【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!! 作:そとみち
【side 峰田】
「ふーゥ……」
ヴィランの襲撃があって、オイラ達迎撃組は救護所を背にヴィランたちと対峙
救護所のほうは八百万ちゃんや飯田たちがメインで要救助者たちを避難させて、既に場所は移動し終えている。
そして本来は襲ってくるであろうヴィラン役の人たちだけど……オルカ以外は既にオイラが
「……実力を舐めていたのはどうやら俺の方だったようだな」
唯一回避したギャングオルカがその怖い顔でオイラを睨んでくる。
チビりそうだぜ。もっともオイラのまわりには頼れる緑谷たち近接戦闘組がいる。いくらギャングオルカだってこいつら相手に瞬殺は無理だろう。
さて、そしてオイラの個性によって捕えたヴィラン役の人たち。
何をしたかと言えば、もぎもぎを変形させられる個性を有用に使わせてもらっただけだ。
「……ぐっ、駄目だ力でこれ千切れねぇっ!! 伸びるだけで戻っちまう!!」
「なんつー速度と範囲だよ……こんな細いのに物理法則も何もあったもんじゃねぇな」
「イグジストよりこっちの方が真のチートじゃねぇか!? 拘束プロテクターが無くてもこんなの……くそっ!!」
オイラのもぎもぎは細いワイヤーネットのような形になり、ヴィランたちを捕縛していた。
球形の状態のもぎもぎに力を籠めて投擲。それは飛んでいく際中に形を変えて、ネットガンの網のように広がりながら高速で飛んでいく。
それに触れたら全身に網がまとわりついて行動不能だ。
触れずに手に持った銃や武器で叩き落したとしても、ネットが爆発的に広がり周囲を巻き込んで拘束する。
オイラのもぎもぎの変形は
鉛筆くらいの細い糸でも、オイラのもぎもぎは絶対に離れないし、燃やすか溶かすかしないと壊れない。
ヴィラン役の人たちが装備してたセメントガンなんて目じゃねェや。オイラの投擲のほうが速い。
ギャングオルカが超音波で仲間の束縛を破ろうとしたが無駄だった。
オイラの個性を舐めんなよ。オイラのもぎもぎは壊れない。
さらにこの網は当然にしてグレープラッシュで相当数を高速で投げられるようにしてある。
全てを音波で感知して回避しきったギャングオルカはお見事の一言だが、それ以外はオイラ一人で5秒で事足りた。
今や立っているのはギャングオルカのみ。
「轟。わかってんな」
「ああ。燃やさねぇように氷で行く。合わせろ夜嵐」
「ハッ!! 任せろ轟!!」
「真堂さん、僕が突撃したら敵の足場崩しお願いします!」
「緑谷くんの邪魔になったら悪いね! 手加減はしないよ!!」
オイラの声で轟が、そして残る3人も息を合わせてギャングオルカに立ち向かう。
まぁぶっちゃけると流石にここまで個性の変形を使うとオイラも個性許容量が辛いんで、こっから先はもぎもぎを牽制気味に投げるくらいしかできないだろう。ちょっと頭くらくらするわ。
でも後ろの救護所も飯田が主導となって救護を終えた生徒たちで傷病者を避難させている。随分距離も作れている様だ。
『要救助者全員確保! 後は運ぶだけ!! 救護所の避難もバッチリ、ヴィランもほぼ制圧済!! でも最後まで油断せずに行こう!!』
耳元でイクノの声が響く。
コイツが一番頑張り過ぎなんだよな。いくら自分に負担の軽い声の距離無視だっつってもずっと使ってりゃ疲れるだろうよ。
でも名前を呼ばれちまったらやるしかねぇからな。オイラが出来るところまでやっといたぜ。
「フ……だが最後までヴィランは諦めんぞ!! せめて一人でも道連れにしようと足掻くものだッ!!」
ギャングオルカがその言葉を放ち、そして広範囲に超音波攻撃を放つ構えを見せた。
他の奴らはそれぞれ防御手段があるが、オイラはもぎもぎ投擲で疲れてて反応が遅れちまった。
ちっ、ミスった。とっとと拘束した時点で下がっときゃよかったぜ─────と、次の瞬間には飛んでくる音波の衝撃に両腕を顔の前に持ってきて耐えようとしたところで。
「……ケロッ。頑張ってたわね峰田ちゃん」
「っとぉ!? 梅雨ちゃん!? 助かったァ!!」
いつの間にか後ろに来てた梅雨ちゃんがオイラの体を舌で掴んで引っ張ってくれた。
見れば体の色が周囲に溶け込んでいる。カエルみたいなことができるようになったって言ってたけどこれかぁ!
