【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!!   作:そとみち

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91 シュール系CMって基本的にハズレがない気がする

 

 

「動画編集がキツい?」

「はい。いや、火をつけた側からこういう話切り出すのマジで申し訳ないの塊なんですけど……最近文化祭の練習とかもあってちょっとペースがキツくなってきてまして」

「文化祭が終わったら余裕ができるかっつったらまた微妙なんすよね。オイラ達インターンの回数減らして文化祭の練習してるようなもんスから、文化祭が終わっても動画編集の時間増やすよりもインターンの時間増やしたいところもあって」

「あー……そうよね。んー……」

 

 文化祭が始まる一週間前のインターン。

 今日は俺と峰田以外のメンバーは流石に文化祭の練習のほうが忙しく、誰もラーカーズには参加していなかった。

 文化祭が終わるまではこのインターンが最後だ。今日以降は文化祭の方に注力させてもらうことでマウントレディにも了解を貰ってる。

 

「……確かに、動画を撮るようになって編集がどれだけ難しいかってのは私もちょっと触っただけで分かったからね。アンタたちにそれで負担掛かっちゃうようだと力の使い方間違えてるわ。判ったわ、じゃあしばらくは動画投稿の頻度を減らして……そういう動画編集関係で働いてくれる人を探してみます。儲けてるしね最近は」

「すんません! バズらせた上にわがまま言って申し訳ないですけど……!」

「オイラ達もまぁ実を言えばここまで人気出るとは思わなかったもんで」

「分かってるわよ、大丈夫。私も実際かなり人気が出たし……こないだアンタたちと一緒に撮ったCMなんて私だけじゃ絶対声かけられなかった案件でしょうしね。人気が出たのはいい事だから無理は言わないわ。今まで編集お疲れ様」

 

 マウントレディが了承してくれたので俺たちは揃って頭を下げた。

 正直な所動画編集の大変さを舐めていたところがあった。ラーカーズのチャンネルも人気がかなり出たので手を抜くわけにもいかず、しかし定期的な動画配信はやはり相当時間が食われる。

 睡眠時間等を考慮しても、文化祭の後もずっとやり続ける……となると時間の使い方が違うな? ってなり、マウントレディもそこは理解してくれた。優しい……すき……。

 

 因みにCMの件だが、なんと国内の超有名な食品会社からマウントレディと俺達にオファーが入ったのだ。先日収録した。

 内容は以下の通りである。唐突な台本形式。

 

 

 

【会議室の一室】

 

 

 マウントレディと営業担当が打合せをしている。

 資料を見て凄い微妙な顔のマウントレディ。

 

Mレディ「……マジでこれ言ってます?」

営業担当「マジです」

Mレディ「………………やります」

 

 

【シーン切り替わり】

 

 

 キレ気味の顔のマウントレディ。コミカルな演出が背景に流れる。

 

Mレディ「ソースどこよ!? ソース出しなさいよソース!?」

 

 エフェクトと共に出てくる中濃ソース。CMの中心となる新商品だ。

 

Mレディ「なんでさらっとソース出てくるのよ!?」

 

 

【シーン切り替わり】

 

 

 新商品のソースの紹介がマウントレディの声で流れる。

 ギャグ顔から変わり、ちゃんとした美人顔のマウントレディがソースを手に紹介する。

 

Mレディ「新商品の中濃ソース! さらっとソースが口当たりバッチリ! 芳醇な甘さがやみつきで止まらない!」

Mレディ「コロッケに、お好み焼きに! 貴方の食卓にもう一味の彩を!」

 

 ナレーションによる新商品のソースの紹介。

 

 

【シーン切り替わり】

 

 

 ちゃぶ台を挟んでイグジストとグレープジュースが雑に学生らしくがつがつ食事をしている。

 

イグジス「うっめ」

グレジュ「ソースうっめ」

 

 シュールな雰囲気でCM終了。最後に企業のロゴマークとコール。

 

 

 

 

 あの企業正気じゃねぇよ。

 いやまぁ……ウケるかどうかで行ったらウケるだろうけど。マウントレディの伝説のドッキリ生配信はもう完全にネットミームになってるし。

 文化祭終わったころからテレビに流れる予定なんだって。

 俺も峰田も人生初のCM出演だなぁ。

 八百万ちゃんと拳藤ちゃんとの差がなんでこんなについたのかなぁ。

 

