発言だよそれ。そもそも君は男なんだろ? 僕は性自認が普通なんだから君に惚れるわけないじゃん?」

「ハイ語るに落ちるってヤツ~! LGBTQに配慮して煽ってるんですかー!? 切れ味微妙ですよ物間くーん! しかも見た目がダメとは言わないんだねぇ可愛いねぇ~! ちゃんと見た目は認めてくれてるんだぁ! やだ照れちゃう♥ もっと褒めて♥」

「褒めてないよねぇ? もしかして会話が通じないのかな? IQが僕と離れすぎてるのかな? 残念だな雄英にこんな生徒が入学出来てるなんて」

「あんま幾野を煽んな物間! あれと同じ土俵に立ったら終わりだぞお前!」

「拳藤ちゃんが何気に刺してくる!」

「ああそうだね。ヒーローらしくないし……」

「幾野も落ち着け、今やってんのは騎馬戦だぞ。そっちの……物間、だったか? お前もあんまコイツ煽らないでくれ、頭がおかしいんだ」

「アハハッ! 味方にまで頭がおか────────」

 

 よし、()()()

 テンション上がって口論が広がっちまったが、しかしここまでが作戦の内だ。

 幸いにして今の所、B組には俺の個性の詳細は伝わっていない。同じく、心操もだ。

 個性が分からない状態であれば、俺が個性を使って無理矢理ハチマキを分捕って手札を切るよりも、心操の洗脳で獲った方が効率的だし、何より心操の個性の有用性が目立つ。

 折角味方になってくれたんだし、こいつも活躍してほしいというのが俺の望みだ。

 

「梅雨ちゃん!」

「ケロッ、了解」

「峰田!」

「任せろ!」

 

 俺は二人に指示を出す。

 まず梅雨ちゃんが俺の尻を支えながら舌を伸ばして、動かなくなった物間から二本のハチマキをかっさらう。

 精度の高い遠距離攻撃が出来る味方がいるのめっちゃ便利だわ。梅雨ちゃんマジ天使。

 

「おい!? 物間!?」

「どうした急に!? なんで動かねぇ!?」

 

 そしてそうすれば騎馬の意識は必ず物間に行く。

 その瞬間が峰田の攻撃のタイミングだ。一度心操に抱きかかえられる形になってもらい、もぎもぎを物間の騎馬隊の足元や腕あたりに投擲する。

 

「ん、なっ!?」

「これ、くっついて…!? 足が離れねぇ!?」

「くそ、腕が動かせねぇ……!!」

「一丁上がりぃ!!」

「ちょろいぜェ! オイラたちを甘く見たなァB組よォ!!」

 

 これで物間の騎馬隊は終わりだ。

 あのもぎもぎを取り外すには燃やすか溶かすしかない。そんな個性があの4人の中にあれば別だが、少なくとも咄嗟に出していないことを見るにそういうのはないようだ。

 全員が靴を脱いで、服も破り捨てて、物間を再起動すれば動けるかもしれないが、それでも物間の露出した腕と騎馬の前側の男子の髪がもぎもぎで張り付いている。この時点でまともな騎馬としては動けないだろう。

 

「……その玉、効果えげつねーな」

「だろ? オイラの必殺技だぜ。降ろしていいぜ心操」

「おお。お前も随分軽いな峰田」

 

 心操が体重18kgの峰田の体を下ろす。

 俺も含め、体重が軽いから何とか動けてるなこの騎馬隊。あんまり心操が体鍛えてないから負担掛け過ぎねぇようにしないとな。

 俺は梅雨ちゃんからハチマキを受け取り、首あたりに巻き付ける。

 この瞬間、このハチマキは誰にも奪えないものになった。マジで俺のための競技だなコレ。

 

「よし……じゃ、このままB組を殲滅していこうぜぇ!! 俺と同じクラスになれなかったのを恨むんだなァ!」

「不可抗力の極みかよ」

「不条理の極みでもあるわね」

「やってること完全にチートだもんコイツ」

 

 俺たち騎馬隊は次の標的を求めて走り出すのだった。

 

 


 

 

『オイオイオイ……オイオイオイオイ!!! 緑谷チームがかなり粘ってるのもすげェが幾野がやべぇぞ!? B組キラーだぁ!! どんどん壊滅状態に追い込んでいくゥーーーッッ!!』

『やつの個性だけじゃないな。組んだ3人の力も上手く使ってるようだ』

 

