【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!!   作:そとみち

76 / 177

ヴィラン連合から出向してきた二人に残酷な表現があります。




76 八斎會壊滅RTAはっじまっるよー

 

 

「メシがんまい」

「いい弁当頼んだだけあるわ」

「腹が減っては戦はできないからね!! このきんぴらごぼうイケるね!!」

「俺の場合は個性にも影響するからな。今夜は明日に備えてメニューを考えるか……」

「……幾野たちも先輩たちも、よくメシ食えますね……」

「ケロ……ちょっと食欲ないわ……」

 

 俺ら学生組は一度控室に集まり、俺の方で注文してた弁当を昼食として食べていた。

 が、もりもり食べてるのは俺と峰田とミリオ兄さんと天喰先輩のみ。

 緑谷はずっと沈み込んで机に俯いてるし、写真を見ちまった切島は青白い顔だ。事件のあらましを知った女子3人も落ち込んでしまっている。

 

 しかし、飯を食わない理由はない。

 ミリオ兄さんが言った通りだ。

 

「メシ食べないとリキつかないでしょ。ここで体調崩して明日の作戦に影響が出るほうがヤバイし。無理してでも食べたほうがいいよ」

「オイラたちにエリちゃんの救出が掛かってるわけだしなー。食うしかねぇだろ」

「それはそうなんだけどよ……ってか緑谷、大丈夫か?」

「うん…………」

「緑谷くん。……気持ちは分かるぜ。俺たちは一度エリちゃんと遭遇して、でも助けられなかった。あの時の判断が間違ってたわけじゃない……けど、エリちゃんの境遇は想像以上の地獄だった。俺も震えるほど悔しいよ」

 

 ミリオ兄さんが続ける言葉に頷きながら俺は飯を掻っ込む。

 分かるよ緑谷。俺だってそうだ。あの映像を見た瞬間に飛び込みたくなったさ。治崎の奴にブチキレたさ。人間の所業じゃない。絶対にエリちゃんは助けなけりゃいけない。

 けど、そのために今俺たちは積み上げてるんだ。万全を期して、助けるために。

 

「けど……だからこそ今がある。万全に準備を進め、有力なヒーローを集めて……センも、みんなも力を貸してくれる。後悔はしていいさ。落ち込んだっていい。けど、それを明日に持っていくのだけは駄目だ。俺たちは明日に全てを懸けなきゃいけないんだ。……そうだろ?」

「……はい」

「じゃあ、今は食おう。たとえどんな時でも飯を食べなきゃ力が出ないからね!!」

「……はいっ!!」

 

 ミリオ兄さんが決意を籠めた瞳で緑谷を鼓舞し、それに緑谷も応えて昼飯を掻っ込み始めた。

 カラ元気だっていいさ。俺たちがやることはもう明日に全てを注ぎ込むことなんだからな。

 そんな緑谷の様子を見て、切島も女子陣も食事を始める。強い意志を籠めた瞳と共に。

 

「……ん。食えてるか……心配はいらなかったか」

「ケロ、先生……」

「学外ではイレイザーヘッドで通せ」

 

 そしてみんなが飯を食べ終えたころに、相澤先生……イレイザーヘッドがエレベーターから姿を現した。

 プロヒーロー間での詳細な打ち合わせが終わったのだろう。この後それぞれのインターン生に内容が連携されるはずで、会議が終わったから俺たちの様子を見に来てくれたってところか。

 

