ハイスクールD×D~スペードの切り札~   作:保志白金

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アンケートはあのまま変わらずでしたので、この章が終わったら書きます。


「ドラゴン」との修行

レーティングゲーム対戦日まで残り19日、俺達は広い庭の一角に集合していた。

 

服装は俺以外みんなジャージ。なぜか、アザゼルもジャージで気合いが入っている。

 

「先に言っておくが、このトレーニングメニューは将来的なものを見据えてのものとなっている。だから、当然すぐに効果が出ない者もいるだろう」

 

おおっ、アザゼルがいつになく先生らしいことを言っている。そして、次々と部員一人一人に何をすべきか言い渡していく。その中で朱乃と小猫ちゃんに同じようなことを言葉厳しめに言っていた。それに対して二人は複雑そうな顔や険しい表情を見せていた。

 

「大丈夫、小猫ちゃんにならできるさ!」

 

イッセーは小猫ちゃんにそう気軽に言った。しかし、小猫ちゃんはそれにすら無言で反抗的な態度をとっていた。イッセーも悪気はなかったのだろうけど、彼女も朱乃のように何か俺達の知らない事情を抱えているのだろう。

 

「さて、最後にイッセーだ。お前はそろそろここに来る奴とハジメに先生をしてもらう」

 

俺も修行をするつもりでいただけに、その言葉は意外だった。

 

「なぁ、先生、俺がイッセーの先生役ってなにすればいいんだ?」

 

「まぁ、待ってろ。もう一人が来たら説明してやる」

 

そう言うと、アザゼルは空を見上げる。それにつられて俺やイッセーや他のみんなも空を見上げると、巨大な影がこちらに向かって飛んできているのを確認できた。

 

\ドォォォォォンッ!/

 

その飛行物は砂煙を上げて、ここの地面を揺るがしながら降り立った。その正体は体長が15メートル台のなんの捻りもないドラゴンそのものだった。

 

「…………ドラゴン!」

 

「そうだ、イッセー。これがもう一人の先生だ」

 

イッセーが呟き、それにアザゼルはうなずく。

 

「まさか堕天使の総督どのがよくいけしゃあしゃあと悪魔の領地に入れたものだな」

 

そのドラゴンはなんとしゃべれるようだ。

 

「何か問題でもあるか?タンニーン。俺は魔王様直々の許可を得て堂々と入国したんだぜ?」

 

アザゼルはこのドラゴンについて知っている様子。アザゼルの話によればこのドラゴンは元龍王の一匹で『魔 龍 聖(ブレイズミーティアドラゴン)』という伝説のドラゴンの一種だそうだ。それで名前はタンニーンといい、彼の吐く火の息は隕石の衝撃に匹敵するほどと言われているらしい。

 

「フン。まぁいい。俺はこの少年をいじめぬけば良いのだな?」

 

「そうだ。やはり、ドラゴンの修行といえばそれしかない。ハジメも死なない程度に全力でイッセーの相手をしてやれ。そうしなければ、こいつのためにはならないぞ」

 

「了解だ。先生」

 

「死ななければいいのだな。なら任せろ」

 

巨大なドラゴンーータンニーンさんもやる気満々だ。

 

「さて、各自それぞれのメニューをきっちりこなすこと。いいわね」

 

「「「はい」」」

 

部長のその言葉にイッセー以外のみんなは応じて、それぞれが散らばろうとしていた。

 

「イッセー、気張りなさい!」

 

部長がサムズアップをイッセーに向け、エールを送っている。イッセーもそれを見て腹を決めたのか、表情が真面目になった。

 

「リアス嬢。あそこに見える山を貸してもらえるか?そこでこいつらと修行をする」

 

タンニーンさんはそう言って、俺とイッセーの手をつかむと、そのまま飛び立っていく。これからイッセーの地獄(?)の修行が始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

◼◼◼

 

 

 

 

 

「だぁぁっ、くそっ!」

 

「遅いぞ、イッセー。このままだと攻撃が当たる」

 

「そうだ、もっと素早く避けんと炭になるぞ」

 

