【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!! 作:そとみち
レクリエーションの時間。
そこにはチアガール姿で女子たちと一緒に全力でA組を応援する俺の姿が。
「フレーッ♥フレーッ♥ A組☆」
「センくんの脚上げがすごい! かなり際どい!!」
「脚上げるたびに観客席からどよめき起きてる……」
「イクノちょっと真剣にダンスやってみない!? すごいキレッキレよ!? 頂点目指せるよ!」
「自分もこんなに才能あると思ってなかった」
本場アメリカのチアガールの動きを見ながら真似て踊ってみたんだけど結構うまく出来てたらしく芦戸ちゃんが褒めてくれました。嬉しい。
ダンスなんてやったことないんですがね。柔軟性と体幹の勝利か。やはり体幹……! 体幹はすべてを解決する……!
「あとみんなには見えてないかもだけど葉隠ちゃんの柔軟性も結構なもんだったよ」
「あー……靴やポンポンの角度でたまにおおって思ったけどやっぱすごいんだ」
「ケロ、二人ともよく動けてるわ」
「えへへー、センちゃんに褒められると照れるー!」
「なんだかんだ体動かしてたら緊張も解れたし楽しかったね!」
そして応援合戦の時間も終わり、とうとう始まるトーナメント戦。
『いろいろやってきましたが結局これだぜガチンコ勝負!! 一回戦!! 障害物競走から急成長見せてるぜヒーロー科、緑谷出久!! 対!! 騎馬戦で恐ろしい騎馬になってたぜ能力まだ未知数普通科、心操人使!!』
「緑谷と心操か。心操の洗脳が決まるかどうかが全てだな……」
「一つ聞いていいかイクノ?」
俺は観客席のA組が集まる所に戻って第一試合で出てきた顔見知りの二人を見て腕を組んで見下ろす。
ベガ立ちしてると気分いいよね。なんかわかってる風になって。
んなことしてたら峰田が何故かこちらを信じられないものを見る目で見てきた。
なんですか。
「なんでお前まだチアガール服のままなんだよォォォ!?」
「え、なんでって……可愛くない?」
「否定はしねぇけどお前だけだよ今チアガールなの!? 女子はみんなジャージに戻ってるよ!?」
「常々思ってるんだけど雄英のジャージのデザインラインすごくいいよね胸元に沿う形でさ……」
「心から同意だけどお前早く着替えて来いよォォォォ!!!」
真っ白いむちむち太腿を身長差と座席の都合で峰田の視界に映していたというのに何故か不評であった。
あ、いや角度的にスカートの中チラチラ見えてるか?
男のパンツ見て何が楽しいんだお前(正論)。
「今着替えてないのは結局のところ趣味なんだけど、俺をこうした原因がお前だということは忘れるな峰田」
「アアアアァァお前という存在への配慮不足ゥゥゥゥ!!」
「上鳴も改めてちゃんと女子たち、特に八百万ちゃんには謝っとけよ。試合前なのに創造使ってくれてんだから」
「そこは後でしっかりワビ入れるけど未だにチア姿のお前に言われたくねぇよ!? そのまま俺との第一試合来るのかよマジで!?」
俺は上鳴にもちょっかい出しつつ、ルール説明が始まりそうなので聞くことにした。
『ルールは簡単! 相手を場外に落とす! 行動不能にする! あとは「まいった」と言わせて降参させれば勝ちのガチンコだ!! ……って毎年やってたんだけど今年は悪いが新たにルールを新設するぜ!!』
「ん……新しいルール?」
「何だ?」
「珍しいよな。確かガチンコ戦の時ずっとこのルールだったぜ?」
俺と峰田と上鳴は揃って首をひねる。
『
「マジか」
「完璧なイクノ対策」
「幾野が守りに徹したら絶対負けないもんなー、こりゃ俺にもワンチャンあるか!?」
なんと試合に時間制限が設けられることになった。
うーん……まぁでも仕方ない事だな。正直騎馬戦はやり過ぎたとも思ってるし、俺も俺でスピードってのは課題の一つだ。これを超えてこそプルスウルトラだろう。
俺と戦う相手にワンチャン与えるってのは盛り上がる意味でも悪い話じゃない。
会場中の視線がその言葉で俺に向き、俺はチアコス姿で大きく頭の上でマルを作ってにっこり笑顔を見せ、了承の意を返した。
やっぱチアコスのままでいると目立てるな。もっと性癖歪めていけ。
『さぁそんじゃ早速一回戦始まるぜぇ!! レディーーーーーー………』
「緑谷……だったっけ」
「…………」
もう間もなく一回戦が始まる。
どうやら早速心操が仕掛けにいったようだ。
俺は心操に緑谷の個性について説明してないし、緑谷にも心操の個性を説明していない。
当然だ。お互いに今自分が持つ情報で戦うからガチバトルなのだ。
ただ、緑谷が簡単に心操に返事をしていない。あいつの性格なら試合前に挨拶くらいはするだろうがそれをしていないとなると、警戒は間違いなくしてるんだろうな。
さっきの騎馬戦で心操も個性を使って活躍していた。情報戦は緑谷に分があるか。
「幾野が言ってたんだけどさ」
「…………」
え、俺なんか緑谷のこと心操に言ったっけ。
覚えがない。
『START!!!』
「幾野で童貞捨てたってマジ?」
「何てこと言うんだ幾野くん!?」
思っくそ噴き出した。
何てこと言うんだ心操くん!? 言ってねぇしヤってねぇよやったのは唯の組手だよ!?
