【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!!   作:そとみち

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52 料理? まぁ任せてくださいよ

 

 

 

「「「『無視』ィ!?!?」」」

 

 個性伸ばしの訓練の合間、お昼の休憩時間。

 A組で集まり、準備されてたおにぎりとお茶を飲みながら個性特訓について話す中で、俺の個性の事をみんなに伝えた。

 

「えぇ……イクノお前、ずっと自分の個性勘違いしてたんかよ」

「だったらしい。子どものころから俺もずっと潜るもんだと思ってたわ」

「地面とか壁とか、潜ってたんじゃなくて無視してたってことか」

「はえー。あ、でも応用利きまくってたのもそれ聞いたらなんか納得かも。ウォールハックもつまり視界を遮るものを無視してたって事だろ?」

「あれ、でもそれだとセンちゃんが私を見えてるの何で……あ、いや、光の屈折も無視してたって事かな? もしくは私の個性を無視できてた?」

「『無視』……! すごい、なんて広範囲にわたる能力なんだ! 今までもすごく自由度が高い個性だと思っていたけどまさか概念系の個性だったなんて! イレイザーヘッドの『抹消』やアメリカナンバーワンヒーローのスターアンドストライプの『新秩序』に近い、物理法則をも超える稀有な個性と言えるその分デメリットもありそうだけれどまずこれまでの幾野くんの個性からしてもあらゆる物質を無視できているのは間違いないしかも個性伸ばしで自分の持ち物や服まで『無視させる』事すらできている……でも物理的な物だけじゃないのか? もしかしたら感情とか概念とかも無視できる? 重力を無視すれば空を飛べるかも? いや相手との相対距離を無視すればワープなんかも出来たり? 無敵なうえにやれることが増える今まで幾野くんの悩みだったパワーもスピードも解決できる可能性が……

「緑谷もスイッチ入っちゃった」

 

 おにぎりをもぐもぐしながらみんなから驚いたり呆れたり色んな声を聴く。

 いや、俺だってびっくりだよ。そんな事想像もしたことなかった。個性が違ってたなんて。

 『無視』かぁ。相澤先生にはこの個性伸ばしで、今までできなかったことができるようになれって言われたけど正直どうすればいいかわからん。

 

「緑谷、お前が今呟いてたの、今夜でいいからノートかなんかにまとめてくんね? 個性のイメージの一助にしたいわ。後で相談にも乗ってくれ」

「あ、うん! 幾野くんがどれくらいのものを『無視』出来るのかは色々試してみないとだと思うけど……力になれるなら!」

「助かる。ちょっと俺も混乱の最中だからさ、少しでもとっかかりが欲しいわ」

「うん……ああ、でも僕の中で一つ、すっごい納得できたことがある」

「ん、どんな?」

 

 個性と言えば緑谷博士。コイツの発想力や分析力はクラス1だからな、ぜひ相談に乗ってもらいたいところだ。

 そんな約束も交わしてから、俺の個性が『無視』であることに緑谷は一つ納得を得たという。なんやろ。

 

「うん……ヒーロー殺しの件。ほら、映像にもあった……最後の正論パンチの時」

「ん? あー……あん時俺、何かしてたっけ?」

「あの時、僕たちや他のヒーローたちは……ステインの気迫に動けなかった。あいつの言葉に竦んでたんだ。でも、幾野くんだけは動けてた。あの時なんでそんな、ってずっと感じてたんだけど……幾野くんは、きっとあの時ステインの呪詛を『無視』したんだと思う。そうじゃないと、あの場で動けたのが説明できない」

「あー……あー……! なるほどな? 確かにみんな腰抜かしてたもんなあん時」

「グラントリノだってエンデヴァーだって動けなかったんだよ? なのに幾野くんだけが動けてたから、正直あの時はステインよりも幾野くんにビビってたよ……でも、これですっきりした。個性だったんだね、幾野くんの」

「なんな。ってことは圧とか気配とか感情も無視できんのか。んー……使い所難しいな!!」

 

 緑谷の言葉に俺もなるほどと納得を深めた。

 確かにあの時俺はステインの身勝手な言い分を無視してぶん殴った。

 頭に来てたのもあるけど、俺だけがなんか動けてたのは多分そういう事なんだろう。

 ……他人の感情まで無視できるのか。あんまり積極的に使いたいもんじゃないな、なんとなく。

 

