【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!!   作:そとみち

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89 AバンドのAってアナ(検閲されました)

 

 

 文化祭での出し物と役割がそれぞれ決まって数日。

 俺たちA組はインターンへの出向も少し数を減らし、よりよいダンスを披露するために練習に励んでいた。

 朝は変わらず朝練。そして普通の授業。

 授業が終わったら放課後の自主訓練は文化祭終わりまで週2に減らして、バンドとダンスの練習に励む。

 土日は片方がインターンでつぶれることはあってもどちらかは必ず時間を空けて練習。

 そんな感じで頑張っていた。

 

「でも朝練は止めないぜ」

「毎朝走らないと体調崩すまであるわオイラ達」

 

 そんなある日のモーニング。俺と峰田はいつもの如くモーニングダッシュを決めていた。

 平日早朝は走らないとなんか始まった気がしねぇんだよな。もうルーチンの一部になってる。

 最近は走る時間のほか、寮を出る前にA組の寮の前を割烹着着て掃除したり、他の寮の前が落ち葉多かったらついでに掃除したりしている。

 俺らにとっては掃除こそが……!!(寄生獣感)

 

「いい汗かいたぜ」

「うむ。しかし今日は朝練参加率高い緑谷は来なかったなー」

「ああ、なんかオールマイトが力の使い方見てくれてるらしいよ。あの二人個性似てるしな、オールマイトのアドバイスなら緑谷も参考になるだろ」

「なるへそ」

「でもオールマイト教え方ぶっちゃけ下手だから変な癖ついてたら矯正するのが俺らの役割」

「それな。ダチを正しい方向に導くのもヒーローの在り方」

 

 往復を終えて残り500mくらいになってから俺たちは走るのを止めてクールダウン。

 涼しくなってきたから朝の風が気持ちいいぜ。今日は緑谷は来なかったけどなんかオールマイトが遠距離攻撃の精度とか見てくれてるらしい。

 それ自体はとてもいいし、俺もオールマイトに何度も教えてもらってあの人の指導は知っているのだが……うん、どうにもあの人感覚派なんだよな。理論派の緑谷と噛み合ってるかというと……うん。電子レンジ事件。

 まぁ緑谷がやりたいようにやるのが一番だとは思うので、なんか変だなと思ったらちょっと指摘するくらいにしておこう。

 

「そういやイクノ、こないだマウントレディから依頼された動画編集し終わったぜ。今日チェックしてもらって投稿予定」

「お、お疲れ。仕上げ任せちまって悪いな」

「イクノが大体映像整えてくれてたから大したこたねぇや。でもやっぱやってみてわかるのは動画作るの結構大変だってことな」

「それな。生配信とか一本気合入れてってんならまだいいんだけど、定期的に動画投稿するのって大変なんな。まだ負担にはなってねぇけど……後でマウントレディに投稿頻度相談してみっか」

「だな」

 

 汗をぬぐいつつ歩きながら、俺達はインターンの仕事の一環である動画編集について話す。

 以前の生放送ドッキリ以降、ラーカーズの動画チャンネルは登録者100万人を超え、かなりのバズりを見せていた。

 で、マウントレディも開き直って人気上昇の一環として張り切って動画を撮影しており、その動画データを貰って編集、動画投稿までするのが俺らの役割となっていた。

 10分くらいに動画をまとめて、それを週に1~2本の投稿って感じなのだが、しかしそれでも結構大変な所はある。

 クオリティに手を抜くわけにもいかないけど、このまま続けてても俺らの時間がちょっと削れ過ぎるかもな。投稿頻度を落とすか、もしくは普通に編集のプロを雇うかした方がいいかも。

 文化祭が終わったころにその辺相談してみるか。マウントレディも話せばわかってくれるはず。

 

 そんな話してたら寮に到着。

 そして同時にぐ~、と音を鳴らす俺たちの腹。

 

「……今日の朝飯なんだっけ?」

「鮭と卵焼き。味噌汁は八百万ちゃんと芦戸ちゃんが当番。デザートにシャイン峰田」

「マスカットの事オイラの名前で例えるのやめろ」

 

 ランチラッシュ先生いつもありがとうございます。

 俺たちは手早くシャワーを浴びて、朝食を腹いっぱい食べて今日も元気に登校するのだった。

 

 


 

 

