【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!! 作:そとみち
いつの間にかUAが100
皆様のご愛顧誠に感謝です。今後もよろしくやで。
朝10時。
八斎會邸宅の最寄りの大学病院の病室で、俺はベッドの上で相澤先生に土下座していた。
「……まぁ、最大の原因は俺が油断したことにある。治崎の反撃を考慮してもっと慎重になっていれば俺が倒れることもなく……緑谷が100%の力を出す必要もなく、エリちゃんの個性が暴走することもなかっただろう」
「はい」
「検査の結果、俺の体は14歳の頃くらいの身長に戻っていた。だが記憶は全く欠けていないし個性伸ばしの成果も残ってる。筋肉と身長だけは落ちたが、その分若さが戻った……慢性的な肩こりとドライアイが治ったよ」
「はい」
「今回の作戦でお前は誰よりも活躍した。大変な調査をこなして、備えて、みんなを支えた。最後の行動も俺の命を助けるためのそれだったことは分かってる。お前は俺を助けてくれたんだ。だから頭を上げろ、幾野」
「マジですんません……」
事件は収束に向かった。
中にいた幹部、構成員は俺たちが全員無力化し捕縛。ヴィラン連合の二人も含めて、全て警察に引き渡した。
外に逃げようとした構成員も何人かいたようだが、それはリューキュウやマウントレディ達が一人も逃がさず無力化。この事務所にいた全員が確保できていることを確認した。
最後に大穴を空けてしまったことによる修繕作業に動けるヒーローは残っているが、途中で重傷を負った相澤先生や、最後にフルパワーを使った緑谷、個性を閉じた後に倒れて発熱が見られたエリちゃん、道中のヴィラン戦や最後の治崎の大暴れで怪我をしたヒーローはこの病院に運ばれたが……最終的には命に別状があるほどの大怪我をした人は誰もいなかった。
俺も個性破壊弾の内容物は無視したものの、銃で腕を撃たれたことは間違いないので、検査の為に搬送されてきたというわけだ。
で、体が縮んだ相澤先生はめっちゃ精密検査を受けて、その結果は純粋に体だけが若返ったというもの。
鍛え上げた筋肉は多少落ちて、183cmあった身長は160cm程度にまで縮んでしまっていたが記憶や個性は問題なし。
無精ひげが生えず、随分と若々しい……いや、年下のようになってしまった相澤先生に、しかし原因が俺の油断にあるため改めて頭を下げていた。
あの時は間違いなく相澤先生を助けたいという思いで動いていた。
けどよくよく考えたらかなり危険な賭けだった。というか最後に油断して相澤先生の容態をよく見てなかったのがマジでよくない。大反省だ。
なぜならば。
「ただ、教師として……お前の担任として、一つだけキツいことは言わせてもらうぞ。お前も分かってることだと思うがな」
「……」
俺は顔を上げて相澤先生の顔を正面から見る。
若返ったその顔の、しかしその眼光の強さはかつての顔と何ら変わりなく。
「お前が最後に無敵であることに胡坐をかいてエリちゃんの個性の勢いを見逃したことで……エリちゃんが
「っ……!」
「勿論それは緑谷にくっつきっぱなしでもそうなっただろう。お前はそれを助けた。俺も命を助けられた手前、これ以上蒸し返すことはしないが……幾野、お前の力が大きいからこそ、そこに大きな責任も伴う事を改めて心に刻んでおけ。ヒーローとしてきっと永遠にお前に付き纏うその責任に……負けるなよ」
「……っはい!」
相澤先生の言った通りだ。
俺の油断が、エリちゃんに人を殺させるところだったのだ。
助けようと思って殺してしまうなんて言う経験をさせてしまっていたら、俺は治崎以下のクソ野郎に成り下がる所だった。俺の様な個性事故の加害者をもう一人作ってしまう所だったのだ。
そこは俺もマジで反省している。ベッドの上にはさっきから正座しっぱなしだ。
この反省を活かして、前を向こう。
次があるんだ。それが何より幸運だったと噛み締めて、俺は俺らしく前を向く。
「小言は以上。当事者の俺がもう気にしないことにしたんだからお前も切り替えろ。人を笑顔にさせるヒーローになるんだろ」
