【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!!   作:そとみち

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タイトルは勢いでしかつけてないです。


26 ひとりふたりエッチしようか轟くん♥

 

 

 俺たちの試合が終わり、続いて峰田VS常闇。

 

「峰田。貴様には戦闘訓練で世話になった……その借りを熨斗を付けて返すッ!!」

「チクショォォォォォ!! 平場じゃなけりゃよォォォォォ!!!」

 

 前回の戦闘訓練では閉所のビル室内で峰田の奇襲に不覚をとった常闇だが、広い場所でスタートの合図とともに始まる試合では常闇にギリギリ軍配が上がった。

 もぎもぎの投擲も変幻自在の黒影(ダークシャドウ)が防御することでバトルスピードを落とさない。

 峰田の跳峰田も平地では閉所ほど速度は出ない。やはり黒影の方が速く、また常闇自身も接近されれば攻撃が出来る。

 その上で峰田の隙を突いて常闇が峰田の体を場外まで弾き飛ばした。

 ウェイトの差も大きかったな。あれが一般男子ならあそこまで飛んでない。峰田の体が軽いから跳峰田のスピードが出るわけだが、その分攻撃力や打たれ強さに欠ける。そこを見事に突いた常闇の勝利か。

 

「ウケる」

「せめて労りの言葉の一つもかけろよォォ!?」

「後で自撮り送ってやるから」

「罰ゲームじゃねぇか!?」

 

 

 さて続いて切島VS爆豪。

 

「爆豪ちゃんのセンスが怖い」

「えげつねェなオイ」

 

 俺と峰田は冷静に二人の動きを観察していたが、爆豪が余りにも冷静だった。

 切島も爆豪の爆破を受けて最初はノーダメージを貫いていたが、カウンターの拳を爆豪が避ける。

 あのタイミングで切り返せるのは異常というほかない。

 その上で、切島の硬化が解けるタイミングで的確に弱まった所を爆破する観察力。

 さらにそこから爆破の連打で畳みかけるスタミナ。

 

 バケモンだアイツ。

 

「……決勝は爆豪ちゃんか」

 

 俺は最終戦の相手を爆豪と確信した。

 常闇も十分な戦闘力を持つが、俺は常闇の個性の弱点を知っている。

 ここ2週間訓練する中で本人から聞いた『光に弱い』というのが余りにも相性負けだ。

 

 今の爆豪は、普段のキレ散らかしている様子ともまた違っているように見える。

 油断と慢心が削ぎ落ちているというか……何だろうな、うまく言えない。

 ただ分かることは、恐らくはこの俺を以てしても簡単に勝たせてはくれないだろうという事だ。

 

「へ。──────燃えるぜ」

 

 俺はにやりと笑みを浮かべ、次の試合に備えるために控室に向かった。

 

 


 

 

 控室に向かう道中、なんか急に気温が上がった。

 

「ん?」

 

 何だ? と思い俺はウォールハックを発動。

 俺が進む道の向こうを見れば、曲がり角の先になんかオッサンが立って待ち構えてるやん。

 

「あー、あれエンデヴァーか」

 

 最初はだれかと思ったが、よく見ればあれはエンデヴァーだ。

 ウォールハックでは燃えてる炎まで見えないから分からなかった。でも多分間違いない。流石に緑谷の家で勉強したトップヒーローの顔くらいはまだ覚えている。

 え、なんで俺を待ってんの? 出待ちか?

 かーっ!! トップヒーローに出待ちされるなんてつれーわー!!

 

 俺はそのまま歩みを進めてエンデヴァーに遭遇した。

 

「あ、サインですね? どこに書けばいいです?」

「何を言っているんだ君は」

 

 おかしい……出待ちしているファンに対する最適な対応だったはず……。

 とはいえ、流石に冗談はここまでにして相手を見上げる。

 デカいな。轟もいつかこれくらい身長高くなるのかな。若しくは轟は母さん似か?

 轟ってイケメンだよな。これはやはり轟のお母さん超美人説あるな。

 

「ふむ……幾野くん、だったな。見事なものだ。強力な個性をよく使いこなしている」

「お褒め頂き恐縮ですね」

 

 何言うかと悩んでたらエンデヴァーの方から声をかけてきた。

 なんか想像してたのと違う。結構普通に大人な感じの対応をされて拍子抜けしている。

 仕事と家で性格変わるタイプ?