「ま、相澤先生にもキツく言われてるんだけど、今できてることのやり方を変えるんじゃなくて、少しずつでもいいから新しい事を出来るようにしろって言われててさ。潜るっていうイメージから少しずつ脱却してってさらにやれること増やすさ。無敵の個性を伸ばすって意味じゃこれ以上ない個性伸ばしの課題が出来たぜ」

「ケッ……いっくらでも伸ばしてろやボケが。いずれ俺が追い付いて無視出来ねェようにしてやらァ」

「……俺も、お前に置いてかれっぱなしってのは性に合わねぇ。負けねぇくらい個性を使いこなす」

「僕もだ。目標は高ければ高いほどいい。無視されようが追い付くほどの速度を身に着けて見せよう」

「イクノにだけは置いてかれたくねェからな。午後から本気出すわ。絶対に個性進化させてやるぜオイラ」

「うん、僕も負けたくない……!」

 

 俺の課題と、出来ることを少しずつ増やしていくという目標を伝えた所、それに敏感に反応してライバル心を爆発させるやつらが複数人。

 ああ……随分と頼もしさを覚えてしまう。

 俺がさらに人外の領域に脚を踏み入れようとしてもなお、それに負けまいと共に努力をしてくれる友がいてくれるのだ。

 いや、そんな奴らに感化されてA組全員がその顔に挑戦的な笑みすら浮かべている。

 

 ……恵まれてるな、俺は。

 

「よし、そろそろ昼休憩の時間は終わりだ。満たした腹を空っぽにしてもまだまだ足りない、死ぬ気で振り絞れ。プルスウルトラだ」

 

 相澤先生の鶴の一声に俺たちは元気よくハイと返事をして、午後の個性特訓に入った。

 

 


 

 

 PM4:00。

 

「いや無理」

「ウケる」

 

 早速弱音を吐く俺の姿が。

 隣の峰田が煽ってきやがる。こいつ。

 

 いや、色々試してみたんですよ自分なりに。

 例えば重力を無視する。浮かぶことができる。麗日ちゃんにも手伝ってもらって頑張ってみた。

 できませんでした!!!

 例えば距離を無視する。目の前にいる相手との距離を無視すればワープできるんじゃないか説。

 できませんでした!!!

 例えば視界を無視する。他人の視界を無視すれば俺の姿は映らないようにできるんじゃないかって。

 できませんでした!!!

 

 ええ……余りにも個性の扱いが難しすぎる……。

 正確には、まったく絶対無理!! って感じでもない。キッカケというか、できそうな気配はある。

 ただ、それをやるとなんか絶対死ぬほど個性許容量を使い果たすわって感覚があって踏み込めなかったり、想像力が欠如してて実際に無視しきれていないような感じだ。

 重力とか概念的過ぎてマジでよくわからん。でも重力の無視を試みてる時に体重が軽くなってたから若干は無視できてるんだと思うけど、ゼロにはほど遠い。

 元々が『潜る』ってイメージで個性を使い続けてきたから上手くアジャストできてないだけな感じもするんだけど……これかなり先は長いな?

 

 相澤先生が言ってた「今までやれてたことを忘れるな」というセリフがひどく心にのしかかる。

 下手に『潜行』でやってたことを『無視』に置き換えたら、最悪これまでやれてたことがやれなくなる恐れすらある。

 今までやってたことの感覚だけは忘れないようにしながら、新しい回路を生み出すようなイメージか。

 

 こりゃ訓練の時間と密度上げてかねぇとな。

 中学時代を思い出すぜ、がむしゃらにやってたあの頃を。

 高校に入学してからは中学の貯金で頑張ってきてあまり修行にも無茶はしてなかったが、本気になる必要がありそうだ。

 この合宿で少なくとも何かできるようにするぞ!! 峰田に負けてらんねぇわ!!

