【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!!   作:そとみち

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64 ようやく縛りプレイが終わったんだよね

 

 

 試験開始して2分。

 俺が混ざった轟チームは、スタート地点から少々後退して開けた広間に向かって走っていた。

 道中で俺の姿を見た途端にいくつかの学校の生徒が逃げてしまったため、やむなく獲物を探して走っているところだ。

 

「ウォールハックで確認。前の方で20人くらいがやりあってる」

「いけそうか」

「場所も開けてる、行けるね。透ちゃんは準備。芦戸ちゃんは俺が突っ込んだ後の発目ちゃんの防御よろしく!」

「アイアイサー!」

「任せれー!」

「改良型のレッグパーツを装備していますので速度は出せます! 例のベイビーの準備はしておきますのでご武運を!!」

「お任せあれ。瀬呂、轟! 後詰め頼むぜ!」

「あいよっ!」

「任せろ」

 

 ここまで走る中でお互いに組み立てた作戦の内、広域で多人数とぶつかったときに一網打尽にする戦略で行くことにした。

 逃がさない。不意を突く。一網打尽にして行動不能にする。

 その全部を、このチームなら達成できるのだ。

 

「さ、そんじゃようやく出番だぜ、ベイビーちゃん!!」

 

 俺は己の腕に備えたサポートアイテム、ダイブワイヤーを構える。

 ようやくだ。ようやくこのベイビーの真価を発揮して戦える時が来たのだ。

 

 職場体験では開発が間に合わず、その後のI・アイランドでも林間合宿でもたまたま装備していないときに事件が起きちまったものだから、結局は素の状態で戦わなければならなかった。

 このワイヤーがどれほど素晴らしいものなのかお披露目する機会に恵まれなかったのだ。

 

 だが……今は違う!!(ギュッ)

 見せてやるぜ俺の個性とダイブワイヤーの組み合わせの恐ろしさを。

 俺の個性の神髄は奇襲に在り。

 その効果範囲が伸びることがどれだけ恐ろしいか味わってもらう。

 

「ほっ、と」

 

 俺は100m先に集まっている20人の他校生徒の方向、その間のあたりの()()()()()()ダイブワイヤーを射出する。

 地面にずぶっと射出先を埋め込んで固定。

 俺らチームと標的の20人は、こっから走れば15秒で接敵できる距離だ。つまりその15秒で全部終わらせる。

 

「じゃ、行くよ透ちゃん!」

「ん! やったろ!」

 

 俺は透ちゃんに声をかけ、その何度も抱いた細い腰に腕を回して個性を発動。俺のモノとして認識し、俺と同じようにあらゆるものを無視できるようにした。

 そのまま二人で一緒に地面に潜行し、地中をワイヤーアクションによるスイング軌道で移動する。

 今なら地面を『無視』するって表現する方が正しいのだが、何となくやっぱ『潜行』してた時の感覚が俺にはなじみ深い。

 ぶらんと地中をスイングし、気配や音すら感じさせず、ウォールハックで見た20人の小競り合いのそのど真ん中に突如地中から姿を現した。

 

「もう終わりだ、俺が来た!!」

「ッんな!? 急に出てきやがった!?」

「って、この子イグジスト!? 雄英の……!?」

 

 急に現れた俺の存在に、20人全員の目が向いた。

 その瞬間が透ちゃんの輝く時。

 

「集光屈折ハイチーズっ!!」

 

「んがっ!? 目が……!?」

「うぉっ、眩しっ……!?」

「くっ、撤退よ! ここは逃げるしか……」

「逃がすかよォッ!!」

 

 姿を現した瞬間に透ちゃんの集光屈折ハイチーズを放ち、全員の目を眩ませて咄嗟の行動を封じた。透ちゃんはそのまま俺の背中に抱き着く形で俺の動きを阻害しないポジションへ。

 そして逃げようとする生徒達に対して、俺は胸の前に腕を水平に交差させ、左右に向けて両腕のダイブワイヤーを射出する。

 左右にワイヤーが伸びたところで、個性を発動しながら俺は腕を伸ばしつつその場でひらりと一回転。髪がふわりと円を描いて舞う。

 さてその結果、どうなるか。

 

「な、体にワイヤーが埋め込まれて……って、コレ取れねぇ!?」

「きゃっ、引っ張られる……!?」

「くそ、ワイヤー切れねぇ!!」

「触れもしないの!? ずっる……!!」

 