 

「次は俺の息子と戦うだろう……正直に言えば君の個性を打ち破る力が焦凍にあるとは思っていなかった……先ほどまではな」

「……何をおっしゃりたいんです?」

「だが、先ほどの緑谷くんとの試合で焦凍は目覚めた。左右の力を使いこなせば、君にも負けん。いや、この試合のルールで言えば、逃げ切ることになるだろう」

「子煩悩なんすか?」

 

 そういえばこの人さっきの緑谷との試合でもウッヒョォォォ!! みたいなテンションで轟が炎使った時喜んでたな。

 ……あれ、もしかして意外と悪い人じゃない説あるな?

 これ轟が過去の事もあってこじらせてる感じあるな?

 いやそれでもこの人がやったことは取り消せないんだけど。ただ、こうして一人のヒーローとして話してみればそこまでの悪は感じない。

 それも当然か。この人は長年ナンバー2なんだ。それほどの実力と実績を積み上げているという事。

 俺も轟の家庭の事情は一旦頭から抜いて、素の俺で色眼鏡なしに話そうか。

 

「轟……ああいや、焦凍くんは本当にすごいですよ。人の事言うのもアレだけど、強力な個性を使いこなしてる。緑谷との試合でもっと伸びた」

「ふむ。君も正しく力を観察できているようだな」

焦凍くんのこと好きになっちゃいそうです♥」

ちょっと待ってくれ

 

 素の俺を出すということはこういう事だ。

 どっかで性癖茶化しを入れないと俺じゃないとも言えるよなぁ!?

 

「というのは冗談として」

「本気で焦ることを言うんじゃない!」

「はは、すみません。でも、焦凍くんの友人として……俺も、アイツを超えたいと思ってますよ。だからこそ、次の試合は俺だってアイツに全力で勝ちに行く」

「……ふむ。俺が君に声を掛けさせてもらった本題もそこだ。焦凍はまだまだ強くなる。そのために、越えるべき壁に君はなってほしいのだ」

「どうでしょうね。俺くらいの壁、焦凍くんならすぐに超えて行っちまうと思いますよ。ま、それは今日ではないですが」

「自信過剰だな。だが若さとはそういう事だ。先ほどの緑谷くんもだが……君も気に入った。スカウトを前向きに考えておこう」

 

 最終的に俺が轟にマジでボコりに行きますよ宣言をして、それを満足そうに受け止めたエンデヴァー。

 なんか……なんだな。轟、お前親父さんとしっかり話してんのか? お母さんとも。 

 もしかしてどっかズレてねぇか? と思っちまうくらいまともな人だったこのおっさん。

 

 まぁスカウトは絶対受けないんだけどな!! バーニンさんならともかくおっさんに指導を受けたくねぇからな!!

 バーニンさんだけずっと一緒にいてくれたら考えるわ。あの人可愛いよね。

 話し終えてエンデヴァーは観客席に戻って行った。

 

「……エンデヴァー……あんた……」

 

 緑谷の時も来てたってことは轟の試合が始まるたびに控室前に来てんの????

 

 


 

 

『さーさー準決(じゅんけつ)!! サクサクいくぜ!!』

 

 準決勝が間もなく始まろうとしたところで、俺は轟と試合会場でお互いに向き直る。

 試合が始まるまでに、さて。さっきの話をしておくべきか。

 

「轟」

「おう」

「さっきお前の親父さんに控室前で声かけられたよ」

「!? あのクソ親父、何を……! 変なこと言われてねぇか?」

「轟の事好きになっちゃいそうです♥って言ったらめっちゃ焦ってた」

「何やってくれてんだよお前」

 

 試合前のジャブとして冗談を言ったら結構クリティカルヒットした。

 

「死ぬほど焦ってたぞ。割と面白い顔してた」

「お前……いや、お前はそういうヤツだよな」

「お、轟もようやく俺のことわかってきたな?」

「ああ。今まで……俺は周りが見えてなさ過ぎたってのは、少しはな」

 

 そう言って轟が己の左手を見る。

 つい先ほど、緑谷との戦いの中で使った炎の力。それを、懐かしむような瞳で。

 