 

「オイラもぎもぎの形を変えることに成功したんだよなァァ!! イクノよりも下手すりゃ便利まであるぜマジでェェ!!」

「マジかよプルスウルトラしまくりじゃねぇか!?」

 

 隣の峰田を見れば、もぎもぎの放つ個数や勢いは現時点で十分なので、さらに能力に柔軟性を持たせるためにもぎもぎの形を変化させることが出来るようになっていた。

 もぎもぎをぎゅっと握ったらぐにゃりとゆがみ、伸ばして棒にするにもロープにするにも、広げて盾にするにも壁にするにも可能になっていた。

 マジかよ万能性上がり過ぎだろ。

 それで体を薄い鎧みたいに覆ったら跳峰田の速度と自由度がヤバい事にならん?

 俺に負けてらんないからってすぐに壁を超えてくのズルいと思いまーす!!!

 

「さーぁ諸君! 昨日言ったね!『世話焼くのは今日だけ』って!!」

「己で食う飯くらい己で作れ!! カレー!!」

 

 ピクシーボブとラグドールが野外キャンプ場に準備してくれた食材の山々と調味料、食器類。

 全員が疲労困憊でイェッサと返事をする中で元気に笑うラグドール。あのおっぱいをもう一度味わいたい……!!

 

「確かに……災害時など避難先で消耗した人々の腹と心を満たすのも救助の一環! さすが雄英、無駄がない!! 世界一美味いカレーを作ろう、みんな!!」

「おおー……」

 

 こういう時委員長は流石だな。

 あの元気さは飯田の長所だ。やっぱアイツ委員長にしてよかったわ。

 

 さて、料理か。

 腕が鳴るぜ。

 

 


 

 

「センくんは二度と包丁握らないで」

「どうして」

 

 調理開始して最初に掛けられた言葉がこれである。

 なんで。いつも家で軽い料理してるから包丁さばきだって自信があったのに。

 

「確かにね? すごい速さでニンジン切ってたよねセンちゃん?」

「ケロ、そうね。速さは認めるわ」

「包丁捌きは見事でしたわ」

「食材も欠片も飛び散ってなかったな?」

「でもさ幾野……」

 

「「「食材は手ごと切る物じゃないの!!」」」

 

 女子のみんなから非難囂囂(ひなんごうごう)だった。なんで。

 俺は己の個性を活用し、人参を左手で支えながら、そのまま手の上から包丁を入れて食材が飛び散らないように切っていただけだというのに。

 それを見た瞬間に麗日ちゃんに包丁を奪われ、女子陣から猛バッシングを受けて俺は料理の腕を披露する機会を奪われてしまったのだ。

 

「見てるだけでも怖ぇわマジで」

「本能が拒む光景」

「いいじゃんかー猫の手不要で切れるセンちゃん印の包丁さばきだよー、見た目だけだってー」

「いいからイクノは飯盒の火加減見てろって。適材適所な」

「ハッ!! ざまァ見ろ!!」

 

 最短で調理するために編み出した技なのに……。

 手は包丁を潜らせて……いや『無視』させて、食材を押さえながら素早く切れるという特技を披露しただけなのに。

 何故か結局その後包丁を持たせてもらえることはなく、飯盒の中身をウォールハックして焚き加減を見る係にされてしまった。

 爆豪ちゃんが才能マン爆発させてすさまじいスピードで包丁さばきを見せながら煽ってきやがる。

 お前今日のお風呂で背中流してやるからな覚えとけよ。

 

 まぁその後は無事にカレーも完成。

 

「「「いただきまーす!!!」」」

 

 みんなが一気にがっついて食べる。うんまぁね、そりゃそうよ。俺だって空腹すごい。ずっと頭と個性使ってたからだろうな。

 疲れも相まってめっちゃ美味かった。みんなでつくるカレーって特別に美味い。

 めっちゃがっつく八百万ちゃんに瀬呂が最低の下ネタを放って耳郎ちゃんに殴られてるのが見えた。

 カレー食ってる時にうんこの話するんじゃないよ。物間しか喜ばねぇぞ。

 

「何が個性だ……! 本当に下らん……!」

 

 峰田にあーん♥ってしてからかっていると、俺の耳に遠くからつぶやきが聞こえた。洸汰くんの声だ。

 俺より洸汰くんの近くにいた緑谷にも聞こえたらしい。そのままどこかで歩き去る洸汰くんの、その背中を見ていた。

 

「……どこ行くんだろう」

「ちと気になるな。追ってみっか」

 

