【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!!   作:そとみち

90 / 177
90 飼い犬に手を噛まれる(慣用句)

 

 

 ねじれちゃんパイセンと天喰先輩がミスコンの準備してる備品室にやってきた。

 そこにはドレスを身に着けてふわふわと浮くねじれちゃんパイセンと、それを撮影する天喰先輩の姿が。

 

「う、美しい……ハッ!? この俺が心の底から美を認めてしまっただと!?」

「幾野くんからユダみたいなコメント出てきた」

「彼女は去年の準グランプリなのさ! エリちゃん奪還作戦の時にもいてくれたよね!」

「ねじれお姉さん……?」

「あ! ねェねェなんでエリちゃんいるのー? フシギ! 何で何で?!? 可愛いねー楽しいねー!」

「あまり動かないでくれ波動さん……ポスター用の写真が撮れない……」

 

 エリちゃんに気付いたねじれちゃんパイセンがふわーっと近づいてきた。

 エッッッ。エロすぎんか。そのおっぱいをそんな薄いドレスで包むなんて噛み合いパーフェクトかよ。いちご大福といい勝負できるわこの薄皮。

 いかん……! このドレスとこの可愛さに俺は勝てるのか!?

 ちょっと練り直すしかねェなこれ! 奇をてらう方向で行くか!?

 いや奇をてらう方向に行くと絢爛崎美々美パイセンに負けるか……!? 去年のインパクト凄かったらしいからなミリオ兄さん曰く。

 

「波動先輩はお顔もプロポーションもお綺麗なのに、それでも準なんですね。すごい勝負してるんだなぁ」

「そーなの聞いて! 聞いてる!? 毎年勝てないんだよー絢爛崎さん! 悔しいの!」

「彼女以外にも、CM出演で隠れファンが急増しつつある拳藤さんも出るし……何よりこの大問題児の幾野が出ると聞いている。そうなんだろう?」

「出ますね。ねじれちゃんパイセンもライバルですね! 負けませんよ!」

「男の子なのに出るんだ!? 不思議! でも可愛いもんねーイクノくん! 負けないよー私負けないよ! 今年は絶対優勝するの! だって出られるの最後だもん!!」

「──できるさ、波動さん! 俺はセンのお兄さんだけど、今年は波動さん応援するよね!」

「かまへんよ兄さん。俺だってやれる限り本気で行きますからね! 負けへん!」

「見る人の脳が破壊されないか今から心配でならないよ僕は……でも、先輩も頑張ってくださいね!」

「…………」

 

 俺はねじれちゃんパイセンの強い勝利への想いも受け取りつつ、その上で本気で行くぜと宣戦布告をした。

 体育祭の時と同じだ。勝負ってのはお互いに本気で挑むからこそ結果が尊ばれる。俺がねじれちゃんパイセンを気遣って手加減などしようものならパイセンにビンタされてしまうだろう。

 やれる限りで勝ちに行くぜ。

 そしてそんな俺達をじーっと見てたエリちゃんを連れて備品室を出ていった。

 

 


 

 

 俺たちが来た次の所は。

 

「さて次は……サポート科だよね!! 彼らは全学年一律で技術展示会を開くんだ!」

「これ知ってます! 毎年注目されてますよね!」

「ほえー。じゃあ発目ちゃんなんかやる気だろーな……」

「───そう!! その通りですよイクノさん!!」

 

 騒音が大きいのでエリちゃんの耳をそっと塞ぎながら作業する光景を眺めていたところ、後ろからいつもの声が聞こえて振り返る。

 そこには……うん?

 

「ねぇ発目ちゃん。なんか……遠くない?」

「今は近寄らないでくださいイクノさん」

「ナンデ!?」

 

 いつもは胸に飛び込んできてくれる発目ちゃんが何故か今日は大きく距離を空けていた。

 どうして。なんかすごい懐いてた大型犬にそっぽ向かれたような悲しさが俺の胸の内にある。

 

「……あれ、発目さんなんかちょっと油で汚れてる……?」

「女子にそういう事言っちゃダメだぞ緑谷」

「いえ、自覚しています! おフロに入る時間も勿体ないので! ですがそういうわけでイクノさんは近づかないでください!!」

「アッハイ。完璧に理解したわ。ごめんな気が回らなくて」

「いえいえ!! 今後は急にイクノさんが来た時にも大丈夫なように一瞬で体を洗えるベイビーを後で開発しておきましょう!!」

「そこから開発意欲につなげるのはすごいね!」

「洗うのはいいけどちゃんと周りから見られないようなベイビーにしようね」

「その発想はありませんでしたね! そうしましょう!!」

 