「じゃ、その辺りは近いうちに告知して……後は今日は普段通りの仕事ね。パトロールの方で頑張ってもらうわよ、二人とも」

「うっす! 頑張りましょ!」

「渋谷はオイラ達が守護るからよォ!」

 

 そうして俺たちは改めて本日のヒーロー活動に入るのだった。

 めっちゃ活躍してやった。渋谷でもマジで俺らの顔売れてきたな。もっと頑張るぞい。

 

 


 

 

「ただいまー」

「ただいま。ワリーな練習参加できなくて。順調?」

「お帰りー二人とも。ダンス組はだいぶ仕上がって来たよー! イクノも峰田もキレ出てるから今日くらい問題ナシナシ!」

「悪いね芦戸ちゃん。いつもお疲れ」

 

 夜になり俺らは寮に帰って来た。

 みんな今日もバッチリ練習してたみたいだな。爆豪ちゃんが上鳴とバンド中の演奏について本気での討論をしていた。お互い本気だから前向きな話だ。

 ダンス組もまぁ随分と頑張ったようで疲労がたまってんな。今日はもうお風呂みんな入っちまったようだから、明日のお風呂は入浴剤ぶち込んどくか。明日も練習だし。

 

「……ん、今日のお茶良い香り」

「わかりますの!? お母様から仕送りで頂いた幻の紅茶、ゴールドティップスインペリアルですの! 皆さん召し上がってくださいまし!」

 

 耳郎ちゃんが八百万ちゃんが入れてくれてる紅茶の香りに反応したところ、八百万ちゃんがぱぁっと笑顔になり、なんかすごい紅茶を淹れてくれていた。

 ゴールドチップ……うん、わからん。ゴールド紅茶と覚えておこう。お高そう。

 

「俺もいただいてから風呂入るかな。峰田も飲むか?」

「オイラも飲むわ。高そうだし折角だからな。八百万サンキューな」

「ええ、疲れも取れますわ! どうぞ召し上がってくださいまし!」

 

 風呂に入る前にちと落ち着いて俺らも紅茶を頂くことにした。

 カップを準備して。ティーポットに紅茶を注いでもらって。

 よし。俺の得意技を披露しよう。

 ティーポットを片手に、峰田のカップをもう片手に持ち……高い所から注ぎ入れる! ジャンピングっていうんだぜ!

 

「メイド服を着てないのが悔やまれる」

「やると思った。中学時代に練習してたよなムダに」

「おお幾野!? スゲーな全然零れてねぇ!」

「顔がいいから普通に様になるな……」

 

 もう慣れたもんですよ。こういう所器用だからな。

 峰田のカップに綺麗に紅茶を注ぎ終えて、俺は周りから拍手をもらってにっこりだ。

 

「お見事なものですが……ちなみにイクノさん。紅茶を高い所から注ぐのは純粋にお湯の温度が下がって風味も落ちますし、ジャンピングは紅茶を沸かす際の技法であって注ぐ際の技法ではございませんわ」

「えっマジ?」

「知らんかった」

「零れても大変ですから次からは遠慮してくださいませ」

「んにゃぴ」

 

 そして八百万ちゃんに世界の真実を教えられた。

 マジか……何か美味しくなるもんだと思ってた。知らんかった。ごめんね。

 あ、でも紅茶マジで美味いな。あまり紅茶の良し悪しとか分からんけど間違いなく美味いなってのが分かる。

 うっま。

 

「デクくーん! ヤオモモちゃんのお茶飲まんの……」

「アイテムつきオールマイト……アイテムつきオールマイト……! 僕としたことがそんなレアマイトを知らないなんて不覚も不覚……グッズは? 画像……ない……動画で残ってはいないか??」

「ヒッ!?」

 

 配膳してくれてる麗日ちゃんが緑谷に声をかけたというのに緑谷の奴は紅茶キメる前にオールマイトキメてた。

 そりゃ悲鳴も上げるわ。オールマイトオタクがよ……麗日ちゃんに優しくしてやれよクソがよ。

 仕方ねぇちょっといやらしい雰囲気にしてきます! と俺も立ち上がり緑谷の方へ。

 