 俺と緑谷は洸汰くんが歩いて行った先、追いかける事を画策する。

 どうも見る限り、ご飯も食べずにいっちまった感じだ。本当にヒーローにコンプレックスがあるみたいだな。

 まぁ洸汰くんはそれこそ子どもだ。大人になって周りと仲良くしろって言う方が押しつけだろう。

 

「とりあえず食べやすいようにおにぎりにしといてやろーぜ」

「あ、そうだね。幾野くんが見れば見失うこともないし……」

 

 カレーを皿ごと持って行っても向こうで食べる時に大変だろうし、俺は簡単にカレーを包んだおにぎりをぎゅっぎゅと握ってやる。

 俺の握ったおむすびとかなんか付加価値つかないかな? 高く売れそう。

 さて、そしてできたおむすび2個をアルミホイルに包んで、飲み物のペットボトルも持って俺と緑谷は洸汰くんを追った。

 

「……お、開けたところにいるな。ちょっと崖から落ちないか不安なところだ」

「うーん……洸汰くん、しっかりしてるから流石に脚は踏み外さないと思うけど」

 

 ウォールハックで見れば、少し登って開けたところに洸汰くんがいた。

 肩で息をしている……登るのが疲れたのかな?

 ……ああ、いや違うな。そばの岩壁にひびが入ってる。濡れてもいる……あれ洸汰くんが個性でやったのか?

 マジか。この年齢で岩にひびが入るほどの水鉄砲とかすげぇ威力。

 

「洸汰くんは水の個性なんだな。個性の練習してたっぽい」

「そうなんだ? みんなに秘密で……でも、水か。ひょっとしてご両親は水の個性の『ウォーターホース』かも」

「知ってんのか?」

「うん、少し前に起きた事件で……ご夫婦のヒーローが亡くなられた残念な事件だったから覚えてる。『血狂い』マスキュラーに殺されたんだ」

「そうか……んん。やっぱ辛いよな、洸汰くんも」

「うん……僕たち、何ができるだろう」

「……俺も、今はわかんね。でもほっとけないよな」

 

 洸汰くんの元に歩きながら、俺は緑谷から洸汰くんのご両親の情報を聞いた。

 一人のヴィランによって殺されてしまったのだとか。つらい……本当に辛い話だ。

 俺も両親を亡くしてはいるが、その経緯が違う。俺は俺のせいで死んでしまったことへの後悔で絶望していたが、洸汰くんは急に奪われてしまったんだ。

 そんな子に、俺は何ができるだろう。

 

「優しく頭を撫でてやるくらいしか思いつかない」

「幾野くんが今それやるのは色々と危ないんじゃないかな……」

 

 何故か緑谷に止められてしまった。なんでや。

 そして洸汰くんの元にたどり着いた。見晴らしいい所だな、ここ。

 

「おーい、洸汰くん! お腹空いてないか?」

「おにぎり作ってきたよ、カレーの。これ食べなよ」

「てめェら!? なっ……!? イクノまで、なんで!?」

「俺の名前覚えてくれてた嬉しい」

「トラウマになってないか不安だよ……」

 

 俺は洸汰くんが何故か怯えるような眼でこちらを見てきたので大丈夫だと教えるためににっこりと笑顔を向ける。

 それで洸汰くんがフリーズしたのでちょうどいい。隣に座って持ってきたおにぎりとペットボトルを差し出した。

 

「ちっ、近……! 離れろイクノ……!」

「ここ良い眺めだなー。洸汰くんの秘密基地?」

「そ、そうだよ! 俺以外には誰も知らないところで……」

「おー、いいな! 秘密基地って憧れてたんだよね。俺も混ぜてよ」

「お、女みたいなやつを入れてやるわけないだろ!」

「俺は男だからセーフ!」

「えっ……あっ……ああっ……?」

「そろそろ本気で捕まると思うよ幾野くん!?」

 

 なんや緑谷。洸汰くんとの距離感を埋めるためにこんなに親身になっているというのに。

 それで俺が苦笑を零し、洸汰くんも脳破壊から脱したのか、ふんす、と鼻を鳴らした。

 

「……お前ら気味悪いんだよ。個性を伸ばすとかはりきっちゃってさ……そんなにひけらかしたいかよ、()を」

「……! 洸汰くん……」

「どうかな。俺も緑谷も少なくとも、ひけらかすために鍛えてるわけじゃないけどね」

「……頭イカレてるよみーんな……」

 

