【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!!   作:そとみち

33 / 177
会話の端々からマニュアルさんエモをにじませていきたい(推しキャラ)


33 放課後保須市集合な! 一狩り行こうぜ!!

 

 

 

【side 飯田】

 

 

 職場体験二日目。

 僕は職場体験先のヒーロー、マニュアルさんと共に市内のパトロールに出ていた。

 昨日も同様のパトロールを行ったが、大きな事件やヴィランの発生は一切なし。

 町中が先日の事件を発端として警戒モードに入っており、そうそうヴィランも出てきてはいないようだ。

 平和なのは何よりだ。たとえそれが兄のヒーロー生命を失わせた事件が原因だとしても。

 

「今日も今日とてパトロール。ごめんね代わり映えなくて」

「いえ……むしろ良いです! 平和こそヒーローの目指す社会ですから!」

 

 出来る限り周囲に目を光らせながらマニュアルさんの後を歩く。

 こんな時、幾野くんの個性『ウォールハック』が使えれば便利なのだろうか、とも思ってしまう。

 ただアレはあまり遠くなると透かす物の主線が増えて見えづらくなるらしい。索敵系の個性としては並以下だとも本人が言っていた。全く謙遜が過ぎる。

 

「……ねぇ、天哉くん。聞きにくいんだけどさ……」

 

 と、周囲への警戒に意識を割いていたら、マニュアルさんが心配そうな顔でこちらを向いてきた。

 

「……きみ、ヒーロー殺し追ってるんだろ?」

 

 そして続く言葉に、僕は少しだけ返事を躊躇ってしまう。

 それは、確かに事実ではあったから。

 僕がマニュアルさんの事務所を選んだのは、その理由が大きいから。

 

「それは……」

「ウチに来る理由が他に思い当らなくてね……や! 別に来てくれたことは嬉しいんだぜ!? ただ……私怨で動くのはやめた方がいいよ」

 

 そして、マニュアルさんが続ける言葉を、僕は聞き入れる。

 それは、一人のヒーローが述べる、正論にして忠告であったから。

 

「我々ヒーローに逮捕や刑罰を行使する権限はない。個性の規制化を進めていった中で個性使用を許されてるわけだからヒーロー活動が私刑となってはいけない。もしそう捉えられればソレはとても重い罪になる」

「…………」

「あ! いやヒーロー殺しに罪がないとかじゃなくてね! キミ真面目そうだからさ! 視野がガーっとなっちゃってそうで! 案じた!」

 

 ああ、正論だ。

 これを、もし3日前の僕が聞いたとしたら、納得できていなかっただろう。

 己の中に澱む負の感情に、気持ちを抑えきれていなかっただろう。

 

 しかし今は違う。

 マニュアルさんとは違う方向で、僕の視野を広げてくれた友がいたから。

 

「ご忠告、感謝します。しかし大丈夫です」

「え?」

「実を言えば……マニュアルさんのいう通り、兄の事があって職場体験先の事務所を決めたのは事実です。そこは重ねて陳謝いたします。復讐の気持ちに囚われていたのも事実でした。しかし……そんな僕を案じて、叱咤激励をくれた友がいました」

 

 そして僕はマニュアルさんに語りだす。

 僕の目を、復讐ではなく、立派なヒーローになるほうへ向けてくれた友の話を。

 

「友は言いました。家族を想い、ヴィランを恨む僕の気持ちは人が持つ当然のものだと。そして、その上で僕が何を目指し、何をしなければいけないのかを教えてくれました。僕はヒーローの卵です。兄……インゲニウムのような立派なヒーローになりたい。そのためにこの職場体験で、ヒーローとしてしっかり行動し、学ぶ。それが、兄が一番喜ぶことだというのを友の言葉で思いだした」

「天哉くん……」

「万が一ヒーロー殺しと遭遇したとしても、私情では動きません。必ずマニュアルさんと連携し、市民の救助や避難誘導を最優先として動きます。マニュアルさん、僕はあなたの元でヒーローになるために学びたい。僕の事をそこまで知っていながら受け入れてくれた貴方に感謝しているんです」

 

 幾野くん。

 君が僕の曇り切った目を晴らしてくれたから、僕にもう迷いはない。

 ヒーロー殺しが危険なことは分かっているからこそ、もし出会ってもヒーローとして適切に対処して見せる。

 