あの日から毎日、イッセーは俺の剣戟とタンニーンさんの火球をただひたすら避け続けている。それを昼夜問わずに。

 

俺達との鬼ごっこが終わると、そこからイッセーは筋トレーー要するに基礎トレーニングを行って、その間に俺は近くの山小屋を借りて睡眠をとる。そんな生活サイクルを送っている。それで、なぜかイッセーはこの山小屋を使っていない。存在そのものを知らないのか、それともあえて自分を追い込んでいるのか。

 

この山に来て既に5日は過ぎただろうか?イッセーのジャージは穴だらけで破れまくりである。しかし、俺達の攻撃は一度も当たっていない。それは実力ではなく底力だったり根性のおかげなのかもしれないが、それでも日に日に動きが良くなっているのは事実だ。

 

「逃げてばかりでは仕方がないだろう。反撃してきたらどうだ?イッセー」

 

「うるせー!なら、やってやるよ。アスカロン!」

 

『Blade!』

 

「っしゃあ、行くぜ!」

 

『Explosion!』

 

イッセーは青龍刀型の片手剣を籠手から取り出して、自分の力を倍加させた。そして、俺に向かって突進して来る。しかし、

 

「ほら、俺がいることも忘れるな」

 

タンニーンさんが横から火球を放ってくる。

 

「ハァァァッ!」

 

イッセーは走る速度を緩めず、それを剣の凪ぎ払いで軌道をそらす。そのまま、俺に斬りかかった。俺はブレイラウザーでイッセーの剣戟を受け止めた。

 

「まだまだ!」

 

イッセーは攻撃の手を緩めずに、空いている左手を使って殴ってくる。それに合わせて、俺はクロスカウンターをイッセーの顔面に打ち込んだ。

 

「ブハッ」

 

イッセーはまともに俺の拳をもらって、倒れそうになるものの受け身をとって、持ちこたえたように見えた。……が、

 

『Reset』

 

その音声と共に増加していたイッセーの力が元に戻り、その場で倒れこんだ。

 

「やってんな、調子はどうよ?」

 

不意に聞き覚えのある声が聞こえてくる。

 

「なんだ、先生か」

 

そこにいたのは、アザゼルだった。

 

 

 

 

「これは……!」

 

「うめー!超美味しいー!」

 

俺とイッセーはアザゼルが持ってきた差し入れの弁当をがつがつと食べていた。この弁当を作ったのは部長とアーシアと朱乃らしい。とても美味しいです!

 

「あいつら相当気合い入れて作ってたからな。しかし、数日見ない間に動きが良くなってきたな」

 

アザゼルはイッセーの肩を叩いて言う。

 

「そうでもしないと俺が殺されそうになりますからね!こんなことしたら誰でも必死になりますよ!」

 

イッセーはややキレ気味にそう言った。まぁ、よく考えなくともイッセーと俺達の戦力差がかけ離れていることは理解できる。

 

「フン、痛い思いをしたくなければ、さっさと禁 手(バランスブレイカー)に至ることだな」

 

すると、タンニーンさんが半眼でそう言う。禁 手(バランスブレイカー)というものに至れば、イッセーが白龍皇戦の時に使っていたあの赤い鎧を特殊なリングなしで使えるようになる。これからのレーティングゲームでも有利に戦えるようになる。……とアザゼルも言っていたから、たしかなことなのだろう。

 

「そう言えば、ヴァーリがあの時見せた形態は禁手のさらに上の存在なんですか?」

 

イッセーはアザゼルに訊いた。

 

「いや、まず禁手というものはいわば神器の究極形態。それ以上はない。そして、お前のブーステッド・ギアのように、魔物の類を封印している神器にはそれぞれ独自の制御が施されている。しかし、その制御を一時的に解除して封印された力を解放するのが『覇 龍(ジャガーノート・ドライブ)』だ」

 

ヴァーリが奥の手と呼んでいたのはこのことを意味していたのか。

 

