【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!!   作:そとみち

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連続投稿にしたのはバトル回はギャグ要素減るから説。


9 タイマン戦では無敵すぎ

 

 ビル全体が凍り付いている。

 これは轟の個性だな。とんでもねぇ火力だ、いや凍力か? 冷凍室みたいに部屋の気温が下がっちまってる。

 俺は個性で寒さも潜り抜けられるから問題ないけど、今俺の腕の中でお姫様抱っこされている葉隠ちゃんは全裸だ。相当冷えてしまっているだろう。

 

「さ、寒……!」

「葉隠ちゃん大丈夫……?」

「ふぁんっ……耳元で囁かないでぇ……!」

「あっ耳が弱点でした?」

「せ、センちゃんは寒くないの……?」

「スーツ着てるのと、そもそも寒さも潜り抜けられるから……」

 

 さて、なぜ今俺が葉隠ちゃんをお姫様抱っこしているかというと、実は作戦の途中だったのだ。

 まず訓練が始まって最初に、葉隠ちゃんを『俺のもの』だと認識する実験を始めた。

 さっき説明した通り、俺のものだと認識できている物は俺の個性の対象になるから二人で潜れる。便利。強い。

 そう説明して葉隠ちゃんをぎゅっと抱きしめてみたのだが、正面から抱きしめられると恥ずかしいという葉隠ちゃんの意見により失敗。

 

 じゃあ次はお姫様抱っこしてみるかと提案し、葉隠ちゃんの脚、膝の裏あたりと背中に手を廻して持ち上げたところ、太腿が想像以上に柔らかくてちょっと堪能してたらまた葉隠ちゃんが恥ずかしがり始めたのだ。

 ちなみに葉隠ちゃんは葉っぱのように軽かったです。名は体を表す(確信)。

 じっくり彼女の体温と重みを堪能しかけたよね危うく。

 

 因みに俺は他人を俺のものと認識できたことはないです。

 でもほら……わからんやん。

 峰田でしか試したことないから他の人なら出来るかもしれんやん……?(建前)

 

 単純に俺がボディタッチしたいだけでは? という真実に葉隠ちゃんが気づき始めたところで、『ウォールハック』により確認していた轟が壁に手を当てて、個性を発動。

 だがこっちはちょうどよく葉隠ちゃんを抱き上げられてたので、そのまま轟の凍結をやり過ごしたってわけだ。

 

 こっからが本番だな。切り替えるぜ。

 

「……障子のやつがどうも音でこっちを調べてる感じがある。声聞かれてるかもな。小声で喋ろう」

「わ、分かった……ここからどうする?」

「二人ともなんか全力で向かってきてるからとりあえず俺が迎撃する。葉隠ちゃんはもし抜かれた時のフォロー、見えない位置から奇襲できるようにしといて。柱の陰とかで」

「お、オッケー!!」

「下ろすよ、靴は履いたままで。インカム使うかもだから外さないで。体冷えたら無理しなくていいから」

 

 葉隠ちゃんを腕の中から降ろして、俺は凍り付いていた己の両足で無造作に歩き出した。

 脚は凍り付いていたが俺の個性の前には意味をなさない。さっき葉隠ちゃんにも話した通り、基本的に対物理なら俺は無敵だ。

 氷をすり抜けて、濡れも冷えもしていない。

 しかし今回はヴィラン側なので守るべき核兵器がある。無敵とはいえ必勝は約束されていない。

 油断して相手二人の内どちらかが核兵器の方に直接向かわれると厳しい。

 

 ってわけで、葉隠ちゃんの活躍の機会を奪ってしまうことになるけど、俺は二人を一気に仕留めるつもりだ。

 悪いが一瞬で終わらせる。

 迎撃するために部屋を出て、二人が昇ってくる階段で待ち受けた。

 

「っ……! 幾野、てめえ!」

「葉隠は無事なんだろうな幾野!?」

「待って心当たりゼロなんだけど!?」

 

 登ってくる二人と顔を合わせたらなんか二人ともキレ気味で俺の事を糾弾してきた。

 なんでや。葉隠ちゃんとはまだ健全なお付き合いやぞ!

 

「凍れっ!」

 

 間髪入れずに轟が俺に向けて氷をぶちかましてくる。

 が、その氷ブッパそのものが俺にとっては隙だ。他の奴なら氷でやられるんだろうが、俺に取っちゃ何も起きていないに等しい。

 そのまま氷に向かって走り、()()()()()

 

「ッ!? 何だと!?」

「何!?」

 

 驚愕に目を見開く轟と障子。

 俺は氷の中を駆け抜けて轟の顔面に蹴りを放つ。

 それを咄嗟に首をひねり避ける轟だが、それが俺の狙いだ。俺の脚で轟の視界を奪いつつ、手の内にある確保テープを伸ばす。

 それを轟の体に向けてぐるりと一周。

 

「やらせんっ……!!」

 

 しかし至近距離にいた障子が素晴らしく早い判断で俺の確保テープに手を伸ばし、巻きつけようとするのを阻止しに来た。

 ()()()()()。この確保テープは俺のもの。俺と同じように、潜り抜ける個性が発動している。

 障子の手もするりと抜けて、そして轟にはきっちりテープが巻き付いていく。轟自身も腕を振り回して抵抗するがその腕すら潜り抜けてテープを巻き切った。

 

「ほい一丁あがりっと」

『轟少年、確保だ! それ以上動かないようにな!』

「……はぁ? どうなってやがる……!」

 

 よし、一名確保。

 次はお前だ障子くん。そのタコ腕を亀甲縛りにしてやるぜ。

 