「緑谷……あいつ、無茶苦茶やって他人(ひと)が抱えてたもんブッ壊してきやがった」

「見てたよ、俺も」

「あいつ、昔からあんななのかな」

「かもな。爆豪ちゃんのコンプレックスって意外とそれなんじゃね?」

「……緑谷と戦ってた時、あの一瞬……クソ親父の事を忘れた」

 

 緑谷の激励に、声に、轟は自分の原点を思い出したのだろう。

 

『俺だって─────ヒーローに……!!』

 

 あの時、狂おしいほどの笑みを浮かべて叫んだことが、紛れもなくこいつの本心だったんだ。

 俺は、原点を思い出したコイツに何をしてやれるだろう。

 

「……あの後、分からなくなっちまったんだ」

「……何を?」

「キッカケを緑谷に貰ってよ……でも、俺だけが吹っ切れて、それで終わりってんじゃねぇ。それだけじゃ駄目なんだ……でも、どうしたらいいかわからねぇ」

 

 轟の葛藤を聞く。

 それは、轟と同じ経験をしていない俺には完全に理解できるものではないのだろう。

 轟がきっと、答えを見つけるべきこと。

 

 でも、俺も似たような悩みを抱えていた時期はある。

 だから、その時の経験で、俺は言ってやった。

 

()()()()()()()()

「……なに?」

「だから、今できる全部だ。……俺の話になるけどさ。俺も、すっげぇ思い悩んでた時期がある。答えの出ない迷宮を歩いてたような時期さ」

「……お前もそんなのがあったのか」

「ああ。けど、ある()()()()に助けられた。んで、そっからはもう俺が出来る事、俺の夢の為にやれることを全部やりまくってきた。勿論疲れるし大変なんだけど……これが結構、やりきったらスッキリするんだよ」

 

 轟が原点(オリジン)を思い出したように。

 俺も、俺の原点(オリジン)を忘れない。

 

()()()()()()()()、って言ったろ」

「!」

「お前の力、使えるもん全部使って、疲れてぶっ倒れるまで……やってみろよ。どんなにやったって俺には傷ひとつつかねぇ。わからないってのも分からなくなるくらい俺に吐き出してみろよ」

「……幾野」

 

 轟。

 お前がまだ迷ってるなら、俺はそんなお前がまっすぐ前を向けるまで隣にいてやりたい。

 

「……緑谷といい、お前といい……なんなんだよ。マジで、どっちもふざけやがって……」

「……」

「……敵だってのに、俺の事しか考えてないって顔してよ……敵に塩送ったり、全力出してこいなんてよ……」

「……」

「……ちくしょう、後悔すんなよ幾野……っ!!」

「するわけねぇだろ! 遊ぼうぜ轟!! ()()()()だ!! 俺から逃げ切ってみやがれ!!

 

 轟の右腕から冷気が、左腕から炎が上がる。

 両方の力を、惜しみなく開放する。

 空気が氷と熱の温度差で揺らめいて、お互いの姿を歪めて映す。

 

 逃がしてやるもんか。

 お前がお前の求めるヒーローになる様に、俺だって俺の求めるヒーローになるんだからな!!

 

『お、良い感じか? だいぶ待ったぜシッヴィー!!! よっしゃそんじゃ準決勝!! レディー!! START!!!

 

 

 


 

 

 鬼ごっこ。

 そう、これは鬼ごっこだ────俺が鬼で、轟が逃げる。

 ただし、逃げるのは複雑多岐の氷の城の中だ。

 

『轟がまたしても氷で加速して回避ィィィーーー!! だが!! 幾野が氷を蹴っ飛ばしてさらに跳ねる!! アイツも瞬発力やっべぇな!?』

『あの氷は熱で同時に溶けている。普通は足を滑らせるんだが……無法だな幾野』

 

 轟がまたしても氷を放ちその勢いで空中を高速移動する。

 その先、氷山を作りその頂点で一度息を入れた。あいつも体を冷やし過ぎては緑谷戦の二の舞になるから息を入れる必要がある。

 だが俺は氷に潜れる。あいつの生み出した氷そのものがアイツへのルートとなり、その上を俺は全力で跳ね回り駆け抜ける。

 

