【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!!   作:そとみち

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57 女の子の覚悟と男の子の(察し)

 

 

「すごかったな……オールマイト」

「うん……でも、オールマイトはトゥルーフォームを見せちゃって……きっと力も使い果たしちゃった……」

 

 俺と緑谷は、退院して帰宅する道すがら、先程病室で共に中継の映像を見ていた神野区の事件について話していた。

 オールマイトが謎のヴィラン……緑谷が言うにはAFOというらしいが、それと繰り広げた激戦を。

 凄まじい破壊がもたらされ、しかしその中でなおオールマイトが勝利した光景を。

 

 途中、オールマイトが取り出して装着したアイテムはかつて俺がI・アイランドで見たデイブさんが持っていたやつだ。

 あれがオールマイトの力を振り絞ったのだろう。

 しかし、そのアイテムすら壊れてしまい……俺の目にも、オールマイトがこの戦いで力を使い果たしたことが容易に想像できた。

 

「……次は君だ、か」

「最後の、オールマイトの言葉……」

「ああ。……強くならねぇとな、俺らもよ」

「うん……!!」

 

 俺はあの言葉に、更なる奮起を心の中で誓った。

 俺が目指すヒーローの形はオールマイトとは違うのかもしれない。緑谷とは、違うのかもしれない。

 けれど、守るためには力がやはり必要なのだ。

 これから一層、俺の個性をみんなの為に使えるように……さらに頑張っていこう。

 

「爆豪ちゃんも無事救助されたって話だし……オールマイトがああなっちまったのは残念だけど、ひとまず決着かな」

「そうだね。あとでかっちゃんの家にお見舞いに行かないと」

「んだな。そん時は俺も呼んでくれ。爆豪ちゃんと連絡とれねぇし緑谷のほうで仲介頼むわ」

「え? 前に訓練する中でかっちゃんと連絡先交換したって言ってなかった?」

「こないだ自撮り送ったらブロックされた」

「あまりにも自業自得だよ!」

 

 そして緑谷とも帰りの電車で分かれた。

 一駅進んで、一人自分のアパートへの道を歩く。

 

「……色々あったな、マジで……」

 

 林間合宿が始まってから、まず俺の個性についてまさかの勘違いが発覚し。

 『無視』という個性の使い方を模索するうちに襲撃事件が発生して。

 そこで人生初の大怪我をして入院して。切島たちをなだめて留めて。

 マウントレディからの連絡には情報を伝えて。あれ役に立ったかな。立ってたらいいな。マウントレディに後で労りのメッセージ送らないとな。自撮りも。

 で、オールマイトの最後だ。これから先、雄英もヒーロー社会も大きな動きがある事だろう。

 

 でも、それでも。

 それでも俺は、何を差し置いてもまず最初に、絶対にやらなければならない事があった。

 

「めっちゃシコりたい」

 

 そんなことよりオナニーだ!!!

 

 

 いやだってオナ禁5日ですよ!?

 林間合宿でも我慢してたら事件があって入院して、入院中も緑谷が同室だし爆豪ちゃんの無事も分かってなかったから流石にシコれなくて!!

 でもようやく爆豪ちゃんも助け出されて自宅に戻れるんだからなァ!!

 シコるしかねぇよなァ!?

 ずっとムラムラしてんだよこっちは!!

 クソッ今日は葉隠ちゃんカラーバージョンでオナニーだ!!

 

「エネルギー充填120%……!!」

 

 峰田と同じような表現をしながら歩いてたら、ようやく俺のアパートが見えてきた。

 外の階段を上り、部屋の前に向かう。

 

 しかし。

 すると、そこで意外な人物に出会った。

 

「……え? 葉隠ちゃん?」

 

 そこに服と靴だけがあったのだ。

 間違いない。無視の個性で見ても間違いなく葉隠ちゃんだ。

 

 ……えっ????

 なんで?? 俺の妄想がとうとう形になった????

 まさか『無視』の個性でいつの間にかそこまでできるようになってた??????

 

「あっ、センちゃん……」

「お、おう」

「……その、急にゴメンね。退院したって聞いて……会いたく、なっちゃって」

「おお。うん、と、とりあえず外は暑いしさ。中入る?」

「……うん」

 

 俺は恐ろしく動揺してちんちんスンッてなりながらも、このまま外で立ち話しては他の住人にも迷惑が掛かるので家の中に葉隠ちゃんをお招きすることにした。

 いつも部屋の中綺麗にしておいてよかったー!! マジでよかった!!

 急に女の子を招くようなことになるとは思わないじゃんね!? しかも5日ぶりに帰宅したときに!!

 部屋にあるエロ本とかエログッズ関連は全部床や壁に潜り込ませてるから見た目的にはセーフ!