 さて平日も終わり今日は土曜日。休日だ。

 今日はインターン組も調整して今週は無しにしたので……

 

「曲は決まった! ウチらはひたすら───」

「殺る気で練習ぅう!!」

 

 バンド組がめっちゃ演奏の練習をして。

 

「緑谷ちがーう! もっとこうムキっと! ロックダンスのロックは岩! LOCKだよ!!」

 

 俺たちダンス組は芦戸ちゃんの熱血指導の下、寮の玄関前のフロアでダンスの練習に取り組んでいた。

 大体一連のパートは覚えて、後はそれぞれ個性披露のシーンでの連携などを練習し始めて。

 で……そんな時に一つ問題が発生した。

 

「……幾野の動きがキレすぎてちょっと目立ってる」

「んなこと言われても」

「いや、演出組としてハッキリ指摘させてもらうぜ。幾野と芦戸の動きがなまじキレてるから逆に周りの動きの粗が見えるっていうか……雑さが見えるな。これ今撮った動画ね」

「……んー…………確かに!」

 

 センス全振りで俺はキレのあるダンスができている……らしいのだが、演出組であえて辛口評価を出してくれる瀬呂から言わせるとそれが変に目立ちすぎているという。

 芦戸ちゃんもダンス隊のリーダーなだけあって、動画を見てそれを感じたらしい。

 ううん。そう言われると俺困っちゃうんだけど。

 

「え、俺どうしたらいい……? 周りに合わせる感じにすべき?」

「……いやっ! イクノはそのままでいいよ! やるんだったらプルスウルトラ!! 全員のレベル上げりゃいいだけの話っしょ!」

 

 困り気味にリーダー芦戸ちゃんに聞いてみるが、鬼コーチである芦戸ちゃんはそこで妥協を許さなかった。

 俺が合わせるのではなく、俺に合わせると。

 何という志の高さだろうか。やっぱダンス大好きなんだな芦戸ちゃんは。文化祭終わったらちょっとマジでそういうの教えてもらおうかな。

 芦戸ちゃんの強いやる気に感化されて、ダンス組のみんなも表情を引き締める。

 

「イクノばっかり目立つのは許せねーからなオイラ。もっとキレッキレに動けるように頑張るぜ」

「同感だ。たまには幾野が目立たないようにしてやろう」

「体の動きじゃ負けてらんないんだよね……格闘主体だし俺」

「私だってセンちゃんとダンス踊るんだから負けられん! 彼女としても!! やったる!!」

「僕より光り輝かれるのはごめんだね☆」

「ああ、誰よりも幾野くんには負けたくない! 僕も更なるキレのある動きを!」

「委員長は固すぎっていうかソレもう治らなさそうだから逆にロボットダンス極める方向でやろな! 一人そういうのがいても面白いから! 妥協しないで練習続けていくよー!!」

 

 やだちょっと泣きそう。

 こいつらマジでいい奴らなんすよ……俺の最高のダチたちなんすよ……。

 早い段階で俺が仕上がったのでミスコンの練習の時間とかもちゃんと気を配ってくれるし、その上で俺の動きについて来ようと頑張ってくれるし。

 もー! こうなったら俺も手加減しないからな!! 最高のダンス見せてやろうぜェェ!!

 

 

 

 さて、そんな熱血指導の午前中を終えて、昼食で一息ついてから午後。

 もちろん練習は継続で、ダンスして動画を見返して駄目だったところを指摘してまたダンスして……と反復して徐々に動きを洗練させているころに。

 

「まだ誰も気づいてないようだ……」

 

 なんか小さく声が聞こえてきたんですが。

 俺がこの声を聞き逃すはずがないんだよな。峰田の次に耳にした声ですわ。

 

「……茂みの向こうで何やってんのミリオ兄さん」

「お、ミリオ先輩か?」

「あ! 通形先輩!」

 

 目ざとく発見して声をかける俺。と、それで察する峰田と緑谷。

 俺らに見つかって兄さんがコメントに困り、その後茂みから\桃が生ってるよー!/と一発芸してきた。

 桃にしては固すぎでしょそのケツは。俺のケツ見習って。

 ってかもう兄さんのケツはどうでもよくて。

 

「イグジストお姉さん、デクさん……こんにちは」

「エリちゃん!?」

「おいっすー。今日も綺麗なイグジストお姉さんだよー」

「お、マジだエリちゃんだ!! うわーあん時振りだわ! オイラの事覚えてる?」

「グレープジュースさん……イグジストお姉さんから、いっぱいお話聞かせてもらった……」

「どんな話をされたのか後で詳しく教えてなエリちゃん」

 

 その後ろにいるエリちゃんですよ。やだ可愛い。

 連れてきてくれたのだろう、保護者枠の相澤先生もその後ろにいた。

 エリちゃんは俺の選んだ私服を着てお洒落してきてくれていた。ワンピースタイプ気に入ってくれてるよね!

