【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!! 作:そとみち
俺はその後、ミリオ兄さんと峰田も一緒にファミレスで飯を食べた。
体育祭の事や、学校の事、クラスの事、中学時代の事を話しあった。
久しぶりに会うミリオ兄さんとの会話は懐かしくて、楽しかった。
「峰田くん!!」
「ん、なんスかミリオ先輩」
「頼むからセンのことこれからもよろしくな!! 君だけが頼りだ!! いろいろとね!!」
「オイラもその自覚あるんで平気ッス」
「なにゆえ」
そしてミリオ兄さんとも別れ、峰田とも別れ、家に帰り、ミリオ兄さんと峰田に自撮りを送り、葉隠ちゃんの下乳の重みを思い出して一発抜いて寝た。
すっごい出た。
休みの二日間は峰田とも話し合い、久しぶりに朝練も休んでのんびりする時間に充てようと決めていた。
今頃みんなはどうしてるだろうか。
轟はお母さんとの面会、どうなったかな。
飯田はご家族の都合で早退したらしいが、何もなければいいけどな。
「────兄さん!!」
「天哉…………母……さん……」
「ごめんな……天哉」
「兄ちゃん……負け……ちまった……」
「────お母さん」
「………焦凍?」
「────友達ができたよ」
「────父ちゃん母ちゃん!? えー!? なんでここに!?」
「来ちゃった」
「あんな奮闘した娘を見て駆けつけずにおれやんわ」
「ええー!? 仕事はー!? 新幹線で来たん!? えーー!?」
「お疲れ会しに来た」
「~~~言ってよぉ……!」
「──にしてもイズク、障害物競走の最後の動きすごかったね! あんなのいつ覚えたの? 力もコントロールできるようになってて母さん驚いた!」
「うん、力の調節もあの動きも、幾野くんに教わってね。咄嗟に出しちゃったんだ、飛んだ勢いを殺せなくて……」
「あっ……幾野くんね? うん……スゥー……ねぇ、イズク?」
「なに、母さん?」
「私はどんな愛の形も否定しないからね?」
「絶対誤解してるよ!?」
「今度LGBTQの本買ってきて勉強するから」
「もしもし幾野くんおはよう今大丈夫!? 母さんと代わるから誤解解いてくれる!?!?」
体育祭での疲れも癒えて二日後の登校時間。
空模様は生憎の雨だった。
「外で自由に個性使えりゃ傘ささなくてもいいんだけどなー」
「仮免とったらお前雨の日毎日それで行くつもりだろ」
傘を差しながら峰田と共に学校まで歩く。
お互いに雄英の近所に家を借りてるので電車通学ではない。
俺が電車に乗ると5割くらいの確率で痴漢に遭うので男カミングアウトして*1犯人を絶望に叩き込んでから駅員と警察に突き出すので時間が調整しづらいのだ。
朝練の時間も取りたいので頑張って物件探しましたよそりゃ。
そんなふうに歩いてたら前を歩く緑谷を見つけたので声をかける。
「ん、緑谷だ。おはよーさん、昨日は災難だったな」
「君のせいだけどね? おはよう幾野くん、峰田くん」
「オッス。何かあったん?」
俺が昨日あった引子さんとのやり取りを峰田に説明したら爆笑された。
性癖を破壊するまでは俺の趣味のような物だが親御さんに迷惑をかけるのは本意ではないんですよ。
やはり心操は後でさらに性癖を捻じ曲げてやらねばならんな。俺は決意した。
「何呑気に歩いているんだ!! 遅刻だぞ! おはよう三人とも!!」
「お、飯田おはよーさん。やべ、もうそんな時間か」
「おはよう……カッパに長靴!」
「ストロングスタイルで来たな」
走ってきた飯田に合わせて俺達も急いで校内に入る。
傘を閉じて個性発動、水を一気に切り終えた俺はカッパを脱ぐ飯田に声をかける。
「飯田、お前の─────」
「───兄の件なら心配ご無用だ。いらぬ心労をかけてすまなかったな」
「……ん。そっか。なんかあったら相談しろな」
「ああ」
緑谷も同じように声を掛けたかったようだが、飯田が少なくとも笑顔を浮かべて返事をしてくれた。
あの様子ならひとまず命に別状とか、そういう感じではなさそうだな。
よかった。ニュースでインゲニウムの名前があったから結構気にしてたんだよ。
今この場であまり根掘り葉掘り聞いてもだろう。後で思い詰めてるようなら話聞いてやるか。
そして教室IN。
まだ時間の余裕あるやんけ。委員長はさぁ……。
「超声かけられたよ来る途中!!」
「私もジロジロみられてなんか恥ずかしかった!」
「俺も!」
「俺なんか小学生にいきなりドンマイコールされたぜ」
えっ? どした?