「紅茶の動画? タイムリーなー。ハイこれ、幻の紅茶だって。ヤオモモちゃんの」

「わ! ごめんありがと! ……って幻!? 八百万さんいただきます!」

「ええ、味わってくださいませ」

「緑谷ー、オールマイトの動画に集中するのもいいけど麗日ちゃんはお前───ってあれ。紅茶動画?」

「あ、幾野くん。ううん、ちょっと誤タップしちゃって」

 

 そうして緑谷と麗日ちゃんのほうに言ってみれば、なんかオールマイト動画じゃなくて紅茶のカップの動画が映されてた。

 めっちゃ零れてるじゃん。汚いな。

 

『───私は仕事前と後、仕事の大きさによってブランドを選ぶ。そしてこのお茶は高級紅茶ロイヤルフラッシュ……つまりどういうことかお分かりか?』

『違いの分かるジェントルかっこいいって事!?』

『次に出す動画は、リスナーだけではなく社会全体に警鐘を鳴らすことになる……心して待っていただきたい!』

 

 動画の向こうではなんか紅茶呑んでるヒゲのおっさんがステインみたいなこと言ってた。で、動画終了。

 ……え。

 

「短っ」

「……この人……」

「有名な人なん? 評価の割合えぐいけど……」

「僕も何となくしか知らないけど……迷惑行為で一部じゃ有名なヴィランだよ。なんだかんだ動画まで出して捕まってないのはすごいんだけど────」

「……待て緑谷。こいつの他の動画ねぇか? ちょっと見せて?」

「え、幾野くん? なに、このヴィラン知ってるの?」

「いや初見なんだけどさ……」

 

 俺は緑谷の後ろから手を伸ばし、チャンネルに表示された他の関連動画を再生する。

 コンビニに強盗してるクソみたいな動画で、内容自体は早く捕まれボケとしか思えないそれだったんだけど。

 そこじゃなくて。

 この、編集技術が。

 

「……え、すげ。カメラワークもそうだけど編集のカット技術とか見やすい字幕の使い方とか慣れてんなコイツ……」

「んん? ……あー、そういえばセンくんと峰田くん、ラーカーズの動画作っとるんやっけ?」

「うん、例の生放送以降、峰田と一緒に作ってんだけどさ。結構これが大変でセンスと時間がいるってわかったんだけど……この動画作ってる人すげぇな、プロだわ」

「……確かに見やすいは見やすいかも。けど……」

「あ、大丈夫だ緑谷。技術がすげーなってなっただけでとっとと捕まれとは俺も思ってっから。愉快犯だろこんなの。ステインに影響されたバカだろーしな。ワリ、動画見せてくれてサンキュな」

「あ、うん。大丈夫……っていうかそうだ、アイテムつきオールマイトを探さないと……!!」

「デクくんも好きやねー」

 

 この……ジェントルとかいうヴィランの動画の、その編集技術の慣れ方というか上手さに驚いた。

 えぇ……普通に羨ましい。さっきの予告動画みたいなのだって低評価しか入ってなかったけど700件強は評価されてたよな。

 内容がゴミだから当然低評価しか入らないだろうけど、再生数も犯罪動画にしては伸びてる。ってかこの内容でコメントとかもついてるって相当だと思う。

 マジでわからん。なんでコイツこんなクソ動画撮ってるのに技術だけあるんだ。

 その腕分けろよクソがよ……!!

 

「おーイクノー。風呂入ろうぜー。オイラ先に行くぞー」

「おぉ、悪い。俺も行くわ」

 

 しかしまぁ、その件はマウントレディに投げたしな。別に今気にする話でもねーか。

 俺は紅茶を飲み干してから峰田と共に風呂に入りに行くのであった。

 

 


 

 

 そしてとうとう文化祭本番を明日に控えた最後の夜。

 時間ギリギリまで俺たちはダンス会場となる体育館で最後の動きの確認をしていた。

 