 

「あら……ケロ、素敵なおべべね」

「かっかっ可愛~! 似合っとるー!」

「俺がチョイスしました。俺のセンスを褒めてもろて」

「センちゃんチョイスなのね……」

「センくんかぁ……」

「なんでそんな目をする」

 

 麗日ちゃんと梅雨ちゃんがエリちゃんのお洋服を笑顔でほめたところで俺が選んだとCOしたら不安そうな目で俺を見て来た。

 なんや。ガチで選んだんやぞ。相澤先生が最初に選ぼうとした服を見たら俺がいてよかったって思うぞ二人とも。

 

「校長から文化祭に来る許可が下りてな。その上で……いきなり文化祭当日に来てびっくりしてパニック起こさないように一度来て慣れておこうって事になった」

「俺は付き添いだよね!」

「へーぇ。そりゃいいや。んじゃこれから見回る感じ?」

「だね! センたちも来るかい?」

「おー……そうね、練習中だけど。えっと、芦戸ちゃん……」

「ジジョー了解! じゃーちょっと休憩挟もうかァ! ティータイム!」

「助かるよ。あんがとね」

「いいってことよー! ずっと動きっぱなしもコーリツ悪いし! 私にも後で紹介してよーその子可愛いねェ!」

 

 話を聞けば今日はエリちゃんが学校の雰囲気を掴むためにも初めてのお出かけという事らしい。

 芦戸リーダーの了解も取れて、休憩の合間に俺とミリオ兄さんと緑谷の3人で学内を回ることになった。

 

「おー!? エリちゃん!! オッスオッス!! って俺の事は覚えてねーか!?」

「イグジストお姉さんから聞いてる……髪が赤くてかっちかちの、レッドライオットさん……」

「おー! そうそう、真の男を目指すレッドライオットだぜ! 元気そうでよかったよ!!」

「ちんちんまでカチカチって言わない理性がイクノにもあったか」

「ギリギリで踏みとどまった」

 

 演出隊も外に出てきて、その中でも切島はあの事件にかかわってるので挨拶をして。

 俺の方からもA組を何人か紹介してから、早速学内を案内することにした。

 

「それじゃお手手繋ごうねエリちゃん」

「うん」

「ハッハッハ! やっぱりセンに一番懐いてるなエリちゃんは!」

「相澤先生の次に一緒にいましたからね」

 

 文化祭が近くなって、どこの寮でも準備に大忙しだ。騒がしくなってる学内で万が一が在っちゃいけないからね。

 何かあれば俺とミリオ兄さんが盾にならねば。緑谷は鉄砲玉で。

 

「あれ、通形じゃん……と、一年の幾野だ」

「いとこだっつってたっけ……って子ども!?」

「ん、兄さんの知り合い?」

「ああ! 準備頑張ってるね二人とも!!」

「おぅ……っていうかお前その子なんだよ!?」

「通形……幾野……まさか!?」

(ニコッ)

(ニコッ)

「いや何か言えよガチっぽいな!?」

「どうしてこのタイミングで笑顔になれるの二人とも」

 

 ミリオ兄さんのご友人に笑顔で挨拶を返す。どういう勘違いをしているのか知らないけどエリちゃんは俺の妹だから。俺はエリちゃんのお姉さんだから。

 つまりミリオ兄さんが長男で俺が次男兼長女でエリちゃんが末の妹だ。俺たちは兄妹。俺たちは家族。嘘を言うな(次回予告)

 

