【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!! 作:そとみち
時は流れ、6月最終週。
期末テストまで残すところ一週間を切っていた。
「「全く勉強してねーーーー!!!」」(19位・20位)
中間でラスブービーの二人である芦戸ちゃんと上鳴の慟哭が教室に響く。
「体育祭やら職場体験やらで全く勉強してねーーー!!」(20位)
「確かに」(14位)
などと供述しており。
ってか常闇も確かにとか言ってるけどさ。それは唯の言い訳ではないかね?
「職場体験から1カ月は経ってるぞ?」(3位)
「オイラ達が職場体験行ったの5月下旬だったもんな。6月まるまるあったじゃねーか」(2位)
「なんでお前らそんなに成績良いんだよどこに需要あんだよ!?」
「世界……かな」
「俺は宇宙」
俺と峰田は余裕の表情で敗北者たる上鳴を煽る。
いやだって……俺ら大学共通テスト9割5分取れるくらいには予習してきてるし……。
まあただ予習は予習であって、日頃勉強しなくても普通に授業受けてれば余裕でついていけるという程度である。
「アシドさん! 上鳴くん! 頑張ろうよ!」(6位)
「うむ! 勉学は学生の本分だ!」(4位)
「普通に授業受けてりゃ赤点は出ねえだろ」(7位)
「言葉には気を付けろ!!」(20位)
緑谷も飯田も轟も普通に成績良いよな。飯田は流石眼鏡と言ったところ。
しかし前回の中間では俺のほうが上だったので昼飯奢ってもらった。エロの力は偉大。
「お二人とも、座学なら私がお力添えできるかもしれません」(1位)
「ヤオモモーーーー!!」
なお流石に俺も峰田も八百万ちゃんには負ける。俺らが高校範囲をバッチリ予習済みだとすれば、八百万ちゃんはその個性に使う知識として大学研究レベルの知識を収めているのだ。天才だよ。
頭が良くておっぱいがデカい。彼女は一ヒーローに収まる器ではないと常々思っている。器がデカい。挟んでほしい。
でもなんか演習の事を気にして落ち込んでるな。
助け船になればと思い、俺は八百万ちゃんに声をかけた。
「八百万ちゃん。演習試験不安なの?」
「イクノさん……ええ、私は……実戦に弱いので……」
「んなこたねぇと思うけどな。俺以上に何でもできるじゃん八百万ちゃん」
「ってか演習試験は入試ん時みたいな対ロボットの実戦演習だしな。八百万ならチョロいだろ」
「……え!?」
「峰田お前なんで演習試験の内容知ってんの!?」
「あ、俺も知ってる」
「幾野くんも!? どうして!?」
元気づける流れにしようとしたら峰田のアドバイスで他の何人かの目がこちらに向いた。
緑谷の驚く顔が至近距離にあるんでむしろこっちが驚くわ。
「キスしたいの♥?」
「どうしてこの流れでそんな言葉が出てくるの!?」
「冗談です。ちなみに試験の内容知ってるのは俺の従兄が3年生で、その人からどんな試験やったか聞いたからな」
「オイラも懇意にしてる先輩二人ほどいるんで」
「二人とも無限に顔が広い!!」
ってか、俺らが言わなくても誰かが先輩に聞けば解決する問題だからな。
どうせバレた上で練ってくるよこの学校の先生方は。
「んだよロボならラクチンだぜ!!」
「やったあ!!」
19位と20位がなんかテンション上がってるけど君達まずは勉強だからね??
俺も八百万ちゃん主催の勉強会に顔出そうかな。面白そうだし。後でお願いしてみよ。
「人でもロボでもぶっ飛ばすのは同じだろ、何がラクチンだアホが」
「アホとはなんだアホとは!」
「うるせえな! 調整なんざ勝手に出来るもんだろアホが! ……なぁ、デク!!」
「っ!」
そこに爆豪ちゃんが口を挟んできた。
今日はイライラ率高いな。女の子の日かな?
「てめェの個性……体育祭の頃からたいして動きが変わってねぇよなァ。前に言ってた『俺を超える』って言葉忘れてんじゃねェかボケが。今のテメぇなら10秒で殺せるわ」
「……!」
「忘れんなデク!! テメぇが止まってる間に俺はさらに差ァつけてやる! 俺にブチ殺されたくなけりゃとっとと追って来い!!」
「っ……うん!!」
「轟ィ! 幾野ォ!! てめェらもだァ……!! 隙があればブチ殺す!!」
「おお」
「楽しみにしてるぜ爆豪ちゃん」
イラつきながら爆豪ちゃんが放った言葉に、俺も轟も真顔で返す。
態度こそクソ下水だが、言ってることは激励と発破を足して2で割ったような内容だ。
言ってること自体は俺も全く否定しない。緑谷はフルカウルの出力が目覚めたころからあまり変わってないしな。俺もいつか言おうと思ってたことだ。
それを授業の訓練で見ているだけで察するんだからやっぱ爆豪ちゃん才能マンだわ。
いや緑谷だけしか目に映ってない可能性があるか……!? 幼馴染のこと気になっちゃう系ツンデレロリ巨乳か……!?