「……そっか。そこまで言うなら余計なお世話だったかな!」

「いえ、格別のご配慮と当然のご忠告かと思います! むしろ、マニュアルさんにそこまで心配をかけてしまい本当に申し訳ありませんでした!!」

「ははは、いいって。でも天哉くん、その友達? いいやつだねぇ。ご家族の事できっと相当思い悩んでただろう君にそこまで踏み込んでくれるなんて。大切にしなよ」

「ええ! 胸を張って自慢できる友人にして、僕の目標の一人です」

「おー、インゲニウムの弟さんにそこまで言わせるとは。どんな子なの?」

「幾野潜くん。赤い長髪を持つ男子です。体育祭を見ていればご存じではないですか?」

「え!? あの女の子みたいな男の子!? おおー……あの子そういう気配りも出来るタイプだったんだ。彼の個性凄いよねぇ」

「ええ、完敗でした! ですが次こそは逃げ切って見せます!」

「はっはっは! ありゃズルっていうんだズル! 天哉くんのトーナメントバトルも見たけど君も相当すごかったぞ?」

「恐縮です!!」

 

 マニュアルさんとも理解しあえて、改めてパトロールに戻る。

 今日も事件は起きなかった。町全体が警戒しているからか、ヒーロー殺し出現の報告なども入っていない。

 ヤツはこれまでに出現した場所すべてで必ず4人以上のヒーローに危害を加えている。目的があるのかジンクスかは知らんが必ずだ。

 保須ではまだ兄さんしかやられていない。再び出てくる可能性は高い。

 

 だが、それに固執はしない。

 出てきたらヒーローとして対処する。出てこなければ、平和であることを尊ぶ。

 僕が今やることは、兄さんのような……幾野くんのようなヒーローになるために学ぶことなのだから。

 

 


 

 

 職場体験三日目。

 俺と峰田は朝の清掃を終えて、マウントレディと茶を飲みながら今後の方針について話し合う。

 

「想像以上に二人が仕事できるから何させるか迷ってるのよ……」

「一応二人とも入試首席なもんで」

「勉強してきた甲斐があるってもんスわ」

「書類仕事覚えるのすごい早かったね……本気で助かった。給料出したいくらいだよ」

 

 この二日間で、既に俺たちはおおよそマウントレディ事務所の状況やヒーロー活動に当たり申請が必要な書類の事などを覚えていた。

 まぁそもそも中学時代に、そういう雑多な仕事もしっかりこなせたらモテるんじゃね? という原動力の元でヒーローの事務仕事に関する知識を図書館で本借りたりしながら覚えてたからな。

 実際に仕事をする中でよく使う知識、使わない知識なんかの経験も出来たから俺達もwinwinだ。

 

「逆に……そうね、二人から何かこういうの経験してみたい、というのはあるかしら? 出来る範囲でなら要望を聞くわよ?」

「ん……どうするイクノ? オイラはこれと言って特にないけど」

「あー……むしろそうですね、マウントレディがヒーローとしてどう活躍するかを見るのが望みというか。まだ職場体験ですしね、あんまり俺らに気を遣わなくてもいいですよ?」

「そう? うーん……どうしようかしらね……」

 

 俺も峰田も、特別に何かやりたいわけではない。マウントレディの普段の仕事、ヒーローとしての活動がどのようなものか勉強したいだけだ。

 強いて言うなら飯田の事が少し心配だが、しかしアイツもだいぶ自分を取り戻している。

 昨日の夜、緑谷も混ざってのライン通話じゃしっかりやれてる感じだったしな。

 なんならこのまま5日間、普段の業務を見せてもらうだけでも構わない。既に他のヒーローの所よりも色々やらせてもらってる。

 昨日なんかはパトロール中にコンビニ強盗のヴィランが出た場面に遭遇した。

 大した戦闘力のあるヴィランでもなく、峰田が速攻でもぎもぎ投げて動き止めつつ俺が地面から潜り込んできっちり捕まえたりした。マウントレディの出番なかったわ。

 渋谷は事件が多いと聞いたが本当にその通りのようで、それを経験するだけだって全然悪くない。

 