うわー助かった! ギャングオルカも急な増援でびっくりしたみてぇだ! ナイスだ梅雨ちゃん!!
「ガアァァァッッ!!!」
「っ、飛び出すな!!」
「っと!! 助かった轟!!」
「振動には振動ってね……!!」
「スマッシュッ!!」
そして一瞬遅れて放たれた音波攻撃を轟たちが氷の壁作ったり地面揺らしたりデコピンしたりして堪えて、さぁ反撃に移るぞといった瞬間だ。
オイラは確かに耳にした。
存在しないはずのそこに
「─────全要救助者救出完了。ヴィランはあと一人。そして今俺が掴んだ」
ギャングオルカの足元から手が……いや、ダイブワイヤーで地中をスイングしてきたのだろう、瞬時に地面から飛び上がってきてオルカの体に潜り込んだイクノの姿がそこにあって。
「だからもう大丈夫!! 俺が来た!!」
「幾野潜! イグジストか!? くっ、機動力も伸びているか!! ガアァァァッッ!!!」
背中にしがみついたイクノに向けて至近距離からギャングオルカが超音波攻撃を仕掛けるが無駄だ。
アイツはイグジスト。そこに存在しているが、その存在はあらゆる攻撃を無視する。
髪の一本も揺らされず、ギャングオルカの至近距離でアイツの整った顔がにっと笑った。
「チェックメイトです。降参してくれませんか? それともまだヴィランの増援来ます?」
「…………いや、その必要もないようだ」
ビーーーーーーーーーーーッ!!!
『えー、只今を持ちまして配置された全てのHUCが危険区域より救助されました。まことに勝手ではございますがこれにて仮免試験全行程終了となります!!』
ブザーが鳴り響き、二次試験が終了となった。
ったくよ。美味しい所持っていきやがって。
「峰田サン!! あんたマジですげぇっス!! なんスかあのネット状のヤツ!? 一対多は俺も自信あったんスけど拘束力じゃダンチっすね!? 一瞬で全員捕縛するなんて!!」
「よせやい。イクノに置いてかれまいと気張った成果ってやつよ。梅雨ちゃんもあんがとな! 実はあん時結構オイラへばっちまっててよー」
「ケロ。峰田ちゃんの個性の限界は今までも見てたもの。最後まで前にいないで、意地張らないで次は下がって。心配するわ」
「ヒュウ……雄英にはとんでもないのがいるね。緑谷くんも轟くんもだけど……幾野くんと峰田くん、体育祭から伸びすぎでしょ。君たちの伸びしろどうなってんだい緑谷くん」
「あはは……幾野くんがとにかく面倒見よくって。その期待に応えるために僕らも頑張ってるんです」
俺がギャングオルカの体を離れて、峰田がもぎもぎで捕まえてたヴィラン役の人たちを解放しながら、俺達の間には少しずつ安堵が広がっていた。
とりあえずHUCの人々は無事全員救助できた。俺も指示が中心ではあるけど、やれることができてたと思う。
多分、実際に同じような現場で同じように活動するヒーローが同じ場にいたら、俺は同じことをするだろう。
俺一人で何とでもしたいんじゃない。みんなの実力を出して最高の結果を求めたいんだ。
隣にいるってそういう事だと思う。俺はみんなの手助けがしたい。
「幾野潜。貴様の個性はあらゆる場で有用だ。どうだ、仮免に合格してインターンになれば俺の元に来ないか」
体を離して改めてギャングオルカに向き合えば、急に俺の事をヘッドハントしてきてくれた。
うーん。素直に嬉しい。でも俺の答えは決まっている。
