ハイスクールD×D~スペードの切り札~   作:保志白金

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仮面ライダー剣のドラマCDが来年出るそうですね!
最終回からの後日談らしいのでとても楽しみ!


体育館裏のホーリー
転校してきた「天使」


夏休みも明けて、二学期に突入した今日この頃。駒王学園では9月にあるイベント、体育祭の準備がもうすでに始まっていた。

 

この時期になると、いきなりイメチェンを果たすクラスメイトの連中がいた。下手すると、休み明けと比較して、一瞬「こいつ誰だ?」となる奴すら出てきていた。

 

まぁ、俺はそんな暇すらないぐらいに充実していたから、特に頭にくることでもなかったが。

 

「お、おい!このクラスに女子の転校生が来る!女子だ!」

 

クラスの男子、一人からの突然の報告。大事なことだから二回も言ったのか?……よくわからないけど。

 

『ええええええぇぇぇぇぇぇっ!』

 

そして、ワンテンポ置かれた後に、俺を除いたクラスの全員が驚きの声をあげた。

 

 

 

 

「え~と、このような時期に珍しいかもしれませんが、このクラスに転校生が来ました。わ~」

 

ここにいるみんなの、そして、なぜか先生のテンションも上がっている。……まぁ、特に高いのは男子の連中だが、それは男の性だ。うん、しょうがない。

 

「じゃあ、入ってきて」

 

先生のその声に促されて入ってきたのは、茶髪でツインテールの美少女だった。男子からは歓声がわき上がっている。……が俺とイッセー、そして、ゼノヴィアにアーシアは喜ぶというよりも、言葉をなくすほど驚いた。その理由はーー

 

「紫藤イリナです。皆さん、どうぞよろしくお願いします!」

 

ゼノヴィアと共にエクスカリバーの件でここに来た、あの幼馴染みの女の子だった。

 

 

 

 

休み時間に入って、イッセーはイリナ、アーシア、ゼノヴィア、そして俺を人気のない場所に連れ出していた。

 

「お久しぶりね、みんな!」

 

イリナは開口一番にそう言った。

 

「あぁ、相変わらず元気そうだな、イリナ。ところで、一つ訊くが、なぜここに?」

 

ゼノヴィアが一言、挨拶を発した後、ストレートに切り出した。

 

「ミカエル様の命によりここに転校してきたの。詳しくは放課後に噂の旧校舎で……ね?」

 

その後、イッセーは部長にメールをしてみると、部長はすでに知っていたらしい。まぁ、それは当然といえば当然だな。とりあえず、放課後まで待とうか。

 

 

 

 

 

◼◼◼

 

 

 

 

 

「紫藤イリナと申します!この度は天使様の使者として駒王学園に馳せ参じました!」

 

そして、あの言葉通りにイリナは放課後、部室に訪問してきた。

 

……でアザゼル曰く、この場に来ているということは、彼女は神の死を知っているとのこと。いきなりそのことをアザゼルが口にした時、イッセーはかなり焦っていた。

 

「しかし、その真実を聞いてここへ来るなんて、意外にタフなんだな」

 

ゼノヴィアがそんなことを言った。たしかに、このことを聞いても大したショックを受けていない様子だし。

 

……と思ったのだが、そうでもなかった。ゼノヴィアの言葉の後、イリナの両目からは急に大量の涙が溢れ出てくる。やはり相当ショックだったのだろう。……イリナが語った話はあまり深刻そうには聞こえなかったけど。

 

その後、ゼノヴィアとアーシアが落ち着かせると、アザゼルが話を戻した。

 

それで、イリナがここに来た理由は天使側の者がいなかったから、それを問題視していたミカエルさんの命令で、だそうだ。

 

イリナは何かを思い出したかのように、おもむろに立ち上がると、祈りのポーズをする。すると、背中から白い翼が生えた!

 

「紫藤イリナ、まさか、お前は天使化したのか?」

 

「はい。ミカエル様の祝福を受けて、私は転生天使となりました」

 

イリナの話によると、悪魔側の『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』の技術を応用して作られたトランプを使って天使へと転生できるらしい。

 

そのことについて、アザゼルは面白そうに笑いを漏らしていた。

 

「ん?ところで、イリナはどの札なんだ?」

 

イッセーはイリナに訊く。すると、自慢げにイリナは答える。

 

「ふっふっふ。私はA(エース)よ!それにミカエル様のスートはスペードだから、ハジメ君と全く同じ!」

 

そう言って、俺の手を握ってくる。

 

いや、俺は力を借りてるだけで、イリナと違ってスペードのエースそのものじゃないからな。ーーと突っ込もうとしたが、彼女に言っても無駄だと思い、そのままスルーした。

 

「悪魔の皆さん!前々から皆さんと仲良くなりたかったと個人的に思っていました!これからよろしくお願いします!」

 

『ほんと、彼女は元気だねぇ~』

 

『フン、やかましいの間違いだろう』

 

こうして、イリナの紹介が終わり、次に歓迎会がこのまま開かれるのだった。

 

 

 

 

 

◼◼◼

 

 

 

 

 

イリナがここに転校してきてからすでに数日が経っていた。イリナはその持ち前の明るさで、すぐにクラスの中へ融け込んでいった。

 

そして、今日は体育祭で誰がどんな競技に出るかを決めていた。ちなみに、イリナが借り物レース、ゼノヴィアが障害物競走、俺がパン食い競走、そして、イッセーとアーシアのペアで二人三脚へ参加することに決まった。

 

しかし、イッセーとアーシアはかなりの体格差があると思うけど、大丈夫なのかな?