「……幾野、やはり只者ではなかったか」

「入試主席だぜ? 舐めんなよ」

「欠片も舐めてなどいるものか……俺はあくまで勝ちを狙いに行く!」

 

 障子と軽い会話を交わし、続いて俺が飛び込もうとしたところで……障子は俺との戦いではなく、勝利を求めて行動した。

 ビルの外に続くガラス窓に飛び込んだのだ。

 

「っ!? やるじゃねぇか!」

 

 無論、それは逃走の一手などではない。

 あの複腕であればビルの外壁を伝うことは可能だろう。『ウォールハック』で見れば、すぐに凍り付いたビルの外壁に張り付いて、核兵器のある部屋を目指そうとしているのが分かった。

 成程、とっさの判断にしては悪くない。けど、そこまでだ。

 

 俺は壁に向かって走りながら、耳に手を当てて()()()()()()()

 

「葉隠ちゃん!!! ()()()()だ!!! 今だッ!!! やれッッ!!!」

「む!? 奇襲か──!?」

 

 俺がインカムに向けてわざと大きく叫んだ声は、壁の向こうの障子にも聞こえたのだろう。

 咄嗟に障子は複腕に目と耳を生成し、葉隠ちゃんからの奇襲に備えた。

 流石だ。冷静な判断力が障子の武器なのだろう。猪突猛進しないその判断、そうだ。

 ()()()()()()()()()()()()()

 

「っ嘘だよ悪いなっ!!」

「なっ、幾野!?」

 

 俺はビルの壁に潜り込み、そのまま外壁まで抜けてそこにいる障子の顔の真正面に顔を突き出した。

 この一瞬の驚愕で更に隙を生む。障子は外壁を複腕で掴んでいるので体勢が崩れている。

 腕の一本を振るい俺を迎撃するが、その拳は俺の胸に吸い込まれるようにすり抜けて、俺はそのまま確保テープを障子の体に巻き付ける。

 抵抗も空しく、テープをぐるりと障子の体に巻き付けることが出来た。

 ゲームセットだ。

 

「────悪い。レベルが違い過ぎた」

「くっ……!」

『……勝負アリ!! ヴィランチーム WINっ!!』

 

 オールマイト先生のアナウンスが流れ、俺達ヴィランチームの勝利が決まった。

 

 


 

【side オールマイト】

 

 

「すっげぇ!? 何だ今の個性!?」

「轟の氷で一気に決着かと思ったけど、幾野の動きがワケわかんねぇぞ!?」

「ケロ……すり抜ける? いえ、触ってはいるのね……峰田ちゃん、アレどうなっているのかしら」

「んー? 見ての通りだよ梅雨ちゃん。説明は面倒だから後でイクノ本人に聞いてほしいけど、基本的にアイツは無敵なんだ。チートってやつだよチート」

 

 私は第二試合の経過を有精卵たちと眺めながら、決着がついたところで彼らの勝利を宣言した。

 しかし、資料では見ていたが……幾野少年の個性はすさまじいな!

 『潜行』と個性届には記載があり、確かに入試試験の際は敵ロボの体に潜り込んで次々に倒していく姿を見たが……まさか氷まですり抜けるとは!

 どうにも葉隠少女の姿も見えているような節もあったし、もしや個性までもすり抜けているのか? この私の観察眼を以ても全容が察しきれないとはね!

 もしあらゆる物理攻撃に潜り込めるとするならば、彼は峰田少年が言うように『無敵』だ。この私ですら本気で殴ってもダメージを与えられないかもしれない。

 

 ああ、だが、それは決して「万能」を意味するものではない。

 彼にとって敵はいないだろう。だが、それで人々を守れるか? 迅速に災害現場に駆け付けられるか? ヴィランを倒せるか? それはまた別問題だ。

 無敵ではあるが、出来ないことはある。先日の体力テストのように、彼の個性もまた向き不向きがはっきりとしている。

 極めて有用な強個性ではあるが、ヒーローとしてさらなる成長を見込むためにまだまだ教えられることはいっぱいありそうだ。

 楽しみだな、幾野少年!

 

『んもー! 私の出番なかったよー! センちゃんの声うるさかったし! 鼓膜破れるかと思った!』

『ごめんて。や、でも葉隠ちゃんが透明だったから最後の陽動が使えたところもあるしさ。葉隠ちゃんはそこにいるだけでいいのです。脚大丈夫?』

『寒いだけで大丈夫ー! でも超寒いー!』

『俺に抱きついてもええよ。葉隠ちゃんは今度透明になるコスチューム作ってもらえば? 自分の髪とか混ぜて服作るといいって()()に聞いたことあってさ……』

 

 画面の向こう、インカムを通して喋る内容は私にだけ聞こえてくる。

 ふむ、そういえば幾野少年は現在雄英の三年生である()の従弟であったな、血縁上。

 確かによく似た個性ではある。使いこなす方向が違うが、いつかは二人を戦わせてみるのも面白いかもしれないな。

 まぁ、それはいつかの未来の話だ!

 今は私にとっての初授業をしっかりとやり遂げなければね!!

 

「よォし! 轟少年が氷を溶かしてくれたがビルがびしょ濡れになったので場所を変えよう! 次は常闇・蛙吹ペアと八百万・峰田ペアの勝負だ!!」

 

 次の訓練のくじを引き、出てきた内容を確認した。

 ふむ、そういえば峰田少年も幾野少年と同じく、首席での合格だったな。

 同じ中学の出身で友人であるとも聞くし、彼の事もちょっと注目したくなるな、おじさんは!!




(謎の従兄)<俺の従弟が性癖捻じ曲げに来るんだよね! 前途多難!!

彼の出番は随分先になると思います。
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