「ツートントン! ツートントン……ッパ!! で青山中央! イクノがハケてロープ準備!」

「ウィ☆」

「おっけ!」

「緑谷!! 動きまだヌルいからグッ! グッ!! っての意識!! イクノに貰った時間きっちり魅せな!!」

「ラジャ!!」

 

 ダンス隊でダンスの流れを一通り流す。俺は緑谷が青山を上に投げて観客の視線誘導がされたときに個性で床下潜って裏方へ行き、青山をロープで牽引。

 その後結局俺も青山と一緒にぶら下がるという案はボツったので、重さ無視して青山ブラブラタイムを半分実施。

 で、曲がある程度進んだところで緑谷が中央から高く梁まで跳躍して、その瞬間に梁の上で青山ロープを緑谷にパスしたら変わる様に俺が壇上に落下、ヒーロー着地。

 ぐっと拳を挙げたところで透ちゃんがダンスを申し込みに来て、二人で社交ダンスでぐるぐるっと回って最後に透ちゃんの素顔チラ見せ。

 そのままダンス隊に戻って、最後に緑谷もヒーロー着地を決めて、フィニッシュまで正面舞台に残るのはバンド隊を除けば俺と緑谷だけということになった。

 見せ場くれたな。助かる。

 

「始める前は芦戸と幾野以外は素人芸がー……って不安だったけど。バンド隊もダンス隊も素人以上のモンになっちまったなァ」

「幾野に負けまいと頑張ってたのもあるし……それに芦戸が鬼コーチだったよなァ。好きだからこそガチでやれるんだろうな……!」

 

 演出隊の瀬呂と切島が俺らのダンスに所感を零すのが耳に入ったけど切島が芦戸ちゃんめっちゃ褒めてた。

 ちらっと見ればなんか……エモい感じに芦戸ちゃん見てるじゃん。おっとぉ。

 これは文化祭が終わったらからかわねばならんな。恋の匂いがしますよぐへへ。

 

「緊張してまいりました……」

「バクゴー、本番で変なアドリブしないでね?」

「あァ?」

「混乱しちゃう奴がいるっしょ」

「言い方トゲあンな!」

「上鳴、お前だけではないぞ」

 

 バンド隊も息が合ってないようで、しかしここ一カ月弱あいつ等を見て来た俺らには分かってる。

 あのノリがあいつ等にとってちょうどいいのだ。刺激しあってみるみる上達していった。

 耳郎ちゃんの歌に爆豪ちゃんのドラムが軸となり、上鳴も常闇も八百万ちゃんも相当腕が伸びてる。

 特に上鳴はすげーよ。素人から一か月でここまでもってきたのはマジで偉い。

 やる時はやる奴だなアイツも。文化祭終わったらアイツにも耳郎ちゃんとのデート用にペアチケットプレゼントしなきゃ(使命感)

 

「──モウ9時ダ!! ガルルルル!! 生徒はァア゛ア゛ア゛!! 9時まデダロォォォ!!!」

「おっやべ! そんな時間か! 帰りまーす!!」

「しまった熱中してて時間管理ミスった……」

「幾野が時間チェック漏らすの珍しーな」

「それだけ集中していたという事だろうな。よし! 後片付けをしっかりとしてからA組撤収だ!!」

 

 委員長の号令で速攻で体育館を撤収する俺達。

 明日、ここで本番なんだな。楽しみになってきた。

 

 


 

 

 さてそんで夜の寮。

 夕飯は食ってたから風呂入って後は寝るだけなんだけど……まぁ前日で眼が冴えるやつもいるよね。

 

「寝れねー!!」

「ウオォォォ!! ダンスでモテるぜオイラァァァ!!」

「静かにせーい! 寝てる人もいるから!」

 

 11時半を回るころになってもまだ上鳴と峰田が走り回ってた。ガキかよ。

 

12時を回ってもロビーにいたら俺があらゆる手段を使っても眠りにつかせるのでそのつもりでよろしく♥」

「よし峰田!! もう寝るか!!」

「だな!!」

「無敵の札切るのやめろ? ……つってもまァ早めに寝なきゃだけどな」

 

 俺は緑谷と青山と共に明日使う道具の点検を行いつつ釘を刺しておく。

 まだ半分くらいはロビーにいるかな。12時で消灯だからそれまでには部屋に押し込まねぇとな。

 楽しみすぎて眠れない奴がいねぇといいけど。まぁみんな疲れてるから流石に寝てくれるか。

 