 俺のワイヤーは俺と同じように無敵だ。

 これまでも発目ちゃんの手を離さなかったように、飯田や轟の脚を離さなかったように、一度体内に潜り込ませれば抵抗を無視してそのまま固定することができる。

 ワイヤーを上手く回収してたわませながら、周囲にいる20人全員を巻き込むようにワイヤーを通してやった。

 そして回収機構で一気に引っ張る。20人×60キロだとしても1.2トン。 このワイヤーは2トンまでの張力なら耐えられる。そもそも今は相手の重さすら『無視』できるしな。

 俺を中心に密集させる形で、他の生徒を引っ張り集めていく。

 

「んなっ……!? くっそ、集められて……!?」

「くそ、目が眩んで周りに何があるか……!!」

 

 しかし、俺に攻撃は効かないが、まだ相手の体の自由までは奪えていない。

 密集する他の生徒を狙ってボールを投げればここからでもポイントが取れるかもしれない。

 だからこそ透ちゃんにハイチーズしてもらった。目が眩んでいれば周囲にいる生徒のマーカーを咄嗟に狙うことは難しい。

 各々が個性を発動させて抵抗するが俺と透ちゃんには効かない。脱出できそうな個性がいないことも事前に確認していた。

 

 さらに行動を封じるために後詰めも用意してある。

 

「ハッハー!! こんだけまとまってりゃテーピングも余裕だぜっ!!」

「足元、お留守だぜ」

 

 瀬呂。轟。

 この二人の個性で、全員をさらに動けなくさせて一塊にまとめていく。

 瀬呂はワイヤーアクションを用いて高速で周囲を飛び回りながら、まるで粗大ゴミをテーピングするかのように集団にぐるぐるとテープを巻いていく。

 轟は説明不要だろう。集団の足元を氷結で一網打尽だ。

 もちろん、中心にいる俺と透ちゃんは個性でノーダメージ。

 俺を中心に密集する20人が全く身動きが取れなくなった。

 

 なお、ここまでが俺たちが地面から飛び出してから5秒の出来事だ。

 一瞬の惨劇。咄嗟の対処ができずに混乱しながらも集められた20人に、トドメが投げ込まれる。

 

「私のドッ可愛いベイビー第128子!! 上鳴さんの個性とエキスポで見たドローンからの発想です!! レッツゴー!! 『ライトニング(ブラスト)(ボール)』!!」

 

 発目ちゃんがサポートアイテムをこちらに投げ込んできた。

 ソフトボール大の玉だがそこに電気を相当な量溜められる。そしてボタンを押せば一撃限りの高圧電流を放電できるというモノだ。

 ぶっちゃけ俺と上鳴以外は使えない失敗作のベイビーなんだけど、俺と上鳴がいるこの試験では場所も取らないので持ち込んでもらってた。

 

「ぶっかけちゃうよー!! 酸性弱めでサラサラアシッドー!!」

 

 さらに援護で芦戸ちゃんが酸性の液体を集団に浴びせた。これで電気の伝導率は十分。

 俺が手を伸ばしてライトニングBBをキャッチ。

 そのまま電撃ボタンをぽちっと押した。

 

「──────GG。悪いね」

 

 俺を中心に凄まじい電流が周囲に走り、周囲の20人全員が気絶した。

 

 きっちり15秒。

 俺たち6人は気絶した20人にそれぞれカウントの玉をぶつけて、無事一次試験を通過したのだった。

 

 


 

 

「うーん!! ライトニングBB、どうしたらもっと可愛いベイビーになりますかね! 何か案とかないですか!?」

「とりま遠隔で電撃操作できるようにしないと俺と上鳴以外使えんのよ」

「ぶつけた瞬間に放電できるとかしたら強そうなー! そうなったら一個欲しいや!」

「にしてもさっすがセンちゃん! ワイヤーすっごい使いこなしてたね!」

「透ちゃんがハイチーズで目を眩ませてくれたからこそだよ。一瞬で周囲の目を全部潰せるんだからマジで唯一無二の技だよねアレ」

「へへー! センちゃんに褒められると嬉しー!」

「ご褒美のキス欲しい?」

「ほしー!」

「まだ合格してねぇのに公然といちゃつくのやめろ?」

 

 俺たちは一先ず一次試験突破した安心感で笑顔を零しつつ、控室に移動した。

 中に入ればまだ一人しかいない。

 当然か。開始3分で突破したからワンチャン一番乗りまであったと思ったんだけどな。

 

