【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!!   作:そとみち

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閑話です。時期的には寮生活始まって一週間くらいした頃のイメージ。


65 第一回! ドキドキ☆女装大会!

 

 

「……ってなわけで、俺の話はおしまい。ありがとな、最後まで聞いてくれて」

 

 俺は共用スペースにみんなが集まる中で、俺の過去の事をみんなに話した。

 細かいところまでは伝えず、以前に緑谷たちに話した時のように最初から言葉選びを間違えたりなどもしなかったが……俺の過去の事を、みんなが知ってくれた。

 涙を流してしまう人も何人かいたが、しかし、それでも受け入れてくれて……俺は、有難くて頭を下げる。

 

 きっかけは障子だった。

 障子。こいつもまた壮絶な過去を背負っている男で、しかしそれをおくびにも出さずにこれまでみんなと過ごしていた。

 しかし共同生活をするにあたり、マスクをどうしても外す場も出てくる。それを気にして、俺達を信頼して……話をしてくれたのだ。

 話の重さを理解したのか、爆豪ちゃんも最後まで茶々入れずに聞いてたからな。

 俺も障子の話を聞いて、かつてタコのようだと表現してしまった峰田と共にその点を謝罪し、そして彼の在り方を尊く思った。

 

 で、せっかくみんな集まってるんで……ってことで、俺は轟と話して、お互いの過去についても話すことにしたのだ。

 轟もいつかのタイミングで言わなきゃならないとは思っていたと。エンデヴァーの話題になればどうしたって轟に話は向くし、こいつもA組のみんなを信頼できるようになったから。

 なので轟がまず自分の過去と、毎週末に冷さんの見舞いに行ってることを伝えて、それもみんな聞いてくれて。

 で、前述の通り俺もまた自分の過去を伝えた。

 

 クラスのみんなにはいろいろと重い話を聞いてもらっちまって本当に申し訳ないという気持ちと、それでも前向きに受け入れてくれたことに心からの感謝を。

 本当にいい奴らばかりだよな、みんな。

 

「…………」

「…………」

「……言葉が出ないな……」

 

 しかし流石に三連でクソ重過去話を続けちまったらみんなの空気が重くなっちまったな。

 よし、ここは寮長として寮内の風紀を明るいものに変えますか。

 

 

「ではこれより『第一回ドキドキ☆女装大会』を開きます」

「狂ったか??」

 

 

 そんな重くなっちまった雰囲気を吹き飛ばすために俺が新たな提案を繰り出したところ、なぜか正気を疑われた。

 なんで。楽しそうじゃない?

 

「楽しそうじゃない?」

「いや待てよさっきの話を聞いてからこのテンションどうすればいいか分かんねぇぞ!?」

「楽しいのお前だけじゃねーのか幾野!? いやお前が今を楽しめるのはマジでいい事だと思うけどよ!?」

「どうして急に女装なんていう話になってしまったのだ幾野くん!? 僕たちに女装させてどうしようというのだ!?」

「実はクソ真面目な理由がある」

「嘘でしょ……」

 

 そして俺は口八丁手八丁、男子たちを無理矢理大会に巻き込むために説得した。

 

 まずもって、この共同生活について時々俺が感じてた、男子勢の女子への配慮の足りなさ。

 朝の支度に時間がかかるのは当然だし、お風呂の時間だってそうだし、口には出さなかったけど月のモノだってある。男子が楽に生きてるのに比べて女子ってのはマジで大変なんだ。

 特に身嗜み関係な。そこは俺も女装を趣味にするだけあって大変なのはわかってる。

 そういうところも体験してみることで配慮できるようになろうぜ、という内容で説明したところ、まぁ一度だけならと真面目なやつらはこれで墜ちた。

 障子や飯田や尾白、緑谷や轟や口田あたりだな。雰囲気をリセットするためにも乗ってくれた所はあると思う。

 