みんながなんか俺の知らない話題で盛り上がってんだけど??
「え、俺声かけられてない……」
「オイラも……」
「ケロ、二人とも確か近くのアパート暮らしだったかしら。流石に校門前に出待ちはいなかったのね」
「雨だしねー! 晴れてたらセンちゃんの出待ちはいたかも?」
「チクショォォォオオオあんなに体育祭頑張ったのにィィ!!!」
「オイラもちやほやされたかったァァァァァ!!!」
俺と峰田は血涙を流して悲しみを吐き出した。
ちくしょう家が学校に近いという便利設定にこんな欠点があったとは思わなかったよ!!
悲しい。クソッ今日が雨じゃなければ!!
天候操作系の個性持ってるやつがいたら一度雨を全部晴れにしてやりてえよ!! クソが滅びろ雨雲!!
そんなこんなしてたら予鈴が鳴り始めたので速やかに自席に戻り押し黙る。
この瞬間だけはうちのクラスめっちゃ足並みそろってんな。
相澤先生が予鈴と同時にクラスに入ってきた。おはようございまーす!!
「おはよう。早速授業始めんぞ。今日のヒーロー情報学はちょっと特殊だ」
そして授業が始まる。
ふむ、特殊な授業か。なんやろ。女性ヒーロー特集とかの勉強だといいな。
ミッドナイト先生、ミルコ、バーニン、リューキュウ、プッシーキャッツの女性陣、ウワバミ、バブルガール、マウントレディ、13号先生……無限に夢が広がるな!!
「今日やるのは……『コードネーム』。ヒーロー名の考案だ」
「「「胸ふくらむヤツきたああああ!!!」」」
面白っ!!
なんや今日は当たり授業やんけ! 相澤先生が怖いツラしてるけどテンション上がってきたぜェ!!
俺も期待で胸が膨らんでさらにメスボディになっちまうなーっ! これ以上エロい体にしてどうしようっていうのよこのショタ先生は!!(幻覚)
「……というのも先日話した『プロからのドラフト指名』に関係してくる」
相澤先生が続ける説明を聞く。
先日の体育祭の結果でプロヒーローからのドラフト指名が来ているらしい。
ふーん?
どうしよう男性ヒーローからばっかりだったら。とうとう俺はヒーローたちの性癖も破壊しちまったのか。
「……で、その指名の集計結果がこうだ」
相澤先生が電子黒板にA組の指名件数を表示した。
幾野 2122
爆豪 1676
轟 1501
常闇 464
飯田 327
緑谷 320
上鳴 271
峰田 241
八百万 166
切島 70
麗日 52
蛙吹 50
瀬呂 11
芦戸 7
あらやだ俺が一番多い。
「例年並みにバラけたと言ってもいいだろうな。今回の決勝トーナメントだけ見てれば上位にもっと集中してもおかしくなかったが……
「だー!! そうはいっても白黒ついたー!!」
「1位2位逆転してんじゃん」
「幾野の個性シンプルに無敵だからな、何でも出来すぎるし」
「流石ですわねイクノさん」
「あんがと」
「ケッ!!」
「わあああ!! ウチ指名あった!!」
「やったな緑谷! オイラ達も結構指名あるぜ!!」
「うん……!」
結果は俺が票数トップ。爆豪ちゃんが二番手になっていた。
まぁ個性の有用性というか、どんな場でも……って意味だと俺の個性は便利に見えるのかもしれん。スピード不足なのを除けば。
そろそろコスチューム改造してスピード不足を補いたいところだ。サポート科に打診してみっかな。
「この結果を踏まえ……指名の有無関係なく、いわゆる職場体験ってのに行ってもらう」
相澤先生が続ける説明の内容に、俺と峰田は来たか、と内心で頷く。
ミリオ兄さんにその辺の事を聞いていたのだ。1週間くらいヒーローの元に勉強に行けるらしい。
絶対女性ヒーローの所に行くからなァ……俺の指名の中に美人でぼいんなヒーローいっぱい入ってろよ……!!
「適当なヒーロー名を付けたら地獄を見ちゃうわよ!!」
そう言って教室に入ってきたのは18禁ヒーロー、ミッドナイト先生だ。
どうやら相澤先生はセンスのなさを自覚してミッドナイト先生に査定をお願いしたらしい。
さて、俺が既に決めてるヒーローネームはどんな評価になるかね。
~15分後~
「じゃ、そろそろ出来た人から発表してね!!」
順次発表することになった。
まず青山。
「輝きヒーロー I can not stop twinkling☆」
短文かよ。
でもちゃんと指摘するミッドナイト先生優しいな。一声で呼べる名前がいいよね。
次、芦戸ちゃん。『エイリアンクイーン』。それ映画では?