「んー……じゃあここ最近考えてた遠征にちょっと付き合ってもらおうかしら。二人の実力は見れてるしね」

「遠征ですか?」

「どこ行くんスか? 渋谷より事件が多い所なんてあんま思いつかないけど」

「ええ、そこは今は落ち着いてるわ、警戒態勢だしね。でも今そこの話題性がすごくあって、ここに近いから……事件は起きないかもだけど、普段と違う街でパトロールすることで渋谷の外の人にも顔が売れるかなって思ってたの。行く場所は東京の─────」

 

 ああ、しかし。

 彼女から言い出してくるならば、俺達がそれを断る理由はなかった。

 

「─────保須市よ」

 

 

 


 

 

「つーわけでいざヴィラン退治だ!」

 

「ええ!? いきなりですか!?」

 

「小僧、お前はそのフルカウルってやつをかなり使いこなせてる! 俺より前に()()()()()()()()()()()()()()? だが、だからこそ組手以外の経験を積むべきだ! 戦うだけじゃねぇ、事件解決の為に色々な状況の経験をしとくフェーズに入る!」

 

「仰る事はごもっともですけど……」

 

「そんなデカいヤマにゃ近づかんさ。ここでパトロールするよりも、人口密度が高くてトラブルも多い渋谷に行くぞ」

 

「渋谷!? まさかそんなハイカラの街にコスチュームで……!?」

 

「最高の舞台でコスチュームを披露できるのを喜びんさい!」

 

 

(───渋谷か。幾野くんと峰田くんのいるところだ……あと、保須市も横切るな。後で連絡してみよう)

 

 


 

 

『前例通りなら保須に再びヒーロー殺しが現れる。しばし保須に出張し活動する!! 市に連絡しろぉ!!』

 

(……どんだけクズでも、ナンバー2と言われるだけの判断力と勘の良さは認めざるを得ねぇ。幾野、お前の言う通りだったよ)

 

「む!? 焦凍ォ!! 何故移動中にスマホを見ている!!」

 

「幾野に保須に行くって連絡してた。あいつの職場体験先も東京なんだ」

 

「何!? 幾野くんだと……!? 焦凍、お前彼とどういう関係なんだ!? 詳しく教えろ焦凍ォォォ!!!」

 

「連絡先は伝えたじゃねぇか。本人に聞けよ」

 

「『幾野潜♥イグジスト』とか書かれた連絡先か!! くっ、仕方ない……俺からも挨拶の文面を送るか……!! 確かに彼は将来が楽しみなヒーローの卵……俺が正しい道に更生してやらねば……!!」

 

(幾野お前親父と何話したんだ?)

 

 


 

 

「保須市って……思いのほか栄えてるな」

 

「この街を正す……ハァ……それにはまだ……犠牲が要る」

 

 

「この世が自ら誤りに気付くまで……俺は現れ続ける」

 

 

「────アンタの面子と矜持、潰してやるぜ大先輩」

 

 


 

 

【side 飯田】

 

 

 パトロール中の僕とマニュアルさんの耳に爆音が響き、同時に黒煙が上がるのが見えた。

 人々がざわめく。間違いなくヴィランだ。

 周囲を見渡せば、新幹線も同時に襲撃があったのか、線路上に止まっているのが見えた。

 

「マジかよこのご時世に馬鹿だな! 天哉くん現場行く! 走るよ!」

 

 マニュアルさんの現場急行の指示。

 僕もそれにもちろん応じようとして、新幹線を向いていた方から視線を戻して前を向こうという、その瞬間。

 一瞬だけ、目に入った路地裏の先。

 むこうの、むこう。

 

 僕だけが、そういうところを観察するようにここ最近のパトロールをしていたからだろう。

 注目して、注視して、そして、見つけてしまった。

 

 

 ─────ヒーロー殺し。

 

 

「マニュアルさん待って!! こっちの路地裏の先、ヒーロー殺しがいました!!」

「んなにぃ!? 間違いないか!?」

「ハイ!! ヒーローが襲われていた、すぐに救出しなければ!! 追います!! 個性の使用許可をっ!!」

「くっ……君のその目、信じるぞ! 個性利用の許可を出す! 要救助者の救出、市民の避難、己の身を守ることに個性を使っていい!! 絶対に私怨では使うなッ!! 行くぞ!!」

「ハイッ!!」

 