 しかし緑谷が零した言葉に、なるほど見ればちょっと油汚れや煤の汚れが普段よりもひどいかもしれん。

 開発中は割と顔とか汚れちゃってるから俺がたまに濡れタオルとかで拭いてたりしたのだが、まぁお風呂に入ってなくてまだ温かい季節に腋全開のタンクトップとなれば女子は気にするか。

 そこに興奮を覚えて迫るほど俺も鬼畜ではない。ここは大人しく遠目に見守る事にしよう。

 

「ドッカワベイビー第345子の開発中なのです! どんどんアイディアが湧いてきて楽しくてですね! 体育祭はヒーロー科に対する副次的なアピールチャンスの場でした……が! 今回は私達が主役の場を与えられているのです!! より多くの企業によりじっくり我が子を見てもらえるのですから恥ずかしくないように仕上げなくては!!」

「おお……! 発目さんのそのやる気は流石だね!」

「うんうん、発目ちゃんのそういう所マジで尊敬してるわ。実験とかで俺が必要になったら呼んでいいからね。すぐにってなると難しいかもだけど、事前に相談貰えれば時間作れるからさ」

「助かります! その時はぜひお願いしますイクノさん!」

 

 発目ちゃんもものすごい乗り気なようだ。仮免を取得してからというもの、使える技術が一気に増えたから発想も開発力もすさまじい成長を遂げている。

 あと何気におっぱいも成長を遂げている。

 いや……5月の体育祭の頃とか6月の出会ったころと比べると……なんか……おっきくなってるよね発目ちゃん。間違いなく。

 今の時点で八百万ちゃんとタメ張れる戦闘力なのにさらに大盛りになったらどうなっちまうんだ。タンクトップでいたら俺以上に男子の性癖を壊すぞこの子。

 厚着を覚えさせるべきだろうか。冬場を越えたら提言してもいいかもしれない。なんか父親みたいな気持ちになってる。

 

 さてそんな邪な目を向け過ぎぬように努めて開発中のベイビーなど見ていると、なんかガガ……と第345子が僅かに揺れだした。

 ん、これは……。

 

「発目ちゃん。その子の頭っぽい所のクリアパーツの裏側の配線が抜けかけてるかも。そのままだと爆発する可能性ある」

「ん! おや、先ほど立ち上がらせた時の衝撃で抜けてしまったでしょうか!? 確かに配線固定のパーツはまだつけていませんでしたね!」

「近づかないでね、爆発に巻き込まれちゃうから。ちょっとしっかり差し込んでくるよ」

 

 開発室でよく見た光景だ。爆発の前兆である。

 で、俺もそういう前兆が見えたらウォールハックでなんかおかしなところとか火花出てるところないかを探す癖がついていた。今回は明らかに配線が抜けかけてるのが見えたので多分間違いないだろう。

 エリちゃんをミリオ兄さんに預けて、俺は素の力で跳躍して、個性使ってあらゆるものを無視して抜けかけてた配線の箇所へ。そのまま素手で漏電しかけてる線を掴んで繋ぎ直す。

 慣れたよねこういうのも。週に1回以上は発目ちゃんと子作り(恣意的表現)してるからね。

 そのまま発目ちゃんの近くに着地……したけどやっぱりすごい勢いで距離を離された。ごめん。

 

「ありがとうございます!! 最近はイクノさんも機械知識が分かってきてくれてて本当に助かってますね!!」

「こっちも知識が増えてるからwinwinだよ。そんじゃ俺達はエリちゃんの学校紹介に戻るから。開発頑張ってね発目ちゃん」

「はい!! 緑谷くんも漫画みたいな顔の方も女の子もよかったら発表会見に来てください!」

「うん、ありがとう発目さん! 前に作ってもらった腕のアイテムもすごく助かってる!」

「センがいつもお世話になってるよね! 俺も何かアイテムお願いしてみようかな!」

「イグジストお姉さん、知り合いがいっぱい……」

 