「さっきの話聞いてメシが喉を通らない奴がいたら、明日の作戦への不参加を提言する予定だったんだがなァ……想像以上にタフだったか、ウチ(A組)は」

「さっきまではガッツリ落ち込んでましたよ! でも俺だって絶対に八斎會が許せねぇ!! 俺らの力が少しでもその子の為ンなるなら、やってやるぜイレイザーヘッド!!」

「先せ……っ、イレイザーヘッド! あんな話聞かされてもうやめときましょとは行きません……!!」

「イレイザーがダメと言わないのなら……お力添えさせてほしいわ。小さな女の子を傷つけるなんて許せないもの」

「俺は言うまでもないっすね。死んでも行きます。俺とミリオ兄さんが組んだらどうなるか八斎會に教えてやりますよ」

「右に同じ。将来有望なロリをイジメるとか男の風上にもおけねーや。一発ブンなぐってやる」

「僕も……もう二度と、エリちゃんの手を取りこぼさない!! 先生!!」

「……意思確認はできたな。分かってるならいい……今回はあくまでエリちゃんという子の保護が目的。それ以上は踏み込まないが……そこまでは全力だ。俺だってあんな鬼畜は許せん。俺がお前らを見ておく。正規の手続きで、正規の活躍をする姿を見せてくれよ、ヒヨッコ共」

「「「はい!!」」」

 

 イレイザーヘッドにも活を入れられて、俺達の決意はより固く強く燃え上がる。

 必ずエリちゃんを助ける。

 その一丸の想いを胸に、明日の作戦に向けた打合せをその後も続けたのだった。

 

 


 

 

 翌日。朝7時。

 八斎會邸宅に近い警察署に、多数の警官と、今回の作戦に参加するヒーローたちが集まっていた。

 

「あれ……グラントリノと塚内警部がいない……」

「ああ、あの二人はヴィラン連合がらみで仕事が入って急遽作戦には参加できなくなったとのことだ」

 

 グラントリノだけは今日の作戦に参加できなくなったが、それでも人数は十分。

 昨日の時点でヒーローたちは八斎會の登録個性のリスト、および現地にいるメンバーの顔を把握している。

 同様に、邸宅内の建物の構成、および地下の経路もだ。

 俺が集合時間前にウォールハックで確認して、最新の情報にもアップデートしてある。

 エリちゃんは地下の最奥。そこまで向かい、エリちゃんを救出して、組員全員を行動不能にして補足する。

 それが今回のミッションだ。

 

「隠蔽の時間を与えぬためにも、全構成員の捕縛を可能な限り迅速に行いたい。拙速を尊ぶこと」

 

 集まったヒーローたちの中に、インターン生である俺らがいて……流石にこれだけ大きな作戦となると多少は緊張の色が浮かぶ。

 特に俺は間違いなくやることが多くなる。索敵、襲撃、奇襲……俺の判断ミス一つで、何かを取りこぼす可能性すらある。

 深呼吸して少しでも落ち着かないと。できることを全部やれ。俺が出来ることを全部……

 

「────ほら、なーに緊張してんのよ!」

いっひゃん!?

「イクノから想像以上に変な声出た」

 

 そんな風に気負っていたら、マウントレディが俺のプリケツをぱしーん!! と叩いていい音を奏でてきた。

 急にやられたから全く予期してなくて俺も変な声出ちゃったよね! 峰田に笑われたわ!

 

「真剣なのはいいけど、貴方が全部やるわけじゃないの。背負いすぎないで周りにも頼りなさい。それが出来るのが貴方でしょ?」

「……そっか、そうですね。俺が全部やるわけじゃないんでした。みんなが頑張ってくれるから……俺は頼ればよかったんすね。うーん、視野狭まってたな」

「ガチなイクノは結構切羽詰まるからなー。ナイスっすよマウントレディ」

「でしょ? もっと褒めてくれていいのよ?」

「流石マウントレディ! ナイスおっぱい!!」

「ナイス巨女!! おっぱい揉みたい!!」

「性欲をぶつけろとは言ってないわよ!?」

「そうか……ここにはリューキュウのおっぱいもバブルガールのおっぱいもありますもんね!! なんも恐れることなかったわ!!」

「ねじれ先輩だっているんだぜ!? オイラたちにとっちゃ楽園(エデン)みてーなもんだわ! 緊張とかするはずねぇわ!!」

「息を合わせて狂わないで!? ブレーキかけて!?」

 

 マウントレディの激励により俺は普段の調子を取り戻し、アクセルをかけ始めた。隣の峰田が続いてくれる。

 とりあえずあいさつ代わりにマウントレディ弄りから始まり、そういえばエッチな女性ヒーローが多いってことに気付いてさらにテンションを上げていく。

 改めて思うけどリューキュウもバブルガールもねじれちゃんパイセンもヒーロースーツえっちじゃん!! なんだめっちゃリラックスできたわ!!

