【完結】峰田ァ!お前の前のオレオ取ってオレオ!! 作:そとみち
『今年のミスコンの優勝を飾ったのは─────ヒーロー科三年 波動 ねじれ!!』
「グアアアァァ負けたァァァァ!!!」
「やった!! やったよー私優勝したよー! やったー嬉しいやったー!!!」
膝から崩れ落ちる俺と、天使のような笑顔でぴょんぴょん飛び跳ねるねじれちゃんパイセン。
つい今、文化祭の最後のプログラムであるミスコンの結果発表で俺が2位になったことが確定した。
悔しい……! クソッ! やっぱり男性的なカッコよさで半分魅せてたのが響いたかちくしょう!!
でもぴょんぴょんしてるねじれちゃんパイセンのパイパイがゴキゲンボインだったから許したろ!!
敗因はおっぱいでしたね。おっぱいが足りない。俺におっぱいがついてれば勝っていた。
「いい線いってたなー。得票数も十数票差だろ? お疲れさんなイクノ」
「おしかったー!! でもまー初出場で2位! 去年の優勝者には勝ったし! 楽しかったねセンちゃん!」
「ワンチャン最下位も覚悟してたからこの結果にビックリしてるところある! 爪痕は残したぜー!」
「3人とも手伝ってくれてあんがとなー。負けて悔いなしって所よ」
ねじれちゃんパイセンや絢爛崎パイセン、拳藤ちゃんとも健闘を称える握手を交わして段を降り、手伝ってくれた三人とも苦笑を零しつつ感想を零した。
この結果でも十分な満足だ。Aバンドの出し物にどちらかっつーと本腰入れてたしな。やりたいことはやれたさ。
これもまたいい想い出になるだろう。楽しかったわ。
さてそれではこの後は後片付けと後夜祭になるのだが、俺は今日来てくれたエリちゃんを見送るために緑谷と共に学門前に向かう。
俺たちの想い出を甘いものにするために。
三人と一旦分かれて向かえば、ちょうどそこには相澤先生とミリオ兄さん、エリちゃんが待っていて。
緑谷もちょうど到着したな。待っててくれたかな、悪い。
「エリちゃん、今日は来てくれてありがとね! 楽しかった!」
「お姉さんあんまり一緒にいられなくてごめんな。楽しんでくれたかな?」
「……うん」
俺はミスコンの準備もあったし、彼女とも一緒に回りたかったのも事実だったので、文化祭中のデートは相澤先生とミリオ兄さんと緑谷に任せているところが多かった。
もちろんお化け屋敷の後にメンタル回復させてから合流して一緒に回った時間もあったが、その後またすぐにミスコンの結果発表で移動しなきゃならんかったからな。
まぁ俺は見舞いの回数も多いし今日は他に譲ってやったわ。また見舞い回数で稼げばええ。
「…………」
さてそんなエリちゃんだが、しかし顔は少々寂しそうだ。
決してマイナスな意味合いでの顔じゃないだろう。今日一日中は本当に楽しそうに、色んなものに満面の笑顔を向けていたのを俺は見ている。
楽しいということを初めて知って笑顔になれた分、それが終わった時の寂しさというのも初めて味わった。
楽しい時はいつか終わりが来る。それは間違いないことだ。
でもね。
「エリちゃん、顔を上げて?」
「デクさんとイグジストお姉さんからのー……」
「「サプラーイズ!!」」
エリちゃんが俺たちの声に顔を上げたところで、緑谷がすっとリンゴアメをお出しした。
ついさっき俺がダッシュで寮の冷蔵庫から取り出してきたやつだ。
なお俺が持ってる箱にはもう数本作ったのが入ってる。後でミリオ兄さんにも相澤先生にもくれてやるのだ。
クラスのみんなの分もせっかくなので作ってやったからな。クラスの奴らのはリンゴ半分に割ったけど。
「リンゴアメ!? 売ってた!? 俺探してたよ!?」
「甘いね兄さん。確実に渡したかったから事前にプログラム見て屋台の人にも聞いて調べてたのさ」
「なさそうだったんで材料買って僕たちで作っておいたんです! エリちゃん、どうぞ食べてみて!」
「……あむ……! ……ふふっ、さらに甘い」
「エリちゃんからも甘いって言われてるよ兄さん」
「違うと思うんだよね!?」
リンゴアメをカリっとかじったエリちゃんがまた笑顔を見せてくれる。
今日一日で本当に色んな表情を見せてくれるようになったな。感無量だ。
笑顔のエリちゃんめっちゃ可愛いんじゃ……これは将来美人になるよ。
10年後には引く手あまたの美人JKになって……個性も使いこなせるようになって……治癒系の個性でこの子が触った怪我人は見る見るうちに治る様に……いや待て。
そうかエリちゃんが不特定多数のオスに触れるようになっちまうのか! クソッ!! お姉さんそんなこと許しませんよ!!