 マニュアルさんに声をかけ、僕たちは路地裏に飛び込んでいく。

 僕の方が脚が速い。マニュアルさんはヒーロー間で共有できる情報媒体にヒーロー殺しが出現したことの報告を入れながら僕の後ろを追いかけて来てくれる。

 

 そして、路地裏に入ると、そこにいた。

 ヒーロー殺し、ステインと。

 それに今にも刃を突き立てられようとしている、ヒーローが。

 

 ──────助けなければ。

 

「ッッッ!!!」

 

 一瞬の交錯。

 僕が出せる最大速度でステインに近づいたが、殺気を感じて咄嗟に後方に姿勢を崩した。

 それが功を成し、ステインが振るった刃は僕のヘルメットを弾くだけにとどまった。

 

「……スーツを着た子ども……何者だ」

「ぐっ……!!」

 

 一度姿勢を整える。ステインは追撃してくる様子はない。

 マニュアルさんが来るまですぐだ。僕は、その時間を稼ぐ。

 復讐ではない。襲われているヒーローを助けるために、ヤツの気を引け。

 

「消えろ。子どもの立ち入っていい領域じゃない」

「血のように赤い巻物と全身に携帯した刃物……ヒーロー殺しステインだな! そうだな!?」

「……フン……その目……」

「僕の兄さんはお前にやられた……!! 僕はその意志を継ぐヒーロー『インゲニウム』だ!!」

「……ハァ……復讐の動機はある……だが目は穢れきってはいない……面白い、お前の本質を見せてみろ……」

 

 マニュアルさんが合流した直後に戦闘が始まった。

 僕は、必ずこの男を止める。

 そして襲われていたヒーローも助けて見せる。

 

 それが、僕が目指すヒーローの姿なのだから。

 

 


 

 

 保須市にマウントレディと峰田と共にきて、ファンとの交流をしながらパトロールを始めて一時間もしたところで。

 唐突な爆音と共に黒煙が上がり、ヴィランの襲撃を悟らせた。

 

「なに!? 急な爆撃!? 爆発系の個性……!?」

「駅前の方角だ!!」

「新幹線もぶっ壊れて止まっちまってるぜ!? ヴィランによる同時多発テロだとぉぉ!?」

 

 俺たちはそれぞれヴィランの襲撃がはっきりと分かるその惨状を目にして、すぐに意識を切り替える。

 ここはもう事件の現場なのだ。

 

「イグジスト! グレープジュース! ヒーロー活動に入ります!! 人々の救助や避難誘導を二人は優先!!」

「了解! ウォールハックで敵を見ます!」

「跳峰田装備するぜ!!」

 

 駅前に向けて3人で走りながら、俺はウォールハックを起動した上で偽乳に埋めていた望遠鏡を取り出して駅の方角を見る。

 流石に人が多いが、速く動いて戦闘行動をしている物ははっきりと視認できた。

 そして、俺の体が()()を思い出す。

 

 あれは──────

 

「脳無ッ!? USJで出てきたヤツがここになんでいやがる!? しかも複数だ!!」

「嘘だろオイ!? あの化物何人もいんのかよ!?」

「知ってる相手!? 迅速に情報共有!」

 

 走りながら俺と峰田はマウントレディに脳無の情報、その危険性を共有する。

 超再生と超パワーとショック吸収を兼ね備える、物理的な強度の高い相手。オールマイトとも殴り合える。

 形状が若干違うが、似たような力がありそうなことは望遠鏡で見て分かる。

 今は体が小さいロックマンみたいなヒーローが機動性で攪乱している様だが、被害は広がっている。

 

「それほどの相手──っ!! くっ、町への被害なんて言ってられないわね!! 巨大化して急ぎます!! グレープジュース、私の後ろをついてきて!!」

「了解ッス! あの時の借りを返してやるぜ! オイラのもぎもぎをくっつけりゃ無力化も出来る!!」

「俺は後からついていきます! 急いで!!」

 

 迅速な応援が必要だとマウントレディが判断し、大通りのど真ん中でその体のサイズを巨大化させた。

 流石に足元を気にしてか全力では無いが、それだって時速50キロ以上で走れる。ガンダムが走ってるようなもんだ。

 そしてその後ろを峰田が跳峰田でついていった。俺は取り残される。

 