「……ッス。そうします。反省して糧にします」
「それでいい。さて、じゃあ皆の様子を見てくるか。幾野もついて来い、お前も軽症だったろ」
「ええ。ちょっと腕に注射の穴が開いてるだけで個性にも何も影響ありませんでした」
「重畳だ。あの弾を無傷で受けられるのはお前くらいのもんだろうな」
相澤先生はぶかぶかになったヒーロースーツで、俺は何故か病院から強制的に病衣に着替えさせられた状態で一度ベッドを出る。
まぁお互いに入院するほどのケガはないしな。多分今日には退院になるだろう。
長居することもない。昨日も俺はこっちに泊ってるしオナ禁三日目だ。
早くハイツアライアンスに帰って透ちゃんに癒してもらいたい。むんむん。
さて、そんじゃ作戦に参加したみんなの状態だが。
「最終的に大怪我なの僕だけっていうね」
「ごめんなマジで」
「結果を出したから口煩くは言わんが、無茶したお前も悪い」
緑谷以外みんな無事でした。
小さい裂傷とか打撲はあったけど全員が自然に治る程度のそれ。
そして緑谷だけが全身に包帯を巻いてミイラ男になっていた。
緑谷がなぜ怪我しているのかというと、エリちゃんを俺が持っていっちまったのが原因だった。
俺が緑谷からエリちゃんを預かった後、緑谷も急いで100%フルカウルを解除しようとしたのだが……微妙にタイミングがずれて、限界を超えたフルカウルのせいで全身の骨に軽いヒビが入ってしまっていたのだ。
あの後疲れて寝てたように見えたけどめっちゃ痛かったんだな……ごめんな……でもこればっかりはどうしようもないしな……。
相澤先生の時の様な油断云々以前に、あの状況じゃどうやっても俺しか助けられなかったし、タイミング合わせるなんてできなかった。
まあ前に100%使って自爆してた時も大怪我だけで何とかなってたから一先ず結果オーライってことで。後で自撮り送るから許してくれるだろうか。許してくれるね。有難うグッドトリップ。
「まぁ……でもエリちゃんがあのままだったらそれこそ僕も戻っちゃってたかもしれないし。助けられたよ。これくらいで済んで幸運だった」
「リカバリーガールは呼んである。もうすぐ着くから治癒してもらえ」
「助かります相澤先生。……それにしても本当に……その、若返りましたね」
「お前らより身長が小さくなる日が来るとは思ってなかったよ。幾野のお陰で肩こりがとれた」
「あまり俺を言葉責めしないで! 感じちゃう!! 責任感じちゃうから!!」
「あはは……それで、先生はその、今後も先生を続けられるんですか?」
「あ、それは俺がもう聞いた。教師は続けてくれるってよ。今復旧作業してるみんなにも既にラインで伝えてある」
「ホント!? よかった!!」
「お前らみたいな問題児を放っておけるか」
緑谷が縮んだ相澤先生に目を向けて、慣れない姿に苦笑を零した。
そして続いた話、今後の相澤先生の事だが……それは既に校長先生とビデオ通話で病室で打合せしていたのを俺が聞いている。
プロヒーローとしての資格は個性の性能が落ちていないことから継続。
知識もそのままなので教員資格もそのまま。
教師として教壇に立つが、体が若返ったため改めて鍛え直す必要があるので、担任であるA組以外の授業を減らし、その分を自己鍛錬に充てるとのことだ。
「放課後の訓練は今後は俺も参加するぞ。心操と共にな。お前らに並んで鍛え直す……俺なんかに負けるなよお前ら」
「うわぁ……! こりゃ今まで以上に気合入れないといけないや!」
「組手付き合いますよ。みんなのサンドバックとして定評のある男ですから」
そして授業中の訓練や放課後の訓練には相澤先生も参加して、授業しながら己も鍛え直すという合理的な手段を取ることになった。
こりゃまたとんでもねぇことになったもんだわ。ショタになった先生に負けてらんないぜ。
14歳相当になった相澤先生、三白眼であることも含めて普通に顔が良くなったからな。
目つきもドライアイが改善されて柔らかくなったし無精ひげも生えてないし髪は艶が出て来たし。
ぶっちゃけ女装全然行けるでしょこの顔。
開くか……第二回女装大会……!!