「一度発動すれば、神に匹敵する力を得られるが、リスクも大きい。それは寿命を削ることと、理性を失うことだ。もっとも、ヴァーリは持ち前の膨大な魔力量でそのリスクを無くして戦っていたようだが、お前は絶対に使うな。あれは力の亡者と化した者だけが使う呪われた戦い方だ」

 

アザゼルは瞳に憂いを見せながらイッセーに忠告した。要は諸刃の剣と言ったところなのだろう。……それを退けた〈ワイルド〉は神に匹敵するということなのか?しかし、連発できる代物ではないから油断はできないけど。

 

「話は変わるが、イッセー、一旦グレモリーの別館に戻るぞ。リアスの母上殿から連れ返せと言われているんでな。明日の朝にはここに戻るがハジメはどうする?」

 

戻ったとしても俺のすべきことは無さそうだな。

 

「俺はここに残るよ。イッセー、一日ぐらいゆったりと休んでこい」

 

俺はそう答えると、アザゼルは頷きイッセーを連れて山を下りていった。

 

 

 

 

「というわけらしいので、タンニーンさん今日だけは俺の修行ってことで付き合ってください」

 

「フン、いいだろう。ただし、俺は最低限しか手加減はしないからな」

 

タンニーンさんは鼻で笑いながらそう言った。

 

「そうしてもらわないと、意味がありませんよ」

 

俺はそれに対して強気な態度で返した。

 

「そうか。では行かせてもらう!」

 

タンニーンさんは口を大きく開き、特大の火球を放ってくる。ーーイッセーを相手に吐いていた時とは数段違う!

 

「変身!」

 

〈TURN UP〉

 

オリハルコンエレメントを盾代わりに利用して、その隙に俺は姿を変えた。その勢いのままブレイラウザーで斬戟を繰り出した。しかし、ドラゴンの堅い鱗によって刃は通らない。

 

「どうした、大口叩いた割りにその程度か?」

 

「チッ、だったらーー」

 

〈スラッシュ〉

 

〈ファイア〉

 

〈バーニングスラッシュ〉

 

「ハァァァ!」

 

ラウズカードの力を借りコンボで攻撃するが、これもあまり効果が薄かった。さっきよりは手応えがあったものの全く怯んでいない。

 

「今度はこちらの番だ!」

 

あの巨体に似つかわしくないスピードでこちらとの距離を詰め寄ってくる。そして、俺の体とほぼ同じ大きさの拳を振り抜いてきた。それを俺は横っ跳びをしてかわすが間髪入れずに今度は尻尾を凪いでくる。

 

〈メタル〉

 

それはかわしきれないと判断した俺は防御力を底上げして守りの構えをとった。

 

「がっ!」

 

勢いがあったので吹き飛ばされはしたが、それによって大したダメージは受けなかった。

 

『さすがは元龍王。精度は不安定だけど、攻撃力と守備力が半端じゃない』

 

(たしかにな。こんなのと数日も戦っていたら、強くなるのは当たり前だ)

 

「こうなったら、力比べといこうか!」

 

〈フュージョンジャック〉

 

アブゾーブタイガーとフュージョンエレファントを使用して、俺はクローバーのジャックフォームに姿を変えた。

 

通常形態よりも全体的にゴツくなっていて、ブレイラウザーの柄にはディアマンテゴールド製の直径約30センチのアイアンが伸縮自在のチェーンと共に新たに取りついている。

 

「ラァッ!」

 

俺はアイアンを投擲し、攻撃を仕掛けた。直球過ぎたせいか簡単にかわされて、再度俺に近づき殴りかかってくる。今度は真正面から受け止めて逆に殴り返した。すると、わずかではあるがタンニーンさんを後ろに押し返すことができた。

 

「やるな、小僧!」

 

そう言って、タンニーンさんは後ろに飛ぶとさっきよりもさらに熱量のある火球を吐いてきた。

 

〈ブリザード〉

 

俺はブレイラウザーの剣先を火球の方に向け、冷気を放った。瞬間凍結とまではいかなかったものの、難なく凍りつかせた。

 

「……なに?」

 

それを見たタンニーンさんは驚いたような声をもらした。

 

「まだまだですよ!」

 

そう。俺の修行は始まったばかりだ。

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