俺の穴は純潔の乙女だよ今後一切ヤる予定もねぇよ!?
どうすんだよこれ全国放送に声が乗ってたら!! 引子さん*1にどんな顔すればいいんだよ!?
「え……イクノお前……」
「やってねぇよ!? 俺は男に性的興味ありません!! 女の子に筆おろししてもらいたい方です!! おまっ心操おまえ後でマジで覚えてろよお前!!!!」
「己の童貞宣言までするのかよ幾野……」
「ウケる」
「俺が失った物多すぎん??」
『おっとォここで緑谷開始早々完全停止ィ!! 心操の個性が炸裂かァーーーー!?』
「悪いな、くだらねぇ嘘ついて。こういう汚い煽り方をついさっき幾野に教わったのさ」
\教えてないでーす!!/
『やっぱあの幾野と組めるほどのやべえやつか!! やべえやつだったのか心操!!』
「……恵まれた個性、恵まれてねぇ個性。そんなの
「……………」
『ああーーーー!! 緑谷ジュージュン!! これは決まっちまったかーーーー!?』
心操の命令で場外に向けて歩き出す緑谷。
これは決まったかな。緑谷、勿論応援してたし轟との試合も見たかったが……こればっかりはしゃーない、戦いだからな。
心操との会話を警戒しながら乗っちまった緑谷が悪い。俺がダシに使われたのは業腹だけど。
……ん? 緑谷が負けたのって俺の責任が微レ存?
「────────!!!!!」
そんなことを考えていると、会場に突風が生まれた。
見れば、緑谷が……留まっている。
呼吸を荒らげ、左手の指の何本かが以前のように個性の使用で怪我をしちまっている。
……マジか。洗脳って解けるのか、自分で。
『おっと緑谷踏みとどまったァァ!? とんでもねぇ強引に行ったぜアイツウゥ!!』
「マジかよ……どういうことだよ」
「………っ!」
「幾野と同じタイプか!? いや……力で無理やりか、初めてだよそんな事されたのは! とんでもねぇ威力だ、羨ましいよ!!」
「…………」
そして今度こそ緑谷が言葉を返さない。
指の痛みをこらえながら、俺との訓練で仕上げた力───フルカウルを、その身に纏っていく。
緑谷の体に紫電が走りだす。心操の声にももう返事をしない。
「俺は自分の個性にスネてスタートから遅れちまったよ……だがよ緑谷、俺も今日きっぱり決めたんだ」
「………!!」
「望む場所に、俺も行くってなぁ!! お前が先に向かう場所に、俺も絶対に追いついてやる!! 次は……次はっ!! 絶対にお前に────」
「──────ッッ!!!」
フルカウルで緑谷が突っ込んでいき、蹴りを放つ。
その蹴りは見事に心操の腹に直撃……緑谷も蹴り方を調整して、吹き飛ばすように再度腹の上から力を込めた。
フルカウルの力を、腹に突き刺すためではなく体を吹き飛ばすために使った。
心操が吹っ飛んでいく。勝負ありだ。
『心操くん、場外!! 緑谷くん二回戦進出!!!』
【side 心操】
俺の個性は洗脳だった。
悪い事し放題の個性。そう、子供のころから何度も言われ続けてきた。
『─────皆そういうよ』
そりゃ俺も他人が持ってたらまず悪用を思いつく。
ヴィラン向きだねって間接的に言われるのは慣れっこだ。そういう世の中、仕方のない事。
でもさ。
「…………心操くん……」
「……緑谷」
場外で倒れた俺に、緑谷が手を差し出してくる。
昨日までの俺なら、この手は握れなかっただろう。
心の中に棘が刺さっていた。
洗脳という個性に、どこか負い目があった。スネてたんだ。
ヒーローになりたいと思いながら、こんな個性でヒーローになれるわけがない、なんて。
だけど。
【
【答えは一つ。そいつが正義か悪か、そんだけだ】
【お前が今、ヒーロー目指してるのがなんか眩しくてな】
俺と同じような悩みを持ち、それでも前を向いていた馬鹿を知ってしまったから。
棘はいつの間にか、抜けていた。
「……心操くんは、何でヒーローに……」
「……憧れちまったもんは仕方ないだろ」