「おお!! 雄英の皆さんッスよね!! 流石っス!! もう6人突破っスか!!」

「あ、さっきバスん所で混ざってきた元気なヤツだー。夜嵐クンだっけ?」

「俺らもそうっとう早かったと思うけどすげーな、流石推薦トップ」

「聞いてたんスか!! お恥ずかしいっス!!」

 

 その一人ってのがさっきバスんところで絡んできた夜嵐だ。芦戸ちゃんと瀬呂が声に返事をする。

 コイツ一人だけ先に来てたってことはまさか単独行動だったのか? それでこの早さで突破って相当な個性だな。後で聞いてみるか。

 で、向こうもまぁ分かってた通りテンション高めでこっちに挨拶をしてくるが……しかし、俺の方を見た瞬間にその目つきが変わった。

 ギロリと。明らかに悪意のある目で見られた……ように俺には感じられたのだ。

 

「透ちゃん、俺なんかアイツにガンつけられて怖いわ」

「なにー!? こらー夜嵐くーん!! 私の彼氏になんか文句あんのかー!!」

「え!? 彼氏!? もう付き合ってんスか流石っスね幾野さん!? でも違います!! 俺が見たのはアンタじゃないっス!!」

「じゃあ誰よ」

「……隣の、エンデヴァーの息子さんっス」

「俺か? ……悪い。俺、お前になんかしたか?」

 

 まぁ茶化し半分で透ちゃんに話を振ったらぷりぷりと可愛く怒ってくれて、んで夜嵐の方も実は俺じゃなく俺の隣の轟を見ていたことが判明。

 あらやだ勘違いしちゃった!? 恥ずかしいわ! ごめんな変なこと言って!!

 つっても轟を睨んでたことは間違いないらしい。なんや。お母さん想いのいい子やぞこの子は。

 

「いやァ申し訳ないっスけど……エンデヴァーの息子さん。俺はアンタ()が嫌いだ」

「っ」

「あの時よりいくらか雰囲気変わったみたいスけど……あんたの目はエンデヴァーと同じっス」

「は? 聞き捨てならんわ」

 

 何? 俺のダチに喧嘩売ってんのかコイツ?

 そこまで言われりゃ俺も黙ってねぇよ?

 そもそもその指摘は既に俺がやってるよ?? 二番煎じか??

 

「お前は眼が腐ってんのか夜嵐ィ!! 見ろこの轟の目を!! お母さん似で可愛いだろうが!! 愛嬌のあるこのイケメン顔に嫉妬してんのかお前!?」

「幾野……」

「幾野さん、アンタのことは尊敬してますが俺は轟だけは……」

「見ろ!! これが証拠だ!! 女装させたら可愛いんだぞ轟は!!」

「なんて写真見せてくんスかアンタ!?」

「あ、こないだなんか男子に女子の服着せてたよねセンちゃん」

「女装大会なー。でもあれ見てる側としては割とオモロかったわ」

 

 俺は夜嵐に反論するためにこないだ寮で開催された『第一回 ドキドキ☆女装大会』の写真を見せてやる。

 勝者には夕食の献立決める権利と不参加勢には俺が自撮りテロを送る事、そしてLGBTQへの理解を深める事と実際これから女子と共同生活するんだから女子の身嗜み整える苦労を知れという大義名分を盾に男子全員を巻き込んで、俺の女装服を貸し出したりサイズ合わない服やウィッグは八百万ちゃんに作ってもらって開催したのだ。

 結果としては死んだ目になった男子が多数。化粧が乗ってかなり顔作れたのが尾白と爆豪ちゃん。化粧無しでも全然イケたのが轟。

 そして女子の皆さまによる審査の元、轟と爆豪ちゃんが同時優勝したという闇の暗黒舞踏会の際に撮影した轟の女装姿だ。

 普通に女顔だろコイツの顔。コーデはゴスロリにして左右の髪色分かれてるのをアクセントにした俺のセンスも褒めてもろて。

 そしてもちろんこの写真は轟家の皆様に送付済みである。

 冬美さん経由で冷さんにも見せたところ大変ご好評を頂いたようで、「もっとないかしら?」って依頼があったので第二回を開催する日も近いな。

 

「そもそも親子なんだから目が似てるのなんて当然じゃねーか。なに、夜嵐お前……轟にっつーより、エンデヴァーになんかあんのか? 思う所が」

「……エンデヴァーだけじゃねぇんスよ。轟だって関係ある。俺は……」

 