次、梅雨ちゃん。『フロッピー』。可愛いかよ。推しです。ファンがつきまくりますねこれは。
次、切島。『
次、耳郎ちゃん。『イヤホンジャック』。分かりやすい。いいね! ドヤ顔も可愛いです。
次、障子。『テンタコル』。シンプルイズベスト。触手推していけ。
次、瀬呂。『セロファン』。もうちょっとひねれなかった?
次、尾白。『テイルマン』。君ももっと捻ってええんやで?
次、再び芦戸ちゃん。『ピンキー』。ええやん。可愛さ出てるよ! アクティブな感じ。
次、上鳴。『チャージズマ』。語感がええやん。割と好きだなこれ。
次、葉隠ちゃん。『インビジブルガール』。いいね!! 葉隠ちゃんの事バッチリ表してるよ!! 天使かな?
次、八百万ちゃん。『クリエティ』。うん、何が出来るか一発で分かるいい名前だね。響きも可愛い!
次、轟。『ショート』。お前さぁ。
次、常闇。『ツクヨミ』。割とあり。俺そういう文化割と好きだよ。普通にかっけぇ。
次、峰田。『グレープジュース』。いやこれは知ってた。昔からよくヒーローネーム一緒に考えたもんな。
次、口田。『アニマ』。これもあり。なんていうか……アニマ。文字がカッコイイ。推すよ俺は。
次、爆豪ちゃん。『爆殺王』。バカがよ。
次、麗日ちゃん。『ウラビティ』。あらやだ洒落てて可愛いわ! 文字もなんか可愛い感じだし。うーんわかってますね。
「───思ったよりずっとスムーズ! 残ってるのは再考の爆豪くんと……飯田くん、幾野くん、そして緑谷くんね」
あっ、みんなのヒーローネームの講評に入ってたら発表忘れてたわ。
俺のこういうところかなぁ? 委員長も積極的にやろうとしてなかったの俺だけだし。積極性に欠けるのかもしれん。
反省反省。じゃ、行きますか。
「んじゃ俺行きます」
「ん! 幾野くんのヒーローネームはどんなのかしら?」
俺はフリップをもって教壇に立ち、ひっくり返してみんなに見せる。
俺が求めるヒーロー像、それになるために。
『イグジスト』
「……イグジスト?」
「ん? どういう意味の英語だっけ?」
「『exist』……『存在する』、『在る』、『生き延びる』……といった意味の単語ですわね」
「絶対センシティブで来ると思ったのに」
「あー……幾野の名前で文字った感じか?」
「いや、それもあるんだけどね……まぁ色々。響きカッコよくない?」
「ケロ。かっこいい名前だと思うわ」
「私もー! センちゃんのヒーローコスチュームはえっちだけど、イグジストって名前付いたらカッコよさも出てくるよ!」
「天使が二人おる」
クラスの大多数がうーん? と首をひねるのを眺める。
まぁ確かにな。俺がつけるには何だかズレた名前に見えるかもしれない。
プリティフェイスとか、キュートヒップとか、名前で文字るにしても上鳴が言ったようにセンシティブとかあっただろう。
けれど、俺はこれにした。
誰かの隣に、在れるように。
このヒーローネームを思いついたとき、
だから、これにする。
普通に響きがかっこいいしな!!
「幾野くんの場合、個性でどこにいるか分からなかったりするけど、ひょっこり出てきてここにいた! ってこともあるでしょうしね! 響きもカッコいいわ! いいんじゃない!」
「あざっす、ミッドナイト先生」
俺のヒーローネームが決定した。
今後これが変わっていくかは分からんけど、少なくとも職場体験ではこれで通すことになるだろう。
後悔はない。
俺はイグジストだ。
その後、飯田が『テンヤ』、緑谷が『デク』でヒーロー名を発表した。
お前らさぁ。
いや緑谷は麗日ちゃんと爆豪ちゃん考案の名前だからまだいいけど飯田はさぁ。
……様子もなんか変な感じ。やっぱお兄さんの事引きずってんのかな。ミッドナイト先生も言った通りこの名前一生続くかもしれんのに。よし、後で愚痴でも何でもいいから話聞いてやろう。
なお爆豪ちゃんは最後までクソ下水だった。
どうしてそんなに殺したいんだお前は。マーダーライセンスでも目指してんのか。
因みに職場体験は一週間後から始まるらしい。
その間にコスチューム改造をサポート科に相談に行ってみよ。
そとみち様よりファンアートを頂いたので紹介させていただきます!(欺瞞)
①しゃがみポーズをとるセンちゃん
【挿絵表示】
なんか……感想欄で「ジャック・オーのポーズしてほしい」ってあったから勢いで……。
ヒーロー名鑑にこのポーズで載ってそう。iの位置が意味深ですね。
手首の謎のアイテムについてはおいおいね。