「なんだか……かっちゃん、最近変わったような感じがするな……」
「あー。ここ最近は放課後戦闘訓練やってたしな、俺と」
「初耳だよ!?」
俺が思わず漏らしてしまった爆豪ちゃんとの秘密の逢瀬に緑谷のツッコミが入る。
なんだ? 嫉妬か?? んん???
「あ、嫉妬してる? 可愛いね♥ 大丈夫、俺爆豪ちゃんにそんな気はないから」
「違うよ!? その、かっちゃんがそんな、素直に訓練を一緒にやるなんて考えられなくて……!」
「まぁ最初は俺が放課後の暇つぶしに首根っこ掴んで運動場連れてって、からかいながらボコってたんだけど」
「幾野くん本当に
「でも爆豪もどんだけマジで
「ええ……そんなことがあったんだ。僕も参加したかったな……」
「ごめんな。デクにだけは言うなって脅されてたから」
「あはは……かっちゃんなら言いそう」
「たまに他のクラスメイトは呼んでたけど」
「かっちゃん!!!」
俺は爆豪ちゃんとの訓練の中で、俺の方からグイグイ押してコミュニケーションを試みた結果、とりあえず名前で呼んでくれる程度には仲良くなった。
最初の頃は余裕がなかった感じだけど体育祭で結構変わったよな爆豪ちゃんも。
アイツのどこまでも前を目指す姿勢はマジで見習うべきところだ。俺もからかいつつもアイツのいい所を学んでいる。
ダチってそうやって一緒に前に進んでいくもんだと思うの。
「ま、演習の前に普通科目のテストがあるからな、まずはそっちからだね上鳴♥」
「なんで今語尾にハートつけた???」
「八百万ちゃん家の勉強会、俺も行くからね♥」
「いやな予感しかしねぇ!!!」
そして今週末の休みの日に八百万ちゃんの家で勉強会を開くことになったのだった。
勉強会当日。
八百万ちゃんの家(死ぬほど敷地が広かった)に、芦戸ちゃん、梅雨ちゃん、葉隠ちゃん、尾白、耳郎ちゃん、俺、上鳴、八百万ちゃん、瀬呂、峰田が集まった。その順での会話が以下の通り。
「イクノの私服がマっっブ!!!」
「ケロ……いつ見てもスタイルが良すぎるわセンちゃん」
「えっちだよ!! センちゃん鎖骨がエッチ!!」
「目に毒!! 幾野が目に毒過ぎる!!」
「コレを男だとウチは認めたくない」
「安物で固めただけなんだけどね」
「これ街中で幾野と知らずに見たら絶対振り返る自信ある俺」
「似合ってますわイクノさん」
「素材良すぎだろ……ベストジーニストが見たら絶対声かけるわこの下半身」
「事案発生」
俺は髪を軽く結い上げて遊ばせてベレー帽をかぶり、上は首元を開いて鎖骨まで見せた七分袖の白シャツに、下はぴっちりタイプのストレッチジーンズという当たり障りない私服で整えて来ていた。
別にブランドものというわけでもない。帽子も上着もジーンズもレディースだけど。
まぁ多少はアクセで飾ってるし、睫毛は軽くメイク入れて目はぱっちりさせてるし、最近顔が世間に売れてきたので濃度薄めの丸サングラスをつけては来てるけど。
来る途中に読モのスカウトされたけど。
「昔っから何着ても似合うからなイクノは。でも今日はまだ控えめだぜ?」
「そうなのか峰田?」
「そういや峰田は同中だっけ。すごい時はどうなの?」
「フリフリ多めのガチ女子コーデで来る」
「もはやテロじゃん」
「失礼な」
私服は気分で決めるんだけど、峰田と休みに街に繰り出す時とかはからかうためにガチめのコーデを決めてくることもある。
それも中学時代でだいぶ耐性つけられたんで次はどんな過激な服でちんちん迷子にしてやろうかな。腕が鳴るぜ。
「ま、今日は勉強会だしな。流石に俺も勉強の邪魔するために来たわけじゃない。教えられるところは教えるからね」
「オイラも。八百万がメインだから基本は任せるけど、わかんない所とかあれば聞いてな」
「二人が普段の様子と打って変わってマトモが過ぎる!!」
「助かりますわ、この人数ですと中々一人一人にしっかり教えることが難しいですから」