 

一通り決定してからは体育祭に向けて、それぞれが各種目に向けて、本格的な練習が開始された。しかし、パン食い競走なんて、どこをどう練習すればいいのやら。

 

「おっ、剣。暇そうだな」

 

「ん?匙か」

 

俺がみんなの練習風景を眺めていると、後ろから匙に声をかけられた。メジャーを持っているので、生徒会の仕事で何かをしている最中なのだろう。

 

「ところで、お前は練習しなくていいのかよ?」

 

「イッセーとアーシアみたいに二人三脚に出るってことならまだしも、俺が出る競技はパン食い競走。つまり、練習のしようがないってことさ」

 

「お前もなのか?俺も出る競技は一緒だ。ってか、相変わらず、兵藤は羨ましいポジションをかっさらっていくよな……」

 

なんと、匙も俺と同じ境遇だったとは。

 

「まぁ、あいつのことだから仕方ないさ。それより、こんなところで油売ってていいのか?」

 

会長も副会長も厳格な方々だ。ここで喋っている光景でも見られたら、匙はともかく、俺も何か言われそうだ。

 

「おっと、俺はまだ仕事があるんだった。それじゃあな、剣」

 

そう言って、匙はグラウンドの端へ向かって走っていった。

 

 

 

 

「次のレーティングゲームの対戦相手が決まったわ」

 

俺がその日の放課後、部室に顔を出すと、イリナを含めたメンバー全員が、もうすでに集まっていた。

 

会長ーーシトリー家と戦ったことを皮切りに他の上級悪魔の次期当主とのレーティングゲームも開催されることとなっていた。

 

それで次の相手はどんな奴なんだ?……部長は浮かない顔をしているようだが。

 

「相手は、ディオドラ・アスタロトよ」

 

その部長の言葉に部室にいる全員が言葉を失った。

 

『アーシアちゃんに求婚してきたあの青年だったね』

 

(そうですね。タイミング的には最悪な気もしますが……)

 

『ハッ、むしろチャンスだろう。これを期に叩きのめした方が寄ってこなくなるはずだ。それにあの風貌を見る限りでは、リアス・グレモリー達に十分勝ち目がある』

 

(……なるほど、そうとも捉えられるか)

 

俺は麟の意見に納得してしまった。

 

「そこでだ。今日はお前達が対戦した後に執り行われた試合の記録映像を見てもらう。ライバルの試合だから、よーく見ておけよ」

 

部長の話が終わったのを見計らって、アザゼルがDVDのようなものを取りだしながら、言葉を発した。

 

「まずはバアル家とグラシャラボラス家の試合だ」

 

みんなはどんな悪魔なのか、ある程度の情報は冥界の行事で知っているようだ。俺は初見なので、始めは楽しみにして見ていたのだが……。

 

『圧倒的だね。このサイラオーグ・バアルって悪魔』

 

『ああ。こいつだけ格が……いや、桁が違いすぎる』

 

部長の従兄弟だというサイラオーグさんが、異質なまでの力を披露していた。それは麟が認めるほどの。

 

驚異的な理由の一つは、神器も魔力も一切使わずに、ただの徒手空拳だけで相手を撃破したこと。そして、二つ目はその戦闘スタイルで、かすり傷一つ負わなかったこと。

 

後で、先生の補足があったが、サイラオーグさんは魔力の才能が生まれつき無かったようで、自分の得意分野を伸ばしていった結果、このようになったらしい。

 

クラブのジャックで戦えばなんとかダメージを与えられるだろうか?もしくは、他のジャックフォームで高速のラッシュをかければ……。いや、そもそも、俺は機会そのものがないから考えても無駄か。

 

「さて、次はアガレス家とアスタロト家の試合だ。もうすでに、結果は聞いているだろうが」

 

アザゼルはリモコンを操作して、次の映像を映した。……もちろん、俺は結果を知らなかったわけだが。

 

序盤はシーグヴァイラ・アガレスが有利にゲームの流れを運んでいき、このままアガレス家が勝利すると俺は思っていた。しかし、突如として戦況が一変した。それはディオドラ・アスタロトが急激なパワーアップをしたからである。

 

そこからは、『王』である彼のスタンドプレーで相手を殲滅するかのように撃破していき、終いにはそのままゲームエンドまで持っていった。

 

結果から見れば、ディオドラ・アスタロトの大金星といったところなのだが、アザゼルも部長も口を揃えて、

 

「あのパワーアップには疑問を感じる。彼はあそこまで強くないはずだ」

 

ーーとそのようなことを言っていた。

 

当然おかしいと思ったのは、この場で映像を見た全員であるが。

 

『……思い出したぞ。あいつの力はあの変態女と同じオーラのあれだ』

 

麟が突然、何か閃いたかのように口を開いた。そして、その言葉は俺にでも十分理解ができた。

 

(それって、まさか……!)

 

『そう、俺が殺したあのカテレア・レヴィアタンがパワーアップする際に使った黒い何か。……つまりだ。あの悪魔はテロリストの仲間という可能性が高い』

 

(…………ッ!)

 

危険はすでに、俺達の身近に刻一刻と迫りつつあった。

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