 そして次にLGBTQへの、性別への配慮という物をもっと知れという話。

 特に切島だ。男らしさを目指してるコイツだが、病室の件を匂わせてお前の言う男らしさがブレてねぇかと軽く煽り、その上で一度女子の気持ちを味わうことでより男らしさってもんが分かるんじゃねぇかと説得。バカなのですぐ墜ちた。

 そのついでに瀬呂、上鳴のエロバカ男子勢にも一回やってみるのは経験にもなるし別に損はしねぇだろ、もし優勝したら飯決める権利つけるよと説得して堕とした。

 瀬呂は部屋大会の優勝で勝利に目が眩んでやがったな。上鳴はもともとノリがいいしなんだかんだ優しいんで乗ってくれた。

 常闇は不参加なら俺が自撮り送るわと言った時点で渋々参加した。こいつも素直じゃないね。欲しいならそう言えばいいのに。

 んで青山だがこいつには「お前顔がいいから女装したら俺よりも輝かれそうで怖いんだよな」と言ったら墜ちた。扱いやすくて助かる。

 峰田? 強制参加。

 

 で、問題の爆豪ちゃんだが。

 

「ケッ! くっだらねェ!! お前らだけで勝手に女装してやがれボケ共が!!」

「おやおやァ? 逃げるんだね爆豪ちゃん。負けるの怖いもんな……ああ、いいよ大丈夫だよ止めないから。俺は爆豪ちゃんのそういう所しっかり分かってやれてるつもりだからさ……」

「ア゛ァ!? 俺が勝負から逃げるわけねェだろうがァ!! ときめき殺したるわクソが!!」

 

 こいつチョロいわー。

 

「センくんの話術が怖いんよ」

「ケロ、心操ちゃんの個性を奪ったんじゃないかって私は今疑っているわ」

「集団催眠レベル」

「まァウチらは被害にあわないからいいけど」

「確かに男子のデリカシーのなさはちょっとあったもんね。これを機に私達ジョシの苦労も知ってもらおー!」

「果てしなく嫌な予感がしますわ」

「あ、八百万ちゃんにはウィッグとサイズ合わない勢の女装服作るのをお願いしたいです」

「言われると思いましたわ!?」

「八百万ちゃんにしか頼めないんだ……お願い、一生のお願い! あとで何でもいう事聞くから!」

「……! そ、そこまで言われてしまっては仕方ありませんわね! 無理のない範囲でお願いしますわ!」

「こっちもチョロい」

 

 そして八百万ちゃんにも協力を取り付けて、第一回ドキドキ☆女装大会は開催されたのだった。

 

 


 

 

 審査は女子6名がそれぞれ5点満点で評価。

 別室で着替えて、俺が化粧を整えて、アピールして、女子が採点して、という流れを男子13人で繰り返す。

 俺は参加しなかった。俺が入ったら優勝しちゃうしね。

 

 

 ではエントリーナンバー1。青山。

 

「ボクの美しさに酔いたまえっ!」

 

 まぁ……無難オブ無難。

 線は細いから女装させるのは全く問題ない。ただ本人のセンスでキラキラするものでまとめ過ぎてちょっとうるさい。

 化粧は自分でするからと言ったのでさせてみたけどケバくなりました。へたっぴ。

 

 そして女子の採点。芦戸ちゃん、梅雨ちゃん、麗日ちゃん、耳郎ちゃん、透ちゃん、八百万ちゃんの順。

 

「2点。ちょっとキラキラ五月蠅すぎ」

「4点。恥じらいがないのは好感持てるわ」

「3点。可もなく不可もなく」

「2点。ボクって普通に言ってんじゃん」

「2点。私はセンちゃんと比較するので辛口評価員です」

「3点。お顔はもう少し上手に化粧されたら加点でしたわね」

 

 16点。最高得点30点中のこれならまぁ最初だしこんなもんだな。

 

 

 次。エントリーナンバー2、飯田。

 