 

「うーん……幾野くんだなぁ……!」

「なんで俺たちあんな奴ら見て落ち着けるようになっちまったんだろーな。くっそ肩の力抜けちまったぜ俺」

「とりま葉隠ちゃんには報告したろ」

「峰田ちゃん相変らずね……ケロ」

 

 そんな俺の様子を見てA組の奴らもリラックスすることに成功。

 相澤先生とミリオ兄さんと天喰先輩は大きくため息をつき、女性ヒーローたちはドン引きしている。うん。いつもの雰囲気だ。

 これでいい。真剣にやるということは、平常心を忘れないという事だ。

 変に緊張して実力を出し切れないよりは100倍マシだ。よし、アガってきた!

 

「逮捕状もう一枚必要ですかな?」

「ユーモアのある子達なんです。寛大な処置をお願いします」

 

 サーが警察署長っぽい人に頭下げてた。ごめんなさい。

 

「はは……ま、こんな大作戦の前に冗談言える度胸は大したもんか! よし、じゃあ始めるぞ! 少しでも怪しい素振りや反抗の意志が見えたらすぐ対応を頼むよ!! 相手は仮にも今日まで生き延びた極道者、くれぐれも気を緩めずに各員の仕事を全うしてほしい! 出動!!

 

 署長の号令で、俺達は八斎會邸宅に向かった。

 

 


 

 

 朝7時半。

 俺たち警察隊とヒーローは邸宅の正門前に集合した。

 警察署長らしき方が門の前に立ち、俺らに振り返る。

 

「令状読み上げたらダーーーッと行くんで! 速やかによろしくお願いします」

 

 しかし、既に俺はウォールハックで邸宅内をすべて見ている。

 ダイブセンサーも第一段階、バイザーを開いたモードでセンサー類もいくつか起動させている。

 そんな俺の視界に映る情報。

 

「活瓶力也が門の向こうで拳構えてる。活力吸収の個性で大型パワータイプ。───デク、レッドライオット、イレイザーヘッド、グレープジュース、マウントレディ」

「うん!」

「おォ!」

「わかった」

「『網』で行く。マウントレディ」

「最後は任せて」

 

 門の向こうで俺らに向けて拳を構えて待つ姿を見て、空間に浮かぶ画面に映した。

 構成員の中でも仮面を被ったメンバー。主力である懐刀のうちの一人だ。

 それを見て、俺の人選により一瞬で拘束できるメンバーを選定。備えた。

 

「─────何なんですか……ァアッ!?

「20%……ッ!!!」

 

 デクがフルカウルを超えて、一瞬だけOFAの力を20%まで引きだして、その巨漢のパンチを受け止める。

 相手の拳が吹き飛ばした鉄門扉はレッドライオットが硬化で弾いた。

 次の瞬間にはイレイザーヘッドが『抹消』を発動。活瓶の個性『活力吸収』を発動させない。

 

「っすラァァッ!!」

「なっ、んだァ!? 網……!?」

 

 デクが超パワーで活瓶を押し返した瞬間に峰田がもぎもぎネットを投擲、地面に縫い付けた。

 しかしこれだけの巨力となるとコンクリを砕いて再び動き出す恐れがある。

 だからこそ、それ以上の巨力で意識を飛ばす。

 

「どきなさ──────いっ!!!」

 