 次なる爆発が起きる前に俺たちはエリちゃんを連れて開発室を脱出した。

 

 


 

 

「誰との子だ?」

「真顔で言えるあたりお前も俺に慣れて来たよな心操」

「シャクだけどな」

 

 途中、1-Cの普通科がお化け屋敷を作ってるところにすれ違い、心操に挨拶したところで一言目がこれだよ。

 こいつも楽しそうだ。ヒーロー科への編入を強く希望してるという話で普通科の面々と仲良くやれてるかちょっと心配だったけど杞憂だったか。

 まぁ根っこがいいやつだからな。皮肉屋だけど。顔もいいし。タッパついてきたから力仕事でも活躍してるようだ。

 

「瀬呂に聞いたけど、お前ホラー系苦手なんだってな?」

そそそそんなことはあらへんよ!?!? おのれ瀬呂め!! ある事ない事言いふらしよって!」

「そうなんだ……幾野くんにも意外な弱点」

「センはホラー大嫌いだね! 映画とかもとにかくホラーは見たくないって言ってたもんね!」

「ホラー……?」

「エリちゃんにもまだちょっと早いかな! 大人になったら楽しめるものさ!」

「当日は絶対ウチこいよな、葉隠連れて。バカップル共を楽しませてやるよ」

「遠慮してェ~っ!!」

 

 くっそ。俺がホラー苦手な情報が心操に漏れてやがった。

 許さんぞ瀬呂。今夜は自撮り送ってやる。

 したり顔の心操にんべーっ! と舌出してやんわりお断りしつつ、またしても俺たちは学内の案内に戻った。

 

 


 

 

 さて、そうしておおよそ見回って、随分歩いたのでエリちゃんに一息つかせるためにランチルームで飲み物を頼んで休憩する。

 いやー、どこも楽しそうでしたね。エリちゃんも何かワクワクしてくれてたら嬉しいけどな。

 飲み物をストローでちうちう呑んでるエリちゃんに、ミリオ兄さんが声をかける。

 

「まーこんなもんかなァ。どうだいエリちゃん、慣れ……っていうか、どんな感じがした?」

「……まだ、よく……わからない……」

「んー。まぁ今日はまだ初めてだからね……」

「けど……」

 

 お。

 

「たくさん、いろんな人ががんばってたから、どんなふうになるのかなって……」

「おぉ。エリちゃん、それはね──」

「──それを人はワクワクさんと呼ぶのさ!」

 

 エリちゃんが明らかに興味を持ち始めていたので俺も緑谷もミリオ兄さんも笑顔になり、俺がその気持ちの正体を伝えようと思ったところで急なカットインが。

 いい所でクソッ! と思ったらこの声は……校長やんけ!! ミッドナイト先生もおるやんけ!!

 校長がめっちゃ勢いよくチーズ食ってる。ふと思ったけど校長チーズばっか食べてて栄養とかそういうのは大丈夫なんすか??

 

「有意義だったようだね! 文化祭は私もワクワクするのさ!!」

「楽しみですよねぇ、ホントに」

「うむ! 多くの生徒が最高の催しになる様に励み、楽しみ……楽しませようとしている!」

「ケーサツからも色々ありましたからねェ」

「ちょっと香山くん。……じゃ! 私は先に失礼! 君たちは文化祭を存分に楽しんでくれたまえ!」

 

 速攻でチーズを食べ終えた校長はやはりお忙しいのだろう、先に食事処を出ていってしまった。

 残されたミッドナイト先生。なんか表情がちょっと暗くないっすか?

 

「……何かありました?」

「──……詳しくは言わないけど……校長、かなり頑張ったみたいよ。上ともめて、その結果セキュリティの更なる強化や──」

 

 詳しくは言わないと言いつつミッドナイト先生が結構詳細に教えてくれた今回の文化祭の事。

 まぁやはりヴィラン連合の動きが活発になってるし雄英が狙われているのもあり、警備がめっちゃ厳しくなっているということ。

 警察からの指導で、警報が万が一鳴った場合はそれが誤報でも即座に文化祭は中止されて避難、という形になっている。

 うーん、そりゃ校長も大変だったな。まぁ生徒側が言う話ではないけど、やっぱりこれ以上生徒が襲われたなんていったら雄英どころかヒーロー全体への影響もデカいしな。警察の気持ちもわかるし、それでも開催してくれた校長には有難いとしか言えない。