「ぼ……いや、わたくしの評価をよろしくお願いいたします!!」

 

 ちょっとこいつは難しかった。なにせタッパがあるし顔もバッチリ男の骨格だからな。

 体のサイズに合った大きめの秋物を着せてみたがどうしても脚の太さを隠し切れてない。アキレス腱の個性のアレもあってズボンで隠すわけにもいかずスカートだ。

 化粧は俺も頑張れるだけ頑張ったんだけど……ごめんな。

 

「2点。努力は認める」

「4点。真摯に女装に向き合ったのはえらいわ飯田ちゃん」

「2点。ちょっとゴツいかなー……」

「2点。努力賞。タッパがキツい」

「1点。別に評価低いからって貶してるわけじゃないからね?」

「3点。どうしても頼りがいのある身長が男性的に見えてしまいます」

 

 14点。うん。でも真面目に付き合ってくれてありがとうな飯田。

 

 

 次。エントリーナンバー3、尾白。

 

「……その、よろしく……?」

 

 いやこれ見て? この顔見て?? 普通に美人じゃない? めっちゃ化粧乗ったの。

 顔に特徴がないって表現したら失礼だけどその分めっちゃ自由度高くて。化粧は俺がしたけど作った俺もかなり手応えあったの。

 体は筋肉質だったが背は高くないし尻尾にアクセント向けられるから活動的な服で長袖長ズボンにして腰のあたりは布集めてちょっと丸み作った。

 説明不要だけどそれぞれみんな偽乳もつけさせてる。ブラに新聞紙丸めたただの偽乳だけど。

 

「5点。いやこれ普通に街中歩けるわ! 似合ってるよ尾白!」

「4点。顔が作れたわね。センちゃんの化粧スキル教えてほしいわ」

「5点。びっくりー! 尾白くん化粧するとこんな違うんやね!」

「4点。ウチより顔美人じゃない?」

「3点。顔はスゴイ! けどちょっと筋肉質見えてるね!」

「5点。これは素晴らしいですわね。女子というよりは女形のような整いですわ」

 

 26点。すっげぇ高得点が叩き出されてしまいましたね。尾白も自分の顔見てすげぇ困った顔してた。

 

 

 

 次。エントリーナンバー4、切島。

 

「……クッソ、恥じィ……」

 

 死んだ顔で出てきたけどこいつも顔はいいんでまぁまぁ作りやすかった。

 ただコイツ髪がマジでトンガってたからそこをどうするかで悩んだよ。ウィッグがちょっと遊び過ぎてる。

 体は筋肉質で太目だったんでちょっとゆったり系のタートルネック。ぱっと見で女子に見えるかは……微妙かな。

 

「5点。爆笑を今堪えています。写真撮って後で中学の友達に見せてやろ」

「3点。顔はいいけど恥じらいの態度で減点ね」

「4点。悪くはないんちゃう? 体つきはどうしようもないしね」

「2点。顔だけで言えばウチより可愛い疑惑ある」

「2点。態度と体つきで辛口評価」

「4点。頑張りましたわね切島さん」

 

 20点。芦戸ちゃんの同情票が入ったね。でも切島も女子の大変さは分かったって言ってたから得た物あり。

 

 

 

 次。エントリーナンバー5、上鳴。

 

「……意外とイケてね? 俺可愛くね?」

 

 こいつも顔まぁまぁ勢。イケメン寄りな奴らは化粧しやすくて助かる。

 それに線も細いからまぁ女装も無難な感じになった。ぱっと見で女子には見えるだろうな。

 これで目覚めちまった時はちゃんと責任取ってやるからな。ガチ女装の道は深いぞ。

 

「2点。自分が可愛いと思ってるのがムカついた」

「5点。しっかり女子に見えるわ。減点部分がなかったわね」

「4点。普通に似合っとる。けどあと一歩足りん感じ」

「4点。ウェイ顔で見たらウチ爆笑すると思う」

「2点。顔は尾白くんほどじゃないけど体つきで加点、自信でムカついて減点」

「4点。とてもお似合いですが、どうも尾白さんほどのインパクトがなく」

 