「──恥ずかしがったりおっかなびっくりやんのが一番よくないよ。舞台に上がったらもう後は楽しむ!!」

「……耳郎さんの話、色んなことに通じるね」

「ウィ☆ ……誰がためを考えると結局は己の為に行き着くのさ」

 

 そんな中で耳郎ちゃんが飯田に零した心構えに緑谷が感銘を受けていた。

 青山も含蓄が深い言葉を零すな。……いやよく考えたらちょっとズレてね? まぁいいけど。

 

「俺の女装が可愛いのも俺が全く照れたりしないからだもんな。わかるわー」

「……どう否定したものかと思ったけどその通り過ぎて僕何も言えないよ」

「無敵だね☆」

 

 えー? でも耳郎ちゃんが言ってることってそういう事じゃん?

 いやでもマジでそこ大切な所だからな。何事もやるなら全力。

 

「……あ、れ? ロープが結構ほつれてる」

「ワオ☆ ずっと練習で酷使してたもんね☆ 僕らの友情の証じゃないか☆!!」

「あーマジだ。うわ……スマン俺も気付いてなかったわ。あっぶね、千切れなくてよかったな」

 

 そして点検を続けていると緑谷がロープにだいぶほつれが来てるのに気づいた。

 ウォールハックでロープの中まで調整して見れば……僅かに内側も細い部分でいくつか千切れてんな。あっぶね。

 こりゃあかんわ。これで明日使って青山が落下なんてことになったら大惨事にもほどがある。

 

「おー、んじゃ八百万に作ってもらえば?」

「ヤオモモもう寝てるよ! 便利道具扱いしないのー!」

「俺の事は充電器扱いするじゃん!」

「これが男性蔑視」

 

 上鳴の案も出たが俺も流石にNG。

 どうしようもなくなったらお願いするかもだが、別にロープなんて買ってくりゃいいだけの話だ。八百万ちゃんに申し訳ないしな。

 確かに八百万ちゃんは万能で便利な個性だが、それに日常で頼りまくるってのは違う。

 俺も同じように万能な個性だからこそ、その辺は強く感じる。

 勿論やれることやってやりたいと俺は思ってるし、八百万ちゃんも思ってるだろうが、それを使うべきは必須なときか特別なときであって、日常で常に頼りにするのは変な話だからな。

 女装大会? 特別な時だろあれは。

 

「僕、明日の朝一でロープ買ってくるよ。気付かなかったの僕だし……」

「いや俺も気づかなかったから一緒に行くわ。緑谷一人だとまたなんかやらかしそうだし」

「ひどいや。でも……そうだね、リンゴアメの材料も買いたい所だったからお願い、幾野くん」

「んー? 俺ら10時から出し物だぞ? 時間大丈夫か?」

「雄英から15分くらいの所のホームセンターが朝8時から開いてんのよ。俺と峰田が一人暮らしの時よく使ってた。他の買い物も朝からやってるスーパーがあるし全然間に合うと思う」

「けっこーギリじゃん……でもまぁ幾野がいるからその辺の管理は大丈夫か」

「ひどいや」

 

 結局俺と緑谷でロープを買い出しに行くことで決めた。

 ついでにエリちゃんに作るリンゴアメの材料も買ってこないとな。俺と緑谷でプログラム確認したらもしかすると売ってない可能性があったので念のため。 

 作り方も覚えたんで、食紅は事前に俺の方で買っておいたんだけど今日冷蔵庫見たらリンゴがなかったのだ。これは俺も失態。なんでついでに買ってきちまおう。

 他の科の寮に行ってリンゴ貰ってくるとかランチラッシュ先生にお願いするとかも考えてたけどちょうどいいや。

 

「うし、他の道具は確認できたし……んじゃそろそろガチで寝るか。消灯時間ですよー」

「おー! そんじゃ……! また明日やると思うけど、夜更かし組で一足お先に!!」

「絶対成功させるぞ!!」

「「「オーーーー!!!」」」

 

 明日の本番に向け、俺達はばっちり睡眠を貪るのだった。

 

 

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