 もちろん警備も先生方が厳重に行ってくれているそうだ。何事もないことを祈ろう。

 大丈夫やろ。緑谷が今回は単独行動しないしな。なにがあっても俺達が止めればへーきへーき。

 

「そうそう! A組の出し物、職員室でも話題になってたよ! イレイザーも混ぜてやったらどう?」

「実は俺がもう打診してNG食らったんすよ。見た目的に混ざっても問題ないのになぁ!」

「あっはっは! イレイザーなら言いそうね。……青春ね、頑張ってね!」

「はい! 有難うございますミッドナイト先生!」

 

 そうなんだよね。せっかくダンスだし相澤先生も混ぜてやろーぜ! ってノリになって俺と芦戸ちゃんで話に行ったら絶対ヤダって断られちまったんだよね。

 教師も含めた一体感を演出したい所はありました。やむなし。

 

「A組……イグジストお姉さんと、デクさん……何するの?」

「僕たちはダンスと音楽!」

「俺らはダンス組だからめいっぱい踊るのさ!」

「ダンス……」

「エリちゃんにも楽しんでもらえるよう頑張るから!」

「必ず見に来てくれよな、エリちゃん!」

「……うん」

 

 最後にエリちゃんが俺達A組の出し物に興味を持ってくれたので緑谷と俺でこれでもかと推して、エリちゃんも見に来てくれることを約束してくれた。

 そして俺らの休憩時間もそろそろ終わりそうだったので後はミリオ兄さんにエリちゃんを任せて寮に戻った。

 

 


 

 

 緑谷と俺が寮に戻ると、そこには。

 

「…………」

「えっ何この空気」

「アシドさんなんでMIBな格好になってるの!?」

 

 沈痛な面持ちのみんなと、MIBっぽい黒スーツにサングラスをした芦戸ちゃんが待っていた。

 えっ。この短い時間で何があったのマジで。変な光見せられて記憶飛ぶ流れ??

 

「緑谷……」

「えっ僕!?」

「─────クビです」

 

 緑谷の方に芦戸ちゃんの手が置かれ、クビの宣告がなされた。

 えっ。どうした急に。

 

「クビ! っていうか厳密にはァ! 演出隊からの引き抜きです! 人手が足らんのだと!」

「なぜ僕に……? ついさっきエリちゃんに踊るって言っちゃったよ……」

「流石にさっき約束してきたばっかりで急にこれはなぁ。……具体的に教えてくれる?」

 

 さっきエリちゃんに俺と緑谷が二人で踊るって伝えた直後にこんな話を聞かされちゃ俺も黙っていられない。

 で、まずは芦戸ちゃんと青山、演出隊からの話を聞いた。

 

 ふむ。

 青山をフロア全体に行き渡らせるために、人力で動かせる力担当が欲しいというわけで。

 で、そこにパワー系個性のフルカウルが使える緑谷が抜擢されたというわけだ。

 青山も最初はダンスから始まるから、青山が離脱するタイミングで緑谷も離脱して、あとは梁の上で青山をぶらさげて走る係になると。

 

「つまりクビとは出番が削れるって事ね……」

「ワリィ!! おめーの練習をムダにしちまうが……どうか頼まれてくれねェか!? 更に良いもんにしてェんだ……!!」

 

 事情を聴いた俺達に切島が手を合わせて頭を下げてきた。

 うーん。確かに演出がさらに良くなるだろうということは分かる。青山が360度に光を放ちながら体育館を往復すりゃ盛り上がるのは間違いないだろう。

 力仕事という面で言えば緑谷以上のパワー系の個性はクラスにはいない。常闇がいればかなり行けそうだけどあいつはバンド隊だし。

 梅雨ちゃんも舌使えば行けるんじゃないかと聞いてみたが、梅雨ちゃんはより繊細な微調整が必要な麗日ちゃんを運ぶ役割らしい。なるほど、それじゃしょうがないな。

 発想も、言ってることもわかる。それが出し物をよりよいものにするためのお願いだということもわかる。

 

 けど俺が納得できん!