「あ、そうだ! エリちゃんはどうなってますか!? あの後……!!」
「さっき見舞ってきた。まだ熱も引かず眠ったままで、今は隔離されてる」
「隔離……そんな! 面会も出来ないんですか……」
「俺以外はね。悪いな緑谷、エリちゃんのハートは俺がキャッチしちまうぜ」
「ここぞとばかりに無敵アピールしてくるね幾野くん!?」
「俺も行けるから二人占めだ。悪いな緑谷」
「先生までノリが軽くなってませんか!?」
エリちゃんの話になり、俺と相澤先生は先ほど隔離された病室にいるエリちゃんを見舞ってきたことを伝える。
熱が出ていたが、それも微熱で体に影響が出るほどではなく。寝顔も少し落ち着いた様子ではあった。
最後、誰かを助けられたということが彼女の中で救いになったのだろう。
相澤先生もその顔を見て、この子の前では絶対に若返ったことをネガらないと言っていた。
俺と相澤先生がエリちゃんの個性に特効なので、今後は定期的に見舞いに行くことを約束している。
冷さんといいエリちゃんといい見舞い先がどんどん増えるな。一緒の病院に入院してみないか??
「体が若くなったからな。気分転換に少し昔の……前向きだった友人を真似てみただけだ」
「それ俺に特効過ぎてちょっと泣きそうなんすけど」
「昔の……? それって、その人……」
「……喋り過ぎた、忘れろ。お前らの前ではちゃんと教師してやる。一度任されたクラスを投げ出すつもりはない。お前らA組が卒業するまでは最後まで見ててやる」
「っす! ついていきますショータ先生!!」
「何故下の名前で呼んだ?」
「僕も頑張りますショータ先生!!」
「除籍が望みか???」
いやだってさー! 見た目がこんな可愛くなったらねぇ!? なんか距離感めっちゃ近づいたっていうか!!
緑谷もノッてきて一緒に笑顔を浮かべた。コイツも最近わかってきたな。
本人が気にしないと仰って、暗い雰囲気にしまいと冗談まで言ってくれてるのだ。これで俺ら生徒が気にし続けてたら先生も困ってしまうというものだ。
努めて普段通りの俺たちで相澤先生と接するべきだろう。つまりこうなる。
「あ、緑谷の病室にいたか! イクノお前マジでいっっつも心配かけやがってよぉぉ!!」
「デクくん大丈夫やった? ……ってホンマに相澤先生が若返っとる!? ぶは!!」
「ケロ……写真撮ってA組のみんなに見せないといけないわ。この顔はいけないわ。可愛いわ」
「スミマセン相澤先生!! ホントに申し訳ないんスけど今俺爆笑を堪えてますッッ!!!」
「お前ら補習楽しみにしてろよ」
テンション上げてたら、周辺の被害確認にあたってたA組のみんなが病室に顔をだした。
どうやら見舞いに来てくれたみたいだな。後ろにはビッグ3の先輩たちもいる。
「うわー! ホントにイレイザーヘッドがちっちゃくなってる! 不思議! 可愛くなってるね? 不思議ー!」
「とりあえず市民に怪我人はゼロでした。治崎の分解による地下のコンクリ変化で家屋倒壊が2棟ほど……それはヒーロー保険で補填されるようです」
「エリちゃんも緑谷くんも相澤先生も無事で何よりだったんだよね!! 相澤先生だけちょっとごめんなさいだけど!! 俺も全身で透過しちゃうとエリちゃん掴めないからあそこはセンに任せるしかなかったんだよね!!」
「構わん、もう気にせんことにした。天喰、後で詳しい報告書は上げておけ……こら波動! 頭を撫でるな!」
「えー? こんなにちっちゃくなって可愛くなったら撫でたいよね? 記憶とかは大丈夫なの? プロとしては? ねぇねぇ私気になるの。センセイ教えて?」
そして相澤先生はねじれちゃんパイセンのおもちゃになった。
今となっては164cmあるねじれちゃんパイセンのほうが相澤先生より身長高いからな。これはおもちゃですわ。
逃げようとするショータ先生だが力負けしかけている。これ女性教師たちに襲われたら抵抗できないのでは?