俺の目が黒いうちはエリちゃんに触れさせませんからね!!! 汚らしいオス共がよ!!
「エリちゃんは俺が守る」
「どうしたの急に幾野くん」
「またおかしくなったか。……まァ近いうちにすぐまた会える。見舞いにだって行けるしな」
「うん……イグジストお姉さん、デクさん。今日はありがとう……またね」
「うん、またねエリちゃん!」
「寝る前にちゃんと歯を磨くんだよー」
リンゴアメをほおばりながら、エリちゃんがじっと俺らを見上げて挨拶を。
それはさよならの契りではなく、またねと再会の約束として。
俺らはそれに笑顔で応えて、茜色に暮れる空を見上げて秋風に髪を遊ばせながら。
「……よかったね。エリちゃんが笑顔になれて」
「ああ。俺らの頑張りは無駄じゃなかったな」
最後に緑谷と、ニカッと笑顔で顔を合わせて。後夜祭に合流するのだった。
そして後片付けを終えた後の後夜祭ではキャンプファイヤーを中心にみんなでフォークダンス。
俺が混ざることで無差別自動脳破壊マンとなり、俺と順番に組んだ男子も女子も脳破壊して恐怖の象徴になってやった。超楽しかった。
んで寮に戻って、寮内でも打ち上げのパーティを簡単にやって。
みんなで今日の思い出を語り合って。風呂に入って。
で、ホントは透ちゃんと夜の逢瀬……とも思ってたんだけど、お互いに随分とはしゃぎ疲れてたようで、どちらからとも言わず、明日にしよっか、となり。
自室に戻ってベッドに横になった瞬間に、睡魔が襲ってきて……一瞬で眠りに落ちた。
その日、久しぶりにお母さんの夢を見た。
血まみれの姿ではなくて、想い出の中にある優しい笑顔を浮かべた、楽しかったころの夢を。
俺たちの文化祭は、こうして終わりを迎えた。
【side 面構犬嗣】
私はジェントル及びラブラバが自首したとの連絡を受けて、早急に雄英高校近くの警察署に合流したワン。
この二人には先日保須市付近で随分と事件を起こされており、しかし逃走力の高さと証拠を残さぬやり口に随分と辛酸をなめさせられていたが……ようやく捕まったワン。
しかも捕まえた経緯について詳細な報告を受ければ、なんと捕まえたのは雄英高校の緑谷くんと幾野くん。
かつて保須総合病院でステインを捕えた時にいたあの二人だワン。
なんとまぁ、あの時から大それたことをやる子達だとは感じていたが、仮免も取得し……あの時私が諭した、資格がない事による規則違反という枷をすっかりと乗り越えた上で実績を出したということで。
まったくあの二人には驚かされたワン。流石といったところだワン。
「さて……次はラブラバの調査に同席だワンね」
「よろしくお願いします。署長の個性はこういう時に便利だ」
私の個性『警察犬』は相手が洗脳されていたり、嘘を言ったりする匂いを嗅ぎ取れるというもの。*1
ジェントルの調書作成に先ほどまで付き合っていた。あちらも動画で見えていた虚栄心というか、見栄がなくなり……素直に罪を認めた上で、ラブラバへの恩赦を望んでいた。
しかし事件の直後にはラブラバを洗脳していたといった発言もあったため、そこを改めて確認するために私が呼び出されたワン。
「しかし……目の曇りは取れていたワン。目を覚まさせたのはあの二人か……」
数多の犯罪者を見て来た私から見て、ジェントルは間違いなく心の底から反省しているタイプに見えたワン。
服役して罪を償ったのちに再び悪事を犯すことはない……と、そう思えるタイプの犯罪者になっていた。
