【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!!   作:そとみち

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41 ぶっちゃけセメントス先生と13号先生はズルだと思う

 

 

 

「お二人とも見事な突破だったね! 怪我してないから私の手間も省けて偉いよ。ハリボー食べな」

「いただきまーす! ありがとーリカバリーガール!」

「ゴチです!」

 

 試験会場から戻ってきて、リカバリーガールの出張保健所に顔を出す。

 お互いに特に怪我なしと診察されていつものお菓子を貰いつつ、大量に設置されているモニターを眺めると、どうやら他のクラスメイトはまだまだ戦闘中のようだ。

 まぁ俺ら開始一分で葉隠ちゃんが突撃して突破したしな。期末試験RTA世界一位です。

 

「特に幾野。あんたは入学してから一回しか*1私の治療を受けてない。ここまで怪我しないヒーロー科の生徒は初めてだよ」

「そうなんです? でも、ミリオ兄さんとかも少なかったんじゃないですか?」

「あの子は無理な鍛錬でケガすることもあったからねぇ。あと……もう一つ、誉めておきたいことがある」

「え、なんでしょ」

 

 貰ったお菓子を葉隠ちゃんと並んでもっちもっちしながらリカバリーガールと話す。

 何気に俺、保健室利用回数ワーストだからリカバリーガールと普段話さないんだよね。これを機に仲を深めたいところあります。

 

「さっきの試験が終わった後さ。アンタは誰に言われるでもなく自然に、手を怪我したスナイプの応急処置に当たっただろ?」

「え。ああ、まぁ。俺がケガさせちゃいましたし、火傷でもちゃんと処置しないと後に響きますし……」

「センちゃんの腰の所のポーチ、色々入ってるよねー。治療セットもすっごいしっかりしたの入っててこないだ見せてもらったときびっくりした!」

「使い方もよく慣れてたさ。まず人の怪我を考えられるアンタは偉い。私が試験官だったら満点さね」

「なんとダブル満点をいただきました」

「やったねセンちゃん!」

 

 いえーい、と葉隠ちゃんとハイタッチ。いやぁ見てくれてる人は見てくれているもんですわ。

 俺がケガしない以上、複数人で長期戦闘なんてなったら俺が最後の砦になる。他人を治療する技術も必要だと思い、入学してヒーローコスチュームに治療キットを準備してからは使い方もめっちゃ学んだからな。

 褒められて素直に嬉しいです。リカバリーガール優しい……好き……流石に性的対象にはならないけど大人として好き……。

 

 閃いた。

 リカバリーガールも相澤先生と一緒に若返らないか?

 探すか……そういう個性……!!

 

「これで教室戻っても暇なんで、ここでみんなの試験見てていいっすか?」

「構わないよ。どうせ試験が終わったらみんなここに来るからね」

「おー……みんなやってるねー……あ、轟くんが宙づりになってる!」

「ウケる。相澤先生が相手じゃ個性は消されたか……? でも今は見られてないっぽいけどな?」

 

 さて、リカバリーガールからの了解も取れたので俺は皆の試合を見学する。

 どうやって突破するかな、みんな。

 

 

 

 まず轟と八百万ちゃんVS相澤先生。

 

 轟は足元にマキビシ巻かれてたけどそれ氷でも炎でも落ちる前に凍らせるか反発で横っ飛びすれば問題なかったよな???

 わからん。なんか逃げちゃいけないとかそんな雰囲気だったのかな?

 んで八百万ちゃんが逃げながらつらそうな顔してたけど、一度合流したところで轟の激励を受けて自分を取り戻してからは一気に動きが良くなった。

 

「はっ。轟の奴……やるじゃん」

「むー? どゆこと?」

「成長してるって話。体育祭の頃よりもずっとな」

 

 轟のやつ。

 ()()()に体育祭で()()()()()を、自分でもやりやがった。

 

 その後、八百万ちゃんが見事な作戦立案で相澤先生を捉えて勝利した。お見事だね。

 だが俺は一つだけこの試験に物申したいことがある。

 

「八百万ちゃんが捕縛布生成しているときの映像が斜め後ろからしかなかったぞ!? カメラ足りないよカメラァ!!!」

「せいッ」

「んげっふ!!」

 

 胸元をおっぴろげて布を生成してる八百万ちゃんを正面から映すカメラがなかったんですけど!!