「うおー! 私もちょっと中間やばかったもんね! やったろ! センちゃん教えてー!」
「ケロ、私も苦手な所を克服するわ」
「んじゃ早速はじめんべ」
ながーいテーブルにお茶や菓子など準備しつつ、その後めっちゃみんなで勉強した。
なお指導側は一番分かりやすいと人気があったのが峰田、次に八百万ちゃん、最後に俺だった。
ちょっと男子ー。俺が教えるたびに鎖骨から露骨に目を背けるのやめなさーい。
葉隠ちゃんはごくりと喉を鳴らさないでください(真顔)。
そして演習試験当日。
勉強会の成果もあって芦戸ちゃんも上鳴も普通科目は結構成績を残せたらしい。えらい。
「それじゃあ演習試験を始めていく」
バスが準備された駐車場前に俺達A組はヒーロースーツに身を包んで集まった。
今更なんだけど緑谷のスーツが入学当初からだいぶ変わってんな。俺あのちょっと抜けた感じのマスク結構好きだったんだけどな。パーカーみたいに後ろにつけっぱなしだ。寂しい。
「この試験でも勿論赤点はある。林間合宿いきたけりゃみっともねぇヘマはするなよ」
「……先生多いな……?」
「確かに……」
「5……6……8人?」
耳郎ちゃんの呟きに頷く。葉隠ちゃんが数えた通り、なぜか8人の先生がそこに準備している。
あと今の時点で突っ込んでいいのかわかんないけど相澤先生の捕縛布のところになんかおる。動いてる。
「諸君なら事前に情報仕入れて何をするか薄々わかってるとは思うが……」
「入試みてぇなロボ無双だろ!」
「花火! カレー! 肝試しー!!」
「残念!! 諸事情あって今回から内容を変更しちゃうのさ!!」
うわ相澤先生の首元からひょっこり校長先生が出てきた!!
えっずっとそこにいたの!? エッチじゃん。 相澤×校長……あるか……!?
これは一刻も早く相澤先生をショタにしなければならないな。世界がそれを望んでいる。
で、まぁ校長先生の話を聞けば、ロボとの戦闘訓練は実戦的ではなく、ヴィランが活性化している今はもっと対人戦闘、活動を見据えた実戦に近い教えを重視するらしい。
それはとても素晴らしい事だ。ぶっちゃけロボ戦は入試に体育祭にと二回もやったしどっちも俺に取っちゃ手ごたえ欠片もなかったしな。
「諸君にはこれから、
お、しかもチームアップか。こりゃ腕が鳴るぜ。
無敵の俺が入る以上、俺と組んだ相手は絶対に赤点にはさせないぞ。
そして先生方が独自に組んだペアと対戦相手は以下の通りだ。
轟×八百万 VS イレイザーヘッド
緑谷×爆豪 VS オールマイト(マジ?)
芦戸×上鳴 VS 校長先生
青山×麗日 VS 13号
口田×耳郎 VS プレゼントマイク
蛙吹×常闇 VS エクトプラズム
瀬呂×峰田 VS ミッドナイト
葉隠×幾野 VS スナイプ
障子×切島 VS セメントス
飯田×尾白 VS パワーローダー
ふむ。俺は葉隠ちゃんと組んでスナイプ先生か。
……俺相手に、遠距離攻撃のスナイプ先生?
これは……何か匂うな。
「匂うな」
「へ!? あああ、汗ケアはしてるよ!?」
「あっゴメン葉隠ちゃんの事じゃなくて。葉隠ちゃんはフローラルな香りだから大丈夫だよ」
「そ、そう?」
「もっと嗅いでいい?」
「ブレーキ!!」
バスで移動する車内、隣同士に座る葉隠ちゃんと話しつつ、前の席に座るスナイプ先生の後頭部を眺める。
……装備が違う。以前USJで見た時と、顔を覆っているマスクの形が変わっている。
カウボーイハットとマントで露出をかなり隠すタイプのスーツだが、どうにも様相が違う感じがするな。
正直、タイマンの試験では俺が負けることはない。
他のペアとは違い、俺の個性だけは相澤先生でも止められないのだ。普通にやるならまず合格するとは思う。
しかし、教師側もそれは分かっているだろうし……この試験は何かありそうだ。
「匂うな」
「二巡目!?」
俺はこの試験に絶対に何かあると確信し、改めて心を身構えた。