取り調べの時の態度というものは当然検察にも連携され、今後の社会復帰に向けたプランニングを考慮する一つになるワン。後は服役中の態度次第ではあるが、未遂も含めた事件の件数と犯した罪状から考えても……長くても5年未満といった所か。
本人も先ほど言っていた通り、今度は正しい道で人生をやり直してほしい所だワン。
「───では取り調べを始める。まず名前から」
「相場愛美。ラブラバよ」
そしてラブラバの取り調べが始まったワン。
ジェントルの傍にいることになった経緯など諸々聞き取りをしつつ、しかし彼女の立ち位置は微妙な所になっているワン。
洗脳が行われていないことは間違いない。その匂いがしなかったワン。だからこそ彼女は本心でジェントルにほれ込んでおり、そのヴィラン活動を支援したというのが罪の一つ。
しかしジェントルにも聞き取りした通り、主犯は間違いなくジェントルで。彼よりも罪は軽くなる見込みだったワン。
「……独学で、これを?」
「ええ」
「信じられないな……」
そして話が進む中で、ラブラバが所有していたPCの調査を情報班が行い、その中にあるアプリの機能性に驚いていたワン。
私はあまりそっちの知識は詳しくないが……情報班のエースが息を呑むほどのモノだワン。恐らくは凄まじいIT知識をこの娘は所有しているのだワン。
「仕事は何を?」
「ラブラバ」
「真面目に」
「……ジェントルと出会うまでは引きこもりのニート。PC関係は趣味の独学よ」
「自信なくなるな。……この才能を世の中のために使う気ない?」
「
「……ほう?」
取り調べが進む中で、担当官が本人の社会復帰の意向も含めた所を聴取したワン。
このラブラバの場合、罪の重さが確実に収監されるほどではないワン。
さっきも考えた通り、本人の罪の認識や反省が見えて、今後罪を犯すことが予測されない場合は……執行猶予をつけての有罪も考えられるワン。
もちろんそうするにも罪はかなり多いので、その場合は例えば監督、監視するヒーローをつけてそのヒーローの元で社会奉仕活動の一環でヒーロー活動を手伝わせたり……といった流れも準備されているワン。社会復帰支援の一環だワンね。
その場合は逃走防止用のタグを一定期間付けさせて、きちんと社会奉仕が出来ているかをヒーローが報告して、その結果次第では当然執行猶予取り消しの上で服役になることもあるワン。
ただし更生が認められる場合には恩赦がでることもあるワン。
今、ラブラバの立場はとても微妙で。
ここから彼女が語る胸の内によって大きく変化すると言っていいワンね。
「……私はジェントルの為になりたいんだもの。ジェントルは己の罪を償おうとしているわ。償って、改めてヒーローの道を歩み出そうとしている」
「ふむ。……続けて?」
「そんな彼の傍にいたいの。ヒーロー活動する彼を助けたいの。彼の為になりたいの。……そういう意味で、私の力を世の中の為に使いたい。ヒーロー『ジェントル』の為になる事なら何でもするわ。私の力が彼の為になるならなんだって」
「……面構署長」
「シロだワン。今の彼女の言葉に嘘偽りは欠片もない」
「本心だもの」
相思相愛。
ジェントルの取り調べの際に取調べの担当者がそう零していたが、やはりラブラバのほうもその想いで間違いなかったワン。
しかし、これは判断が難しいワンね。