なんてこった。図らずも俺が求めた光景がここにあるのだ。
「ミッドナイト先生と13号先生とミスジョークに相澤先生の写真送っとこ」
「絶対やめろ幾野」
「罪深い」
俺は合法おねショタを学園に展開するために早めに手を打っておくのだった。
さて、その後の顛末。
緑谷の元にリカバリーガールが来てくれて、全身のヒビもすっかり治癒されて回復。
プロヒーローたちはその後改めてナイトアイ事務所に集まり、今後の八斎會関連の仕事の割り振り。
全国にある他の支部にもガサ入れして、ヤクザとして本格的に廃業させるらしい。その辺は改めて他のヒーローに仕事が割り振られて行くとか。
で、俺ら学生組はその日のうちに退院して学校に帰還。
電車で一時間の距離だから大した移動でもないしな。落ち着ける自室でゆっくりするのが一番よ。
俺は自室じゃないところでゆっくりするんだけどね!
「……ッ、嘘……!」
「ん、どしたん緑谷」
電車で並んで座ってた緑谷がスマホ見ながら息を呑んだので、よっぽどエロい画像を見つけたのかと俺は覗き見る。
しかしそこに表示されていたのはニュースサイトの画面で……そして、そこに乗っていたテロップに俺は息を呑んだ。
「……!? マジかよ、治崎たちを護送してた車がヴィラン連合に襲撃された!?」
「死者は出てないみたいだけど……ヴィラン連合が、トガヒミコとトゥワイスを取り戻しに来たってこと、だね」
「マジかよ!? うわー……やるせねーぜ。治崎は? アイツも連れてかれたのか?」
「いや……治崎は改めて捕まったみたいだけど……証拠品の紛失があるかもって」
「個性破壊弾だよね。……くそ、どこかで護送のルートがバレたってことかな。警察もこりゃ大変だよね」
バッドなニュースを知らされて俺たちは全員でしょんもりしてしまう。
マジかー……ううん、純粋に悔しさがある。
警察に引き渡した時点で、後の護送は護衛やルートも含めて警察の管轄であり警察の責任ではあるのだが……何かできなかったのか、と考えてしまう。
俺達が責任を感じる話では本来ないんだけど。お辛い。
トガもトゥワイスも逃げちまったとなるとまたどっかで会うことになるかもな。くそ。もっと念入りにダメージ与えておけばよかったわ。
具体的にはトゥワイスのトゥワイス(隠語)のもう片っぽも潰しときゃよかったわ。
「……しかしまァ、これほど直接的な公的権力への襲撃をしたとなればヴィラン連合への風当たりも強くなる。ヤツらもリスクを負った……さらに捜査が進むことを願おう」
「林間合宿の襲撃からヴィラン連合の動きがさらに活発になってるんだよ! きっと色んなヒーローが調査してると思うの! イクノくん知ってた? みんなで探すとすぐに見つかるんだよ! だからすぐ捕まるね!」
「そう思いたい所っすね、マジで」
座った俺の前でたわわなおっぱいを揺らしてねじれちゃんパイセンが覗き込んできて、俺はデカパイに感謝を込めて頷いた。
せやな。先輩たちの言う通り……今は調査してるヒーローたちに任せるしかない。
グラントリノや塚内警部もまさしく今調査を進めているという話だし、俺が出来ることは結局、力を頼られたときに全力で取り組むくらいしかできないんだ。
そしてその時に、今回のような油断もせず……圧倒できるだけの力をさらに積み重ねるしかない。
頑張ろう、より一層。これからは相澤先生も含めて。
「帰りに飯でもオゴろうかと思ったけど……こんなニュースまで流れちゃ今日は寄り道できないよね!」
「ちょーど今、相澤先生から『まっすぐ帰れ』ってライン入りましたわ。残念すけど次の機会にお願いします通形先輩!」
「ケロ……仕方ないわ。あれほどの事件の後だもの。きっとみんなも心配してるわ」
「ウチらみんな一泊してるもんね。早く帰って元気な姿見せよ? 相澤先生の事も話さんと」
そうして俺らは真っすぐに雄英に帰還することになり、それぞれの寮に帰ったのだった。
※お知らせ
このあとは原作だと文化祭編にさらっと行くんですけど、この後の原作の話(雄英視点)が
文化祭→A組B組模擬戦→エンデヴァーインターン→解放軍バトル→緑谷放浪編→最終決戦
となっており、なんか終わりが見えてきて寂しいので閑話マシマシで行きます。
文化祭までの間にオリ話と、文化祭の後は原作スピンオフ「チームアップミッション」の話を所々入れていく予定です。
日常書きたい(本音)
150話くらいで完結するやろ(見通しが甘い)
なのでまたセンちゃんが色々やりますがよろしくお付き合いください。