 そして真正面から夜嵐の心の壁をぶち壊してから、胸の内を聞く。

 ヒーローに憧れた少年時代。その熱い心を眩しく見ていたのに、エンデヴァーに否定され、邪魔だと言われたことがトラウマになっている。

 だが挫けずにヒーローを目指し、雄英の推薦入試にまで来たが、その時に会ったエンデヴァーの息子である轟も同じ目をしていて、嫌な感じだった。

 それでも友達になれればと思って声をかけたのに否定された。目も合わせずに。

 それが、心の深い所に棘として刺さっているのだろう。

 

 俺たちはその話を聞いて、想いを一つにした。

 

「そりゃそん時の轟が悪りぃわ!!」

「だな!! ツンツンしてた頃の轟全開だ!」

「あはは、懐かし! 最初の頃とんがってたもんねー轟」

「センちゃんとの体育祭以降だよね? 柔らかくなったのって」

「ムム!! そうだったのですね轟さん!?」

「お前ら。」

「俺が言うのもなんなんスけどマジで明け透けっすね雄英!?」

 

 うん、そりゃ轟が駄目だわ。

 いや轟自身がダメというか、その時は色んな事情で視野が狭まってた頃だからあれだけど、そんな対応されたら夜嵐の気持ちも分かるわ!

 すごいやつで、目つきがアレだけどそれでも友達になろうと声かけて、んで否定されたらそりゃショックだよ!

 

 なーんだ。

 これ、()()()()()()()()()()じゃん。

 

「はぁー……夜嵐、まずごめんな? 俺らの轟がそん時迷惑かけたみてーで悪かった」

「あ……いや、幾野さんに謝られることじゃないっス」

「まぁそうなんだけどな。でもさ……夜嵐、お前が根っこから悪い奴じゃねぇってのは今の話で分かったよ。だからさ……轟の事、もう一回だけ見直してやってくんねぇか?」

「は?」

「あん時さ……コイツ、家庭の事情もあってめっちゃ余裕なかったんだよ。それは俺ら()()()()()()()()()()()。でもさ、今は少しずつ周りも見えるようになって、女装大会参加してくれるくらい柔らかいヤツになってさ。……人って、変わっていけるもんだろ」

「!!」

「今のコイツは悪い奴じゃねぇ。お前が轟を過去も今も関係なくずっと憎み続けたいってんなら俺ももう何も言わねぇが……もう一回、今の轟と話してみてくれねぇか?」

「幾野さん……アンタ……」

 

 俺は軽くアシストしてやることにした。

 夜嵐の感情に理由はあって、でもそこに夜嵐からの悪意はなかった。

 そして、当時の轟は視野が狭まり心に余裕がなかったが、そこは俺と緑谷とクラスのみんなで改善させてやった。

 今の轟はどこに出したって恥ずかしくない親友だ。

 そんな奴が、ずっとそんな目で見られてるのは好きじゃねぇんだ。

 

 でも、俺のアシストだってここまでだ。

 後は轟、お前が礼を尽くす番だぜ。

 

「……夜嵐」

「……なんスか」

「すまねぇ、まず謝らせてくれ。あの時の俺は……幾野が言う通り、視野が狭かった。親父を否定する、そんだけの為に生きてた……周りを見る余裕がなかったんだ。言い訳にもならねぇが、それでお前の気分を害しちまったことは謝る。ごめん」

「なっ、やめてくれ!! エンデヴァーの息子が頭まで下げて───っ!!」

「俺は轟焦凍だ」

「っ!!」

「親父の息子だってのは永遠に否定できない。けど……俺は親父とは違う。俺も、今はヒーローとして出来ることをしていきたいって……幾野や、みんなの姿見て思ってる。思えるようになったんだ。だから俺はお前にしたことを謝りたいし、お前とも仲良くやっていきてぇ。お前もヒーローになるんだろ」

 

 轟が夜嵐に向けて頭を下げて、かつての振舞いを謝罪した。

 そして、今の自分の在り方を伝えた。こいつも原点(オリジン)を思い出して、今はみんなでプルスウルトラしてるんだってのを。言葉だけではなく、態度で示した。

 よしよし。上出来だぜ轟。素直なのがお前の本当にいい所だよ。

 

 さて、じゃああとは夜嵐だけだ。

 これでも拗れ続けるってんなら、俺ももう何も言わない。夜嵐だけが悪いって話でもないし、人の好き嫌いって理屈じゃねぇからな。

 そうなりゃ俺は二人の間にせめて軋轢が起きないように橋渡ししてやるだけだ。

 

「───くっ!! 俺は何してんだよ本ッ当!!」

 