 マジでよかった。俺偉いです。

 

「あ、葉隠ちゃん。ちょっとだけ荷物整理させて。座って待っててくれる?」

「う、うん……ごめんね、忙しい時に……」

「ぜーんぜん問題ない。むしろ葉隠ちゃんの可愛い顔が見れて嬉しいです」

「……もう」

 

 俺は葉隠ちゃんをワンルームの机に座布団を置いて座らせて、冷蔵庫からお茶を出す。

 峰田と遊ぶことが多いから二人分のコップとかは準備しといてよかった。

 簡単に荷物を整理し終えて、さて俺も葉隠ちゃんの向かいに座ってお茶を飲んで。

 

 ……え、何話すのこういう時???

 

「…………」

「…………」

 

 部屋の中を気まずい沈黙が包んだ。

 いや、葉隠ちゃんの事だから俺を心配して来てくれたんだろうとは思うんだけど。

 でも病院でもあってお互い無事なことは知ってるし。神野の事件のことだってラインで話せばよかったのでは?

 急に会いに来たのはなぜ……? 俺どうすりゃいいの……?? どこか映画でも見に行ってデートすりゃいいのか……???

 わからん……教えてくれ峰田……! 俺を助けてくれ峰田……!!

 俺このままじゃ性欲に負けて葉隠ちゃんを襲っちゃうかもしれん……!!!

 

「……き……」

「ん。……ごめん、なんて?」

 

 そんな汗もかきそうなほどの重い空気が流れていると、ふと葉隠ちゃんが何かを呟いた。

 しかし余りにも小声だったので鈍感系主人公のように聞き逃してしまいました。マジでそういうことあるんだ。

 お茶を手に取りのどを潤しつつ、葉隠ちゃんが言いたいことを待ってあげる。

 

「……私……センちゃんの事、好き」

「ん゛ん゛っふ!!」

 

 そして聞き取れた余りに衝撃的な言葉にお茶を噴き出しかけた。

 喉へのダメージは個性を使って無視した。これギャグにしていい空気じゃないな!?

 

「……大好き。入学してから……ううん、入学の試験からもずっと助けてもらって……いつも私の事見てくれて……いつの間にか、好きになってた。私ね、センちゃんの事大好き」

「ん。……えっと。中々言葉が出てこないんだけど……それは、その、友達としてという意味じゃなくて?」

「男の子としてだよ。いつもセンちゃん可愛くて、それも好きだけど……かっこいい所はすっごいカッコよくて。友達の事も真剣に考えてて、一緒に悩んでくれて、優しくて……そんなところも大好き」

「あ、はい……有難う? なのか? いやゴメンちょっとテンパってるわ俺」

 

 駄目だ!! 童貞反応が出てしまってる!!

 うわーすごい俺褒められてめっちゃ照れてる!! 分かるもん俺顔めっちゃいま赤いよ!

 でも葉隠ちゃんも負けずと真っ赤である。瞳だけは俺の目を捉えて離してないけど!!

 

「……目をずっと合わせてくれる人なんて、センちゃんくらいだから。……だから、好きになりました」

「……葉隠ちゃん」

「でも、センちゃんいつもみんなのために無茶ばかりするから……先日の襲撃でも、一番がんばってたって……だから、心配で。家に帰ってもずっとセンちゃんの事ばっかり考えちゃって……今どうしても私の気持ち、伝えたくて。峰田くんに住所聞いて、こんなストーカーみたいなことしちゃった」

「あ、いや、それはスマンというか緑谷だって同じようなもんだし。あと俺の帰りを待っててくれたのはホント嬉しいしかないんだけど…………その、待って。少し落ち着かせて」

 

 すぅー、ふぅー、と深呼吸をして息を整える。心臓が五月蠅い。顔から熱が引かない。

 こんなことになるんだな!? 今までエロ漫画しか読んでこなかったから人に好きだって言われたときにこんなに頭が回らなくなるなんて知らなかったよくっそ!!

 少しずつ、少しずつ落ち着いてくる。

 

 ああ、でも。

 落ち着いてくれば、そもそも俺の答えも決まってるようなもんだ。

 夜のオカズにまでさせてもらって、顔も体ももちろんだけど……皆に置いて行かれまいと頑張る葉隠ちゃんの事を、俺も好きだ。

 もしかするとこの気持ちは葉隠ちゃんにだけってものじゃなくて、自分の夢の為に頑張るA組のみんなや、情熱にまっすぐ走る発目ちゃんとかにも感じている物なのかもしれないけれど。

 それにしたって葉隠ちゃんの事を好きだという事実は変わらない。

 なら、これからもっと好きになって行けばいい。

 そこに気付いて、俺は落ち着いてから葉隠ちゃんに返事をした。

 

「俺も葉隠ちゃんの事が好きだよ」

「……っ!」

「……ホントの事を言えば、葉隠ちゃんだけが好きってわけじゃないかもしれない。知っての通りエロバカだからさ、他の女子だって好きなのかもしれないし、エロいのはもう性格だし。でもそんな俺を好きになってくれた葉隠ちゃんの事、もっと好きになりたいって思える。素直に付き合いたいです」