 21点。うん、中々いい点数出たんじゃないですかね。

 

 

 次。エントリーナンバー6、口田。

 

「どうかな……」っっっっ(←汗の表現)

 

 口田と障子と常闇はちょっと攻め方変えてます。

 異形型個性の人は当然女性もいて、そういう人はまぁいわゆる女の子! って見た目で攻めるんじゃなくて雰囲気の問題になってくる。

 なので顔の化粧は目元を軽く弄る程度にして、あとはウィッグとお洋服の雰囲気で攻めた。

 口田はなんていうか、元々目元は優しい感じだしな。あとは女物を着るだけで普通に女性的に見える。

 

「4点。女装という意味では正しく女装。美人かと言われるとノーコメ」

「4点。頑張ったわね口田ちゃん」

「5点。照れてるの可愛いー!」

「3点。芦戸と同じで女性としてはばっちりだと思う」

「3点。同じく! 雰囲気は可愛い!」

「4点。普段の柔らかい雰囲気がよく合っていますわ」

 

 23点。結構好スコア。よかった異形型ヒーローのグラビア雑誌読んでて。

 

 

 次。エントリーナンバー7、障子。

 

「……どうなんだこれは」

 

 同じく異形型なのでそちらから攻めてみた。

 口元はマスクで覆ってるので後は目元。コイツ睫毛実は長いので目元だけで言えばかなり整えやすかった。

 あとは髪型をかなり弄らせてもらってオールバックから銀髪のウィッグで長髪を流した。

 正直首から上だけで言えば全然女子。問題はコイツ筋肉質なんだよな。

 そこはどうにも隠し切れなかった。これは俺の女装スキルの敗北とも言えます。

 

「3点。顔はいい! 顔はいいけどちっと筋肉見えすぎなー」

「4点。顔の雰囲気が全然違うから驚いたわ」

「4点。普段とイメージが違いすぎるんよ」

「4点。減点部分がタッパだけかな。顔はいい」

「3点。顔以外の部分で男子を隠せてないね」

「4点。満点にならないのはやはり体格の良さですわね。お顔は綺麗です」

 

 22点。うん、この点数は体格良すぎ問題の飯田や口田にも言えるやつ。男らしさの証明か。

 

 

 次。エントリーナンバー8、瀬呂。

 

「いや、化粧って大変なんだなー……」

 

 こいつはちょっと顔は面長なのが難しかった。口元もうん、しょうゆ顔だし。化粧で誤魔化し切れん。

 体もそこそこ身長高くて……何ていうんだろうな、申し訳ないが全てにおいて中途半端になっちまった。

 とりあえず脚はそこそこ長いんでぴっちりタイプのジーンズ履かせた。コイツ割と腰回り丸いわ。

 

「3点。可もなく不可もなく」

「3点。特筆すべきところがないわ」

「3点。ギャップの男瀬呂くんやけど女装ではギャップあらへん」

「3点。うん……平均値」

「2点。純粋な女装としての完成度が低い」

「4点。お顔は悪くなく……女装も悪くなく。しかし全体的にもう一歩」

 

 18点。異形型二人と来てからの素の女装だから女子もちょっち辛口評価になったか。

 

 

 次。エントリーナンバー9、常闇。

 

「恥辱……」

 

 いや、こいつは実は割と自信がある。

 というのも顔自体は正直無性別に近いものだったので、簡単に睫毛整えてポニーテールを垂らすだけで女子っぽくなったのだ。

 で、身長も低めで筋肉質でもないからきっちり女装が似合った。ぶっちゃけ顔弄らなくてもコイツ普段から服装を女子にすれば女子になるタイプ。

 ただまぁ恐ろしくしかめっ面をしているところがアレですかね。付き合ってくれて助かる。

 