「ま、冗談は置いといて……今年のI組はすげェからな! 通形も絶対来いよ! 君たちも!」

「おー、いくいくー」

「わ、すごい立派なフライヤー……!」

「こういうの良いっすね。手作りですか?」

「いや、懇意にしてる業者がいてね。紹介しようか?」

「いいんスか? そういやうちのクラス宣伝に力入れてないや。助かります!」

「いいよいいよ。今年は一年生大変だったもんな。後で教えるから……これ俺のアドレスね」

「あざます! 後でお礼に自撮り送りますね♥」

「嘘だろ?」

 

 絶望の表情を見せた先輩を差し置いて俺たちはエリちゃんとの見回りに戻った。

 いやしかし……いいな。いろんなクラス、色んな所が建物作ったり小道具作ったり……楽しそうだ。

 こういうの好きだな。ワクワクしてくる。

 

「まだ一か月前なのに慌ただしいですね!」

「みんな去年よりもすごいものを、ってね。『プルスウルトラ』で臨んでるんだよね」

「どうだいエリちゃん。歩き疲れてない?」

「大丈夫……です。見たことないもの、いっぱい……」

 

 エリちゃんの負担も気にしながらゆっくり歩くが、しかしまぁエリちゃんもこの活気には興味深そうに周りをきょろきょろ見渡している。

 いいぞ。どんどん興味を持ってくれ。成長の為には周囲への興味、関心ってのはとても大切だ。

 それを見失うと灰色の6年間を過ごすことになるって俺は知ってるからな。

 エリちゃんにはとにかくいろんなものに触れてほしい。隣にいてやりたいなって思う。

 

「……ってうわぁ!?!?」

「どわっ!?」

「ぴゃっ……!」

「おお、ドラゴンだよね!」

「すンません! ……って緑谷と幾野じゃねェか!!」

 

 そうして角を曲がったところで巨大な龍の頭が俺たちを出迎えて、緑谷も俺もエリちゃんも驚きの声を上げてしまった。

 見たらB組の奴らじゃねぇか。驚かせるんじゃないよーもー! 俺ドッキリ系苦手なの!!

 

「アレアレアレー!? こんなところで油売ってるなんて余裕ですかあァァ!?」

「緑谷、エリちゃん頼んだ」

「うん。エリちゃん、大丈夫だった?」

「ドラゴンさん*1かと思った……」

「オヤオヤ無視かい!? いいのかい!? 君たちA組はライブ──」

「───エリちゃんの教育に悪いから俺がその口ふさいでやるよ。目を閉じな物間くん♥」

「早くどこかへ行ってくれないかなァ!?」

 

 ちょっとエリちゃんの教育に宜しくない男が出てきたので一言で黙らせてやった。

 飯田のレシプロターボともいい勝負できそうなくらいの脱兎で逃げ出す物間。ウケる。

 緑谷がちゃんとエリちゃんの耳をふさいでたの偉いです。

 

「相変らず無敵だな幾野……ワリ、拳藤がいねーから歯止め利かなくてよ」

「気にすんな円場。……ってか拳藤ちゃんいないの? 委員長だろ、どしたん?」

「物間くんとセットのイメージあったけど……」

「今回は別! あいつはミスコン出るんだよ。無理矢理エントリーさせられて」

「あ、ミスコンか。なるほどね、そういやエントリーされてたな。俺の前の順番だったっけ」

「待てよ聞きたくもねぇ話出てきちまったよ」

「お前も出るのかよミスコン!? 女性限定の催しじゃねぇのアレ!?」

「LGBTQへの配慮を訴えながら運営本部に突撃したら参加OK出たわ」

「無敵にも程があるだろマジで」

「ゴメンねエリちゃん! 雄英の負の面が溢れてるね今ここね! アハハハハ!!」

「???」

 

 最後にB組のみんなの脳を揺らしてから、せっかくなのでミスコンに参加するねじれちゃんパイセンにも挨拶していこうという話になり、俺達はみんなでねじれちゃんパイセンのいる備品室へ移動することになった。

 

「ライバルの姿を見ておかなければ……」

「ミスコンがどうなるのか僕は不安でしかないんだ」

「俺もだよね! エリちゃんが見られるくらいには抑えといてねセン!」

「みすこん……?」

 

 どうして俺はそんなに信頼がないのだろう。

 任せろよ……ちゃんといい演出考えてるからよ……。

 こないだ良いの見つけたからそれで行くぜ。当日を楽しみにしててねエリちゃん。

 

 

*1
リューキュウのこと。一応事件の時に見てる

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