「オラァ!! 逃がすかァァッ!!」

「ハァー……ッ!!」

 

 さらに氷で逃げようともいつかは捕まえられただろう。持久戦は轟に不利であることは変わりない。

 しかし、今のコイツは違う。

 

『とうとう捕まるか轟!? これはヤバいぜッ……って今度は炎でぶっ飛んだァーーーー!!! 幾野を跳び越すように跳躍して回避ィィィイイ!!』

『まだ出力の調整は慣れていないようだな。だが、これでまた氷を生み出せる』

『こりゃ幾野キビっしいぜェ!? 無敵の個性だがなにせ生身っ!! スタミナは驚くほどあるが時間内に捕まえきれんのかっ!? 残り3分!!』

 

 炎の力も全力で使う。

 出力を間違えて吹き飛び過ぎたのか、着地位置が場外になったので氷を生み出して減速して着地しようとする轟。

 俺はその着地点にあらかじめ狙いを合わせて飛び込むが、さらに轟が氷を生んで左に飛んで回避する。

 いくつか作られている氷の山の頂上の一つに立って、俺を見下ろすように轟が佇んだ。

 

「……ハァッ……ハァ……! ハァー……!!」

「フーッ……くそ、やるじゃねぇか轟……!!」

「まだだ……まだ、俺は行けるぞ幾野……!!」

 

 お互いにかなり息が上がっている。

 気付いてるか轟? お前いま笑ってるぜ?

 

 だが、残り時間を考えればこの状態をこのまま繰り返していれば俺は轟をとらえきれないだろう。

 引き分けになれば、その後腕相撲などで決着を決めることになる。

 もちろん腕相撲でも負けるつもりはないが、俺はそもそもこの試合自体に負けるつもりは欠片もなかった。

 

 コイツにも『潜行』の本気を見せてやる。

 全力でぶつかり合うってのは、そういう事だ。

 

「……選んだ位置が悪かったな」

「なに……?」

 

 俺は轟が立つ氷山の、その低い位置に向けて手を伸ばす。

 これまでもやってきた動きだ。ここから氷に潜り込んで、一気に駆け上がって轟の足首を掴みに行く。

 だが飯田との時のような地面の下とは違い、氷の中だと俺の姿は丸見えになる。

 轟がすぐに氷や炎で飛び跳ねて、際どく俺の攻撃を回避してきた。

 

 だが、ここまで繰り返してきたその行動自体が布石だ。

 

「……もう、その手は通じねぇ!」

「どの手のことかわからねぇよ、轟……!」

 

 俺の手が、氷山に触れた。

 触れられる。轟の個性は、放った後は唯の自然現象になるのだから。

 これほどの大きさのものを()()()()のは流石の俺も相当に個性の許容量を削るが、勝つためにはこれしかない。

 

「───!! 幾野、まさかお前─────」

「この氷山は───()()()()だッ!!」

 

 氷山を触れる手に力を籠める。

 瞬間、そこにあるはずの氷山は、そこに何もないかのように……潜り抜けた。

 

 当然、頂上に立つ轟は足元が一気になくなるわけだから、姿勢が崩れて氷山の中に落ちてくる。

 

「な───ッ!?」

(すき)だぜ轟ッ!!」

 

 この瞬間こそが俺の勝機。

 俺も氷山に飛び込んで、落ちてくる轟が対処の為に左か右か、どちらの力を使うべきか迷った一瞬の隙を狙う。

 俺のジャンプと轟の落下、その頂点が触れ合った瞬間に、轟が氷の力を選択し、氷山の中でさらに氷を生んで噴射した。

 その勢いで氷山から飛び出したが……間一髪、俺の手が轟の脚を掴んでいる。

 

 掴みさえすれば俺の勝ちだ。

 もうお前を(にが)さない。

 

『おおおおおォォォーーーー!?!? 残り一分ッ!! とうとう幾野が轟を掴んだァァァーーー!! 何だったんだ今のォ!? 轟が自分で生んだ氷山が一気に溶けたのかァッ!? ボッシュートされたみたいに轟が落ちてったぜぇ!?』

『やったことは理解できるが……あそこまで応用が利くのかアイツの個性』

 