 夜嵐が一言叫び、そして次の瞬間に朝にも見せたような見事な謝罪……床に頭を打ち付けるほどのそれを轟に向けて放った。

 

「ごめん!!! 俺は俺が嫌だったモノになりかけてた!! 今のアンタのこと何にも知ろうとせずにただ憎もうとしてた!! ヒーロー目指してんのに!! 最低だった!!」

「……いや、原因は全部俺のあん時の態度にある。お前こそ頭上げてくれ夜嵐」

「いやッ!! 謝らせてくれ轟焦凍!! 俺は今のアンタに、あん時の事を謝ってくれたアンタに謝りたい!! んで、今度こそダチになりたいっス!!」

 

 俺はそんな二人の様子を見て、ふっと笑みを零した。

 ああ、やっぱ夜嵐も悪い奴じゃなかった。

 轟と同じで、ちゃんと反省して、前に歩み出せる奴だった。

 

 これで話は決着だ。

 俺は夜嵐の肩に手を置いて、顔を上げさせる。

 

「よし! お互いに悪かったところ謝って一件落着!! 夜嵐、お前いいやつだな!!」

「幾野さん……や、俺の目が曇ってたのを正してもらって有難うっした!!」

「馬鹿言え、俺は轟の女装写真を自慢しただけだよ。轟も謝れて偉い。よかったな、またダチが一人増えたって冷さんに報告できるぜ」

「ああ……そうだな。幾野、マジでいつも悪ぃ」

「なーんも謝られることない」

 

 ぽんぽんっと二人の肩を叩き、それで二人も握手を交わしてお互いを認め合った。男の友情完成!

 折角俺らヒーロー目指してるんだからさ。合格不合格とかは一旦置いといて仲はよくしたいところだぜ。

 さっき俺らが脱落させた他校の生徒だって、真剣に目標を見据えてまた試験受けて合格した暁にはどっかで組んだりすることもあるだろうさ。そん時はぜひ仲良くしたいところだ。

 

「センちゃんの好きな所見れすぎて私今ちょっと性欲すごい」

「ダメだよ!? ここ公共の場よ葉隠ステイよ!?」

「幾野節炸裂したなー。ったく、マジでこういう所だぜ幾野」

「ムム!! なんだかいい雰囲気ですね!? では士傑の人!! そのヒーローコスチューム詳しく見せてもらってよろしいでしょうか!?」

「え!? アンタ確か雄英体育祭で決勝トーナメントにいたサポート科の人っスよね!? いいっスよ!!

「しまったな。発目ちゃんのブレーキするの忘れてた」

「……ははっ」

 

 そして控室内に穏やかな空気がまた戻り始めて、続いて次々と合格者が控室に入ってきて、話は終わった。

 割と早い段階でA組は全員試験突破して控室に入ってきたので俺も一安心って所。

 流石だぜみんな。

 

「……あれで合格で本当によかったのだろうか」

「峰田さんに全て持っていかれてしまいましたね……」

「なんも試験官に言われてないしセーフだろ。オイラもみんなが陽動や索敵してくれたからこそだしよ」

「いやアンタのアレはやりすぎ」

「今の貴様と再び体育祭のように相まみえたとしても勝利は遠いか。更に精進せねば」

 

 飯田チームのみんなが峰田を見て絶妙な顔になってた。ウケる。

 まぁなぁ……この試験内容なら峰田が最強であることは疑いようがない。

 不完全燃焼したぶんは二次試験で頑張ろうぜ。

 

 


 

 

『えー……では一次試験を突破した100人のみなさん。これ、ご覧ください』

 

 控室で軽食など食べたり他の学校の生徒とも交流を深めたり*1してたところで、次なる試験のアナウンスが始まった。

 先程まで戦っていたフィールドの映像が映されて、そしてそれが全部急に爆破解体されたのだ。

 どうして。

 

『次の試験でラストになります!! 皆さんにはこれからこの被災現場でバイスタンダーとして救助演習を行ってもらいます!』

 

 なるほど、第二試験は救助か。

 救助系はまだ実際の現場での経験はない。こりゃちょっと経験の差で他の学校に後れを取りかねないな。判断力が決め手になりそうだ。

 俺の個性も使い方次第ってところになるな。腕がなるぜ。

 

 

*1
何で男子はみんな俺から逃げるように離れてったのか分からないんだよなぁ。





次回は急に閑話が挟まります。
第一回ドキドキ☆女装大会の様子を描いた閑話となります。お楽しみに。

峰田の活躍は匂わせるだけになりました。
二次試験で魅せるから許せ。
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