 巨大化したマウントレディが、地面にもぎもぎネットで縫い付けられた活瓶を思いっきり踏みつける。

 マウントレディの脚の裏には準備してた布を挟み、マウントレディ自身がもぎもぎに捕らわれない様に配慮済みだ。この辺は以前の職場体験で連携を組んでいたからな。

 その一撃で地面がひび割れ、活瓶の意識を飛ばすことに成功。

 ここまで警察などの被害ゼロ。始まりのゴングが鳴った。

 

「リューキュウ事務所組とマウントレディは周囲の警戒! 組員が逃げ出さないように! 同時に周辺の住民の避難も進めて!」

「了解よ。イグジスト、何かあればインカムか個性で知らせて!」

「うっす! マウントレディ、外は任せました! グレープジュースはついて来い!」

「オイラが拘束の要だぜぇぇ!!」

「梅雨ちゃん! 麗日! 頑張ろうな!」

「また後で!」

 

 同時にヒーローたちが、警察たちが飛び込んでくる。

 まず邸宅の庭に木っ端の構成員。これはエッジショットやシンリンカムイ、峰田が片手間で見事に拘束する。

 この三人は拘束力という意味ならヒーローの中でもトップクラスだ。頼れるぜ。

 俺たちはさらに進んで邸宅内へ。

 

「こいつら全員時間稼ぎです! 建物内にあと8人!! 全員末端組員!! 時間はかけられない!!」

「地下の様子はどうだ、イグジスト」

「通路の途中塞ぐようにコンクリの壁ができてるけど大した厚さじゃない! 道中に本部長の入中がいてコンクリ操る素振り見せてる……様子がおかしいからブーストしてるか!? こいつは俺が叩く!!」

「セン! エリちゃんの方は!! 道中の敵はどうなってる!?」

「最奥にエリちゃんの傍に治崎と音本と玄野!! 隠れるように酒木!! 向かう道の途中に乱波と天蓋がコンビで待ち構えてる!」

 

 ウォールハックで見た視界を周囲に映像として映しながら、俺はエリちゃんにたどり着くまでのルートに忍ぶ八斎衆の懐刀を次々と見つけ出す。

 全員がその光景を共有し、迅速に作戦を立てていく。

 

「その手前にさらに三人、窃野と宝生と多部が待ち構えてる感じだ!! 奥の方にトガヒミコとトゥワイス!! トゥワイスがいる以上人数は増やされるかもしんねぇ!! まだその様子は見えないけど……!!」

「勢ぞろいって所だな……!」

「セン、俺は先にエリちゃんの所に行く!! センは入中を潰した上で周囲の援護しながら向かってくれ!!」

「了解、ミリオ兄さん!」

「ルミリオン、イグジスト! 俺は窃野ども3人を叩くぞ! この三人なら俺が完封できる!!」

「頼んますサンイーター!!」

「入中とトゥワイスがこの中では最も危険度が高いか……イグジスト、入中を止めたら俺と共にトゥワイスとトガを叩きに行くぞ。デクとサーはその援護を」

「はい、イレイザーヘッド! 途中のコンクリは僕が壊します!!」

「バブルガールほか、火力に富まない者たちはシンリンカムイ、エッジショットらと連携して構成員を拘束し警察に引き渡しながら前進。地下への道を開くぞ」

 

 次々とこの先にいるヴィランの場所を特定し、その先に向かう道筋を探す。

 ミリオ兄さんはその速度でまずエリちゃんの確保に走った。するりと壁に潜り込んでいく。

 俺もまた、速攻で入中を潰す判断だ。ダイブワイヤーを入中に向かって一直線に放ち、全てを無視したスイング機動で潰しに向かう。

 ここまでの俺のウォールハックで敵がどこにいるかは全員が把握できた。これで俺たちは常に先手を仕掛けられる。

 

 

 俺という鬼札(ジョーカー)が混ざってるんだ。

 勝負になると思うなよ。

 お前ら全員、何もできないうちに終わらせてやる。

 

 


 

 