 

 二人でエリちゃんにダンスを見せるって言ったのに、片方だけ出番が削れちまうってのは俺が納得できません。

 なので俺は口を挟んだ。みんなにとってよりよい提案をするために。

 

「……ちょっと意見いいか?」

「ん、イクノ」

「さっき言った青山の上下左右に動かすのってさ、別に緑谷じゃなきゃいけない理由もないじゃん。俺もやれるじゃん」

「……あ! そっか! 幾野なら重さも無視できんのか!」

「君の個性は使い方が多岐に分かれ過ぎてて思いつかなかった☆」

「えー、でもイクノのダンスなくなるのは流石にあれぞー!?」

「僕も流石に幾野くんを差し置いて踊ろうとは思ってないよ!? その、僕の為を想って言ってくれてるのは嬉しいけど……!」

「ちゃうねん。俺だって踊るってエリちゃんにも言ったし透ちゃんとも踊りたいから全部ってわけじゃないんだわ」

 

 まず青山運搬役だが、緑谷じゃなくて俺も間違いなく出来るのだ。

 むしろ俺の方が絶対上手く出来るまである。緑谷は人ひとり分の重さを梁の上を走りながらパワーで無理矢理となるので相当大変だが、俺は重さを無視できる。

 無視されてる青山の重さ自体がなくなるわけじゃないから、青山が自然にぶらぶらと揺れるのはそのままで行けるので大きく振り回すことも可能だろう。

 

 で、勿論だけどじゃあ俺が緑谷の代わりにずっとやるかってのもまた違う。

 

「緑谷が動かす時間と、俺が動かす時間で半々にしようぜ。で、作業交代の時の俺らの脱出シーンや再登場シーンなんかも凝ってみてさ……ヒーロー着地からの拳上げる動きを、マジで梁の上から飛び降りてやるんだよ。俺も緑谷も梁への移動も着地も全然問題ないから、曲に合わせてズドン! と中央に降りてからのグッ! ってさ。より盛り上がらねーか?」

「……おお、おー!? なるほどな! そりゃ確かにアツいな!!」

「仕事をした分目立つ☆ 妥当な線だね☆」

「あーそれアリな! ありよりのアリー! 緑谷もフルカウルの電撃で目立つし、イクノも当然目立つし! あーそれよきよきよー! よくよくよー!! それにしよ!!」

「んで俺が青山動かす時は俺がずっと上にいるんじゃなくて、ロープの一部の摩擦を『無視』させれば俺と青山を梁から左右にぶら下げる形で二人で滑車みたいに移動出来そう。俺なら光ってなくても空飛んでるだけで目立つでしょ」

「あははは! 空中散歩勢がどんどん増えるー!」

「悪くねぇな……! それも他の演技との兼ね合いや見せ所も考えて候補に挙げてみっか!!」

 

 二人で仕事を分けて、その上でさらに目立つシーンを貰えればいい。

 緑谷も俺も体育館の中くらいならいくらでも自由に飛び回れる。交代する瞬間はどちらかが壇上の中央に飛び降りてヒーロー着地からのガッツポーズを決めれば盛り上がること間違いないだろう。

 俺はさらに青山運搬はロープを軸に二人で梁から吊るされて、ロープの摩擦を上手く無視してしゃーっと滑車が流れるように二人で移動することも出来る。

 その時に俺が透ちゃんを抱えていけばミラーボールが二つにも出来んじゃね? 集光屈折ハイチーズの出力を調整すればキラキラッと瞬くように光ることも透ちゃん最近できるようになったし。

 

 緑谷の出番も削れすぎない。見せ場も増える。

 俺の見せどころも増える。

 全体の演出も出来ることが増える。

 三方一両得になった。OKパーフェクトプラン!

 

「……幾野くん。いつもホント、ごめんね」

「なーんも謝られることない」

「そう……だったね。うん、有難う!」

「いいってことよー!」

 

 緑谷の謝罪にはふんす! と鼻を鳴らして受け取らず。

 その後に笑顔と共にくれたお礼はこっちも笑顔で受け取った。

 エリちゃんを笑わせてやりてぇからな。俺もお前も。

 

 洸汰くんの時に、俺達が最後までできなかったことを。

 今度こそやり遂げてやろうぜ。

 

 

 

 

 そうしてその日もまた一生懸命練習して。バカやって騒いで楽しんで。

 最高に盛り上がる文化祭の日が、刻一刻と近づいてきていた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。