「……本当? 嘘じゃない、よね? これ、夢じゃないよね……?」

「夢だと疑ってるのは俺も同じだけどね。……確かめてみる?」

 

 俺は一度立ち上がり、葉隠ちゃんの隣に腰を下ろす。

 体の距離がゼロになり、肩を合わせて至近距離で見つめあった。やっぱ葉隠ちゃんめっちゃ可愛い。

 そのまま見つめあっていると……ふと葉隠ちゃんが目を閉じたので、俺はそれをOKと捉えて、唇を重ねた。

 

「ん……………」

「っ……ん……」

 

 僅かな時間のふれあい。

 けどそれだけでも、信じられないくらいの多幸感に包まれる。

 唇を離して、お互いに見つめあって。

 

「……夢だと思う?」

「ううん。あったかくて、柔らかくて……ドキドキした」

「俺も。実はちょっと口震えてた」

「ふふ。わかったよ。私もだもん」

 

 お互いに想いを伝えあい、受け止めあったことで少し緊張がほぐれて、くすりと笑いだした。

 そのままもう一度唇を重ねて、葉隠ちゃんを味わう。

 今度は先ほどよりも長い時間味わって……そんな中で、俺の中の性欲がむくりと目を覚ましだした。

 

 いやこれ完全に付き合ってるじゃん。

 俺の女じゃん葉隠ちゃん。いや透ちゃんか。

 ヤバイ。このまま押し倒してしまいたい。オナ禁5日目の童貞ボーイにはこのシチュエーションは強すぎる。

 いやでもここでがっついて嫌われたらやだ。それだけは嫌だ!!

 ウキが沈んだからって一気に引き上げたら魚が逃げるだろ!!

 ふざけんななんで透ちゃんを魚に表現してんだ死ね愚かな俺!!

 駄目だ何考えてんのかまた分からなくなっちまった!!

 エッチなことしたいけど透ちゃんがそれを許さないって!!

 鎮まれ俺のビッグイクノ!! 今はまだその時ではない……!!

 

「……ふふっ」

 

 狼狽する俺の様子を見て、視線が下に行って、それで透ちゃんが察したのか苦笑を零されてしまった。

 ほらー!! 呆れられてるよ!! またいつもみたいにブレーキって言われるやつだよこれ!!

 今日はね、想いを伝えあったの!! それだけで十分なの!!

 あとはお互いに少しずつ歩み寄って心も体も距離を縮めていけばいいの!!!

 

「……センちゃん。溜まっててビンビンなんだよね? そんなえっちなところも、好きだよ?」

 

 

 あっ。

 

 そんな顔で言われますと。

 

 

 

 

 

「……センちゃん、私ね? ……お泊りする準備、してきたよ……?」

 

 

 

 あっ。

 

 

 耳元で、そんな、ことを、囁かれると。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……私のこと、センちゃんのものにしていいよ♥」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この体勢、恥ずかしいよぉ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 童貞卒業しました。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

【side 峰田’sライン】

 

 

 

<センちゃんの住所って峰田くん知ってる?

 

<知ってるけどどしたん?

 

<相澤先生の所に事件の報告で学校来たんだけど、ついでにセンちゃんに渡してって個性の資料のプリント貰ったの。学校から近いんだよね?

 

<あー葉隠も大変だったよな。住所は静岡県○○市××町△-△△のアパートの202号室な

 

<ありがとー!

 

<よろしく言っといて

 

 

 

 

 

 

<イクノんちに葉隠が寄ってプリント届けてくれるって。住所伝えといた

 

 

 

 

 

<既読つかねぇな

 

<おいイクノ??

 

<おい????

 

<お前まさかオイお前!?!?

 

<イクノお前ヤッたか!? ヤッてんのかまさか!?!?

 

<反応しろ!? 色んな意味で心配だぞオイ!?

 

<(通話に出ませんでした)

 

<(通話に出ませんでした)

 

<緑谷に聞いたらお前ちゃんと家に帰ったってオイィィ!?

 

<せめて無事かどうかだけでも返せ!?

 

 

 

<ウチに透ちゃんといる

 

 

 

<あっ(察し)

 

<クソがよ

 

<また既読つかねぇし

 

<二回戦か??

 

<避妊はしとけな

 

 





クラネスハインド様よりファンアートを頂いたので紹介させていただきます!

①お風呂に入浴センちゃん

【挿絵表示】

センちゃんが男子風呂で入浴してるシーンを描いてもらいました。
太ももへの愛がすごい! このプリケツが男子たちの脳を破壊してやまないんやな……。
でも個人的に一番ここすきポイントは髪。団子状にまとめた上でしっとり濡れて水滴が落ちてる表現が好きすぎて。すき。
筆者は髪型変化フェチです(隙自語)

ファンアート心より感謝申し上げます。有難うございました!
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