 こうなりゃ後は飯田との戦いの焼き増しだ。

 時間ももうない。俺は一気に轟の体を引っ張り、正面に立って真っすぐに目を見つめる。

 左側の火傷の痛ましい、整った顔が俺の目を正面から見据え返してくる。

 

「…………」

「…………」

 

 一瞬の静寂。

 俺は轟を離さないように前側から首に向けて手を伸ばし、頸動脈に手のひらを押し付ける。

 流石に体の内側まで潜り込まないが、外側からの圧迫だって轟には止められない。

 抵抗すら許されない。頸動脈をダイレクトに締めれば人は3秒で失神する。

 

「………幾野」

「何だ?」

 

 最後に。

 お互いに絞りつくした友人同士、他愛ない話を交わした。

 

「俺、鬼ごっこって初めてやった」

「マジかよ。悲しすぎるだろお前の幼少時代」

「ああ。けど……全力でやったら、だいぶすっきりした」

「そうか」

「ありがとな」

「おう」

 

 圧迫。

 1。

 2。

 3。

 

 

 ───────落ちた。

 

 

「っ!! 轟くん、気絶を確認っ!! 残り10秒で幾野くんの勝利よっ!!!」

 

 

 俺は片腕に倒れる轟の体を支え、氷の上で勝利の喝采を浴びるのだった。

 

 


 

 

「ん………」

「お、起きたか」

 

 氷山に囲まれた試合場で、俺は轟が目を開くのを確認した。

 頸動脈を抑えて気絶させるのは峰田で慣れてる*1からな。すぐに目覚める程度に加減はしたが、無事に目覚めてよかった。

 

「………負けたか」

「ああ、俺の勝ちだ」

 

 先程の状況を思い出したのだろう、轟が独白のように呟き、俺はそれを肯定する。

 決着はついた。今は轟が生み出しまくった氷を先生方が頑張って溶かしているところだ。

 

「……なぁ、幾野」

「なんだ? 男に貸す肩はねぇぞ?」

「お前俺の事好きなのか」

「急にどうしたお前!?!?」

 

 急に轟からストレートを見舞われて俺も全力で突っ込みを入れてしまった。

 どうしたの急に!? ウワーッ轟くんが悪い影響与えられてる!? 誰だよそんな影響与えたの!? おのれ緑谷*2!!

 

「いや、お前さっき言ったじゃねぇか。『好きだぜ轟』って」

「『隙』な!? 阜部(こざとへん)に小さい日の小さいって書く方の隙!! 俺はこんなナリだけど恋愛対象女子だから!? お前に友人(ダチ)として以上の感情はねぇからな!?」

「そうなのか」

「ンンンンド天然んんんん!!!」

「お前もそんな顔するんだな」

「お前のせいだからなこのクソボケがーっ!!!」

 

 違うって!! 俺にコイツに対する恋愛感情とか欠片もないって!!

 ほら見ろ向こうの観客席の方!! なんか火柱上がってるじゃん!! エンデヴァーだよアレ!!

 緑谷のお母さんといい轟の親父さんといいなんで俺クラスメイトの家族に心労かけてんだよ!?

 

「……俺にもやれることがあるって思い出した」

「急に話変わるじゃん」

「俺、母さんにまだ会いに行けてねぇんだ」

「!」

「……明日、会いに行ってくる。俺の存在が追い詰めねぇかって想いもあったけど……俺がもっかいヒーローを目指すためには、会って話をしねぇとって思ったんだ」

「……そっか」

 

 その言葉ののち、ゆっくりと体を起こす轟。

 そんな轟の顔を見て、俺は笑顔を()()()言ってやった。

 

「……いいじゃねえか。いっぱい話してこいよ。学校でダチが出来たって伝えてやりな」

「ああ」

 

 俺は轟に手を伸ばし、轟も俺の手を取った。

 立ち上がり、観客の喝采を二人で浴びる。

 

 

 いっぱいお母さんに甘えてこいよ、轟。

 

 まだ親孝行ができるうちにさ。

 

 

 

 

*1
被害届出していいよなオイラぁ!?

*2
絶対君だよ!?





※葉隠ちゃんのひみつ
センちゃんがシリアス顔してるとき、じっと横顔を見つめている。
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