 と大声で訴えたら葉隠ちゃんが拳を横っ腹に突き刺してきた。最近この子俺のオート個性が発動しないギリギリの威力を覚え始めてきたな。痛いです。

 

 

 さて、次は誰の所見るかな。

 

「あ、峰田くんがペアの瀬呂くん眠らされて一人になってる」

「ウケる」

 

 俺は瀬呂を何とか起こそうとしている峰田を見てプークスクスと腹を抱えて爆笑した。

 何やってんだアイツら。瀬呂お前……ミッドナイト先生のおっぱいにやられたか?

 全く俺でしっかり女体に耐性をつけておけとあれ程言っておいたのに。(言ってない)

 

「ま、峰田なら何とかするだろ」

「……センちゃん、峰田くんの事すっごい信頼してるよねー」

「アイツの力は俺が一番知ってるからね」

 

 なんとかなるやろ。俺は見る画面を別のものに移す。

 そこに映されていたのは……オールマイトに足蹴にされた爆豪ちゃんと、腕を掴まれた緑谷だ。

 

「おおぅ。オールマイト先生手加減しないなぁ」

「わー……すっごいヴィランっぽい」

「なんでオールマイトのコスチュームが何も言われなくて俺のぴっちりスーツが物申されるんだろうな。あっちだってスケベじゃん」

「流石に後で謝ろうセンちゃん!?」

 

 全身ぴっちりでムチッ♥ムチッ♥という擬音が似合いそうなオールマイトの筋肉マッチョな体を見せつけられて俺は首をひねった。

 なんでや。俺の方が魅力は上やぞ……!!

 

「さっきもちらりと見てたけど……爆豪ちゃんも緑谷との連携、決して悪くはないんだよな」

「普段は喧嘩してる二人だけど、訓練とかで組むときはしっかり連携取れてるよねー」

「お互いにお互いが出来ることが分かってるからだろうね。爆豪ちゃんも俺がトゲ取ったし」

 

 二人とも幼馴染なだけあって、お互いの事をよく見ている。

 爆豪ちゃんも自分が上に行くために躊躇わなくなってからは緑谷相手でも前ほどこじらせてはいない。

 であるからこそ、今のこの結果はオールマイトの強さが際立つ。

 まぁもちろん今だって本気ではないのだろうが、にしたってちょっとやりすぎである。

 

「……うわ。今の緑谷大丈夫か……? 腰やってねぇか?」

「あれは痛いー!! 私オールマイト先生じゃなくてよかったぁ……!」

「でもちゃんと爆豪ちゃんがその隙に飛び込んで……お、あの構え。やるつもりだな、()()を」

 

 俺は見覚えのある爆豪ちゃんの手の形、ドルオーラのようなそれを見て体育祭を思い出す。

 決勝戦で俺相手にインナーを燃料にしてぶっ放したソレだ。あれをやるつもりだ。

 爆豪ちゃんの手の部分、手榴弾型のパーツこそ壊されてしまったものの手甲がまだ残っている。手汗はそこに溜めていたのだろう。

 リスクを取って緑谷の援護に出たか。マジで勝つために割り切る判断も早いな爆豪ちゃん。やっぱ天才だわ。

 

「ホント、懐かしいもんばっか見せてくれるぜ」

 

 その後緑谷が脱出する隙を稼ぐために身を削った爆豪ちゃんだが、緑谷はそんな爆豪ちゃんを置いていけなかったのかオールマイトにまさかの反撃に出る。

 うーん、あの判断は是非が分かれるな……俺は嫌いじゃないが。

 オールマイト先生が本気なら、緑谷の拳を受けた後でも反撃を繰り出せただろうが、なぜかそこを追わなかった。

 その前の時点で脱出は確定したと判断して追撃しなかったのかな?