「もう終わりだ────俺が来た」

「なッ!? 壁の中に……ガァァァァッ!?!?」

 

 俺は壁から顔を出した入中の背後からダイブワイヤーを射出し、音もなく体に埋め込んでから伝導率を無視してライトニングB・Bを起動。

 周囲に電気をまき散らすことなく全ての電力を入中に注ぎ込み気絶させた。

 そのまま加速をつけて思い切り体を蹴り込んでコンクリを砕きつつ地下の地面に叩き落とし、そこにグレープジュースのもぎもぎネットが投げつけられて拘束完了。

 

 これでもう地下道は弄られない。

 

 


 

 

「───ミリオが泣きそうな顔をしていた。それだけでお前らを潰す理由は十分だ」

 

 窃野と宝生と多部、3人のコンビに対して天喰先輩(サンイーター)が相対。

 すれ違いざまにイレイザーヘッドが3人の個性を消去し、次の瞬間に天喰先輩が己の全身から個性『再現』で繰り出した余りにも多い生物たちの各部位で一蹴。

 ヴィラン3人には油断があったが、天喰先輩には欠片も油断はなかった。

 瞬殺。

 相手には何も連携させず、文字通り『完封』した。

 その後に合流したエッジショットが3人を瞬時に拘束。俺たちは戦力を削ぐことなく先に進む。

 

 


 

 

 乱波と天蓋のコンビが奇襲を仕掛けようとしていたが、ウォールハックの前ではバレバレだ。

 

安無嶺過武瑠(アンブレイカブル)ッッ!!!」

「脂肪吸着っ!! 堪えるだけなら容易いわッ!!」

 

 乱波の連打を二人が受け止める。切島のアンブレイカブルの硬さも相当成長してんな。堪え切った。

 そして初撃が凌げれば十分だ。天蓋がバリアを張ったようだが、ここには俺がいるんだぜ。

 

「……バリアを貫通してきただと!?」

「ハッ、こんなワイヤー一本で何ができる!!」

「それが何とでもなるんだよなァ!!」

 

 ワイヤーを投擲して再びライトニングB・Bを起動。

 片腕ごとに3発ずつ放てるそれを、両腕で同時起動した。

 

「がッ─────!?」

「何ッ─────ガアアアア!?」

 

 乱波のほうはマッチョな体で電撃を堪えたようだが、天蓋は気絶させた。

 バリアが解ける。そうすりゃもう話は早い。

 電撃で痺れている乱波に、力自慢たちが突撃する。

 

「フルカウル、20%─────!!」

「漢気ィィ!! 安無嶺過武瑠(アンブレイカブル)ラッシュッッ!!」

「衝撃チャージ50%って所やが痺れてるアンタには十分や!! 衝撃解放ッ!!」

 

 イレイザーヘッドに個性すら消された乱波に、衝撃の塊が放たれてノックダウン。

 最後に峰田のもぎもぎネットで二人とも拘束した。

 

 


 

 

「なんか……ヤバくないです? すっごい嫌な予感がしますよトガは」

「俺はもうヤバいと思う。『余裕だぜ!』 一緒にどこまでも逃げないトガちゃん? 『仇を取ろう!』」

 

 逃がすわけねーだろ。

 俺はトゥワイスが二倍の個性を使う前に地下道のさらに地中からダイブワイヤーを射出。

 足の間から股間に向かって打ち込んだ。あえて『無視』はしてやらねぇ。

 トゥワイスのトゥワイス(隠語)にダイブワイヤーの先端の分銅が突き刺さった。

 潰れたな。

 

「ッへぅんっ!?」

「仁くん!?」

「テメーらには借りしかねェんだよなぁ……!!」

 

 個性は基本的に意識を集中しないと使えない。これでトゥワイスの個性を一瞬封じた。

 股間への直撃で悶えるトゥワイスと、それに驚くトガのすぐそばに俺が姿を現した。

 林間合宿のこと忘れてねぇからな。クソ共がよ。

 お前らにかける情けはねぇ。

 