「4点。全然女装イケてるけどくっころ成分出てる」

「5点。女装としては完成度が高いと思うわ。喜ばないでしょうけど」

「4点。悪ない、というか普段と変わらな過ぎて逆に戸惑う」

「3点。服だけじゃない? って思っちゃった」

「3点。服が綺麗だけど首から上が普段の常闇くん」

「5点。ばっちり女性に見えますわ。それが良い事なのかどうかはアレですが」

 

 24点。むむ。普段と余りにも顔の変化がなかったことで女子が辛口だった。ぐぬぬ。

 

 

 次。エントリーナンバー10、轟。

 

「……よろしく、でいいのか」

 

 勝ち申した。

 マジでコイツ……見ろよこの完璧なゴスロリ姿を。

 身長が大きいのも関係ねぇよ顔が良すぎるよ。色のあったウィッグを八百万ちゃんが出してくれたから左右色違いツインテールのゴスロリ女子の完成だよ。

 アクセントに手元にクマさんのぬいぐるみを抱えさせてみた。すごい威力。

 さらに俺は一言添える。

 

「なお轟は俺が必要十分と判断して顔の化粧を施しておりません」

「「「!?!?!?」」」

 

 いやマジで。女装させた時点でこれ……もう手を加えなくていいな? って俺の方でなっちまった。

 正直な所俺すらもこの女装には震えたよね。強いよ。俺でも勝てるか……?

 

「5点。目に毒。あとでチェキお願いします」

「5点。非の打ち所がないくらい可愛いわ轟ちゃん」

「5点。可愛すぎて逆に腹立ってきた」

「4点。女子としての尊厳が傷ついたので減点」

「4点。センちゃんがいなかったら5点だった」

「5点。第二回を開催する時は呼んでくださいまし」

 

 28点。最高得点を記録しました。そらそうよ。そうなるよ。判るよ。

 

 

 次。エントリーナンバー11、爆豪ちゃん。

 

「…………チッ」

 

 見てこれ。

 なんだろうな……さっきの轟が天然の美だとすれば、こっちは造りの美学というか。

 化粧をバッチリ乗せてマジで顔は女の子。で、金髪にウィッグも付けたんだけどこれもまた丁寧に自然になるように見せている。

 体の筋肉質は爆豪ちゃん自身がすごい努力して肩を内側に寄せたり内股にしたり手を隠したりで男らしさを感じさせない。服もゆったりめにしてるし腰回りとか胸もバランス整ってる。

 こう、女形がやってる女性らしさを出すスキルを才能だけで全部やりきってる感じだ。マジでコイツ才能マンだわ。

 

「ちなみに爆豪ちゃんの女装は自分で化粧から服チョイスまで全部やりました。俺手ェ出してない」

「「「!?!?!?」」」

 

 その一言で女子たちが白目をむいた。

 そりゃそうだろうな。ぶっちゃけ化粧の完成度だけで言えばプロモデル並だ。俺も冷や汗。

 

「5点。ギャップが凄すぎてちょっと今脳が揺れてる」

「5点。これは文句なしね。すごいわ爆豪ちゃん」

「4点。えっ……自分でやって初めてでここまでいけるん……?」

「5点。ギャップすごすぎて夢に出そう」

「4点。前にセンちゃんに聞いた女子らしさ出すポーズが出てる。ヤバみ」

「5点。流石の才能といいますか……いえ、褒めていいのでしょうか?」

 

 28点。一位タイになりました。うん……爆豪ちゃん勝ち誇ってるけどそれでいいのかお前。

 

 

 次。エントリーナンバー12、緑谷。

 

「よ、よろしくお願いしますっ……!」

 