 まぁいい。とりあえず気絶した爆豪ちゃんを引きずって緑谷が脱出し、無事試験は突破した。

 

 

 その後、重症患者になった爆豪ちゃんと緑谷がオールマイトによって運ばれてきた。

 寝かされた緑谷がお尻を高く突き出すような構えでベッドに四つん這いになっている。

 

「そんなにお尻突き出して……緑谷、誘ってんの♥?」

「絶対言われると思ったけど今マジで腰ヤバいから黙っててくれる???」

「ごめん」

 

 そうだよな、ちょっとマジでゴメン。さっきのオールマイトの腰への殴打ヤバかったもんな。

 リカバリーガールもギリギリだったと言っている。オールマイトはさぁ……手加減がヘタクソな人?

 爆豪ちゃんはしばらく目覚めないってことで校舎内のベッドへ。轟たちもそっちに行ったらしい。

 緑谷はここに残って俺達と一緒に他の試験を見届ける様だ。

 

 

 次に見たのは常闇・梅雨ちゃんペアとエクトプラズム先生。

 

「胃袋裏返した後の梅雨ちゃんの口から液体が零れてるのちょっとエッチだな」

「見るべきところはそこじゃないよね!?」

「ダメだよセンちゃん!? 欲望マン出てるよ!? 抑えて!?」

 

 んにゃぴ。

 でも常闇も黒影の使い方に磨きがかかってたし、梅雨ちゃんもいい動きしてた。見事な勝利だったと思うね。

 

 

 次は芦戸ちゃん・上鳴VS校長先生。

 

「んー……キツいなあれは」

「設定が厳しいよね……特殊な機動力のない二人が工業地帯って……」

「うおー! 頑張れ上鳴くん! 三奈ちゃーん!!」

 

 ちょっとあれは厳しそうだな。立体起動ができない二人がめちゃくちゃ壊れていく建物から逃げるだけになっている。

 校長先生の場所を見つけられればいいけど二人は索敵も厳しい。相性差で全てを語りたくはないが、マジで相性が悪い。

 ちょっと意地悪だな……頑張れ二人とも。諦めなければ途中の動きが評価されるかもだぞ。

 上鳴は俺との体育祭思い出せ。勝てなくてもやれることあんだからよ。

 

 

 次は耳郎ちゃん・口田VSマイク先生。

 

「これは分かりやすいね」

「な。ってなわけで葉隠ちゃん、これが何を意図した試験なのか100文字以内で答えてください」

「急に振られた!? え、えっと……二人とも音に関係する個性だから、マイク先生の大声で邪魔されちゃうって事!!」

「大正解。耳郎ちゃんは耳もいいからかなりきついな……今相殺を試みたけどやっぱ厳しいか」

「先生の音の方が大きいからね……うわ、耳郎さん耳から血が出てる……!」

「いたそー! うわー頑張れ口田くん!! 耳郎ちゃんを守ってあげてー!!」

 

 そして見守っていたところ、虫嫌いの口田が意を決して虫を支配。

 余りにキモい虫の攻撃でマイク先生が気絶した()()をして、無事二人で脱出した。

 んー……口田はよくやったけど耳郎ちゃんがちょっと活躍できなかったかな。相性って怖いわ。

 

「すごいや……! みんな着々とクリアしてく! みんな決して諦めない立派な雄英生徒だ……!!」

「そうさねぇ。見な、あの子なんて仲間まで何とかしようとしとるよ」

「え? あ、峰田くん……!」

「やってんなぁアイツ」

 

 俺は峰田・瀬呂コンビの画面に目を向ける。

 そこにはほっぺたがものすごくはれ上がった瀬呂と、それに更なるビンタを繰り出している峰田が見えた。

 ミッドナイト先生からどうにか瀬呂を取り返したのだろうが、出口に構えるミッドナイト先生に対抗するために瀬呂を起こしているのだ。

 ぶっちゃけ、俺の知るミッドナイト先生の実力なら、峰田一人で完封が可能だろう。

 一人だけ脱出するなら難しくない。だが、アイツはダチを助けることを選んだ。

 えらい。後で自撮り送ってやろ。

 

『……ぁ、峰田……?』

『ようやく起きやがったな瀬呂ぉ!! お前オイラを助けるためとはいえ先生に近づきすぎなんだよぉ!!』

『あ……マジ? 寝てたか……ワリ、足引っ張った』

『こっからだろうがよぉ!! もっかい仕掛けんぞ!! ミッドナイト先生が出口で待ってっからよぉ!! ひぃひぃ泣かせてやるんだろぉぉぉ!?』

 

「峰田くんの欲望マンな所出てるね……」

「センちゃんに似てるよねーああいう所」

「あっちがオリジナルだからな?」

 

 さて、ようやく瀬呂が目覚めたらしい。

 しかし試験時間は残り少ない。他のペアも次々と試験を突破している中で、時間のアドバンテージが少ない。

 

 だが、俺は全くあの二人を心配していなかった。

 だって峰田だぞ?