 くそ、悔しいな。俺のダイブワイヤーが完成してれば二人にもついて行けたのに。純粋に俺の能力は速度が足りない。

 だが俺に合わせてゆっくりしていては被害がさらに拡大しかねない。仕方ないと俺は二人の後を追おうとさらに脚に力を込めたところで。

 

 スマホに、着信を示すバイブがあった。

 

「……こんな時に誰ぇ!?」

 

 自分は今走るだけで若干の手持無沙汰だ。もし戦闘中ならばわざわざ見ることはしなかっただろう。

 しかし飯田や轟がこの町に来ているという話も聞いている。緑谷も新幹線で通るとか。

 その内の誰かから迅速な情報共有かもしれない。その可能性を捨てずに偽乳にしまっていたスマホを個性で取り出して、表示を見る。

 

 そこには、緑谷から。

 クラスのグループラインあてに、現在位置を示す住所だけが送られてきていた。

 

「────────」

 

 一瞬考える。

 まず、緑谷がここに今いるのがおかしい。

 アイツは新幹線に乗って渋谷に向かっていたはずだ。俺らが保須に来てるからすれ違っちまったな、と苦笑してラインのやり取りをしたのを覚えている。

 そうなるとまず出てくる結論。あいつは、今ヴィランの攻撃を受けて止まっている新幹線に乗っていたんだ。

 で、新幹線が止まっちまって、アイツの職場体験先の……グラントリノだっけ、そんなヒーローと共に降りてヒーロー活動をしているのだ。

 

 そこまでは分かったが、しかし次に湧いてくる疑問は位置がおかしい事だ。

 新幹線から降りたなら、駅前の騒乱に加わってるはず。あいつも相当動けるようになったからさっき見た程度の脳無相手なら決して遅れは取らないだろう。

 だが示された位置は、マップアプリで確認すると駅前から離れたあたりだ。

 なんでそんなところにいるんだ?

 

 そして、推測はさらに結び付ける材料を見つける。

 飯田だ。

 今、この街には飯田がいる。あいつはヒーロー殺しを追ってこの町に来ている。

 アイツもまたパトロール中ならばこの騒乱は把握しているはず。そして、勿論駅前に向かい、救助活動とヴィランへの対処に当たっていたはず。

 だが、もしあいつがヒーロー殺しを見つけてしまったとすれば?

 そこで、襲われている誰かを見つけてしまったとすれば?

 

 ……根拠は強くない。

 緑谷が今ここにいる、それ以外の推理はもしもを重ねた推論だ。

 

 だが。

 その結果、緑谷が助けを求めてこの場所を通知しているという可能性があるのなら。

 俺は、それを無視できなかった。

 

「ってか、アイツが訳もなくグループライン使うわけがねぇよな……!!」

 

 俺はその考えに至り、それがゆるぎない根拠だと思い込む。

 緑谷はこんな訳の分からないメッセージを意味もなく飛ばす奴ではない。俺が全体テロで自撮りを送るのとはわけが違うのだ。

 だからこそ、絶対にこの住所に何かある。恐らくはヒーロー殺し。

 

「悪い峰田、マウントレディ。俺はダチを見捨てられねぇ……!!」

 

 駅前に向かう進路を切り替えて、緑谷の示した住所の方へ走る。

 間に合うか。

 結局のところ、やはり俺は緑谷、飯田、峰田らと比べても機動力がない。脚が遅い。

 だが、それでも間に合わせるために。

 

 もうなりふりは構っていられない。

 個性を発動して地中に潜り、一直線に現場に向かってただひたすら地面の中を駆け抜けるのだった。





※原作との相違点
飯田がマニュアルと一緒にステイン戦。
その結果駅前にマニュアルがおらず、緑谷が新幹線から降りてきた際にマニュアルの傍に飯田がいないことを理由にステインの元へは向かってません。

じゃあなんで飯田の所に行けたねんって所ですが、マニュアルの事務所が駅に近いのになんでマニュアルが来ていない?→駅に来る途中で他のヴィランを見つけた?→その傍に飯田くんがいる?ということで応援に行ったという感じです。
あと遠目に巨大化したマウントレディが見えて駅前の戦力は十分だと判断したのもあります。

話の根幹じゃないしあんまりその辺は気にしないでいただけると助かります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。