「……!!」
「……いいか緑谷、覚えとけ。憧れはもう挑戦になった。今回は駄目だったとしても俺は絶対に諦めない……ヒーロー科編入して資格取得して……絶対
そう。
お前や、幾野に負けないように。
俺も、ヒーローになる。
今日の
「────うn」(あ、やられ……)
「……ハッ。俺と話す時フツー身構えるんだけどな……身構えないのはお前と幾野くらいだよ。足、掬われんなよ緑谷」
「(あ、戻った)……うん!」
俺は緑谷の手を固く握り、健闘を称えあった。
会場の去り際、去る俺の背中に賞賛の言葉をかけてくれる普通科の奴らや観客の声が、随分と胸に染み入った。
二回戦。瀬呂VS轟。
結論から言おう。
「やりすぎ問題」
「瀬呂……ドンマイ」
轟がやり過ぎた。
全力の氷ぶっぱで瀬呂を一撃で凍り付かせて決着だ。
会場もドンマイコールが響いている。これでは瀬呂が余りにも哀れだ。
仕方ない、俺が一肌脱いでやるか!!
「どーんまい♥どーんまい♥がんばれ♥がんばれ♥瀬呂は出来る子だよ♥」
「オイラの右耳が穢れる!!」
「ってか俺達次の試合なんだからもう控室行くぞ幾野!! こんなに早い決着になるとは思ってなかったけどよぉ!!」
チアガール姿で一生懸命友人を応援してみたら何故か変な顔された。なんでや。
でもその後轟が氷を溶かしてステージを乾かす時間が生まれたので無事控室に移動できた。
俺控室にいても何もやることないんだけどな。
「ってか次マジでどうしよ……お前相手に俺勝てる気がしねぇよ……電気もすり抜けんだろ?」
「俺もお前相手に負ける気はしねぇな」
「事実だけど口に出すなよォ!? 言葉に気を付けろ!?」
控室に向かう道中で上鳴と軽く話す。
まぁ上鳴の個性は増強系じゃない。どんなに電撃を放とうと俺には効かないんだから勝負は目に見えてる。素の動きじゃ俺の方が上だしな。
だからこそ、俺は言ってやった。
「お前が考えるべきはこの試合でどうすればベストかだと思うけどね、俺」
「いや、負けるんだからベストもクソも……」
「違うだろ。負けるにしたってやることはあるって話。さっきの瀬呂だって、なんなら初撃のテープは不発だったけどいい判断だったって思わなかったか? あの判断力を評価するヒーローはいると思うぜ?」
「……あー……?」
「お前も、お前がどんだけすごいヤツかってのを見せてやれよ観客に。俺が全部受け止めてやっからよ」
「……!! そっか、そういうことか……! そうだよな、負けるにしたってやれること全部やらなきゃな!」
「ああ。どんなにやっても俺は死なねぇんだから安心しろ。
「はー……幾野、お前いいやつだな」
「今さら気づいた? 判断おせーわ」
俺との試合で、お前がどれだけ凄いやつか見せつけてやれと。
それは俺に勝つという意味ではない。
体育祭のもう一つの面、プロヒーローへの、世間へのアピールに俺を使えと。
速攻で終わらせるつもりは俺もない。
時間制限があるから油断はしないが、とりあえずこの馬鹿が全力を出せるまでは待ってやるつもりだ。
相手が俺じゃなけりゃなんなら上鳴だってチートみてぇな個性を持ってるんだ。一方的に潰すようなことはしねーさ。
多分、教師陣も俺にそういうことを求めているはず。
「……でもお前チア服で戦うんだよな」
「やだ、見惚れちゃった♥?」
「台無しだよ色々ォ!」
俺たちは控室に入り、試合が始まるのを待った。
クラネスハインド様よりファンアートを頂いたので紹介させていただきます!
①チアコスで応援するセンちゃん
【挿絵表示】
チアガール服に身を包むセンちゃんを描いてもらいました。
このイラスト頂いたのがこの話を投稿する前で「がんばれ♥がんばれ♥」って作中で言うのを未来視されてました(恐怖)
サー・ナイトアイって呼ばれてたりしませんか???
ファンアート心より感謝申し上げます。有難うございました!