 ごめん。先に謝っとくわ。出席番号順にした俺が悪い。

 前二人のインパクトが強すぎるんよ。いやだいぶ可愛く出来たと思うんだよ俺としても? 目元はどちらかっつーと可愛い系だしな緑谷。

 そばかすも消して髪は無理矢理整えた上で肩口までエクステつけて結構ふんわりした感じにまとめた。

 腹筋とかは筋肉質だけど太いわけじゃないから上は白いフリースに黒タイツ穿かせて膝上のスカート。内股にしてるから完成度は高いと思うんだけどね。

 もう一度言うけど前二人が強すぎた。

 

「4点。かなりいい線言ってるけど前二人に及ばない」

「4点。そうね、可愛いと思うわ。けど轟ちゃんと爆豪ちゃんが強すぎたわ」

「5点。私は似合っとると思うよデクくん! かわよい!」

「4点。これくらいが逆に落ち着くので高得点」

「3点。前二人に及ばないという意味でこの点数」

「4点。完成度は高いと思うのですが、そうですね……」

 

 24点。ごめんな。順番が違えばもっと行ってたかも。緑谷も「前二人完成度高すぎない!?」って顔で俺を見て来た。

 

 

 次。ラストエントリー、峰田。

 

「こんなんに付き合ってくれてありがとなお前ら……」

 

 男子も全員出揃って最後の評価になったので全員に頭を下げる峰田。なんや。なんだかんだみんな楽しんでたろ。

 さて峰田だが俺渾身の女装を施してある。いつかしてやろうと機会を窺ってたので108cmの身長に合わせたフリフリのドレスは俺の私物で八百万ちゃんに作ってもらってない。

 顔もまぁ5歳児相当のそれなので普段の邪な表情してなければいくらでも作れるしな。

 そして髪だがもぎもぎはアクセントとして当然残しつつ、それ以外は丸刈りの峰田の髪をウィッグでちゃんと整えてやればあら可愛い5歳児の少女がそこに。

 イメージとしてはお人形さんだ。ちょっと体がキャラデザの都合でデフォルメきいてたけどそこは気合と根性でコルセット付けてどうにかしてやった。

 見てくれよ俺のこの渾身の女装を!! 抱きしめたくなるだろう!!

 

「5点。マジでいつもお疲れな峰田」

「5点。普通に可愛いと思うわ。今度それでどこか遊びに行きましょう」

「5点。可愛いし、いつもセンくんのこと頑張っとって偉い」

「5点。アンタだけは今この場で評価される理由がある」

「1点。センちゃんからの愛を感じたので減点です」

「5点。良く似合っていますわ。お人形さんのようですわね」

 

 26点。透ちゃんの嫉妬により一位は取れませんでした。ウケる。

 

 


 

 

 はいそんなわけで結果発表!!

 

「一位は同率で爆豪ちゃんと轟!! 二位は同率で峰田と尾白!! 三位は緑谷と常闇!! 第一回ドキドキ女装大会の結果は以上のようになりました!!」

「異常の(よう)にしかなってねぇんだよな」

 

 無事大会も終了し、俺もホクホク顔でみんなの女装姿を写真に収めて回っていた。

 あっ爆豪ちゃん化粧落として着替えて部屋に帰るのが早いわね! 集合写真撮りそびれたわ! んもー!

 

「間違いなく新しい見地は開いたけど気苦労がすげぇ」

「女の化粧は奥が深い……」

「マジで目元変わるだけでも全然違うんだってなったね……」

「尾白はホント別人みてぇになったよなー。すげぇわ化粧って」

「女装もなるほど、奥が深いということは分かった! 二度とは経験したくはないが!」

「上鳴結構イイ線いってたと思うけどなー」

「俺もこんなになるとは思ってなかったマジで……瀬呂はちっと甘かったな!」

「一番手だったボクの評価辛口じゃない☆?」

「次からはオイラもちゃんと止めるからよ……お疲れ様なマジでみんな……」

「いや、たまにはこういうバカらしい騒ぎもいいだろう。きっと今にしかできない事だ」

「なんだかんだ楽しかったぜ!」

「化粧とか身嗜み整える大変さも身に沁みたわマジで」

 