 数分が経過して、B組の騎馬隊6組の内4組は行動不能に追い込んだ。

 ヤバかったのがツルみたいな髪を持つ女子*1だ。

 範囲攻撃に近いそれを持っており、全員を包み込まれるように蔓を伸ばしてきて厳しかった。

 ギリギリ心操の洗脳が間に合ったが、既に起こし方もバレてたので彼女に衝撃を与えられないように峰田に全力でグレープラッシュをしてもらって組んでる騎馬のメンバー全員が体を微動だに出来ないくらいに固めてもらっている。

 もし再び目覚めても距離は取ってるから大丈夫だと思いたい。

 因みに残る2組のうち、角の生えた可愛い女の子*2のチームは爆豪ちゃんが狩っていったようだ。ポイントが70Pだったから後回しにしてたんだけどな。

 

「くっ……ここまで一方的にやられるなんてね、幾野! 峰田!」

「悪いな拳藤ちゃん! 勝負は勝負だ、恨まないでくれよっ!」

「私はいいけど物間が後で五月蠅くなりそうだよ。だからせめて……一太刀でもアンタたちにっ!!」

 

 最後の標的となった拳藤ちゃんがその手を巨大化させて迫りくる。

 心操の洗脳は通じないか、会話に応じそうにない。向こうももう察したか。

 峰田はもぎもぎを構えておいてもらう。あの大きな手だ、もぎもぎを当てれば使えなくなる。

 しかし峰田もだいぶもぎってきたのでこれ以上グレープラッシュは使わせられない。

 梅雨ちゃんはまだ無事だがあの巨大な手に舌でやりあってもらうのは流石にな。

 速やかにハチマキを奪う必要がある。

 

「個性は使いよう! てぇえいっ!!」

「おっ……っとぉ!?」

 

 しかしそのまま掴みかかってくるかと思った拳藤ちゃんの行動は予想外のものだった。

 大きな手をまるでうちわのように、俺達に向かって仰いできたのだ。

 それにより強風が生まれ、俺たちチームの足取りが重くなる。

 

「くっ、オイラ吹っ飛びそうだ!」

「この風じゃ……中々前には……」

「ケロ、考えたわね。騎馬の脚を殺す……センちゃんは大丈夫?」

「ああ、俺は風にも潜れるからハチマキが飛ぶ心配もねぇ。けど考えたな……心操、姿勢だけは崩すなよ!」

「わかってる……!」

「支えるわ心操ちゃん」

 

 俺自身は強風をスルー出来るので強風が吹いていても髪も靡かないしハチマキも靡かない。

 その様子に驚いている拳藤ちゃんだが、しかしこれはなかなかいい手だ。少なくとも時間稼ぎと自分たちの身を守るにはうってつけ。

 

「これでも駄目かよ!? やっぱずるいわその個性……! 取陰!!」

「やってみるさ……!」

 

 そうして足踏みしていると、取陰と呼ばれた女子がこちらになんと手をロケットパンチのように飛ばしてきた。

 えっ何それ超カッコイイですわよ!?

 

「ま、無駄なんだが」

「っ……体だけじゃなくてハチマキもすり抜けんの!? なら脚を…!」

「おっと、露骨な騎馬への直接攻撃は駄目だぜ? ミッドナイト先生見てるよ」

「……むかつく!! くそっ、戻して……何ぃ!?」

「攻撃する瞬間が一番隙が出来るんだよなァ!!」

 

 取陰ちゃんの攻撃に一瞬みんなの気が行った隙に峰田が既にもぎもぎを投擲していた。

 風の影響をうけぬようにアンダースローで低く投擲し、拳藤ちゃんの騎馬の足元と地面をくっつける。

 これで相手の脚を奪えた。

 

「梅雨ちゃん!」

「ケロ、任せて」

「舌……!! やらせないっ!!」

 

 拳藤ちゃんに向けて舌を伸ばす梅雨ちゃん。

 ハチマキに引っかかる、その寸前で拳藤ちゃんのデカくなった拳が舌を弾き落とす。

 が、騎馬が動けなくなっているのは変わらない。大きな質量の手を振るったせいで、騎馬全体のバランスが崩れる。

 それで拳藤ちゃんの姿勢が崩れたところで……俺が、目の前に来た。

 

「……ちぇっ、やられたよ。あんた強すぎ」

「悪いね」

 

 腕を伸ばして拳藤ちゃんが防ぐ、その巨大な手のひらすら潜り抜けて、俺は拳藤ちゃんのハチマキを奪い取った。

 

 