「俺の事評価してくれるのは嬉しいですけど……すんません。できれば前にも世話になったマウントレディ事務所にまずはお伺いしたいんです」
「む、そうか……そういえば神野でもマウントレディはお前に相談していたな。まったく、アレも随分と
俺のお断りの返事にもくっく、と苦笑を零してめっちゃかっこいいシャチフェイスがにやりと笑みを作った。
実は俺ギャングオルカかなりファンなんだよね。普通にかっこよくない? ナイスデザインにもほどがあるわこのヒーロー。
折角だし連絡先なんかはそこで交換させてもらった。後で自撮りを送ってジャブを打つところから始めよう。
そして退場指示があったので会場から一度出て、制服に着替え直して合格発表を待つ。
「こういう時間いっちばんヤダ」
「どうかなー……やれることはやったけど、どう見てたのかわかんないしなー」
「ぶっちゃけ実働の救助数とかで見られてたら俺落ちる可能性あるんだよね。指示しかやってないし」
「せ、センちゃんなら大丈夫だよ!! すっごい助かったー! って他の学校の人も言ってたよ!」
「ええ、いつどんな要救助者が運ばれてくるか分かったので救護所も動きやすかったですわ」
「これで幾野が落ちてたら嘘だろ」
「全く動けてない人がいないように戦力配分したから、みんな合格しててほしいわマジ」
「そういう所イクノは律儀だよな」
「んでせっかくなら連絡先交換してぇよな、これから先ヒーローになったら世話になるかもだし」
「そしてこのコミュ強よ」
「自撮り送りてぇし」
「「「知ってた!!」」」
なんや。どこまでも本音やぞ。
せっかくこんな会場で一緒になった縁だ。世話になった人とは連絡先交換したいやろが。
既に士傑高校や傑物高校の人たちとはアドレス交換しといた。ケミィさんだけは断られて泣きそうになったけど。
とりあえず明日は夜嵐と真堂先輩に自撮り送るわ。
『えー……皆さん長い事お疲れさまでした。これより発表を行いますが、その前に一言』
そしてとうとう合格発表の時間になった。
代表の目良さんが壇上で俺らに向けて話すのを静かにして聞く。
『採点は減点方式でしたが……危機的状況でどれだけ間違いのない行動をしたかを審査しています。勿論、何もしないのも減点でした。そういったところ踏まえて、合格点の方は50音順で名前が載っています。今の言葉を踏まえた上でご確認ください』
目良さんの後ろのスクリーンに合格者一覧が表示された。
まず俺は「い」の欄を見て、そこに確かに俺の名前があったことを確認した。
「……っし!!」
俺はOK。じゃああとはA組の皆と発目ちゃんだ。
えーと、まず峰田……よし合格してた。透ちゃんも……あった。緑谷も爆豪ちゃんもヨシ。次は……
……とやってるうちにみんなも自分の名前を見つけて喜び出したんで大体分かってるんだけど。
うーん、流石に数が多い。見るのにも時間がかかる。
「……あら?」
「ん、どしたの八百万ちゃん。まさか無かった!?」
「あ、いえ。私の名前はあったのですが……それよりも、ここに表示されてる人数が……」
八百万ちゃんの指摘に、俺はもう一度表示された合格者一覧を見る。
えーと、横8マスの縦13行。で、一番下の空きマスが4つ。
8×13=104マイナスの4だから……おお!?
「「「全員合格してる!?!?」」」
うわーマジか! マジだ!! 全員合格じゃん!!
やったぜ!! 俺の狙い通り!!
っしゃ達成感最の高よォ!! よくやったぜみんな!!