世の中の為に己の力を……IT知識を使うつもりはある。そして、それは己のパートナーであるジェントルの為。
しかしジェントルも罪を償う気持ちは本物で、服役が終わればヒーローを目指す見込みがある。
ヒーローにジェントルがなれたとすれば、まァ世間からの風当たりは強いかもしれないが……ヒーロー活動をする以上、それは世の中の為になる。
それを手伝うためならばラブラバはその才能を世の中の為に使っているとも言える。
ふーむ。
際どいワンね。少なくとも今日この場で結論が出る話でもないワン。
この調書と取調べの結果を検察に出してどう判断されるかという所になるワン。
明日には緑谷くんと幾野くんにも聞き取りをしないといけないワンね、二人を捕えたヒーローとして。
考えられる結果としては。
まず確定でジェントルは懲役がついて年単位での服役。
ラブラバは罪が重なっても恐らく懲役ではなく禁固刑。服役になる可能性もある。
しかし更生の意志が見えるものと判断されれば執行猶予が付く可能性も高い。
その場合に身寄りへの帰属を望まず、本人に社会奉仕の意志があれば先ほど例に挙げたヒーローによる保護観察の元での刑務所外の服役に従事する可能性もあって。
「……相場愛美本人に戦闘力はないからな。もし執行猶予になって社会奉仕による減刑及び社会復帰を求めた場合は受け入れるヒーローの選定をしなければ。協力してもらえるか、面構署長」
「そうワンね、私も同じことを考えていたワン。彼女の才能を求めているようなヒーロー事務所があれば……私の顔が利く範囲で探しておくワン」
取り調べを終えてから現地の警察署長と話をする。
ふむ。私の知り合いのヒーローは多い。保須市内と言わず、東京のヒーローであればおおよそ連絡は取れるし、自分が定期的にラブラバの様子を観察に見回りに行くことも可能だワン。
そうなると誰がいいか……ああ、そういえば。
保須市の、緑谷くんと幾野くんの事件で縁が出来た……
声をかけておいてみるか。最近は随分と動画界隈でも有名になっているとの噂だし。
そっち方面で働ける力を求めていたりすれば、条件に合致するかもだワン。
チームアップして他の優秀なヒーローも人数がいる。監督は問題ないだろう。
ジェントルを捕えた幾野くん……イグジストのインターン先でもあるが、逆にラブラバの幾野くんへの態度でどれほど本気で反省しているかを見ることも出来そうだワン。
ただまぁ、今考えたことは全て捕らぬ狸の皮算用。
まだ刑すら確定していないこの状況ではどうなるかは神のみぞ知ると言ったところ。普通に懲役刑になる可能性だって全然あるワン。
それでも、あえて言うならば。
相思相愛の二人の力が、今後は正しい方向に向かうことを法の番人として願う限りだワンね。
刑事罰関係の描写は全然詳しくないんで気持ち! 気持ち雰囲気でやってます!
akip様よりファンアートを頂いたので紹介させていただきます!
①オールマイトコスチュームで自撮りするセンちゃん
【挿絵表示】
センちゃんがオールマイトコスに身を包んだ姿を書いてもらいました。
自信満々の顔が可愛い! おっぱいは偽乳埋め込んであります。女装オールマイト需要はあの世界なら絶対あると思う。
これをSNSで見せた瞬間にサー・ナイトアイ公式垢とオールマイトガチ勢さん垢とアメリカNO1ヒーロー垢からすごい細かい指摘がくるんやろな……
ファンアート心より感謝申し上げます。有難うございました!