「わ!? イクノくん!? また会えましたねぇ!! 大好きですよ!!」

「初対面だし俺もう彼女いるからノーサンキュー」

「そんな!?」

 

 何故か俺の方を見て喜び出したトガにもダイブワイヤーを射出。

 しかし流石に動きが良く、それを回避されてしまうが……次の瞬間に後詰めが突入してくる。

 トゥワイスとトガの個性をイレイザーヘッドが抹消し、シンリンカムイが腕を伸ばして拘束にかかる。

 トゥワイスは股間の痛みで避けきれずそのまま拘束。トガはその腕すら避けるが……この整った地下道では逃げる範囲は限られている。

 だからこそ逃がさない。

 この空間で()()()()()()()が既に飛び出していた。

 

「跳峰田スクランブルッッッ!!!」

「なっ!? 目で追えない……!?」

 

 峰田。

 こいつの進化した跳峰田は、やはり閉所が最も輝く。

 トガの動きがどんなによかろうと、この速度を超えられるヒーローはオールマイトしかいないのだ。

 

「グレープラッシュ・アラウンドッ!!」

「逃げ道が無いですよ!?」

 

 そのまま周囲360度全てからもぎもぎネットを投げつけるという不可避の攻撃によりトガヒミコも束縛完了。

 なんか束縛したトガの体がこう……パンツ丸見えなんだけど。

 狙ったか峰田? お前狙ったか??

 

「とりま気絶はさせとく。何やるか分からないからなお前ら」

「オイラやってやったぜェ……ヒーローとして最高の仕事をよぉ! ワインレッドッ!」

至近距離でガン見しないでください!? イクノくんせめて血………っ─────」

「トガちゃっ──────」

 

 両手をトガとトゥワイスの首に伸ばす。

 こいつらは異形型じゃない。俺の必殺の首絞めが効く相手だ。

 問題なく頸動脈を押さえて気絶させた。念入りにね。トガヒミコは女子だけどそういうので俺手加減しないから。

 罪の数を数えながら墜ちやがれ。

 

 


 

 

 ……さて。

 ここまでの道中で俺ら側の損害無し。ヴィランは全員拘束完了。

 あとは先に行っていたミリオ兄さんだけだ。

 

「ミリオ兄さん……」

 

 もちろん、俺はこれまでの道中でミリオ兄さんの動きも見ていた。

 あの兄さんが。エリちゃんが何をされているか知る兄さんが、手加減などするはずもない。

 

「……()()()()

 

 サーが見たミリオ兄さんの予知の通りになっていた。

 既にエリちゃんは救出されてミリオ兄さんの腕の中に抱きかかえられており、治崎以外のヴィランは見事に気絶させられている。

 声をかけるまでもなく、不意打ちのファントムメナスで治崎以外の3人を瞬殺。気絶させて深い眠りへ。

 その後はエリちゃんへの被害を無視した治崎の分解修復による地形変化攻撃がミリオ兄さんを襲っていたが、兄さんはエリちゃんをかばいながら捌き続けていた。

 ミリオ兄さんの予測からくる体捌きが半端ではない。

 治崎も逃げ続けるミリオ兄さんにかなり業を煮やしている様だ。

 

「ルミリオンがエリちゃん抱えて時間稼いでる。急いで合流するぞ!!」

 

 俺はみんなを先導してミリオ兄さんの元に走って。

 

『兄さん! あと30秒でそっちに全員で合流できる!! 逃げ切って!!』

 

 ミリオ兄さんには、距離を無視した俺の声を届かせる。

 俺の声を聴いて、遠目に見たミリオ兄さんがにやりと笑顔を浮かべた。

 いいね。エリちゃんもきっと安心する。

 真のヒーローは、どんな時でも笑顔を見せるもんだからな。

 待っててくれ。俺達がすぐに行く!

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。