 この程度の試験で落ちるわけないだろうが。

 

『さて……残り少ない時間で、どうするのかしらね二人は……─────ッ!?』

『ッオラァァッッ!!!』

 

 50m以上離れた地点から、ミッドナイト先生に向けて峰田がもぎもぎを大遠投。

 その肩はクラス内で最強だ。100m以上の距離をレーザービームの軌道で投げられる程度には峰田は鍛えている。

 狙いも正確にミッドナイト先生に飛んでいくが……流石にそれの直撃を許さない。

 ミッドナイト先生が手に持った鞭でもぎもぎを弾き落とした。

 

 だが、当然にしてそれは一発で終わるはずもない。

 

『グレープラッシュ・スナイプッ!!!』

『なっ!? これだけの数を、この速度で……!?』

 

 峰田の速射砲によるもぎもぎの連射がミッドナイト先生に続けざまに放たれる。

 それを一つ一つ鞭で迎撃するミッドナイト先生だが、当然にしてもぎもぎは鞭にくっついて離れない。

 5個も落としたところで、既にそれは鞭として機能しない、歪な紐となっていた。

 そしてそれが地面に落ちれば大地と接着し、武器としても使えなくなる。

 

 その瞬間を狙って、本命の一発が峰田からブン投げられた。

 

『隙ありだぜ先生っ!!』

『くっ、鞭と手が密着させられて……!? なんて精密投擲! けれど出口付近は私の眠り香が舞っているわよ!?』

『二度は不覚とらねぇっす!! 峰田ァ!!』

『おうよっ!!』

 

 峰田が最後に投擲したもぎもぎがミッドナイト先生の手と鞭を固定し、出口付近で身動きを取れなくした。

 だが先生が言うように、このまま突撃しても眠り香が残っている。

 それを抜けるためには呼吸無しで一瞬で突き抜けるしかない。

 試験会場は平地。跳峰田だけでは速度を出し切れない恐れあり。

 

 だが、そこで目覚めた瀬呂が活きる。

 瀬呂がテープを峰田の腰に巻いて、まるでハンマー投げのようにぐるぐると峰田を勢いよく振り回しはじめた。

 峰田の体重が軽いからこそできる作戦だな。

 これで決まりだ。

 

『行くぜぇ!! 跳峰田withハンマー投げスタイルッ!!』

『そのままぶっ飛んでけ峰田ァ!!!』

 

 遠心力を足された初速で出口に向かい放たれた峰田が、その勢いを殺さぬように跳峰田でさらに加速。

 跳峰田の真骨頂は、速度を落とさず加速を重ねて跳躍が出来ることにある。

 本来は閉所で跳ね回り続けることで生み出す瞬発力を、瀬呂のテープによるハンマー投げで代用した。

 その勢いで思いっきり大きくもぎもぎジャンプ。

 出口ゲートまで峰田の体が吹っ飛んでいった。

 

「やるぅ、峰田くん!! 瀬呂くんも最後の機転ナイスだよー!」

「瀬呂くんを起こしたうえで、きちんと二人の長所を活かして突破……! 流石峰田くんだ!!」

「峰田はワシが育てた」

 

 うんうん。やっぱやる時はやるヤツなんすよアイツは。

 

「うん、味方を最後まで見捨てず、お互いに出来ることを使って脱出した。あの子もやるね……『峰田・瀬呂チーム条件達成!! そしてここでタイムアップだよ!!』

 

 そして、峰田たちが試験をクリアしたのと同時に、リカバリーガールがタイムアップを宣言したのだった。

 

 

 

*1
心操との組手で腹と太腿に怪我した。なお心操はぼこぼこにされた。

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