『B組最後の砦も崩れるゥーーーーッッ!!! 幾野がB組全部取っちまった!! 順位はポイントは未だ緑谷……いやっ轟チームが取ったっ!!何が起きた速っ速ーーーー!! 飯田そんな超加速があるんなら予選で見せろよーーーー!!』

 

 さて、B組とは決着をつけて残り時間は一分弱か。

 見れば、今ちょうど飯田がとんでもない超加速を放って轟が緑谷からハチマキを奪ったところだった。

 その近くには爆豪ちゃんチームも来ており、最後に間違いなく大混戦になるだろう。

 

「よし心操」

「嫌な予感しかしねぇが」

「あそこに突っ込め。俺が全部取る」

「狂ってるぜお前」

 

 俺の言葉に、心操が冷や汗を垂らしながらもにやりと笑みを浮かべて走り出した。

 さて、最後にA組にちょっかいを出しに行きますかね。

 

 


 

 

「もう大丈夫!! 俺が来た!!!」

「一番来てほしくねぇやつが来た!!」

「幾野くんまで……!! くっ、1000万Pも無くなって状況は最悪……!! 考えろ、僕たちが勝つ方法……!! せめて決勝進出を……!!」

「レシプロバーストを使い切ってから来たか! 逃げの一手は使えない……!」

「幾野……!」

「男女野郎がァ……!!」

 

 乱戦の所に突っ込んでいく。

 今この場にあるハチマキは、轟の頭に緑谷から奪った1000万Pと元々持ってた615P。

 爆豪の頭に元々の665PとB組から取った70Pと障子・青山ペアから取った105P。

 それ以外全部俺。

 

 ────────さあ、楽しもうぜ。

 

 

『ラスト一分ッッ!! 最後の大混戦が始まるゥゥゥァッッ!!!』

 

『幾野チーム飛び込んだーーーッ!! 狙いは轟!! 上鳴の電撃は使い切ったか!? 威力が出ねぇぜ!!』

 

『轟も氷を放つが勢いがねぇっ!! これは……奪われる!! 奪われたァーーーッ!! 1000万Pは幾野チームに……いやッ!?』

 

『緑谷!? 緑谷チームが一位に復帰!? これは常闇の個性か!? 二人がやりあってる隙に轟から一本奪っていったキッチィーーーー!!!』

 

『だがそこに爆豪が文字通りぶっ飛んできたぁ!! これには緑谷……も何だとォ!? 緑谷も飛んだァーーーーッ!!! 空中大決戦ンンンン!!!』

 

『緑谷は発目からワイヤーが伸びてるぜ!? あれ障害走で使ってたやつだな!! しかも緑谷の動きがいいなマジで!? 緑の電撃が全身を包むゥ!! 緑谷の個性かァ!? 爆豪の攻撃をいなして地面に向けて投げおろすゥ!!』

 

『いやッここで緑谷に爆豪が反撃ィ!! 1000万Pが頭から外れて宙に舞うゥ!! ……って何とそれを奪ったのは幾野チームッッ!? 蛙吹が舌を伸ばしてからめとったァァァーーーー!!!』

 

『残るは爆豪のハチマキのみっ!! そっか爆豪の回収に瀬呂のテープ使わねーとだから取れなかったのか!! 轟も再び幾野チームに迫るがその手は無情にも幾野に吸い込まれてすり抜けていくゥ!! アイツのハチマキとれねーぞ!!』

 

『ああっと最後に爆豪チームに突っ込んでいった幾野チーム!!! 緑谷もチームに復帰してからそれを追うが間に合うか!? 爆豪チームに3組が迫る!! 爆豪どうなるーーーーッッッとんっでもねぇ光と爆音だァ!!!! スタングレネードかっつのォォ!?』

 

『緑谷チームと轟チームは今の爆破で標的を見失ったァァ!! 爆豪、自分のハチマキを守り切っ……ってないーーーー!!! 音も光も関係ねぇのかよぉ幾野ォ!? その手には最後の3本のハチマキがァァァ!!!!』

 

『そしてッここでTIME UPッ!! なんてこった!! なんてこっただ雄英騎馬戦ッッ!! とんでもねぇ決着になっちまったぞ!? いいか良く聞け!! 一度しか言わねぇぞ!? いいか!? 勝者ッ────』

 

 

 

『幾野チームッッ!! 全部のハチマキを奪い取ったァッッ!!!』

 

 

 

 

*1
塩崎茨

*2
角取ポニー




【次回予告】
第22話 「へー……チアガールで踊るんだぁ……」

ご期待ください。
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