「……あれ?結局どうなったんだ?」
「やっと起きましたか?おはようございます、ハジメ君」
俺が目を覚ますと、朱乃さんの顔が目の前にあった。90度傾いているけど。……それに頭にやわらかい感触を感じている。まだ自分が寝ぼけてるのか?
「結果から言えば、私達、グレモリー眷属の勝利でこのゲームは終わりました」
そこまでの記憶はかすかだが残っている。〈ストレートフラッシュ〉を撃った後にライザーが倒れたことまでははっきりとしていて、その後の記憶から曖昧だ。
「その後、私達全員は部室に帰って来て、その場で解散ということになったのです。しかし、イッセー君とハジメ君はまだ目を覚まさなかったので、リアスがイッセー君を家まで転送して連れて行きました。そして、あなたは転送させることができないので、私がここに残ったわけです」
えっ?じゃあ、まさか……
「朱乃さんは寝てないんじゃ……」
「あらあら、私だって寝ましたわ。足が痺れて、ついさっき起きてしまいましたが」
朱乃さんは顔をわずかに赤らめているように見えた。
(…………?)
俺はその意味がいまひとつわからなかった。
『……ハジメさんはすぐに頭をどけたらどうなんですか?』
(えっ、どういう意味だよ?)
『たしかに、彼女の膝枕は気持ちいいかもしれないけどさぁ~。これ以上は迷惑じゃない?』
(…………膝枕ぁ!?)
俺はようやく寝ぼけから覚めて、今この状況をようやく把握した。そして、すぐさま体を起こした。
「あの、いつまでも起きなくてすみませんでした!別にたたき起こしてもらってもよかったのに」
「うふふ、あまりにも気持ち良さそうだったので。ハジメ君はかわいいですわね」
(あはは……、か、かわいい?)
「それでは、お茶いれますね」
俺が起き上がると、朱乃さんは立ち上がって、いつも通りお茶をいれようと歩みを進めるが、その場で転びそうになった。
「っと、大丈夫ですか?」
俺はとっさに朱乃さんを抱き抱えるかたちで止めた。……一応お腹の部分に腕をまわしている。
「あらあら、ありがとうございます」
「まだ足が痺れているんですね?お茶なら俺が用意するので、座っててください」
朱乃さんをソファーに座らせて、かわりに俺がお茶をいれた。
「どうぞ、いつも朱乃さんがいれてるものよりはおいしくないかもしれませんが……」
「うふふ、そんなことはありませんわ。ありがとうございます」
お茶を飲んで俺達は一息ついた。それと同時に思考が冷静になると、あることに気づき時計を見た。
「もう8時じゃないですか!授業そろそろ始まりますよ?」
「あらあら、今日は土曜日ですので、学校はありませんわ」
「えっ……」
そういえばそうだったような……。ずっと特訓で山にこもりきりだったから曜日感覚が狂ったか?とにかく俺はまだ全然冷静ではなかったようだ。
それからしばらくの間、部室は静寂につつまれた。そんな中部室のドアが突然開いた。
「あら、2人はまだ帰ってなかったの?」
入ってきた人物はリアス部長だった。
「部長?」
「はい、部長。ハジメ君がつい先ほど起きたばかりですので」
朱乃さんが今の状況を俺のかわりに説明してくれた。
「そうだったの?でも、ちょうどよかったわ。ハジメにちょっとお願いがあったのよ」
(なんだろう?……そういえばアブゾーバーの説明いっさいなしで使ったから、それについて聞かれるか?あの時は勝ちたい一心で必死だったからなぁ)
そんなことを考えている俺にとっては予想外のお願いだった。
「あなたのアルバイト先のお店で今回の打ち上げを予定しているのだけど、明日の午後から貸し切れないかどうか確認してくれないかしら?」
まさか、こんなに早く打ち上げをすることになるとは……。
「そんなことでしたら別に構いません。今日の午後にでも聞いてきます」
「じゃあ、よろしくね」
「それでは、俺はそろそろ帰りますので、失礼します」
俺はそう言って、部室を後にした。正直これ以上はここに居づらい。
◼◼◼
そして、遥香さんにそのことを頼みに俺はひさしぶりに『ハカランダ』に向かった。
「こんにちは、10日も休んでしまってすみません」
「別に謝る必要はないじゃない。事前に連絡もくれてたからね」
「それで、いきなり申し訳ないんですけどお願いがあって……」
「何かしら?」
………………。
「えぇ、いいわよ。明日の午後ね」
「はい、俺も手伝うので」
「それより、どんな子達が来るのかな?」
……この人は相変わらずだな。
「えっと、男が俺入れて3人、女子が4人ですけど」
「あら、そうなの?明日が楽しみだわ」
これは覚悟しといたほうがいいかもしれない。
案の定、当日は遥香さんの質問攻めにあったけど、これはまた別のお話。ちなみに、店の料理はみんなに好評だった。次にこんな機会があったらまた行きたいとみんなが口を揃えて言っていたほどだ。
◼◼◼
それから、最近変わったことといえば、部長がイッセーの家で住むことになったことだ。そのことでアーシアは涙目になってたとか、なってないとか。まぁ、あいつは
何だかんだでモテるらしい。はぁ~、イッセーはいいよなぁ~。
俺は強化フォームの特訓を始めた。特にジャックフォームをメインに。まだうまく制御できていないのが事実だが……。あと、ほかのスートのジャックフォームも変身可能で、ダイヤはスペードとあまり変わりは無く、ハートとクローバーは全くの別物と化している。
それと、それぞれのスートによってそれぞれの属性が強化されるらしい。例えば、スペードなら〈サンダー〉、ハートなら〈トルネード〉の威力が増す。つまり、ダイヤの存在意義も一応あるということだ。……しかし、使う機会があらわれるかどうか……。
『ハジメ君ひさしぶりの感覚だが、何か殺気を感じる』
突然、嶋さんがそう言った。
『場所はかなり近い』
「わかりました、ナビお願いします」
俺はそう伝えて、すぐさま外のブルースペイダーを走らせた。
◼◼◼
俺が着いた頃にはもう既に遅かった。死体が幾重にも刻まれて放置されていた。
『この風貌から察すると、神父とか悪魔祓いとかそんな人だったのだろう』
『そうだね。……それにしてもこの気配はどこかで感じた嫌な殺気だね』
(……この町でいったい何が起こるのだろうか?)
そんなことを思いつつ、俺はもと来た道を引き返していった。
次からエクスカリバー本編に入ります。