 男子たちがそれぞれの女装にコメントしあって苦笑を零してた。

 色々順番とかも影響あったよな。すまんな。

 第二回の時はその辺もちゃんと考えてやろうな。

 

「見てる側もまーキワモノ出てこなくてよかったわ! 割と笑えたー」

「笑えないレベルの完成度がいくつも出てきたのが冷や汗かいたけどねウチは」

「センくんの化粧スキルの高さにビビるんよ」

「ケロ……よかったら今度化粧のコツ教えてほしいわ」

「ん? もちろんええよ。休みの日とかコスメ見に行こうか、そういうの」

「あー! 私も行くー! センちゃんと御揃いの化粧品使いたい!」

「お疲れさまでした。ウィッグやお洋服を創造することになるとは思いませんでしたが……でも、楽しめましたわ。イクノさんも楽しめましたか?」

「そりゃもう最高。こういうバカ騒ぎしたかったんだよね!!」

「ならよかったですわ」

 

 女子たちもアホみたいなイベントに付き合ってくれてマジで感謝。

 特に八百万ちゃんには感謝してもしきれない。完全に個性の無駄な使い方なんだけど最後まで付き合ってくれたし。

 後でマジでちゃんとお礼をしておこう。うん。

 

「ふっ。やはりこれくらいのA組のノリが心地よい……そう思わないか、轟」

「……ああ、俺もそう思うよ。障子」

 

 そしてちょっと俺が気にしてた二人。過去のカミングアウトをした二人も、この緩んだ空気に随分と柔らかい微笑みを浮かべてくれていた。

 よし、ミッションコンプリート。

 このイベントが強すぎて、明日からまた暗い話を蒸し返すようなことには誰もならないだろう。

 俺の話も含めて……下らないノリで悪いけど、流させてもらったぜ。

 

「っし! じゃあみんな付き合ってもらってサンキュー! 俺の服貸したやつは俺に返してくれな」

「あ、いや……一応着ちゃったから悪いよ。クリーニングとか……」

「ところがそれは不要なんだよな。ちょっと失礼」

 

 俺は緑谷の肩に手を置いて、こいつに貸してたレディーストップスを『俺の物』と認識してずいっと引っこ抜いて奪う。

 偽乳がポロリと零れてぎゃあ! と叫んで胸元を隠す緑谷あざといな。まぁそれはおいといて。

 

「俺の個性の使い方でさ。潜行時代からやってたんだけど……俺の物としてこの服を認識して個性を通すじゃん」

「ふむ?」

「するとこの服自体が何でもすり抜けるようになるから、例えば濡れてたり汚れてたり汗染み込んでたり埃ついてたりってのも全部落とせるのよ。ぱさっと払えば全部落ちるし匂いもつかない」

「「「クッソ便利!!!」」」

 

 流石にここは共用スペースだし落とさないけどね。やろうと思えば一瞬で服とか持ってる物とかきれいにできるんだよね俺。

 だから例えばベッドの上が色んな液体でぐっちゃりしてたとしても、ベッドに個性を通して『無視させる』ことでべちょっと全部下に落とすことができるんです。妙に具体的? 知らんな。

 ってなわけでずっと着てた服とかだったら流石にアレだけど今日ちょっとだけ着たくらいなら気にしなくてええ。

 ということを伝えて、別室でみんなから服を回収しておく。ついでに八百万ちゃんが創造してくれたのももらっちゃった。嬉しい。

 

「それじゃこれでホントにおしまい。明日の訓練に備えて寝ましょ」

「おー。濃密な一日だったな今日マジで」

「だね。ま、でも明日にゃまた変わらねー一日が来るってことで……よし、寝るか!」

 

 妙に心地よい疲労感を伴って、みんなそれぞれの部屋に戻っていくのだった。

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