『ふふ……気づきましたね。ええ、全員合格です。勿論点数はこの後配るプリントに書かれていて、採点内容が詳しく記載されているのでしっかり目を通しておいて欲しいのですが……決して動きの悪い生徒はいなかった。ギリギリだって合格です。二次試験の難易度は実を言えば今年から上がってたのですが……全員合格は予想外でしたね』
目良さんもどこか上機嫌にアナウンスを続けた。
そして俺らの採点結果のプリントが配られて、みんなでそれぞれ目を通す。
「お、俺91点だ。中々じゃね? 減点は……自分が救助に動かなかったって所での積極性か。いつもの」
「おー、流石センちゃん! 私74点だったよー、トリアージや要救助者の治療がまだまだだったなー」
「オイラ72点だ。まぁオイラは要救助者運べなかったしな、キャラデザの都合で身長低いし」
「私は58点でしたね!! 索敵をイクノさんと一緒に長い事やってたところで減点です! 単独でやれと!! まぁ合格したからもうどうでもいいですね!!」
「だからって採点用紙捨てるのはあかんよ発目さん!?」
「待ってヤオモモ97点!! やっば!!」
周りとも点数を見せあってお互いの指摘内容を確認しあう。
俺はそこそこ高得点。やったことは間違ってなかったってことだな、その点での減点はなかったから。
八百万ちゃんは97点だった。そりゃそうよ。この子が一人救護室やってたんだし点数減らすバカはいねえよ。
「轟はどうだった?」
「ああ……俺は68点。救助に氷使ってたんだけどそこの大雑把さが随分減点食らった」
「あー。調整してるとはいえ初見の要救助者は不安になっちまうか。俺の救護所作る指示もちっと大雑把だったかも。ごめんな」
「構わねえ。次からやり方も考える」
合格してた轟だが、救助するという点ではだいぶ減点されちまったようだ。
まぁな。凍った氷が地面から急に生えてきて、それで運ばれたらビビるわな。氷の形も変形できるようになってみるか?
「アハハハハ!!! オイ見ろよ幾野ぉ!! 爆豪の点数!!」
「お? どした切島? 爆豪ちゃんどうだったん??」
「っせェ見んな!! クソがよ!!!」
切島が爆笑して俺を呼んだので見れば、爆豪ちゃんの点数が面白おかしいことになってたらしい。
爆豪ちゃんが慌てて体で採点用紙を隠すが無駄だ。俺のウォールハックで爆豪ちゃん無視してばっちりチェック。
「っぶは!! 50点!! お前ボーダーラインピッタリじゃねぇかあははははは!!!」
「だァァァ!! 公表するんじゃねェよクソ幾野ォォ!!!」
「マジ!? 爆豪お前マジかよ!! 減点どこだったん!?」
「『救助行動は適切なトリアージができており要救助者の運搬も迅速だったがとにかく口が悪い』だってよ!!」
「バラすなァァァァ!!!!」
「っぶなかったなー爆豪! 俺と切島で口だけは直せって言い続けてた甲斐があったってもんだぜマジで」
「幾野にも指摘されてたもんなー口の悪さは。爆豪お前後で俺らにアイス奢れ?」
「ケッ!!! 仮免取れりゃ点数なんざ関係ねェ!! こっから結果で黙らせるわボケが!!」
いやー笑わせてもらったわ。全く爆豪ちゃんはもー。
日頃からコミュ力の改善と口の悪さからかい続けてた甲斐がまさかこんなところで生まれるとは。入学当初のクソ下水だったらこれ落ちてたな。
無事全員合格してよかったわ、マジでさ。
『合格した皆さんはこれから緊急時に限りヒーローと同等の権利を行使できる立場となります。すなわちヴィランとの戦闘、事件や事故からの救助など──────』
最後に目良さんの総評を聞く。
俺達がヒーローとして、オールマイトがいなくなったこれからの社会を守るために更なる精進に励んでほしい、とのメッセージだった。
まだ仮免。半人前であることは間違いないけど、それでも責任は重くなる。
だからこそ、もっと先に、もっと前に。プルスウルトラしてかないとな。
こうして、俺達の仮免試験は無事全員合格という最高の結果となり、幕を閉じた。
※峰田の個性についての筆者解釈
原作において峰田のもぎもぎが力で破壊されるシーンはありません。(多分)
体育祭で緑谷の足についたときは足につけてたアイテムのほうが壊れたし。
終盤のチート緑谷に10連もぎもぎくっつけて啖呵切ったときも峰田が蹴られて吹っ飛ばされたけどもぎもぎは壊れずくっついたままだし。
つまり物理では峰田のもぎもぎは壊れない(証明終了)
唯一『チームアップミッション』のドッジボールの話で轟が燃やして回避してたので火には弱く、有機物なので酸でも溶けますし、弔の『崩壊』とか治崎の『分解』では崩されますが、本作中では変形して網状にしても力尽くで破ったり刃物で切ったり出来ないものとしています。
クソチート個性だ!
原作でもチートってそれ一番言われてるから(震え声)
そんなもぎもぎネットを時速160キロオーバーで連発で正確に広範囲に投げられる。
一次試験はこれで瞬殺でした。怖。