 洸汰くんの口からは、どうしても否定する言葉しか出てこない。

 それを隣に座りながら聞く俺は、彼の強さに敬意を覚えていた。

 

 俺は、否定の言葉すら吐けなかった。

 自分に絶望してたから。峰田に助けられるまで、何も考えられなかったから。

 洸汰くんは周りを否定することで、必死に自分を守ろうとしてるんだ。それを俺は、強さだと捉えた。

 

「馬鹿みたいにヒーローとかヴィランとか言っちゃって殺しあって……個性とか言っちゃって……ひけらかしてるからそうなるんだ、バーカ」

「…………」

「……そうなのかもな。ヒーロー目指す限り、どうしたってヴィランと戦う。死んじゃうことだってある。それは普通に生きる人からしたらおかしく見えんのかもな」

「っ、そうだよ! それなのに、なんでお前らそんな……」

()()()()()()()

「!!」

 

 でも、だからこそそんな洸汰くんに、俺は嘘をつきたくなかった。

 この少年をガキだとは思わない。両親を失ってなお、強く生きられる一人の男と見た。

 だから、俺の本心を伝える。

 

「俺、両親がいないんだ。死んじゃってさ、俺のせいで」

「えっ……?」

「……幾野くん……」

「父さんも母さんも俺のせいでいなくなって、俺、すっごい落ち込んでてさ。当時は洸汰くんよりもずっと大きいくらいだったのに、何にも喋れなくて。辛くてさ。……でも、そんなときに俺、あるヒーローに助けられたんだ」

「……」

「その人がいなかったら、俺はきっと今ここにいない。前を向いて生きていけてない。だからそんな憧れのヒーローみたいに、誰かを助けたいんだ。ヴィランからって意味でもあるし、落ち込んでる人がいればその人を助けられるようなヒーローにさ。だから今、頑張ってる」

 

 俺の原点(オリジン)はそこだ。

 洸汰くんが言う事にも一理ある。いや、ヒーローを目指さない普通の人からすれば、ヒーローという職業は本気でなるには常に命の危険が伴う仕事であって、超人社会になった今でも批判的な意見は出る。

 けれど、それでも助けたいと思うから、俺達はヒーローを目指しているんだ。

 

「……洸汰くん。個性に対して色んな考え方があると僕も思うよ。だから一概には言えないけど……全部否定しちゃうと、きっと君が辛くなるだけだよ」

「っ……るせぇな!! 二人ともズケズケと!! もうここから出てけ!!」

「っと、怒らせちゃったか」

「んん……とりとめのない事しか言えなくてごめん……」

 

 しかし、まぁ当然ではあるが中々洸汰くんは心を開いてくれない。

 うーん。こうなると言葉じゃダメだな、よし。

 

じゃあ仲直りの為に今日も一緒にお風呂入ろっか♥」

「出てけよぉ!!!!(泣)」

「そろそろ僕も警察に通報するレベル」

「んにゃぴ……」

 

 洸汰くんがガチで恐怖の表情を浮かべて涙目になってきたので流石にやり過ぎたか。

 うーん。個人的にショタはいける口なんだけどな。やっぱリアルショタは駄目か。

 早く相澤先生をショタにしねぇとな。相澤先生なら合法だろ多分。

 

「余計なおせっかいしたくなっちまうんだよ、ヒーローってのは。悪かったな、一人でいる所に邪魔して。行こうぜ緑谷」

「あ、うん。じゃあ洸汰くん、おにぎり置いとくから……せめてごはんは食べてね」

「……うるさいんだよ、どいつもこいつも……」

 

 最後にぽん、と洸汰くんの頭を帽子の上から撫でて、これ以上の深入りは逆に嫌われるとも思って今日は撤退することにした。

 でも昨日よりは前進だ。少なくとも話はできたわけだしな。

 少しずつ洸汰くんの気持ちとかをこれからも聞いてあげれば、ちょっとは変わるかもしれない。俺の境遇も話せたし。

 立ち直る……までいけなくても。少しでも洸汰くんの気持ちを解してやれればな。

 合宿中の新たな目標だ。がんばろ。

 

 そして俺と緑谷はご飯だけ置いて、洸汰くんの秘密基地を後にした。

 

 

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